他人を求め続ける心には際限がない。どこまでいっても奈落、人生の暗がりを見つめ続けることは、自分自身の暗がりを見つめる苦行と似ている。誰かがこの理想を叶えてくれるかもしれない、理想の別世界がどこかにあるかもしれない。そんな甘えにも似た願望をまだ見ぬ私へとぶ ...

「どうして怒ってるか、わかる?」私は言い終わる前にマゾの横っ面を張り飛ばしていた。今日の私は虫の居所が悪い。それはマゾが粗相をしでかしたからだ。プレイの中で起きることを、私は粗相と呼ばない。私とマゾという関係性で完結せず、第三者が関わった事柄を粗相と呼ぶ ...

その時の私は、電車から降りて駅のホームを歩いているところでした。まだ梅雨も明けていないというのに、ギラギラとした日差しのせいで両脇に滲む汗を感じつつ、隣の路線で鳴り響く発車ベルの音を聞いていたような気がします。ここはどうやら、昔からある古い駅のようです。 ...

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