8d46d1f1.jpg 永らくご無沙汰しております、伊藤純子です。梅雨明けまでもうすぐ。当ブログをご覧のみなさま、いかがお過ごしでしょうか?

 突然ですが、セメント工場や亜鉛精錬所、はたまた湾岸に浮かぶ石油コンビナートや製鉄所などといった「工場観賞」はお好きですか?何を隠そう私は「工場風景」に対する愛着を強く示しております。そこで本日お薦めしたい図書は『工場萌えF』(東京書籍 定価1900円税別)。工場風景をこよなく愛する人々にこの本の購入をお薦めしたいと思います。

 誰の心の中にも忘れられない光景があるもの、と思われます。私の場合、殊に工場夜景は心を浮き立たせるものがあります。私のお気に入り工場風景は、地元・群馬県は安中市にある「東邦亜鉛安中製錬所」。山の斜面を覆うような構造物群を見るたびに思わず「WOW」と声を漏らしてしまうほど。配置されているパイプ群は活力がみなぎっています。幼い頃、親戚を訪ねる道中、車窓からこの工場風景を眺めては「将来、ここで働きたい」などと、工場勤務に憧れを抱いたものでした。

 この『工場萌えF』の魅力は、著者が選んだ日本全国の工場風景を写真に収めた‘工場グラビア’はもとより、工場観賞だけでは物足りない人のために、「工場の機能美のひみつ」と題して、製鉄所や製油所、セメント工場などといった構造物の解説や、その仕組みについて触れているところ。これを知れば、塔状の構造物やタンク、曲がりくねったパイプの群れなどの「工場アイテム」が、その役割を果たすために造形された、実にムダのない美しさであるということに気付かされます。

 また、著者が独断と偏見で選んだとされる「日本全国の工場観賞スポット」36カ所が紹介されています。もちろん私の愛する化学プラント・東邦亜鉛安中製錬所も選ばれています。ボーナスページとして、ドイツの世界遺産となった工場「フェルクリンゲン製鉄所」の激写も興味深いものがあります。

 近頃の流行で、こうした工場観賞をツアーとして企画する動きもあるのだとか。昨年11月には千葉県観光課が千葉大学と企画して「工場観賞バスツアー」なるものが行われているもよう。趣味としての工場観賞は初級レベルの私ですが、この本と出会ったことを契機に、近い将来、工場観賞に出かけてみたいと考えています。



【画像】『工場萌えF』石井 哲、大山 顕 著 111ページ 出版社 東京書籍