世界貿易機関(WTO)の上級委員会が9日、米国の反ダンピング関税を不当とする日本の提訴をほぼ全面的に認める決定をした。昨年9月には同紛争処理小委員会で米国側の主張が受け入れられていて、今回の決定は逆転勝訴となるらしい。

米国では、ある製品のダンピング調査の際に、輸出価格が国内価格より高い場合の価格差はゼロとみなし、国内価格に比べ安売りしているケースだけを基にダンピング率を算定する「ゼロイング」という計算ルールを採用しており、日本の他にもEU、カナダ、メキシコ、タイなどが被害をWTOに提訴している。少し聞いただけでも統計学の初歩を逸脱した話だ。

これは日本経済新聞の報道だが、米国はこれを改善する方法について米議会や関係業界と協議を始めるが、過去の例では、制度改善に数年かかり、しかも部分的な見直しに留まる場合が多いとのことだ。

昔の職場で、ごく短期間、海外送金業務に関わったことがある。

現在、日本国内の送金の場合、ATMが発達しているので、画面操作が終了した瞬間には先方の口座に入金されている、というケースが多いのではないだろうか。小切手や手形の決済資金にも現金だけではなく為替がよく利用されている。これは全国共通の為替システムが確立されているからだ。手形期日の当日2時過ぎに取引先からの振込み待ち、というのは日本の中小企業ではよくある光景だろう。トラブルがあれば不渡りなのだから、考えてみればすごいことだ。経営者が、取引先や銀行システムを信用し切っている。

外国為替の場合には統一の為替システムというようなものは存在しない。例えば、イ銀行(日本)からロ銀行(某国)へ送金する場合には、某国内のハ銀行(超大手)に開設したイ、ロ銀行のそれぞれの預金口座の勘定を付け替えるという方式をとる。ロ銀行が田舎のとても小さな金融機関だったりするばあい、ロとハの間にニ銀行(大手)が介在したりすることもあったように思う。私が担当していた時には、為替の支払い内容の詳細をテレックスで送信していた。今はインターネットを使うのだろうか。いずれにしても全世界共通の為替システムが創設された、という話は聞かないので、大筋の仕組みに変りは無いのだと思う。海外送金の申し込み書には、裏に非常に細かい文字が大量に印刷されている筈だ。要約すると「相手は外国人なのでイザという時には責任が取り切れません」ということだと思う。ロ銀行やハ銀行、場合によってはニ銀行を信用するしかない。

日米安保条約を破棄した上で、自衛隊を解体、憲法第九条を遵守して武装を解こう、と主張する人々は、何か問題があったら国際連合が助けてくれるだろう、と考えているのではないだろうか。国際連合は世界政府ではない。日本国が他国に武力的に征服されることは正しいか、正しくないか、という絶対的価値観よりも、有力な国連参加国の意向に大きく左右される結果が出るに違いない。WTOの例でもわかるように、国際的な諸機関は、想像以上に参加メンバーの事情や思惑が反映されやすいものだ、と考えるべきなのではないだろうか。私には国連や六ヶ国協議という枠組みを過信することは到底できない。