家畜・家畜化とは

家畜とは人間が飼育して利用する獣類であり、単に野生の動物を捕らえて飼い慣らしたものではない
品種を異にするまで淘汰を重ね、その子孫もまた家畜として生まれてくるものを指す。

家畜化とは、突然生じる出来事ではなく、段階的で動的なプロセスである。

犬の起源

犬の祖先については、食肉目イヌ科に属するオオカミとジャッカルまたはコヨーテの交雑種であるという説、オーストラリアなどに生息するディンゴなど野イヌであるという説などがあったが、90年代以降発展した分子系統学の知見によると、ほぼ間違いなくオオカミから分岐した動物と考えられる。

DNA解析の結果、犬はオオカミと最も縁が深く、コヨーテやジャッカルとは離れていた。ジャッカルやコヨーテも、犬やオオカミとの間で交雑が可能なことから、犬に分かれる進化の過程で、ジャッカルやコヨーテの一定程度混ざっている可能性は残る。

イヌ科の共通の祖先は、6500万年~4800万年前に生息していたとされるミアキス(Miacids)で、これは同時に全てのネコ科やクマ科の動物などの祖先とされる。

犬種と系統

細胞核のマイクロサテライト分析によると古代に起源を持つとされる3つのグループ(中国犬・日本犬・アラスカン)に属する犬種は比較的オオカミに近い系統で、近代ヨーロッパ起源とする大多数の犬種はお互いに血統が近く、相互に分岐したのが比較的最近であることが判明した。

家畜化の時期

犬の祖先の家畜化については諸説ある。

50万年ほど前からオオカミと人間が多くの地域で頻繁に出会い、生活環境を共有していた痕跡が、多くの発掘調査で発見されている。

4万5000年前 シリア砂漠のドゥアラ洞窟遺跡のネアンデルタール人住居跡から、イヌ科動物の下あごの骨が発掘されており、世界最古のイエイヌとする説。

1万2000~1万4000年前 クロマニョン人が発掘されたオーバーカッセル遺跡から骨。生後4~5ヶ月のイヌ科の子供の骨の胸の部分に、高齢の女性がかがんで手を添えるかたちで埋葬されており、現在のペットと飼い主のような深い絆で結ばれていたのではないかと推測される。

家畜化の経緯

研究者によると、犬が人間によって家畜化され、オオカミから分岐してそのDNA塩基配列に変異が生じるまで、13万5000年もの時間を要するという。

現在では犬の家畜化は約1万5000年前とする説が支持されるようになっている。

東アジアのオオカミから家畜化された動物が全ての犬の祖先で、これがその時代に移動生活を始めた人間とともに世界各地に移動して広がっていったと考えられる。

一部のオオカミが人間の生活エリアの近くに現れ、人の捨てた残飯をあさるため次第に人間に近づいていったことが考えられる。人間側も、食べ残しのゴミを処理してくれたり、危険な野生動物の接近を知らせてくれるなど、生活に役に立つオオカミとの距離が縮まり、意図的に餌付けを始めたとも考えられる。その中で人になれやすい個体が選ばれ、それ以外が淘汰されたと考えられる。