将軍・大名は唐犬、大奥や姫君、遊女は狆を

犬は縄文時代に日本列島の外から導入されて以来、海外種との交流が少ないまま生息してきた。しかし16世紀なかばにポルトガルやスペインとの南蛮貿易がはじまると、海外から多くの犬が運ばれ、幕府が鎖国政策をとる17世紀前半までは、将軍、大名、半の重臣などの支配階級にしばしば献上された。このような洋犬は「唐犬(からいぬ)」と呼ばれ、平安時代に中国から輸入された「唐猫(からねこ)」を王朝貴族が珍重したように、将軍や大名たちの権威を示すものとして飼われるようになった。

武士の街として建設された江戸では、少なくとも初期には、猫を飼う習慣は一般化していなかったと推測される。しかし上方では「猫のノミ取り屋」が商売として成立するほど猫を飼う習慣が定着、それが江戸にも波及したと考えられる。

大型の唐犬が支配階級で飼われる一方、大奥や上流階級の女性、それに上流階級の女性と同等の教養を有する最高位の遊女の間では、小型の狆が室内で抱き犬としてペット的に飼われていた。

古代以来、犬が室内で飼われる習慣はなかったが、この狆だけは例外であった(狆:小さい犬の総称)。

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