あまりにもブログの方をほったらかしていたので、私も存在を忘れていたこのブログですが、ふと思い出したのでなにか書こうと思いました。最近、遺骨帰還派遣で行った硫黄島について書こうかと思ったのですが、いまいち進まなかったので、最近調査した大西瀧治郎軍令部次長最期の地についてのレポートを載せます。

大西瀧治郎中将とは
 大西中将の生涯を書くだけで数冊の本は書けるでしょうから、ここでは詳しくは書きません。Wikipediaでも見て頂ければ概ね分かって頂けるでしょう。
一般的に「特攻隊の生みの親」として知られている大西中将は、終戦後の8月16日未明、渋谷区南平台の軍令部次長官舎にて"死を以って特攻の英霊に謝す"という趣旨の遺書を遺し、割腹自殺を遂げました。
Ohnishi
 8月18日読売新聞朝刊

 大西中将は私が好きな軍人です。ずっと最期の地を訪れてみたいと思っていました。しかしながら渋谷区南平台で自刃した事は本に書いてあるのですが、南平台のどこかはどの本にも書いてないし、公文書も見つかりませんでした。そこでせっかく渋谷区民なので調査して見ることにしました。

映画『あゝ決戦航空隊』
当時の軍令部次長官舎を調べるにあたって、最も参考になったのは昭和49年(1974年)公開の東映映画『あゝ決戦航空隊』でした。この映画では鶴田浩二が主人公大西瀧治郎を演じています。
終戦から29年後の公開された当時は大西中将が自刃した軍令部次長官舎は残っており、この映画のラストに官舎が写されます。
ahkessenkoukuutai1b

『あゝ決戦航空隊』より
この映像から軍令部次長官邸はどこにあるのか考察しました。
1.後ろにあ
る道路は南平台に沿った国道246号線である可能性が大。
2.軍令部次長官舎は坂にある。
この条件に当てはまる所をGoogle マップ及びストリートビューで探した結果、現在の東急電鉄本社ビルのあたりが有力でした。
 googlemap
マップで言うと矢印で指した所
googlestreetview

左手のビルが東京急行電鉄本社ビル。国道246号線までの距離感

実地検分

幸い東急電鉄本社ビルまでは歩いて行けるので、実地にて検証してみました。P1000731

ストリートビューで見るのと実際に行ってみるのではだいぶ違う事が多いのですが、実際に立ってみてここで間違いなさそうだとう確信をもてました。

航空写真の検証
昭和49年に撮られた渋谷区航空写真からも検証してみました。赤丸をつけた建物が当時次長官邸として使われていたと思われます。

s49koukuushashin

国土交通省国土制作局ホームページより引用

ahkessenkoukuutai2

上記の画像が『あゝ決戦航空隊』のラストで取り上げられる当時の次長官邸です。
この二枚の画像を比べてみると恐らく同一の建物であろうと言えると思います。

インターネットからの情報

先述した通りインターネットからは決定的な情報を得ることは出来ませんでした。
しかしながら「映画・シナリオ研究」という個人の方が運営されているブログから「あゝ決戦航空隊」の脚本家笠原和夫のインタビューをみることができました。引用させていただきます。
◎僕は行ったんだけど、東急本社の裏手に元満州財閥の人の大邸宅があるんだよ。当時、そこを海軍軍令部次長の官舎にしてたんだけど、そこで切腹しましてね。
   (昭和の劇 笠原和夫 外著 2002年太田出版刊 339頁)
http://5111.blog.eonet.jp/ky/cat3272819/
当時の東急本社は現在のセルリアンタワー東急ホテルに当たります。現在の東急本社はちょうど裏手にあたります。

いつ旧軍令部次長官舎は取り壊されたか
昭和49年(1974年)の段階では現存していた官舎ですが、いつまで残っていたのでしょうか。Wikipediaによると東急本社ビルの竣工が平成2年(1990年)だそうなので、それまでには取り壊されたか事になります。具体的にいつ頃なのか航空写真で検証した所、昭和54年(1979年)には更地になっていたので49年~54年までの間にとり壊されたのでしょう。

まとめ
大西瀧治郎中将最期の地は、現在の東急電鉄本社ビルである
 
お勧めの本・映画

日本海軍の爆弾―大西瀧治郎の合理主義精神 (光人社NF文庫)
帝国海軍の爆弾を通して見た大西瀧治郎の生涯といったところでしょうか。大西中将が「神がかり的精神論者」ではなく、徹底した「合理主義者」であった事をこの本は解き明かしてくれます。旧軍の精神主義の局地のように言われる「特攻」ですが、当時としてはそれが一番合理的な作戦であったというのもまた事実です。
大西中将が「神がかり的精神論者」ではない事は、「軽挙は利敵行為」と諌めた遺書を読んでも明らかだと思います。

あゝ決戦航空隊 [DVD]

キャストがとにかく豪華な映画です。鶴田浩二、菅原文太、金子信雄、渡瀬恒彦、山城新伍、松方弘樹、北大路欣也、、、と当時の東映映画の名優が勢ぞろいしてます。『仁義なき戦い』シリーズともキャストが大分重なっていますね。
内容も割りと忠実に作られていると思います。中島正少佐や猪口力平大佐、城英一郎大佐、小園安名大佐、玉井浅一中佐など一般的に有名でないし、多くが当時まだ存命中の軍人がボンボン出てくるのは凄い。
菅原文太演じる小園安名司令が印象的です。


何か新しい情報や異論などがございましたらコメントよろしくお願い致します。