そもそも住宅工事の履行遅延はなぜおきるのか
産業就労人口の変化
第一次産業従事者はずっと減り続けています。その上少子化の一途で、ますます建設業者の人材確保が困難な状況です。建設上は、作業の特質上、殆どの作業をロボットに代替できないので、人材不足が与える影響は深刻なものです。
そいった背景をうけて、国は外国人労働者の受入を検討していますが、利害問題や移民受入問題があり、遅々として進んでいません。最近の国民生活センターの発表で、近頃のトラブル増加を警告しているほどです。
・住宅工事の遅れ トラブル相談が過去最多
http://www9.nhk.or.jp/kabun-blog/1000/202445.html
・人手不足で住宅の工事遅延トラブルが増加
http://natulogy.com/topics/7737/
建設需要の増加
関東・東北大震災の復興や、福島原発関連の特需により、東北を拠点とする建設会社は増え、それらの会社は儲けまくってバブル状態ですが、このことも全国の人材不足に拍車をかけています。
また、現在は東京オリンピックに伴う大規模な副都心再開発が急速に発生していることから、建設業者はますます仕事を選ぶようになっています。
今後はリニアの工事で大量に人材が必要となりますので、建設業の人材不足はさらに加速していくでしょう。
建設業者(業界)の慢心
日本最大の弁護士探しサイトの弁護士ドットコムに寄せられる相談に対して、弁護士の回答は非常に慎重なものばかりです。
以下はその一例ですが、訴える側の弁護士(と施主)の主張が弱いために、建設業者が野放図になっているようにみうけられます。
(弁護士にとっては非常にビジネスチャンスにあふれた分野なのに。。)
弁護士ドットコム
賃貸付き住宅の引渡し時期の遅れに伴う損害賠償はできますか?
http://www.bengo4.com/fudosan/b_239562/
建設が遅れているかなと思ったら
まずは心の準備を
額が大きいので動揺しがちですが、住宅を買うとは、「住宅を建てるという作業を買う」ということであり、できあがった商品を買うこととは違うことを理解しましょう。
人任せにはできないのだと踏ん切りをつけ、専門的なことは分からないから・・とあきらめずに考えることが重要です。そうでないと、いつまでも言いわけされて引き延ばされます。
落ち着いて確認すること3点
めんどうですが、次の行動に落ち着いて対処できるよう、以下の3点を確認しましょう。
・着工後に、仕様変更があったか。あったとすれば、それは誰の要望か。
自分の要望を、着工後に伝えている場合は、当初の計画から遅れたことを、そのせいにされるかもしれません。ただし、この場合にも、建設会社側は、遅れると伝える責務がありますので、聞いていなければ、遅れは発生しない程度の変更だったということになります。
・大きな天災がなかったか
建設期間中に大きな天災がなかったら確認してみましょう。あったとしても、建設会社側は、遅れると伝える責務がありますので、聞いていなければ、遅れは発生しない程度の災害だったということになります。
・契約書の内容
契約書に、遅延の条項があるはずで、たいていは、1日遅れる毎に、建設代金の何パーセントかを支払いということになっています。この条項がないからといって、損害賠償請求ができないわけではありませんし、それを払うからという理由だけで、遅れまくることを納得する必要はありません。
泣き寝入りしないための行動
明らかに当初の約束から、工事会社の非で遅れていると思ったら、外部の機関に相談するのが良いです。
建設会社の振る舞いは千差万別で、小さな会社ほど顧客対応がひどい傾向にあります。
気性の荒い土建屋から丁寧なハウスメーカーまで様々ですが、概ね以下の行動で対処すると良いです。
まずはハウスメーカーのお客様相談センターへ電話
大手ハウスメーカー(住友林業、積水ハウスなど)とのトラブルであれば、大抵解決すると思います。
担当者はいいかげんでも、お客様相談センターは親切にお客様相談センターがなかったり、担当者同様、いいかげんな対応をされる場合は、「国民生活センター」や「建設工事紛争審査会」に相談に相談すると言ってみましょう。
それでも誠意なく、ずるずる延ばされている場合は実際に相談しましょう。相談は無料ですし、今までに考えなかったことに気づけたり、第三者の冷静な意見を聞く良い機会になります。
厳密な契約書が無い、又は履行遅延条項の内容が不十分、自分にも責任があるかも?と考えていても、まずは気軽に相談してみましょう。
国民生活センターに相談
国民生活センターも、建設業界の遅延を呼び架けるほどですので、相談すれば、工事会社に文句いってくれると思います。が、過度に期待せず、注意喚起程度とみておいた方が良いでしょう。
建設工事紛争審査会に相談
国土交通省管轄の建設工事紛争審査会という組織があります。
http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/totikensangyo_const_tk1_000071.html
建設工事紛争審査会は、建設業法に基づき、国土交通省及び各都道府県に設置され、建設工事の請負契約に関する紛争の処理を行う準司法的機関(ADR(裁判外紛争処理)機関)です。
東京の場合は、東京都都市整備局が担当になります。
http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/totikensangyo_const_tk1_000084.html
上記は、建設会社と直接契約している場合ですが、直接の契約が無い場合は、販売会社に相談した旨伝えてみましょう。
建設業は国土交通省から許可されて営業する会社組織なので、名前を出すだけでも効果があるかもしれません。
建設工事紛争審査会は、あまり知られていない機関ですが、通常の裁判のように長い年月を要せず、あっせん・調停・仲裁などにより紛争の簡易・迅速・妥当な解決を図るために設けられている組織なので、信頼に足りると思います。
それでも解決しなければ、裁判を
最終的には裁判しかありません。この業界に詳しい弁護士を探しましょう。 セカンドオピニオンもいると安心です。