体操
2011年11月24日
体操（８）はじめの一歩！ 【わが家でできる小学受験学習法】
授業でスタートダッシュの練習をすると、足を前後に大きく広げて重心をどっしり落とし、まるで武道の試合に挑むかのような子や、膝や胸を床すれすれまで前傾する子など、ユニークな構えがたくさん見られます。みんな「一番になる！」と、気合だけは十分なのですが…。残念ながら、これでは速く走り出すことはできません。
正しいスタートの姿勢を身に付けよう！
（１）前足と後足を決めます。子供に“気をつけ”をさせ、背後から両肩を軽く押してみましょう。すると、転ばないようにどちらかの足が自然に前に出るはずです。このとき、前に出た方の足を「後足」にします。
（２）前傾姿勢を作ります。両足で高くジャンプする直前の姿勢（垂直跳びの姿勢）を作り、膝に力をためます。猫背にならず、背骨は真っすぐに伸ばして、斜め下に視線を向けます。膝を９０度くらいに曲げたときに両足裏で最も大きな力が地面に伝わっていることを感じましょう。
（３）（２）の姿勢のまま、（１）で決めた「後足」を一歩後ろに引きます。これが正しいスタートの姿勢です。このとき、前足の膝がつま先よりも後ろにあるようなら引きすぎです。体重は、前足のつま先にかけておきましょう。
早く走り出すためには、心構えも重要です。ほとんどの子は「よ〜い、ドン」の合図を最後まで聞いてから動き始めますが、早くなるためには「ドン」の「ド」が聞こえた瞬間に動き出したいところです。そのためには「『ド』が聞こえたらスタートするぞ」という心構えと集中力が必要です。コツをつかむためにも、親子で、あるいは友達と一緒に、「ド」の瞬間に一歩目をスッと動かせるよう練習を繰り返しましょう。
短距離走におけるスタートは重要です。走力に自信のある子も、出遅れない準備をしないと思わぬ後れを取るかもしれません。逆に、走力に自信がない子にはチャンスです。はじめの一歩をマスターすれば、１番も夢ではありません。さあ、がんばって！（ジャック幼児教育研究所体操指導部 岩城潤）
(2011.11.23 産経ニュースから転載)
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2011年10月26日
体操（７）遊びで磨く「聴覚調整感覚」 【わが家でできる小学受験学習法】
◇瞬間的な動作
小学校入試では、体操での『かけっこ・サーキット種目などの合図によるスタートダッシュ』や、行動観察での『音楽が止まったら指示された輪の中に入る』『目を閉じて座り、指示された楽器の音が聞こえたときだけ素早く立つ』といったゲームなどで試されます。
ほとんどの試験は集団で行われるため、音に対する反応が遅いと先に反応して動いた子の姿が目に入ります。すると「あ！ 遅れた。もうだめかも」と諦め半分になったり、先に動いた子の動きをまねしてしまったりという現象が起こりやすくなり、行動全てが後手に回る可能性すら出てきます。普段からトレーニングを積み、音に対する反応を良くしておきましょう。
【聴覚調整感覚を磨く遊び】
（１）瞬間的な動作編（変形ダッシュ） 正座や体育座り、あおむけ、うつぶせなど、さまざまなスタート姿勢から合図で素早く立ち上がり、数メートル先の目標物まで競走します。合図を出す人が子供から見えたり、「よ〜い、ドン」の「よ〜い」のような言葉を掛けたりすると、子供は音ではなく別のものでタイミングをはかるようになるので注意してください。逆に、『子供の背後でボールを高く投げ上げ、地面に落ちる音がした瞬間にスタートする』というような、いつ音が鳴るか分からないルールを工夫すれば音に神経が行きますし、集中力も身につきます。
◇合わせる動き
前回、並べたフープをステップで進むには“調整力”が必要だとお話ししましたが、そこに音を加えた『並べたフープを、太鼓のリズムに合わせてステップしながら進んで行く』というような試験では、「音に合わせよう！」という強い意志も必要になります。そこで、できるだけ小さなときからさまざまな音楽を聴かせ、手拍子や足踏み、ジャンプなどを合わせる楽しさを教えてあげましょう。そうやって、徐々にリズム体操（模倣ダンス）へとつなげていくようにすると、音への意識も自然に身についていきます。
【聴覚調整感覚を磨く遊び】
（２）合わせる動き編（メトロノームを使って…） メトロノームの音を聞かせながら、リズムに合わせてその場で跳躍します。テンポが速いときはつま先でチョンチョンと合わせることができますが、テンポが遅くなるほど着地から次の跳躍までの間の膝のタメが必要になります。この調整を自分でとれるようになることが大切です。上手に合わせられるようになったら、途中で曲調が変わる音楽に合わせることにも挑戦しましょう。
ところで、瞬間的な動作や独特のリズムは、どのようなスポーツをするにしても必要になる感覚運動の一つです。小さな頃から養うことで、運動センスの良い子に育つ可能性も高くなりますよ。（ジャック幼児教育研究所体操指導部 岩城潤）
2011年08月31日
体操（５）遊びで磨く「振りの感覚」 【わが家でできる小学受験学習法】
（１）ブランコ！
ブランコは、振りの感覚を身に付けるのに最適な遊具です。少し勢いがついたときの“ふわっ”と落ちるような感覚。あれが重要なのです。最初は怖がるお子さんも多いと思いますので、ご両親が背中を軽く押して、この“ふわっ”と落ちるような感覚に徐々にならしていきましょう。
（２）腕を振って走る！
基本的には、腕を振らないで走るより振った方が速く走れるのですが、「腕を振りなさい」と口で言うだけでは、簡単にできるようにはなりません。動きがぎこちなくなり、全体のバランスも崩れて、逆に遅くなることすらあります。
では、どうすれば自然にできるようになるのか？ まずは、腕を背後で組んで走ってみましょう。とても走りにくいはずです。そのままの状態で、腕組みを外してみましょう。すると、たまっていた勢いが一気に解放されるので、腕を振ることができるだけでなく、速度も増して気持ち良く走れるはずです。
これをぜひお子さんと一緒にやってみてください。腕振りの重要性を認識したお子さんは次から腕が振れるようになり、前より速く走れるようになるはずです。
（３）紙鉄砲！
腕を振る練習には昔ながらの紙鉄砲がお勧めです。紙鉄砲で大きな音を出すためには、十分な腕の勢いと手首のスナップが必要だからです。お子さんは大きな音を出そうと夢中で何度も腕を振ることでしょう。そして、次第に大きな音を出すコツ、すなわち、腕の振りや手首のスナップを身に付けていくはずです。
（４）メンコ遊び！
ひと昔前、男の子の遊びの代表格だったメンコ。私も夢中になりました。お気に入りのメンコを片手に持ち、全力で地面にたたきつける。パーン！と良い音が鳴り響き、相手のメンコがひっくり返ったときには、何とも言えない気持ち良さに酔いしれたものです。
ところが、今やメンコを売っている店を探すことも難しい状況。子供たちにやらせてみると、相手のメンコをひっくり返すどころか、うまく投げることも、良い音を出すこともできません。がっかりしましたが、少し練習させてみると、すぐに良い音が響き始めました。今の子供たちはできないのではなく、経験する場がないだけなのですね。
メンコだけでなく、こま回しやけん玉など昔ながらの遊びには、さまざまな感覚運動を養う要素が秘められています。昔の子供たちはそうした遊びを通して、自然に運動感覚を身に付けていたのでしょう。子供の運動能力の低下が懸念される中、昔ながらの遊びはもっと見直されるべきだと思います。あなたも、お子さんと一緒に遊んでみませんか？（ジャック幼児教育研究所体操指導部 岩城潤）
（2011.8.31 産経ニュースから転載）
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いつも応援していただきありがとうございます。2011年06月08日
体操（２）遊びで磨く「逆さ感覚」 【我が家でできる小学受験学習法】
逆さになった途端、体が硬直してしまうお子さまがいます。普段の生活で逆さになることがめったにないこともあり、恐怖を感じてしまうのです。そうならないためにも幼い頃から意識して経験させ、「逆さ感覚」を磨いていくことが大切です。
「逆さ感覚」を養う親子遊びを紹介します。
（１）手押し車
お子さまは両肘をしっかり伸ばし、顎（あご）を少し前に出して四つ足の姿勢になります。後ろからお父さまが、両足首（もしくは両膝の辺り）をしっかりつかんで持ち上げます。「右、左、右、左」などと声を掛けながら、前進しましょう。
逆さになる角度が調節できるので、お子さまの状況に合わせた練習ができます。最初は低い位置から始め、徐々に高く上げていって、逆立ちに近い状態までもっていきましょう。
（２）お父さん（お母さん）回り向かい合って両手をつなぎます。お子さまはぶら下がるような格好で、お父さまの膝→腹→胸と駆け上がり、両腕の間を抜くようにして回転します。お父さまはお子さまの動きに合わせて腕を引き上げ、お子さまの着地に合わせて腕をおろします（腕を上げたままにすると肩に負担がかかり、痛める原因になりますので、ご注意ください）。
慣れてきたら、お父さまの体には足をかけず、両足で地面を蹴ってクルッと宙返りのように回ってみましょう。
このような親子遊びは、逆さ感覚だけでなく、腹筋や背筋をはじめとするさまざまな筋肉を鍛え、柔軟性も養ってくれます。背筋をピンと伸ばすためにも、体がグラグラしない子にするためにも、筋力は必要不可欠です。ぜひ、親子でたっぷり楽しんでください。次回は平衡感覚です。（ジャック幼児教育研究所体操指導部 岩城潤）
(2011.6.8 産経ニュース から転載)
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いつも応援していただきありがとうございます。2011年05月13日
体操（１）遊んで磨く、高さ感覚 【わが家でできる小学受験学習法】
小学校受験では、運動に関するテストが行われるケースもよくあります。
一言で運動テストと言っても、その内容は学校ごとに特色があります。採点基準にも違いがあるのですが、多くの学校が望んでいるのは、指示をしっかりと聞く力と年齢相応の体力と運動能力。近年、小学生の体力や運動能力の低下が問題となる中、運動面重視の傾向はますます高まっており、昨年の秋の小学校受験では、首都圏の有名私立および国立の小学校の約８割で実施されました。
残念ながら、体力や運動能力は一朝一夕では身につきません。幼い頃から年齢に応じて培っていくべき力です。本コラムでは幼児期に最も伸びるとされる「感覚運動」をテーマに、ご家庭でも手軽にできる遊び感覚の運動を紹介していきます。
さて、今回のテーマは「高さ感覚」です。これは読んで字のごとく、高さに対する感覚を磨くこと。これが鈍いと高い所に対する恐怖心からおじけづき、ジャングルジムや鉄棒、跳び箱など、高さを伴う遊びや運動が苦手になってしまいます。
１・肩登り
（１）お子さまと向き合って立ち、両手をつなぎます
（２）お子さまはお父さま（あるいはお母さま）と手をつないだまま壁を登るような感じで、脚→腹→胸と順に登っていきます
（３）両肩まで登ったところで手を離さずに、立ち上がりましょう。お父さまはバランスを取り、落ちないように支えてあげてください。これで２メートル以上の高さを経験できます。
２・エレベーター！
（１）お父さまはしゃがんだ姿勢で両腕を前に出し、手のひらを上に向けます
（２）お子さまはお父さまの右の手のひらに左手を、左の手のひらに右手を乗せます。このとき、腕は体の横にピッタリとつけて、肘を伸ばすこと
（３）お父さまがゆっくりと立ち上がり、お子さまを持ち上げて、エレベーター感覚を楽しみましょう。
お子さまは怖くなったら登るのをやめたり体をすくめたりしますから、現時点でどの程度の高さ感覚が身についているかがハッキリと分かります。最初から平気なお子さまもいれば、すぐに怖がるお子さまもいるでしょうが、無理や焦りは禁物。親子で楽しみながら、少しずつ高さに慣れていくことが大切です。
早い時期からこうした遊びを通し、高さに対する恐怖心を克服しておくことで、遊びが広がり、体力や運動能力が鍛えられるだけでなく、入試で課されることの多い跳び箱登りや平均台、鉄棒のぶら下がりといった高さを伴う運動にもスムーズに取り組めるようになります。ぜひ、お試しください。次回は「逆さ感覚」です。（ジャック幼児教育研究所体操指導部 岩城潤）
(2011.5.12 産経ニュース から転載)
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いつも応援していただきありがとうございます。
