2010年12月

2010年12月29日

「わが子は国際学校へ」…早期英語教育に親注目

学生時代に海外留学を経験した日本人の親たちの世代で、早期英語教育熱が高まり、わが子をインターナショナルスクール(国際学校)へ通わせる例が目立ち始めている。

 国際学校は学校教育法上、小中学校として認定されないため、多くの小学生が地元の学校に籍を置きつつ通う“二重学籍”となっている。最近は英語に加え、中国語や高度な計算なども学べる中国やインド学校も関心を集めている。

 大阪府大阪市浪速区の大阪中華学校では、中国語と英語を学べる。10年前はほとんどいなかった日本人児童が、今では小学校低学年を中心に約50人。全校生徒の約2割を占める。

 東京都武蔵野市のインド人学校「リトルエンジェルス学園」は、幼稚園児と小学生計約120人のうち約8割が日本人。英語と2桁かけ算などインド式をベースにした算数、パソコンも教える。長男(8)を通わせる埼玉県白岡町の川嶋加名代さん(44)も中高生時代、米国留学した。「英語を話せて当たり前の時代が来る。インドは数学が優秀なイメージで、両方学べるのがいい」

 小学生の多くは、住民票に基づいて自動的に地元校に籍が振り分けられるため、国際学校に通う子どもは事実上、籍が二つあることになる。しかし国際学校は卒業しても学校教育法上、小中の卒業資格はなく、文部科学省は「厳密には就学義務違反」とする。

 このため長男が国際学校に通う大阪市内の母親(44)は「卒業証書をもらうため、地元の小学校にも年数日は通わせている」と明かす。

 こうした例は多いとみられるが、同省も実数は把握できておらず、「想定外」という。市町村教委や学校が保護者に通うよう指導することもあるが、それも校長の裁量次第。

 籍だけを置く児童のケースを扱ったことがある大阪市立小の校長は「少しでも学校に来るよう説得し、新しい教科書は届けるようにしていた。しかし、きちんと保護者が国際学校に通わせているならば、親の教育方針でもあり強くは言えない」という。

 国内でのインターナショナルスクールに飽きたらず、早くから海外へ出る子どもも少なくない。

インターナショナルスクール

 授業時間や校舎面積など一定の基準をクリアして都道府県に認可された「各種学校」と、それ以外の「無認可校」に分かれる。各種学校は学割も使え、5月1日現在、全国に125校ある。大半は朝鮮学校で、29校が英語中心、中国系は5校。無認可校数は不明。


2010年12月29日  読売新聞から転載)

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2010年12月25日

都市と地方に温度差

教育ルネサンス(7)  都市と地方に温度差

「さあ1分で解くんだよ。スピードを大事に、集中して」。講師の合図で、子どもたちが一斉に国立の福岡教育大学付属の入試の模擬試験に取りかかった。11月中旬、「学習受験社ガゼット」本社のある中央教室(福岡市中央区)の年長コース。試験を受ける12人の表情は真剣そのものだ。

 福岡市と福岡県久留米市に3教室を展開する「学習受験社」は、県内で幼児教室と中学受験塾を開校して約40年。小学校受験では、県内の国立、私立への合格実績でトップを誇る。子ども4人に講師1人のきめ細かな指導が特徴で、講師手作りのプリント教材は年間約3000枚に上る。

 県内の小学校受験事情について、同社の上迫(うえさこ)純一社長(61)は、「志望校は、福岡教育大付属の3小学校が人気の上位。いずれも中学までで、付属中を経て、トップクラスの県立高校、九州大学へと進学するのが『エリートコース』とされている」と解説する。

 受験準備は、かつて家庭でする場合が多かったが、「10年余り前から付属小のペーパー試験が難しくなり、教室通いが目立つようになった。近年、抽選よりも、先に行われる試験で落とす割合が高くなったことも拍車をかけている」と、上迫社長は見ている。

 「付属小」「私立」「併願」で1年と2年のコースがあり、最も多いのは「付属小」の1年コース(週1日2時間~2時間半で、月額約2万3000~2万6000円)。県内ではこの数年、私立の西南学院小学校や東明館小学校などが開校し、併願が増えているが、あくまでも第1志望は付属小という。


 首都圏と関西、北九州以外ではどうか。全国の小学校受験情報をネットで提供する「小学校受験総合研究所」の高橋秀幸代表によると、愛知県や広島県など受験熱が高まってきている地域もあるが、首都圏のような盛り上がりは見られない。

 「地方は私立小が少なく、国公立志向が強いため、小学校受験の中心は国立。だが、複雑な問題は出されず、倍率も低いため、友だちと外で遊び、自分で服をたためて、お母さんのお手伝いができれば対応できる学校が多い」と、高橋代表は解説する。

 幼児教室で季節感や生活習慣を学び、私立小を目指す。お受験熱は都市部特有の現象かもしれない。

 メモ 
学習受験社によると、福岡教育大学付属の3小学校の2010年度入学の受験倍率は、福岡小(福岡市中央区)が男子4・7倍、女子4・2倍、小倉小(北九州市)が男子2・8倍、女子1・8倍、久留米小(福岡県久留米市)が男子2・0倍、女子2・2倍という。出願倍率が約9~80倍にもなる都内の国立大付属小と比べると、大きな開きがある。

2010年12月25日  読売新聞から転載)

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2010年12月24日

幼児教室 関西も熱く

教育ルネサンス(6)   幼児教室 関西も熱く


 「お箸を使って、赤いおはじきを自分のお皿に入れてください」。講師の指示に従い、子どもたちが、「生活習慣」の課題に取り組んでいた。

 おはじきを上手につまめなかったり、途中で落としてしまったりしながらも、時間内にひとつ残らず移し終えた。

 幼児教室「伸芽会」の四条河原町教室(京都市中京区)で、11月20日に行われた4、5歳児の授業。3年保育の「年中」だが、来年の私立小学校受験まであと1年となり、教室では「新年長」として授業がスタートしたばかりだ。「これから1年で様々な実践形式の授業を体験し、大きく力を伸ばしていくのです」と、教務企画局長の飯田道郎さん(50)が説明してくれた。

 小学校・幼稚園受験で知られる伸芽会は1956年の設立。本部は東京都豊島区で、首都圏1都3県に26教室、関西2府1県に3教室、計29教室を運営する。教育理念は、その名の通り幼児の興味の芽を伸ばすこと。例えば図形や数量の問題では、折り紙やおはじきで関心を引き、遊びながら学べるよう工夫する。

 年長児コースでは、週2日、「総合」「志望校別」の2コマ、計4時間が平均的で、費用は月10万円程度という。

 そんな東京の幼児教室の老舗が、四条河原町教室の開校で関西進出を果たしたのは2008年。今年、大阪市と兵庫県西宮市にも教室を設けた。以前も大阪市内の教室と業務提携し、指導方法を提供していた時期があったが、今回は本格的な展開となっている。

 背景には、ここ数年、名門私立大の関関同立(関西大、関西学院大、同志社大、立命館大)の付属小学校が相次いで開校し、小学受験熱に一気に火が付いたことがある。

 中学受験の「浜学園」(本部・兵庫県西宮市)は05年、未就学児童向けの「はまキッズ」を開設。中学・高校・大学受験の「京進」(本部・京都市下京区)も06年、「京進ぷれわん」を開校し、小学受験指導を始めた。そして、08年、「教室通いへのニーズが高まり、ノウハウを十分に生かせる」(飯田さん)と判断した伸芽会が進出した。

 「関関同立」付属小の開校以前も、一定の小学受験層は存在した。しかし、首都圏に比べて私立小の数が少なく、私立の中高一貫校人気や公立高校への信頼が高いことなどから、お受験熱はそれほど高くはなかった。

 相次ぐ私立小の開校が、幼児教育への特需をもたらしている。(奥田祥子、写真も)

 メモ 関西では、2006年の同志社小学校(京都市左京区)と立命館小学校(同北区)を手始めに、08年に関西学院初等部(兵庫県宝塚市)、今年、関西大学初等部(大阪府高槻市)と、名門大学の付属小学校の開校が続いた。来春、同志社国際学院初等部(京都府木津川市)が開校予定。

2010年12月24日  読売新聞から転載)

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2010年12月23日

工作 自由にさせ、ほめる

教育ルネサンス (5)工作 自由にさせ、ほめる
 

10月下旬、JR国立駅近くにある「チャイルド右脳教育研究会」(東京都国立市)の教室をのぞくと、子どもたちの元気な声が聞こえてきた。「あっ、崩れちゃうよ」「きれいに飾ろうね」――。

 年長クラス最後の工作の授業で、テーマは「お城」作り。色画用紙を切ったり、牛乳パックをセロハンテープで張り付けたりして仕上げていく。ある男子(6)は「高い高いの作ったよ。『よくできました』って、先生やママに言われた」とうれしそうだった。

 チャイルドは、1991年の設立。地元国立市を中心に、年中と年長を合わせて約60人と小規模ながら、桐朋学園小学校(国立市)や国立学園小学校(同)など、多摩地区の有名小学校への合格実績で知られる。授業は工作のほか、運動や行動観察、ペーパー対策の指導を週に1回(2時間)行っている。費用は月額約3万円だ。

 指導の特徴は、工作に最も多くの時間を割いていること。しかも、入試に必要な知識やテクニックを教え込むことはせず、自由にやらせている。なぜなのか。

 「数や言葉などをイメージでとらえる力、つまり右脳を鍛えることが、受験に必要な創造力や思考力、観察力を育むことにつながる。その手法として最も重要なのが工作なのです」と、かつて中学・高校受験塾で数学を教えていた山本寿春代表(62)は説明する。

 山本代表によると、自発性を尊重して自由にやらせ、良い点を見つけてほめるのだという。幼児期に自発的に身につけた力は、小学生になってから読解力やひらめきといった基礎能力になるともいう。

 東京都立川市に住む桐朋学園小2年の女子は、年少の冬から約1年半通ったお受験教室が合わず、年長の春からチャイルドに移った。母親(34)は、「前の教室は成績を上げるために厳しく指導され、娘を追い込んでしまった。チャイルドでは、良い点をほめてもらい、自分で考えて楽しく取り組めるようになった」と振り返る。

 白梅学園大学の汐見稔幸学長(63)(育児学、教育人間学)は、「幼児期に押しつけられて勉強させられると、後に問題を発見、解決する姿勢が失われるばかりか、自尊感情が損なわれる可能性がある」と指摘する。

 詰め込みが過ぎると、学ぶ意欲が低下し、燃え尽きることもある。受験が過熱するなか、長所をじっくり伸ばす指導が支持を集めている。

 メモ 
首都圏の幼児教室情報をネットで提供する「幼児教育情報センター」(東京都渋谷区)によると、東京など1都3県の小学校受験向けの幼児教室数は、現在400程度で、大半は中小や個人経営。1980年代後半から増え始め、90年代半ば以降横ばいとなっている。お受験教室を2、3校かけ持ちするケースが、数年前から目立ち始めたという。

2010年12月23日  読売新聞から転載)

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2010年12月22日

国立付属「タフさ」必要

教育ルネサンス(4) 国立付属「タフさ」必要
 
年長クラスの子どもたちが、テープレコーダーから流れる「動物村の運動会」の話を2分程度聞いた後、「お話の記憶」の問題に取り組んでいた。「動物村の村長さんに○をつけましょう」、「運動会で一番目に行った競技に○をつけましょう」。試験官役の講師が質問すると、子どもたちがすばやく答えを書いていく。

 11月上旬、「にっけん(日本教育研究所)」(本部・東京都国立市)の仙川教室(同調布市)で「国立大付属小学校合格判定テスト」が実施された。ペーパー試験、行動観察、運動、面接など、計1時間の国立大付属小の入試を想定したテストだ。

 1972年に設立された「にっけん」は、都内と神奈川県に計7教室を運営し、国立大学付属小の受験対策で定評がある。ペーパーから絵画・工作や行動観察、運動までバランスよい指導を重視。年長クラスは週2日、計3時間(2コマ)の授業と月1回のテストを受けるのが一般的で、費用は月9万円だ。

 国立大付属小は全国に74あるが、多様な子どもを集めることなどから、多くが入試に抽選を含めている。このため、都内の東京学芸大付属の4小学校、お茶の水女子大付属小、筑波大付属小は、軒並み高倍率となっている。私立小の多い首都圏では、国立が第1志望でも、私立と併願するケースが多いという。

 「国立は大勢を落とさなければならない分、私立に比べて試験時間が短く、問題が複雑な傾向にある。積極的にきびきびと、自ら考えて行動する力をアピールできるように指導している」と、にっけんの福田菊子・副理事長(67)は説明する。

 付属小から大半が付属中学校に進むが、付属高校があっても進学できないことも多く、大学への優先入学制度もない場合がほとんど。系列校進学など進路がある程度決まっている私立と違い、国立は各段階で進路選択や受験に向き合わなくてはならない。

 抽選に外れて受験すらできなかったり、試験に合格したものの抽選で外れたり。親子で落ち込む国立ならではのケースが少なくないため、にっけんでは親向け相談も充実させている。福田副理事長は「不合格でもお受験準備は必ず小学校での学びに生かせると、前向きに考えるようアドバイスしている」と話す。

 「親子ともにタフさが求められる」(福田副理事長)という国立受験。それでも、教育の質を求め、挑戦者は後を絶たない。

 メモ 
東京都内の国立大学付属小学校は、抽選を試験の前後2回行う場合と、試験後1回の場合がある。にっけんの調べでは、2011年度入学の出願倍率は、東京学芸大付属竹早小が男子76.4倍、女子66.5倍、お茶の水女子大付属小が男子46.5倍、女子72.0倍、筑波大付属小が男子30.0倍、女子24.6倍など、かなりの高倍率となっている。

 (2010年12月22日  読売新聞から転載)

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2010年12月18日

女子校「理念」で選ぶ

教育ルネサンス (3)女子校「理念」で選ぶ

教室に2列に並べられた机に母親と女の子が向き合い、色とりどりの薄紙や割り箸を使って花束を作っていた。「次はどの色を使おうか?」と母親、「このピンクがいいなあ」と娘。一緒に手を動かしながら目と目を合わせ、にこやかに会話をしていた。

 「幼児教育実践研究所・こぐま会」本部のある恵比寿本校(東京都渋谷区)で、10月下旬に実施された行動観察の授業。東京女学館小学校(同)を志望する年長クラスで、入試で行われる「母子活動」に対応したものだ。

 年長は週2回、「基本」と「志望校別」の授業を1コマ(90分)ずつ計2コマ受けるのが平均的。費用は月額8万~10万円だ。女学館小のクラスは、「志望校別」の3分の1を母子活動にあてている。

 講師の桜井紀子さん(57)は、「女子校は、行動観察や面接で母子関係の良好さを見る傾向が強い。その意味で、親子一緒に工作や踊りなどを行う母子活動は象徴的な試験です。出来不出来でなく、話し合い、協力して取り組めるかが問われる」と説明する。

 こぐま会では、1983年の設立以来、小学校での学習にスムーズに進むための教育に重点を置く。独自に開発した指導方法で、物に触れたり体を動かしたりしながら、前後、左右といった位置関係を認識・言語化するなど体験を通した学びを行っている。

 「発達段階に応じた教育が基本。小学校受験は、その成果を試すきっかけに過ぎない」と、久野(くの)泰可(やすよし)代表(62)。都内に展開する3校に通う約8割が女子だが、「会の教育方針に基づいて指導してきた結果、女子校受験で実績を上げ、女子が多数を占めるようになった」と強調する。

 とはいえ、進路指導担当の広瀬亜利子・第1教務部長(52)は「女子校は、求める家庭環境が明確で、特に母親の教育参加を重視する学校が多い。本人の性格や親の考え方が合わないと、学び続けることが困難になる。校風や教育理念を理解して志望校を選ぶよう指導している」と話す。

 長女が女学館小1年の母親(40)(東京都品川区)は「一人っ子で大人しく、男の子と一緒に学ぶのは向いていない」と考え、女子校受験を決めた。年中の春からこぐま会に通い、10校ほどの説明会に足を運んだ。女学館にしたのは、「国際理解や伝統文化教育に共感したし、何よりも学校の雰囲気が娘に合っていると感じたから」という。

 学校選びの原点が、女子校受験で問われている。

 メモ 
こぐま会によると、雙葉(ふたば)小(東京都千代田区)、聖心女子学院初等科(同港区)などの名門女子校入試では、ペーパー試験や行動観察などのほか、両親の面接が実施される。学校の教育方針、校風理解のほか、しつけや家庭教育、わが子の性格、成長の把握など、母子関係や母親の役割を聞くケースが多いという。

 (2010年12月18日  読売新聞から転載)

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2010年12月17日

働く母のため週末授業

教育ルネサンス (2)働く母のため週末授業

「今日は忍者の動きをしましょう。先生をよく見てくださいね」。忍者のお面をかぶった講師が、ゴムひもを跳び、マットの上で転がってみせる。その後、4、5歳児が1人ずつ、手本を懸命にまねしてゴールを目指す。

 10月上旬の土曜日、「アンテナ・プレスクール」原宿本校(東京都渋谷区)の年中クラスでは、「指示行動」のグループレッスンが行われていた。

 2002年開校で、渋谷区内に2校を展開。首都圏私立小で最難関とされる慶応義塾幼稚舎(同)や早稲田実業学校初等部(東京都国分寺市)の合格実績で知名度を上げてきた。両校の11年度入学の出願倍率は10倍を超え、中でも慶応幼稚舎の女子は20倍に近い。

 「アンテナ」の石井至校長(45)は「過去問(過去に出された問題)を徹底的に分析し、短時間で効率的に楽しく受験準備ができるよう工夫している」と話す。

 「指示行動」や「行動観察」は5~8人程度のグループで、絵画・工作は原則、講師と一対一の個人レッスンで行う。絵画・工作では、慶応幼稚舎や早実初等部対策として、美術大学出身者が講師を務める。3年保育の年少の秋から通い、年長は週1回、グループ、個人レッスンを各1コマ(50分)の計2コマ受講が多く、費用は月額10万円程度という。

 ここの特徴は、働く母親のため、週末の授業を開講していることだ。同校に通う子どもの母親の約4割がフルタイムで働く。「母親が仕事を持つとお受験に不利と言われたのは過去のこと。働く母親の方が時間を合理的に使い、集中できる面もある」と石井校長。「家でお母さんが何時間も勉強を見なくてもすむよう、教室で力がつくようにしている」と話す。

 大手企業に勤める東京都内の母親(41)は、現在、早実初等部3年の長男を1年弱、同校に通わせた。「最初は不安だったが、教室からアドバイスをもらい、親子で頑張って志望校に合格することができた。母親としての自信にもつながった」と振り返る。

 子育てや家庭教育に詳しい川島隆太・東北大学教授(51)(脳科学)は、「今のお母さんは、忙しく、ストレスをためている場合が多いため、子どもとのかかわりが表面的になっている」と指摘。「子どもと過ごす時間の長さよりも中身が重要。遊びや料理などの共同作業で感動を共有したり、勉強を見てあげてほめたり、ということを続けていくことが重要」と話している。

 メモ 
小学校の入試は、数量・図形や言語などから出題される「ペーパー試験」、集団行動や遊びから仲間とのコミュニケーションができるかなどを評価する「行動観察」、洋服をたたむなど身の回りのことができるかを見る「生活習慣」、絵画・工作、「指示行動」などの運動、面接などがある。どれを実施、重視するかなどは、学校によって異なる。


 (2010年12月17日  読売新聞から転載)

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幼児教室 親も子も成長

教育ルネサンス  (1)幼児教室 親も子も成長

横浜市内の私立小学校入試開始まで1週間に迫った10月中旬、「ジャック幼児教育研究所」横浜元町教室(横浜市中区)では、年長クラスの最終日の授業が行われていた。

 大半が、名門私立中学への進学実績で知られる精華小学校(同市神奈川区)を受験するクラス。工作の授業で子どもたちは、参観席で保護者が見守る中、青やオレンジ色のビーズなどをひもに通し、ネックレスを作っていた。

 1969年に設立された「ジャック」(本部・東京都世田谷区)は、都内と神奈川、埼玉の両県に計15教室を展開する。ペーパー試験から運動、面接対策まで各種授業をそろえ、年長ではそれらを組み合わせた志望校別クラスがメーン。多くが週1日3コマ(1コマ50分)か週2日5コマ通い、月額7万3500円~9万4500円だ。ジャック理事の大岡史直(ふみただ)・横浜元町教室長(48)は、子どもに達成感を持たせることを指導の柱として挙げる。「努力してできたという実体験を積ませることが大切。『お受験』合格だけでなく、小学校以降の学ぶ意欲や自信にもつながる」と話す。

 小学校受験は、「親の受験」とも言われる。ジャックでは父母向けに講座を開くなど、親の「教育」にも力を入れる。授業参観を求めているのもその一環だ。「入試では、季節の動植物や公衆道徳を問うなど、かつては家庭でのしつけや体験から自然と身につけていた力を見る問題も少なくない。教室が代わりに教えている面もある」と、大岡教室長は明かす。

 背景には家庭環境の変化がある。山田昌弘・中央大学教授(53)(家族社会学)は「核家族化や地域のつながりの希薄化が進む中で、母親同士のネットワークもうまく機能しなくなっている」と指摘。「家庭教育の術(すべ)をお金を払って教室に教えてもらうのも時代の流れ」と説明する。

 現在精華小1年の長男がジャックに約2年間通った横浜市の母親(38)は、家庭で毎日2時間、宿題を見たほか、絵本の読み聞かせを続けたという。週末は家族でハイキングや昆虫採集に出掛け、自然に接するよう努めた。「教室で学んだおかげで、子育てや家庭教育のあり方を再認識し、母子ともに成長できた」と話している。

 首都圏を中心に、小学校受験熱が高まっている。お受験レッスンはどのように展開され、子どもの成長にどんな影響を与えるのかを考える。
 
メモ 
東京私立初等学校協会によると、東京都内には、全国の私立小学校の約25%にあたる54校が集中。応募者総数(2010年度入学)は1万8451人で、1999年度から2285人(14%)増えている。公立校不信のほか、中学受験を避けて子どもの負担を軽くしたいなどの思いもあるという。

 (2010年12月16日  読売新聞から転載)

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2010年12月14日

教育ローン利用者の平均198万円、年収の37%

小学生以上の子どもを持つ家庭の教育費(在学費用)が10年度は平均で198万2000円となる見込みで、年収の37・6%に達することが分かった。日本政策金融公庫が教育ローンの利用者を対象に調査しており、比較可能な00年度以降で最も高い負担割合となった。

 不景気のあおりで世帯年収が下がる一方、授業料や塾代などの在学費用が5万2000円増えたためで、負担割合は前年調査の33・7%から上昇した。年収が「200万円以上400万円未満」の世帯では56・5%に上り、家計のやりくりが厳しさを増していることが示された。

 年収別の負担割合は「400万円以上600万円未満」が37・7%、「600万円以上800万円未満」が30・0%、「800万円以上」が27・2%。年収「800万円以上」の在学費用は237万8000円で、年収「200万円以上400万円未満」より71万1000円多く、格差も見られた。

 高校入学から大学卒業までにかかる費用(入学費用も含む)は子ども1人当たり1059万8000円と52万1000円増加。教育費の捻出方法では、旅行・レジャー費の節約が最も多かった。

 調査は7月に実施し、約5400世帯から有効回答を得た。


2010年12月12日  毎日新聞から転載)

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2010年12月10日

子供たち「短足化」進む ぜんそく過去最悪、視力も悪化

文部科学省は9日、児童生徒の健康や発育状態を調べた平成22年度学校保健統計調査の速報値を公表した。ぜんそくを患う児童・生徒の割合が幼稚園、小学校、高校で過去最悪となったほか、視力の悪化も進んだ。戦後、全体的に伸び続けていた子供の平均身長が頭打ちとなる一方、男女ともに「短足化」が進んでいる実態も明らかになった。

 ■ハウスダスト?

 調査は昭和23年度から行われ、今回は4~6月、5~17歳の幼稚園児と小中高生合わせて約335万人の健康などを調べた。

 ぜんそくを患っている割合は幼稚園で前年度に比べ0・6ポイント増の2・75%、小学校で0・2ポイント増の4・19%、高校で0・2ポイント増の2・08%といずれも過去最悪。中学校も前年度より増加し3・02%だった。文科省は「ハウスダストなどが原因ではないか」と分析している。

 視力の悪化も顕著で、裸眼視力1・0未満の小学生の割合が29・91%、中学生が52・73%でいずれも過去最悪。0・3未満の割合は、幼稚園児と小学生で過去最悪となり、それぞれ0・79%、7・55%だった。文科省は「テレビやゲームなど近くでものを見る機会が増えている」とした。

 虫歯では改善がみられ、12歳の永久歯の虫歯は1人当たり1・29本で、過去最少を更新した。


■身長は頭打ち

 男子の平均身長は、調査開始以来初めて5~17歳の全年齢で前年度より伸びていなかった。女子でも13歳と17歳が0・1センチ伸びたのを除くと、すべての年齢で横ばいか減少した。子供の身長は戦後伸び続けていたが、ここ10年はほぼ横ばいで、文科省は「食生活などの環境も安定し、日本人の平均身長は頭打ちになりつつある」と推測した。

 発育がほぼ止まる17歳の平均身長は男子が170・7センチ、女子が158・0センチ。30年前と比べ男女とも1・0センチ伸びているが、ピーク時の値を下回った。

 一方、高校生の「足の長さ」を調べたところ、親の世代より短いことも分かった。スタイルがいいといわれてきた最近の高校生だけに、文科省は「意外な結果」と驚いている。

 高校生男子の平均身長から座高を引いた「足の長さの割合」は15歳と16歳で46・3%、17歳で46・2%。30年前の昭和55年度と比べ15歳で0・3ポイント、16、17歳で0・4ポイント減少していた。女子の15~17歳も0・1~0・2ポイント減っていた。

2010年12月10日  産経ニュースから転載)
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視力「0・3未満」の小学生50万人超に

視力が「0・3未満」の小学生の割合が7・55%となり、過去最高を更新したことが9日、文部科学省の学校保健統計調査でわかった。

 小学生全体で推計すると50万人を超え、同省は「幼い頃からゲームなどで画面を見る時間が増えているため」と分析している。

 調査は今年4~6月、全国の2割にあたる約135万人を対象に実施。同省が最も低い視力と分類する「0・3未満」の小学生の割合は、前年度比0・28ポイント増の7・55%で、統計を取り始めた1979年度(2・67%)の3倍近くとなった。

 子どもの視力低下は長年続いており、小学生の「1・0未満」も29・91%(前年度比0・2ポイント増)と過去最高。低年齢化も進んでいるとみられ、幼稚園児の「0・3未満」も0・79%(同0・18ポイント増)で最も高かった。今年実施の全国学力テストの際の調査では、小6の48%はテレビゲームの時間が1日1時間を超えていた。


2010年12月10日  読売新聞から転載)

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2010年12月09日

都内私立中の学費 初年度納付金の平均は92万2870円

 東京都は8日、平成23年度の都内私立中学校の学費を発表した。182校(延べ190コース)の授業料と入学金などを合わせた初年度納付金の平均額は92万2870円で、昨年より0・03%下がった。

 項目別では、授業料は平均44万9656円で前年比0・2%減。入学金は25万4584円(同0・3%減)、施設費は4万6826円(同2・5%減)と軒並み減額となった。

 初年度納付金の最高は玉川学園国際学級の182万8千円、最低は八王子実践の54万8000円だった。

【都内私立中学校学費一覧】男子校(PDF)

【都内私立中学校学費一覧】女子校(PDF)

【都内私立中学校学費一覧】男女校(PDF)


(2010.12.8 サンケイニュースより転載)

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2010年12月05日

小学校、英語授業で徳育も 来春必修化で課題は?

 来春から新しい学習指導要領が本格実施され、必修化される小学校5、6年生の外国語活動(英語)。すでに先行実施している学校では、外国語指導助手(ALT)と子供たちの会話の中で、自分や友人について再発見したり、住んでいる町や国の良さを探すなど徳育を盛り込んだ授業の工夫もみられる。幼稚園のころから英会話教室に通う子供が増えるなかで小学校でどんな授業を展開するか課題だ。

 新学習指導要領で小学校では5、6年生で週1コマ(45分授業)、英語が必修となる。すでに「総合的な学習の時間」などを利用してほとんどの小学校で英語を実施しており、1年生から英語の時間を設けている学校もある。

 徳育を英語の授業に盛り込んでいる例は、ALT最大手の教育専門会社「インタラック」(東京、松本清一社長)の授業プラン。同社は教育委員会などと業務委託でネーティブスピーカーのALTを公立小学校約4000校に送っている。

 例えば小学5年生では、「わたしたちの町」をテーマにした授業で、住んでいる町の名所や四季などの絵を使って町を紹介する会話のほか、ALTが「What do you like about your town?(あなたは自分の町の何が好き?)」と子供たちに問いかけ、住む町の大事なものやいいところを探す。

 また6年生では「わたしたちの国」で特産物や文化のほか、住んでいる国の特徴、さらにそこで暮らす「ぼく・わたしのいいところはどこ?」と話題を広げ、ALTが「friendly(話しやすい)」「cheerful(元気)」「funny(おもしろい)」…性格の特徴をイラストにしたカードを見せながら子供たちに尋ねていく。自己再発見や異文化コミュニケーションを重視した授業の工夫だ。

日常会話や挨拶のなかで、ALTが感謝の言葉や身ぶりを添えて話すかどうかで相手への印象が変わることなど豊かなコミュニケーションも実践的に身に付く工夫もしている。また「重いバケツを運んでいる友達がいるがどうする?」「両親が自分のためにしていることは何?」など友人や家族の気持ちを考えたやりとりもある。

 同社では授業案の特徴として(1)算数や理科、社会など他教科の要素(2)社会性とマナー(3)モラル意識をはぐくむ(4)子供の発達をふまえた活動-を重視したという。



◆突然辞める、英語話せるだけ…人材確保に苦労

 小学校で必修化される英語は、体験的なコミュニケーションが重視され、外国語指導助手(ALT)の人材確保が課題だ。

 小学校の英語は、中学校からの教科としての英語と異なり、単語や文法は教えず、対話やゲームなどを通し、コミュニケーションの素地を育むのがねらい。中、高校でも新指導要領でコミュニケーション活動が重視される。優秀な外国語教師はひっぱりだこの状態で、質の高いALTをどう確保していくか教委にとって悩みだ。

 文部科学省の調査では約1800の市町村のうち、1680の市町村教委がALTを活用している。

ALT確保は、英語を母国語とする大学卒業者を日本に招聘(しょうへい)している「JETプログラム」で各自治体に派遣されるケース以外に、教委や学校が直接雇用するケースや民間会社などと業務委託を結ぶケースが多い。

 関係者によると、直接雇用の場合、ALTの技能向上のための研修や労務管理上の苦労が多いという。ビザや住居・生活面のケア、病気や事故があった場合の対応など小規模自治体の教委では担当者が他の仕事と並行してこなさねばならず大きな負担という。英語がしゃべれるというだけで子供たちとの対話ができず授業が成り立たない例や、突然辞めて後任がなかなか見つからない例もあるという。また中、高校では生徒とALTがメールなどを通して個人的な関係になり対応に苦慮する例もあるという。

 業務委託では労務管理面や研修などを業者に任せられるメリットがある一方、労働者派遣法上、委託業者を介さずに学級担任や学校側がALTに指示できない問題が指摘されている。しかし、こうした課題は学校と業者が事前に授業プランをしっかり練り、学校側がALT活用の趣旨や効果を理解することで解消されるとの指摘がある。教委にとって業者の研修能力や授業プランなどを吟味し、質の高い業者を選定することが重要になりそうだ。

2010年12月5日  産経ニュースから転載)

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