2011年05月

2011年05月21日

探求心引き出す「納得感」(東京学芸大附属世田谷小)【教育ルネサンス】

 「先生が予定通りまとめようとする授業はイヤ。見え見えだから」「教科書通りでいいから一工夫ほしい」。子どもたちが大人に交じって議論する。

 文部科学省が推進する「リアル熟議」が3月5日、「若手教師の育て方、育ち方」をテーマに都内で開かれ、東京学芸大学付属世田谷小学校(東京都世田谷区)4年1組の代表10人が参加した。

 進行役を務めた担任の沼田晶弘教諭(35)が熟議終了後、子どもたちに感想を聞くと、「大人は上から子どもを見ている。何を与えるかの話ばかり」と不満の声が返ってきた。

 「教育は自立支援」と考える沼田教諭。「自分たちで決める」運営で自信をつけてきた子どもたちは、「納得できない」「リアル(現実的)じゃない」ことに違和感を隠さない。例えば「デシ・リットル」の単位の勉強では「全然使わない単位をなぜ勉強するのか」と疑問が出る。先生が「確かにそうだね。でも、升を使う豆の量り売りには欠かせない単位なんだって」と教えると目を輝かせた。

 逆に、「知りたい」「やりたい」と思えば探求心の塊になる。夏の移動教室では、計画段階から地図を頼りに遠足の距離を求めた。行きたい公園まで歩くと何分かかるか。歩数計で1歩の距離を測り、歩くペースを合わせる作戦も立てた。当日は13キロ・メートルもの道のりを全員が歩ききった。

 昨年度、2学期から取り組んだ総合学習のテーマは「映画作り」。沼田教諭もさすがに「無謀では」と伝えたが、子どもたちは引き下がらない。監督、脚本からカメラの配置、大道具作りまで分担し、映画の中心となるダンスも連日猛練習。2週間かけて作った小道具が使えないなど、計画変更や失敗にも「やめたい」という弱音は出なかった。

 映画完成を控えた3月、近くの老人ホームでライブ公演が実現した。マイケル・ジャクソンの難しいダンスを踊って喝采(かっさい)を浴びたが、沼田教諭が「真価を発揮した」と感じたのは公演の後だった。

 舞台で始まったお年寄りの盆踊り練習に飛び入り。社交ダンスの相手も買って出て、話もはずんだ。普段から「先生の指示待ち」ではこうはいかない。遠くから見ていた沼田教諭は「やればできるんですよ」とつぶやいた。

 4月の全校集会で、クラスと担任替えが発表された。最後に、1組全員が声をそろえて先生の背中にかけた言葉は「いってらっしゃい!」。成長の証しの一言だった。

(2011年5月21日 読売新聞から転載)


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2011年05月20日

児童「内閣」授業で「先生」(東京学芸大附世田谷小) 【教育ルネサンス】

「書き順いくよ。一、二、三」。黒板の前で新しい漢字を教える「先生役」の児童に合わせ、全員が空中で指を動かす。

3月、東京・世田谷区の東京学芸大学付属世田谷小学校4年1組。先生役の児童の席には担任の沼田晶弘教諭(35)が座り、ノートを代筆する。「自分が教えると思うとよく勉強するよ」と女子児童。

 
このクラスは、みんなで選んだ「内閣」が学級をリードし、授業の運営にも関わる。総理は班の中で交代で務め、文部科学、環境、厚生労働の各大臣の下に各省を置く。国民ならぬ「クミン(クラス民)」のため、「文科省」はテストの予想問題も作る。毎週の選挙で「政権交代」もあるから、成果にはこだわる。

 
沼田教諭は、アメリカでスポーツ経営学やコーチング論を学び、大学教員から転じた異色の経歴の持ち主。2年前、担任になった初日、「君たちを信じて任せる」と宣言した。以後、最も意識してきたのは、やる気のスイッチをあえて「切る」ことだった。

 
授業の45分間集中し続けるのは難しいが、緩急をつければ勢いづく。朝の会で30秒間限定のスピーチ練習。わっと騒いで一瞬で沈黙する練習。3度手をたたいたらその人に注目。最初はゲーム感覚だったが、すぐに子どもたちは、「オン」「オフ」を切り替える快感に目覚めていった。

 
忍者のように校内を静かに移動。全校集会が始まった瞬間、全員で姿勢を正す。給食を毎日完食する。自分たちで考えて達成するのが面白くなり、一体感も生まれた。

 
給食後の掃除は、内閣の段取りの力の見せ所だ。先生がパソコンで流す3曲の間で終わらせるため、係は決めずに全員で流れを見て動く。ほうきは同じ方向に掃き、使ったぞうきんを誰かがまとめる間に机運び。子どもたちがテキパキ動き回る中、先生は机で家庭学習ノートにコメントを返すのに集中していた。

 
「今2曲目の半ば。急いで」。トランシーバーで内閣メンバーが特別教室への出張掃除組に連絡した。ダンダンダンダン。全員席につくまで机を打ち鳴らし、総理の合図でハイ、終了。一瞬で子どもたちは遊びに散った。開始から約11分。当初の半分に短縮し、昼休みに遊ぶ時間も増えた。

 
「子どもがいいから先生が取材されるんだよ」。子どもたちの冗談交じりの言葉に、先生はニヤリ。「自分たちならできる」という自信こそ、クラスの最大の財産だ。

(2011年5月20日 読売新聞から転載)


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2011年05月19日

チーム研修 教師に自信 【教育ルネサンス】

 「分からない、と子どもが素直に言える学級づくり。これは大事な課題ですね」。2月下旬、東京・荒川区立尾久第六小学校。教師たちが科目ごとにチームに分かれ、手慣れた様子で議論していた。  

この日は年度最後の研究会。30分ほどで次年度の目標をまとめると、各チームの代表が模造紙を前に発表を始めた。  

同小が、ワークショップ形式の校内研修会を始めたのは5年前。教員が50代と20代に偏った年齢構成で、教員同士のコミュニケーション不足を懸念した長谷川秀紀(ひでき)校長(62)が、南部昌敏・上越教育大教授(63)に協力を求めたのがきっかけだった。「良い授業は、先生自身が自信を持って授業ができることが第一」と、南部教授が提案したのは、「チーム」による研修だった。  

3、4人から7、8人のチームで、授業の計画づくりからチームで取り組む。研究授業はチームの代表として交代で行う。教科を問わず校長以下全員で同じ授業を見る。この結果、反省点が個人の批判に終わらず、一緒に課題に取り組む姿勢が共有できる。  

鶴田裕子前副校長(53)は「良い点に注目していくので、最初は『ぬるい』と感じた」と明かす。しかし、ベテランも若手も対等に活発な意見を交わす姿を見て考えが変わった。「年齢や経験差を超えた絆が生まれたことで、逆に問題点についても深く議論できる関係ができた」という。  

「受け入れられている」という安心感が意欲を生むのは、子どもも大人も同じ。そのことに気付いた先生たちは、子どもたちの様子にこれまで以上に目を配り、ほめ上手になった。年10回以上学校に通うという南部教授は、「先生たちも含め、学校全体で成長を支え合う雰囲気が生まれている」と話す。  

職員室で「ちょっと次の授業見に来て」と気軽に声を掛け合う。この協力体制が生かされた良い例が、昨年4月、同区で全教室に導入された電子黒板の活用だ。  

ハイテク装置が得意でない先生ももちろんいたが、「実物投影機」でお手本を書きながらノートの使い方を指導したり、手元で実験を見せたり。アイデアを共有し、都内で有数の先進校に急成長した。「同僚に助けられた。今は電子黒板なしには授業ができないほど」と、昨年度6年生担任の野沢一代教諭(43)は語る。  

職員室の風通しのよさが活気を呼び込んでいる。  


尾久第六小の校内教員研修 
〈1〉教科部会で授業づくり(当初は低・中・高の学年部会で)
〈2〉部会の代表者が授業。授業を見た人全員が教師、子どもそれぞれに「良い点」「改善点」について付せん紙に意見を書く
〈3〉授業の検討会は、意見を模造紙上で整理しながら議論するワークショップ形式。結果を図にして発表、意見交換する。

(2011年5月19日 読売新聞から転載)


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2011年05月13日

35人学級も一定の成果? 「小1プロブレム」解消に

小学1年生を1クラス40人から35人に引き下げる法律改正案が、国会で修正のうえ、可決・成立しました。これにより、正式に35人学級となりました。1年生をお持ちの保護者の方々、お子さんのクラスの様子はいかがでしょうか? もちろん、すでに多くの自治体で独自に定員の引き下げを行ってきましたし、実際、9割以上の学級が35人以下になっていました。ですから、あまり変化は感じないかもしれません。でも、やはり1クラスの人数を引き下げることは、一定の効果があるようです。そんな結果が、東京都教育委員会の報告書からうかがえます。


東京の公立学校は、ほかの道府県が35人学級などを導入しても、長らく40人学級のままでした。しかし、新入生が小学校や中学校の生活になじめない「小1プロブレム」「中1ギャップ」が問題化したことから、昨年度から3年間、実験をしてみようということになりました。一部の学校を対象に、先生の数を増やして、小学1・2年生と中学1年生の学級定員を引き下げるか、チームティーチング(TT)で先生を2人配置するか、どちらかを選べるようにして、効果を検証しようというものです。


実験1年目で、しかも初年度は39人学級という限定的な引き下げではありましたが、実験の結果、実験校での「小1プロブレム」発生率は9.4%と、ほかの学校の10.3%に比べて、ほんの少しだけですが低くなりました。


特徴的なのは、問題の発生や解決の時期です。実験校では、9割が4月に問題が発生し、そのうち3割の学校では6月までに解決しています。それに対してほかの学校では、5月以降の発生も3割ほどあり、当然、その解決も長引くことになります。もっとも、調査した11月の時点で問題がおさまっていない学校が、実験校で60.0%、ほかの学校で56.6%と、むしろ実験校のほうが上回っていますので、先生を増やしたほうが効果があるとまでは言い切れません。しかし、1クラスの人数を少なくしたり、複数の目でクラスを見たりすれば、早め早めに手が打てるということは言えそうです。

実際、実験校では、「授業中に突然立ち上がるなど、じっとしていない児童」「授業中に勝手に教室の中を立ち歩く児童」「授業中に教師の指示とは異なる活動をする児童」などの状況が、5月以降、急速に改善されています。さらに、外部の目で観察・評価したところ、1クラスの人数が少ないほど、5月に比べた11月の改善状況が良かったといいます。

もちろん「荒れる学級」の原因には先生の指導力不足などもありますから、学級定員を引き下げさえすれば問題が全部解決するとは一概には言えません。しかし、学力向上のためにも、まずは落ち着いた環境で学べるようにすることが不可欠です。多くの実験校では、子どもの生活習慣や学習習慣を確立させることに、手ごたえを感じていました。まずは一人ひとりに目が届くようにすることが最低条件のようです。


(2011年5月12日 産経ニュースから転載)


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