2011年10月
2011年10月29日
インフルエンザからわが子を守る!!
今年も10月から全国的にインフルエンザの予防接種が開始された。乳幼児や小さな子供にとってインフルエンザは大敵だ。乳幼児が感染すると、インフルエンザ脳症という重篤な合併症を起こす危険もある。イクメンたる男子、流行の冬を前にしてインフルエンザの知識をみっちり仕込み、わが子を感染から守るべし!
◇
◆突然高熱が出たら
インフルエンザの病原体はインフルエンザウイルス。大きく分けてA型、B型、C型がある。このうち流行を繰り返すのはA型ウイルスとB型ウイルスで、特にA型ウイルスは感染力が非常に強く、ときに大流行を引き起こす。
インフルエンザと普通の風邪では、症状の特徴が違う。普通の風邪はのどの痛み、鼻水、くしゃみやせきなど、のどや鼻の症状が中心だ。一部では高熱が出ることもあるが、重症化することは少ない。
一方、インフルエンザは、突然38~40度の高熱が出て、頭痛や関節痛、筋肉痛などの全身症状が強く表れる。下痢や腹痛、せき、強いのどの痛みが見られることもある。さらに、気管支炎や肺炎などを合併したり、小さな子供では中耳炎、熱性けいれんを起こすこともある。中でもインフルエンザ脳症は乳幼児の最も重い合併症で、命にかかわることもあるから十分な注意が必要だ。
とはいえ、乳幼児や小さな子供は言葉で症状を訴えられない。普通の風邪より症状が強いと感じたり、様子がおかしいと思ったら、迷わず一刻も早く小児科に連れて行こう。高熱が出たからといって、あわてて解熱剤を使うのは禁物だ。もしインフルエンザだったら、15歳未満の子供の一部に脳症を起こす解熱剤もあるからだ。
◆まずは予防接種
インフルエンザウイルスは、感染した人のしぶきやくしゃみで空気中に飛び散り、これを吸い込んで感染するから、家族全員で予防することが肝心だ。まず、みんなで一緒に予防接種を受けよう。特に出張の多いお父さんは必要。予防接種を受けてもインフルエンザにかかってしまうことはあるが、軽くすむ。子供は生後6カ月から受けられる。
流行期にはできるだけ外出を控える。どうしても外出するときは、短時間とし、人ごみを避ける。外出時はマスクをし、子供には顔の大きさに合ったマスクを選んであげよう。外から帰ってきたら、必ず手洗い(せっけんで指や爪の間までしっかり洗う)とうがいをする。小さい子供は手についたウイルスを口に運ぶことで感染する可能性もあるので、きちんと手洗いとうがいをしているかを親が確認することが大切だ。子供は簡単にすませがちなので、パパがお手本を見せてあげよう。殺菌スプレーやジェルを使うと、さらに効果的だ。インフルエンザウイルスは、温かく湿度が高い環境では感染力が落ちるので、室内の温度と湿度にも気を配ろう。
子供は高熱があっても元気に遊びまわっていることがある。もし感染が判明したら、できるだけ安静にさせ、ゆっくり寝かせることだ。熱があると脱水を起こすので、お茶、ジュース、スープなど子供がほしがるもので水分を補給する。
インフルエンザは、きちんと予防策を講じれば感染率はグンと低くなる。大切なわが子をインフルエンザ感染から守るため、イクメン諸氏よ、家族の陣頭に立って予防に取り組もう。
◇
記事監修 大川洋二(ひろじ)・大川こども&内科クリニック(東京都大田区、http://www.ocfc.jp/)院長。小児科専門医。東京医科歯科大学医学部臨床教授。日本小児科学会代議員。
(2011.10.29 産経ニュースから転載)
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2011年10月28日
少人数クラスで子どもも保護者も安心? 【教育動向】
文部科学省が2012(平成24)年度予算で、小学2年生の35人学級化を概算要求していることは、以前の記事で解説しました。ただ、少人数学級が急がれるのは、小学校低学年だけではありません。有識者の検討会議の中では、中学1年生も早急に35人以下にすべきだという意見も強く出されました。そもそも、少人数学級にするとどんな効果があるのでしょうか。
その前に、経緯を確認しておきましょう。2011(平成23)年度予算をめぐって、文科省が小1・2年生を同時に35人学級化するよう要求し、年末に関係3大臣が折衝した結果、小学1年生だけが認められたのですが、それ以降の学年については次年度以降に検討することで合意しました。そこで文科省は今年6月、検討会議を設けて、少人数学級の在り方を検討してきたのです。
検討会議には、多種多様な調査結果が報告されました。そうしたなかで、少人数学級にすれば、子どもはもとより、保護者にとっても良い影響が見込めることが客観的にも浮き彫りになったのです。
報告書で紹介されているデータによれば、山形県や大阪府では、小学校で少人数学級を導入して以降、徐々に欠席や不登校が減っていきました。大阪府の場合、低学年だけの導入だったのですが、高学年でも不登校は減少しています。やはり初めの対応が肝心ということでしょうか。また、国立教育研究所が山形県内の中学校を調査したところ、少人数学級の導入後、授業に集中したり、積極的に参加したりする生徒が多くなったといいます。
学力の向上については、山形県のように、少人数学級導入後にテストの成績がアップしたという調査結果が少なくありません。しかし、ある政令指定都市で行われた別の調査(外部のPDFにリンク)では、1クラスの人数を下げれば下げるほど成績も上がるとまでは必ずしも言えない、という結論になりました。テスト成績の上下にはさまざまな要因が複雑にからみ合っていて、必ずしもクラスの人数だけに左右されるものではないというのです。
その一方で、少人数学級になったことで、先生の目が一人ひとりに行き届いたり、先生が家庭に頻繁に連絡をしたりするようになるなど、学校と家庭の連携という点で効果があったとする指摘もありました。
特に、新しい学習指導要領では、国際的な「生徒の学習到達度調査」(PISA)や、全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)のB問題に見られるような「活用」の力を育成することに力を入れており、クラスの中でじっくり考え、発表し、話し合うなどの授業展開が欠かせません。そうした授業を行うためにも、クラスメートの人間関係が良好であることが求められます。やはり今後、少人数学級をほかの学年に広げることで、さまざまな良い影響が期待できそうです。
(2011.10.28 産経ニュースから転載)
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2011年10月26日
おいしい給食レシピ本人気
実際に提供したレシピも好評で、家庭用にアレンジした料理本が人気を集めている。
この事業は、2008年度からスタート。各校の栄養士が工夫し、一流シェフが献立を考えた「スーパー給食」も提供してきた。この取り組みで、減少した食べ残し量は、09~10年度で約49トン減を実現した。
料理本の作成では区も全面協力。今年7月に「東京・足立区の給食室」として発売したところ、1万6000部のヒット作となった。おいしさだけでなく、1日に必要な12栄養素がバランス良く取れ、一食あたり(1人分)で「650キロ・カロリー」、食材費が300円未満と、体にも家計にもやさしいのが特徴だ。
予想以上の売れ行きに、出版元の「アース・スター エンターテイメント」(渋谷区)は「『給食』という言葉の懐かしさや楽しさが、購買意欲をかき立てたのでは」としている。
料理本の好調な売れ行きに気をよくした区では、29日に区立島根小で、「おいしい給食&食育フェスタ」を開催する。朝食向けのサンドイッチやお菓子作りに挑戦するコーナーを設け、「おいしい給食」をPRできればとしている。
(2011.10.26 読売新聞から転載)
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副校長ら志望者激減 都内公立校、忙しすぎ敬遠?
7月に始まった今年の選考は、合格予定者数450人に対して受験者数483人。学校の種類や受験者の在職年数によって12に分かれた試験区分ごとにみると、4区分で受験者数が合格予定者数を下回る「定員割れ」。競争率0.67倍のケースもある。都教委の担当者は「1倍未満でも、成績が不十分な受験者は合格としない」と話す。
選考全体の競争率は、2002年は4.2倍だったが年々減り、07年以降は2倍を割った。
08年に受験制度が変更され、主任教諭や主幹教諭の経験が一定年数ないと受験できなくなって、有資格者が減った。団塊世代が大量退職して欠員が増えた。都教委の担当者は、こうしたいくつかの要因を挙げる。しかし、特に重視しているのは「仕事の忙しい副校長が敬遠されているのではないか」という点だ。
(2011.10.26 asahi.comから転載)
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2011年10月24日
[主張] 全国学力テスト 直ちに「全員参加」に戻せ
学力テストは民主党政権下で「過度の競争を招く」とする日本教職員組合(日教組)の主張に沿う形で全員参加から抽出方式に変更された。
だが、テストを希望する学校が多い実態は、日教組や政府方針の誤りを明確に示している。野田佳彦政権は学力テストの需要の高さを真剣に受け止め、速やかに全員参加に戻すべきだ。
学力テストは昭和30年代、中学生対象に行われていた。だが、日教組の激しい反対闘争で国は昭和39年を最後に実施をやめた。
その後、「ゆとり教育」の下で児童生徒の学力低下が表面化し、教育のあり方に不信が拡大した。これが「教育水準の維持向上」という国の責任を明記した教育基本法改正につながり、学力テストも平成19年度から43年ぶりに全員参加方式で復活した。
ところが22年度から、競争原理の排除や50億円超に及ぶ費用の問題などを理由に全員参加から「サンプル抽出」方式に改められた。さらに、対象の児童生徒数も当初は全体の4割抽出だったのが、行政刷新会議の事業仕分けにより3割抽出に減らされていた。
保護者だけでなく学校、教師らも「子供が普段の授業内容を身に付けているかを知りたい」と全員参加のテストを望む声は強い。今回も、秋田、広島などの14県で希望校は100%に達した。
学力テストは教師が授業を工夫する上でも多くのヒントになる。同一条件下で継続調査を蓄積して初めて読み取れる傾向もある。授業をやりっ放しで済ませるような姿勢こそが問題なのだ。
文科省は専門家検討会議が「数年ごとにきめ細かい調査が必要」とした報告を受け、25年度のみ全員参加で行う。24年度は「理科離れ」対策として国語と算数・数学に理科も加えるなど一定の改革を決めた。だが、到底十分とはいえず、改革を加速すべきだ。
一方、国も地方もテスト結果の公表に消極的だ。「競争を煽(あお)る」との批判が根強いためだが、学力テストを真の学力向上につなげるには子供や親にも結果を明かし、学校や地域単位で教育を見直していくことが欠かせない。
(2011.10.24 産経ニュースから転載)
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2011年10月23日
専用教室やゲーム、活動に工夫次々 小学英語必修化半年
外国語活動は4月に始まった。音声を中心に外国語に慣れ親しみ、コミュニケーション能力の素地を高めるのが狙い。年間35時間(週1コマ)の授業が必修となった。担任の教師かALTが先生で、会話例などを解説した文部科学省の英語ノートが教材だ。プロジェクターや発音用CDを使って授業が進められる。
下関市のALTは7人で、市内の52小学校を地域ごとに分担。下関市立角倉小では各クラスが月1回、ALTから授業を受ける。教室は専用の「イングリッシュ・ルーム」で、壁には英語で記された果物名などが並ぶ。
会話を中心にクイズやゲームもあり、平野晶子教諭は「英語に楽しく親しむことが目的。子どもたちは外国人のALT相手でも物おじせず楽しんでいる」と話す。他にも複数の学校で4年生以下の児童にALTと交流する「国際理解活動」の時間を取っている。
そんな小学校の英語への取り組みに中学校も関心を寄せている。市内の県立下関中等教育学校では自校のALTを講師に、小学6年生を対象にした英会話教室を開いている。19日に1回目の教室があり、12月14日まで7回ほど開く。
地域社会への貢献が第一の目的だが、厚東和彦教頭は「小学生の英語の学習レベルを知ることは意義が大きい」と話す。小学時代に高まった英語意欲を中学校で、どう持続させるか。厚東教頭は「これまでの英語教育を見直す必要もあるかもしれない」と話す。
角倉小の平野教諭も「小中学校の連携が今後の課題。会話中心の小学校から読み書きが加わる中学校への橋渡しができるよう取り組みたい」と話した。
(2011年10月23日 朝日新聞から転載)
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2011年10月20日
土曜授業の実施…保護者と教諭で逆の結果
実施した方がいいと回答した理由としては、「平日の6時間目を土曜日に振り分け、子供や教員の平日の負担を減らせる」「学校での授業時間が増える」などが多く、実施しない方がいいと回答した理由では「子供や教員にとって負担になる」「家族や友だちと過ごす時間が減る」などが多かった。
土曜授業は、保護者が参観しやすく、地域の人にも協力を求めやすいなどのメリットがあるとされる。19日に開かれた「土曜日を活用した教育活動の在り方」に関する横浜市教委の検討会議では、「土曜授業の導入が前提のような議論はおかしい」「土曜授業が教諭の負担増となってはならない」などの慎重意見のほか、「土曜ならではの授業を検討できるのでは」との意見も出た。
2011年10月11日
小中高生の体力4年連続で向上
調査は昨年5~10月に6~79歳の男女約6万8000人を対象に実施。このうち小中高生は約2万9000人で、50メートル走や立ち幅とび、ボール投げなど年齢や男女別に計52種目で体力・運動能力テストを行い、記録をポイント化した。
結果は平成19年度以降、続いてきた向上傾向を今回も維持し、ポイントの総合得点は10年度以降、小中高の男女とも過去最高を記録。種目別でも昨年度横ばい傾向だった中学生女子の持久走や高校生女子の立ち幅とびなど4種目で向上傾向に転じるなど、52種目のうち32種目で向上した。特に中学生男子の50メートル走の平均記録は10年度より0・12秒速くなり7秒88。記録を取り始めた昭和39年度以降、過去最高だった平成3年度の7秒87に肉薄した。
一方、体力水準が高かった昭和60年ごろと比較すると、中学生男子の50メートル走とハンドボール投げを除き、依然低い水準となっている。調査に当たった順天堂大の内藤久士教授(運動生理学)は「国や地域の取り組みの成果が出始めているが、ピーク時に比べれば低く、幼少期から運動を習慣化させることが重要だ」と指摘している。
■運動部活、若さ維持 経験有無で最大20歳差
今回の体力・運動能力調査では、20歳以上の中高生時代の運動部活動経験と体力との関係についても調査した。その結果、中高ともに部活動をしていた人は、していない人に比べ、男女とも5~20歳程度、“若さ”を維持していることが分かった。
調査では20歳から64歳の約2万8000人の体力や運動能力テストを行い、記録をポイント化。部活動経験を「中学・高校」「中学のみ」「経験なし」の3種類に分けて比較した。
その結果、男女ともいずれの世代も「中学・高校」「中学のみ」「経験なし」の順にポイントが高く、その差は20~24歳が最も大きく、年齢が上がるにつれて小さくなっていった。
さらに男子では「中学・高校」の45~49歳と「中学のみ」の35~39歳、「経験なし」の25~29歳がほぼ同じポイントとなっていた。文科省の担当者は「学生時代の継続的な部活動の経験が、その後の運動の習慣化につながり、生涯、高い水準の体力を維持するためには重要だ」と分析している。
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2011年10月08日
親の8割が「うちの子って天才」って思った経験あり
調査は、子どもの好奇心などについて調べている同社のプロジェクトチーム「こどもメガネ委員会」が、同社の0~6歳を対象にした幼児教育事業「こどもちゃれんじ」の会員の保護者を対象に、9月20~27日にインターネットで実施。有効サンプルは2284人だった。
「『うちの子って天才!? 才能あるかも!?』と思ったことがありますか」という質問に、「頻繁にある」(13.3%)と「時々ある」(67.3%)を合わせて80.6%の保護者が「ある」と回答。また、天才だと思った時期を聞いたところ、「2歳」が87.1%で最も多く、4歳(84.8%)、3歳(84.6%)の順だった。
「どんな場面で天才と感じるか」について聞いたところ、「物事の理解が早い」(30.9%)で、「言葉を覚えるのが早い」(24.3%)に並んで、「テレビなどで流れる曲をすぐに覚えて歌っている」(30.3%)、「音楽に合わせてリズムをとった」(29.4%)などが多く、日常の中から才能を見いだす場面が多かった。
また、どのような職業に就いてほしいかを聞いたところ、男の子では公務員(10.1%)、女の子では薬剤師(11.4%)が1位で、安定感のある職業を望む声が多かった。ただ、「子どもの自主性に任せて、将来を築いてほしい」と思っている保護者が85.1%を占めた。
子育ての場面で、子どもの気持ちがのぞける“めがね”があるとしたら、「どんなめがねがほしいか」という質問には、「子どもの一見ネガティブな行動の理由がわかる」めがねと回答した保護者が43.4%で最も多かった。次いで、「子どもの才能の芽が見える」(39.1%)、「子どもの空想した世界がのぞける」(30.1%)、「いたずらをした時に、しかるべきいたずらと見守っていいいたずらの判別がつく」(29.4%)と続いた。
(2011.10.7 毎日新聞デジタルから転載)
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2011年10月02日
読み聞かせ:効果証明 大脳辺縁系が活動、喜怒哀楽わかる子に 脳科学者ら共同研究
泰羅教授は2人の子が幼いころ、度々本を読んで聞かせた。笑ったり怖がったりする素直な反応が楽しかったという。06年、「子どもがこれほど喜ぶ読み聞かせの効果を科学的に証明しよう」と白百合女子大学、日本公文教育研究会と共同研究を始めた。
泰羅教授らは本を読んでもらっている子どもの脳は、「前頭連合野」が活性化していると仮説を立てた。前頭連合野は、情動や感情をコントロールし、コミュニケーションをつかさどる。心理学の研究では、読み聞かせによって想像力やコミュニケーション力がつくとされ、前頭連合野の働きと合致している。
研究では、赤外線で血流を測定する装置を母子の頭にかぶせた。脳が活動している場所は、酸素を供給するために血流が増える。
母親に本を読んでもらうと、母の前頭連合野は血流が増し活性化していたが、聞いている子どもの前頭連合野は活動していなかった。
仮説が崩れたため、別な装置で測定した脳の広い範囲や深い部分のデータを見直してみると、恐怖や驚き、喜怒哀楽などの感情にかかわる「大脳辺縁系」が活動していることがわかった。泰羅教授は大脳辺縁系を「心の脳」と名付け、「読み聞かせは子どもの『心の脳』に届いていた」と結論づけた。
泰羅教授によると心の脳には、「自身をたくましく生かしていく役割」があるという。人間を含めた動物は、恐怖や嫌悪を経験した場所には身を守るため近づかなくなり、喜びや楽しさを得た体験は再現しようとする。これら理性にとらわれない行動をつかさどるのが、心の脳なのだ。
幼いうちからの読み聞かせは心の脳を育てることにつながる、と泰羅教授はみる。「生物の基本行動に結びつく、喜怒哀楽がしっかりわかる子になると思います」
「読み聞かせをしている親子は絆がしっかりしているとも感じる」と泰羅教授。親が子の気持ちになり、反応を確かめながら本を読むと、子を観察するようになるという。日常生活でも変化に気づきやすくなり、タイミング良くほめることができる。ほめられた子はより成長しようとする。「好循環で正のスパイラルが生まれます」。副次的な効果も期待できる。
(2011.10.2 毎日新聞から転載)
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