2015年02月
2015年02月23日
14歳で名門大学に入学! 天才少年のつくられ方
「神様からギフトされた才能を持つ者は、その力を社会に貢献しなければならない」。そんな趣旨を持つ、カナダのギフティッド制度。日本人の男の子、大川翔君はその制度で学んだ。大川家の子育てって、どんなだったのだろう。
ギフティッド――。
カナダには、いわゆる天才児を政府が認定し登録する制度があり、登録された子供のことを「ギフティッド」と呼ぶ。日本語の「天才児」には「異常に頭がいい子供」というニュアンスがあるが、カナダでいう「ギフティッド」はいささか趣を異にする。後に詳しく説明するが、ギフティッドは単に学力が高いだけの子供に与えられる称号ではない。

1999年生まれ。5歳で両親の仕事の関係でカナダへ。9歳でカナダ政府にギフティッド認定される。12歳で中学を飛び級して高校に入学。14歳で高校卒業。カナダの名門大学5校に奨学金付きで合格。2014年9月、ブリティッシュ・コロンビア大学サイエンス学部入学。
2014年春、大川翔君という日本人のギフティッドがカナダのメディアを騒然とさせる快挙を成し遂げた。9歳でギフティッドに認定された翔君は、12歳のとき飛び級をしてトーマス・ヘイニー高校に入学。そして、実に14歳にしてカナダの名門大学5校に合格してしまったのである。しかも奨学金やアワード(賞金)付きで……。
翔君が合格した大学はマギル大学、ブリティッシュ・コロンビア大学、トロント大学、サイモン・フレーザー大学、ビクトリア大学の5校。いずれもカナダを代表する一流大学であり、翔君が進学を決めたブリティッシュ・コロンビア大のライフ・サイエンス部門はカナダで第1位にランキングされる超難関だ。
同校から翔君に提示された奨学金は3万ドル。同時に給与付きのリサーチ・アシスタント職としての採用もオファーされた。飛び級による14歳の、しかも奨学金付きの大学合格はカナダでもほとんど前例がなく、テレビや新聞が大きく報道することになったのである。
日本に一時帰国した翔君と母親の栄美子さんに会うことができた。日本のメディアに登場する「天才児」たちには、たしかに頭はいいけれど人間としてどこかバランスを欠いていると感じさせる子供が多いが、翔君はそうではない。栄美子さんと相当な早口でコミュニケーションを取ること以外、翔君に対して違和感を覚えることはなかった。
カナダでいうところの「ギフティッド」とはいったいどのような資質と能力を持った存在なのか、興味が湧いた。
勉強ができるだけじゃダメなんです!
両親の仕事の都合で翔君がカナダに渡ったのは、5歳の時である。カナダにはキンダーガーテンといって小学校への入学準備をする学校があり、翔君もそこに入学している。英語のリスニングは0歳の時からやっていたが、読み書きはほとんどできない状態だった。
カナダの小学校はグレード1(1年生)からグレード7まで7年間あるが(州によって異なる)、翔君がギフティッドの推薦を受けたのはグレード3、8歳の時だ。栄美子さんが言う。
「最初は学校にいる専門の先生が、この子はギフティッドかもしれないと推薦してくださいます。その後、学校レベルの試験、教育委員会レベルの試験など何段階もの試験があり、おそらく精神的なバランスを見るのだと思いますが心理学者による面接などもあって、登録までに半年以上かかりました」
学力テスト(数学・英語)、知能テスト、論理テストなどで高得点を取る必要はあるものの、ペーパーテストの成績だけで登録されるという性質のものではないらしい。では、ギフティッドとはいったい何者なのか。翔君自身に定義してもらおう。
「ただ勉強ができる人ではなくて、自ら興味を持っていろいろな情報を集めて、そこから何かを創造する人のことだと思います。神様からそうした能力をギフトされた人を政府が登録して、その能力を社会に貢献させようというのがこの制度の趣旨だと思います」
もちろん学力や知力もトップレベルでなければ推薦は受けられないが、より重視されるのは「想像力とアントレプレナー(起業家)としての資質」だというから驚かされる。翔君自身、推薦を受けるきっかけになったのは、学内で自ら仕掛けたあるイベントではないかと考えている。
「推薦を受ける前にShow & Tellという授業で映画『インディアナ・ジョーンズ』(邦題は『インディー・ジョーンズ』)の続編を創作して劇に仕立てて、みんなの前で発表したのです。ストーリーを僕が書き、他の生徒も巻き込んでプロップ(小道具)を作ったりして。そういうことをオーガナイズするところを先生は見ていたんじゃないかな」
Show & Tellとは生徒がクラスメートの前で行う手軽な発表会で、カナダの小学校(低学年)ではほぼ毎日行われている。基本的にネタは何でもいい。思い出の品を持参してそれについて語ってもいいし、一芸を披露してもいい。カナダの学校ではこのShow & Tellのように、自力で何かを企画してそれを人前でプレゼンテーションする能力を徹底的に磨かれるという。栄美子さんが言う。
「タレントショーといって音楽やダンスをみんなの前で披露するイベントもありますが、なんとタレントショーにはオーディションがあるんですよ」
翔君が続ける。
「あまり上手じゃない子でもガンガン応募するんです。当然、落ちるんだけど、何度も何度もトライする。そういう姿を、みんなが笑ったり意地悪く言ったりすることは絶対にない。カナダは『一歩前へ!』という文化だから、チャレンジすることを先生も生徒も否定しないのです」
カナダの学校の様子を聞いていると、横並び意識に縛られている日本の子供たちとのギャップに愕然(がくぜん)とさせられる。
「とにかく手を挙げることが奨励されているので、先生が『質問は?』と尋ねるとみんなどんどん手を挙げる。指されて、『質問を忘れました』なんてケロリと答える子もいます(笑)」
ボランティア活動やイベント企画もやりました
どうやらギフティッドにはアントレプレナーとしての能力と同時に、こうした積極性も重視されるらしい。そしてカナダの学校には、生徒が主体的に内容を考える授業やイベントが山のようにあるらしいのだ。
「Show & Tell やPoetry Recital(小道具を使いながら詩を朗読する)があったり、スピーチコンテストやドラマ(劇)の授業があったり、カナダの学校は毎日が文化祭みたいな感じです。地域でのボランティア活動も盛んで、翔は図書館で小学生に英語を教えるメンターになったり、シニアにコンピュータの操作を教えるボランティアをやったりしていました」(栄美子さん)
これ以外にも翔君は学内外を問わず、自らイベントを企画して周囲の人を楽しませ、地域に貢献することをたくさん実践してきている。こうした実績を聞いてみると、翔君の言う「自ら興味を持っていろいろな情報を集めて、そこから何かを創造する人」というギフティッドの定義に納得がいく。
では、ギフティッドに登録されると、その先にいったい何が待っているのだろうか。
翔君によると、ギフティッドのプログラムは登録された生徒だけが教育委員会に集められて行われるものが多い。内容は特訓といった類いのものではなく、知的好奇心を刺激するものといった方がいいようだ。
「シェークスピアの『お気に召すまま』を400年前に書かれたままの原文で読んで、それを劇にしてみたり、嘘発見器を作ってみたり。大学の先生が来て法医学や素粒子物理学やコンピュータサイエンスなんかの話をしてくれたり。ギフティッドのプログラムはとても面白かったですね」(翔君)
強制ではなく誘導で脳と五感を鍛えた幼児期

左から時計回りに、5歳から始めた空手で初段に昇段、3歳から始めたピアノでショパンを演奏、高校の卒業式(すべて14歳のとき)
ところで翔君は、グレード6の時、グレード6とグレード7のコンバインドクラス(学年混合クラス)に入ってグレード6で小学校を修了し、そこからいきなりグレード10(高校1年)に飛び級している。翔君の両親は、彼に特殊な英才教育を施してきたのだろうか。
「1歳頃からイギリスの放送局BBCが開発した『MUZZYとともだち』という英語のDVD教材や『きかんしゃトーマス』の英語版などを聴かせていました」(栄美子さん)
弁護士として仕事をしている栄美子さんのクライアントには、当時から英語がネイティブの人が3割近くいた。栄美子さん自身、読み書きはできるもののリスニングは不得意で苦労が多かったため、リスニングのトレーニングだけはなるべく早い時期からやった方がいいと考えていたそうだ。
英語のリスニング以外にも、大川家ではさまざまな早期英才教育を翔君に施している。その全貌については『ザ・ギフティッド』(大川 翔・扶桑社)をお読みいただきたいが、興味深いのは栄美子さんの考え方だ。
「脳と五感をいかに鍛えるかを考えて、ピアノは3歳から、空手は5歳から始めさせました。本の読み聞かせもよくやりましたし、夫も私も翔が保育園に通い始めた頃から一生懸命に話しかけるようにしていました。先生が連絡帳に書いてくださったことをネタに、翔がしゃべりやすいようにうまく誘導してやるのです。それも幼児語ではなく、きちんとした日本語で、です」
たとえば、「原っぱ公園で転んで怪我(けが)をしました」と書いてあれば、「今日は原っぱ公園に行ったのかな?」と誘い水をかけるといった調子。こうした細やかな配慮によって、翔君は2歳になる頃には、すでに8~9語の文章で話せるようになっていたという。
図書館や博物館、水族館や動物園にもよく出かけた。また、2歳半で知能開発教材「すくすくどんどん」、3歳からは公文の国語と算数、七田式のプリント、4歳からは漢詩や論語、百人一首の素読、小学1年生では日能研の「知の翼」、2年生からは1年前倒しでZ会の「受験コース」を受講してきた。栄美子さんは言う。
「新しいことを簡単に習得できたわけではなく、積み上げたことの上に次があるという地道な考え方でやってきました。日本のお子さんの中にもギフティッドはたくさんいると思いますよ」
強制ではなく誘導によって自然に学習させるスタイルは、カナダの教育との親和性も高かったようだ。翔君が言う。
「なにしろカナダは褒めまくり文化ですから、ちょっと何かをやっただけですごく褒めてくれる。僕はカナダに褒められて育ったと思っています。こうしてマスコミに取り上げられたりすると、日本代表としてもっともっと頑張ろうって思うんです」
横並び意識やプレッシャーとは無縁の翔君。将来の夢は、「世界の謎を解き明かすこと」だそうである。
(2015.2.23 プレジデントFamily 2015年冬号から転載 )
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2015年02月22日
(どうする?)幼い子どもの花粉症 まずは気づいて受診して
東京都江東区に住む主婦の若松清美さん(41)が、小2の娘・栞(しおり)ちゃん(8)の変化に気づいたのは、2歳のときだった。
時は2月。鼻がつまって苦しそうで目もかゆそう。でも、花粉症の経験がない清美さんは「風邪かな?」としか考えなかった。症状は、暖かくなる頃にはおさまった。
だが、次の年も同じ時期に似たような状態に。耳鼻科を訪れて、花粉症と診断された。最近は、外出時に花粉症対策用のメガネとマスクをつけるようになり、ようやく症状が軽くなってきたという。
幼児でも花粉症になる子は少なくない。
ロート製薬が2014年、0~16歳の子ども約2500人の親に聞いた調査では、約3割の子どもについて、親が「うちの子は花粉症だ」と感じていた。うち0~5歳で発症している子は4割を超えた。
子どもの花粉症に特徴はあるのだろうか。
大阪府済生会中津病院小児科、免疫・アレルギーセンターの末廣豊医師は、くしゃみや鼻水といった花粉症の典型的な症状が、大人よりも出にくいと説明する。
「ぼーっとする、頭が重く感じるといった症状もあると思いますが、幼い子どもは言葉にして訴えることができません。大人が早めに気づいてあげることが大切です」
■風邪と見分ける
風邪と見分けがつかず、気づきにくいケースもある。発熱はなく、鼻水が透明で、自宅にいるときよりも外出時に症状がひどくなるといった傾向があれば、花粉症の可能性がある。
治療は、アレルギー症状を抑える抗ヒスタミン薬を飲んだり、くしゃみや鼻水をおさえるステロイド薬を鼻に噴霧したりするのが一般的だ。抗ヒスタミン薬は眠気をもよおすことがあるが、最近は眠くなりにくいタイプの薬も出ている。
末廣医師は「花粉症を放っておくと、授業に集中できないなど学校生活の質にも影響を及ぼします。症状が進んでからでは治療の効果も出にくいので、早めの受診を心がけてください」と助言する。
では、普段の生活で家族ができることは何だろうか。
基本は「花粉をできるだけ避けること」(末廣医師)。ただ、親自身が花粉症ではない場合、ついつい対策を忘れがちだ。
家に花粉を持ち込まないために、帰宅時には、服や体についた花粉を玄関先で払う。日中は、窓を開けっ放しにしない。セーターやフリース素材など毛羽だった服は花粉がつきやすいので、子どもだけでなく家族も避けたほうがよい。
花粉情報をチェックして飛散の多い日に外出する時は、マスクや花粉症対策用のメガネなどを利用する。帰宅時は、うがいや手洗いも忘れずに。目をかゆがる時は、こすらずに、水で洗い流すといい。
(2015.2.22 朝日新聞から転載)
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<女児誘拐未遂>「いかのおすし」奏功 巡査の連れ去り防ぐ
「いかのおすし」とは、行かない▽(車に)乗らない▽大声を出す▽すぐ逃げる▽知らせる--の頭文字。不審者に声をかけられた時の心構えを子どもに覚えてもらうための「合言葉」だ。2003年に警視庁と東京都職員が考案した。県内では県と県警が年間150回以上の「防犯出前講座」を開き、小学生に「いかのおすし」の紙芝居を見せて覚えるよう指導してきた。不審者から逃げる訓練も続けている。
今回被害に遭った小4女児の通う学校では年1回、防犯教室を開いてきた。昨年10月には秋山容疑者の上司に当たる吉岡町交番の所長も出席したという。
県警によると、秋山容疑者は1月15日午後4時10分ごろ、女児の自宅前で車を止めて待ち伏せし、帰宅した女児に「パパが交通事故に遭って病院に運ばれた」とうそをつき、車で連れ去ろうとしたとされる。女児は拒否して帰宅し、パート先の母親にすぐ連絡。午後4時半には父親が渋川署に通報した。校長は「機転を利かせて偉かったね」と女児を褒め、「いかのおすし」の指導を続けてきたことが功を奏したととらえている。
県警の羽鳥信之生活安全部長は20日、記者会見で「子どもを連れ去る凶悪事件が全国的に発生する中、『いかのおすし』を利用して指導してきた。今後も継続したい」と話した。一方、県警幹部の一人は取材に対し「地道に続けている防犯啓発の成果が出たのであれば幸いだが、今回は警察官が起こした事件だけに残念だ」と力なく話した。
(2015.2.21 毎日新聞から転載)
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2015年02月12日
脱ゆとり、正答率向上 同じ問題をゆとり時代と比較
テストは「小学校学習指導要領実施状況調査」。13年2~3月、全国911校の約11万人が受けた。11年度に全面実施された現行の学習指導要領が掲げた「思考力・判断力・表現力の育成」などをみた。
社会、算数、理科で前回と同一問題の正答率を比較すると、計45問中23問で前回を上回り、明確な差がなかったのが13問、下回ったのが9問だった。前回から教わる学年が変わった学習内容に関する問題を含めても、計70問中30問で正答率が前回を上回り、明確な差がないのが17問、下回ったのが23問だった。
児童に教科ごとに聞いた意識調査では、「学習をすれば、ふだんの生活や社会に出て役立つ」との質問に、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」を合わせた割合は、前回との比較が可能な全教科、全学年で前回より多かった。特に小6の理科は前回の50・5%から69・7%に増えた。
調査した国立教育政策研究所の担当者は「学習指導要領のねらいが着実に身についてきている」と結果を分析。学習が生活や社会で役立つとの回答が増えた理由は、「知識を実生活で活用することを身につけさせる指導が学校現場に浸透してきたからではないか」とみる。
(2015.2.12 朝日新聞から転載)
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2015年02月09日
危険箇所、避難場所を記す「安全マップ」…小学校入学前に「防犯力」アップを
■体が小さいから狙われやすい
「防犯知識は教えないと身につかない。保護者の危機意識が子供に反映されるもの。子供は体が小さく、それだけで不審者に狙われやすいのです」と話すのは、安全生活アドバイザーの佐伯幸子さんだ。
連れ去りや性犯罪などは、子供が1人になる下校時に起こりやすい。こうした犯罪に遭わないようにするため、子供と一緒に「安全マップ」を作っておくといい。
通学路や普段よく遊ぶ所を歩き、危険な場所や行ってはいけない場所をチェック。子供が危険に遭遇したときに立ち寄れる民間協力拠点「子ども110番の家」など、逃げ込める場所も確認して、あいさつに行っておくといい。
保護者が不審者を演じ、受け答えの練習をしておくのも、子供の危険回避能力を高めるのに効果的だ。
子供には具体的に話をするのがポイント。「知らない人についていったらだめ」と話しても、子供と大人では認識に差があることもあるからだ。
例えば、「よく見かける人」は大人にとっては「知らない人」でも、子供は「知っている人」と思うことがある。どんな人が「知らない人」なのか具体的に説明する。「子供が理解するまで、何度も教えることが大切」と佐伯さん。
■施錠は素早く、靴を脱ぐ前に
共働き家庭の場合、小学校入学と同時に家の鍵を持つ子供も多い。鍵メーカー「美和ロック」(東京都港区)の広報担当、木谷麻希さんは「鍵をきちんと扱えるように子供の頃から教えるのが大切」と話す。空き巣などの被害者の中には、普段から施錠する習慣がなかったという人もいる。
子供に家の鍵を持たせる場合は、外から見えないようにするのが基本だ。鍵が見えてしまうと、不審者から「1人で留守番するのかも」と思われて狙われやすいのだという。
帰宅したときは、素早く鍵を出してドアを開け、室内に入ってすぐに閉める。「靴を脱ぐ前に、ドアを施錠するように習慣づけてください」と木谷さん。子供がドアを開けた瞬間に、不審者が一緒に入り込むケースもあるからだ。
■被害に遭っても話せない子も
子供の安全を守るためには、まず保護者が正しい防犯知識を身につけることが不可欠だ。
警備会社のセコム(渋谷区)は、インターネットサイト「子どもの安全ブログ」(http://www.secom.co.jp/kodomo/)で、子供の事件事故の情報や身の守り方などさまざまな情報を発信している。
同社の広報担当、堀越穂波さんは「子供の安全対策には、家庭でのコミュニケーションが重要」と指摘する。子供は犯罪の被害に遭っても、周囲に話せないことも多い。何か言いたそうにしていたり、少し元気がなかったりするなど些細(ささい)な変化に気づいて声をかけることも大切だ。
■ブザー、スマホ連動のカメラ…
警察庁によると、13歳未満の子供の連れ去り(略取・誘拐)事件は減少傾向にあったが、平成20年の63件を境に増加傾向に転じ、23年は83件、24年は95件、25年は94件だった。
こうした中、防犯ブザーや玄関などに取り付けるセンサーライトなどの防犯グッズを使う人も増えている。ビックカメラ有楽町店(千代田区)では、キャラクターが描かれたものやLEDライトがついたものなど50種類以上の防犯ブザーがそろう。
「ブザーを持っていると、周囲に対して防犯意識が高いというアピールにもなる」と同店セキュリティーコーナー担当の山元大輔さんは語る。
玄関などに設置して人を感知すると明かりがともるセンサーライトも定番商品として人気。3千円程度の商品がよく売れるという。
最近、注目なのはスマートフォンなどで自宅の室内の様子が見られるネットワークカメラ。子供が安全に留守番しているかチェックするために購入する保護者もいるという。
(2015.2.8 産経新聞から転載)
2015年02月05日
頭のいい子はみな「直感力」を鍛えている
約25年にわたり学習塾を運営し、3000人以上の子どもを指導、成績向上に導いてきた石田勝紀氏は「心・体・頭のしつけ」をすることが重要と語ります。今連載では石田先生の元に寄せられた親たちのお悩みに答えつつ、ぐんぐん伸びる子への育て方について考えていきます。
【ご相談】
小6と中2の男の子を持つ母親です。近年、ロジカルシンキング、つまり論理的思考が重要であるということをよく耳にしますが、実際に子どもたちに論理的に物事を考えてもらうためには、どのようにしたらよいか悩んでいます。
国語や数学、算数でも論理的思考をつけられると聞いていますが、どうも私が見ている様子だと、そうでもない気がします。何か特別に論理的思考をつけられる講座を受けるなど何らか取り組んだほうがよいのでしょうか。
(仮名:中村さん)
■ そもそも、論理的思考の重要性は?
まさにおっしゃっていただいたとおり、近年、論理的思考の必要性が叫ばれています。私も、そのとおりであると思います。
論理とは物事を筋道立てて説明する、または考えることであると思いますが、学問の世界における「仮説→検証」という構造も論理の一種でしょう。現代社会も論理がなければ成立しないでしょう。
論理的であれば、説明が体系立てられ、話がわかりやすくなります。ですからプレゼンテーションや論文などのアウトプットでは、論理的であることが重要です。
しかし、私はここに落とし穴があるとも感じます。あまりにもこのアウトプットが重要であると喧伝されているため、視点がどうもそこだけに行きがちであるように思うのです。
つまり、論理の勉強に気を取られすぎると、プレゼンテーションの達人にはなっても、中身がなく、斬新さがない、という残念な結果になることも少なくないと感じます。
では、いったい何か欠けているのでしょうか。それは、「感性」だと思います。
国語では読解力が重要だと言われていますが、これは論理的に読めるかどうかということと同じ意味で使われたりします。しかし、○○と○○は同じことを言っており、●●と○●には違和感があり、〇〇と●●は同じものではないと認識するためには、まずは感性で判断しなくてはなりません。
たとえば小説を読んで答える問題では、感性でもって、登場人物の心の状態になって読み進めていくと解答はおのずと出てくるのですが、どうしても表面的な活字に振り回され、中身よりも形を優先してしまい、間違った答えを出してしまうことが多いようです。
論理、論理、論理……「理屈でいけばこうだよね」と論理を積み上げていって結論が出る場合もありますが、実社会では、その論理を積み上げた上の結論が間違っていることが少なくありません。
「A=B、B=Cであるならば、A=Cである」というようには、現実にはなりません。実際は「A=Cであるようだと直感で感じ(仮説)→ なぜだろうと疑問が出て→ それはA=Bであり、B=Cであろう」ということがわかり、それを逆に組み立てると、「A=B、B=Cであるならば、A=C」となるのです。
このときの直感で判断した仮説は感性が生み出したものであり、論理によって生み出されたものではありません。この感性抜きには、実は論理は成り立たないのです。
■ 感性はどうやって育てるか?
私はこれまで塾で多くの生徒を指導してきましたが、頭のよい子は、この感性が優れていました。つまり、理屈よりも感覚でとらえる力があるのです。論理だけが頭のよさを促進しているのではない、と私は断言できます。
世間を見回してみても、論理力よりも感性が強い人のほうが、勉強も仕事もできるように感じます。理屈ばかりこねる人は仕事ができないとよく言われますが、まさにこのことを意味しています。
さて、では子どもの感性を高めるにはどうしたらいいか。私は生徒の感性を高めるために、テキストの題材を使いながら高めていきましたが、家庭で子どもの感性を育てるためにはどうすればいいでしょうか。
一般的に、感性を高めるためには「多様な体験をさせる」「美しいものに触れる機会を増やす」とよいと言われています。自分とは異なる境遇の人と話をしたり、普段、見慣れない景色を見たりすることで、多くの刺激を受けます。大自然に触れることは、その最たるものでしょう。
しかし、家庭内で実施できるより効果的な方法があります。それは、ある“マジックワード“を日常生活に取り入れることです。
現代の教育では「何? (WHAT)」「誰? (WHO)」「いつ? (WHEN)」「どこ? (WHERE)」、もしくは「どっち? (WHICH)」といった質問に答える勉強が多いのですが、教育において最も大切なことは「WHY? 」と「HOW? 」です。
テストには「何? 」「誰? 」「いつ? 」「どこ? 」「どっち? 」が多く出題されるため、知識だけで十分と思いがちです。そう考える人は、学校の勉強なんて社会に出てからまったく役に立たないと言ったりします。
しかし、これは誤りです。役に立たない方法で知識を頭にたたき込んでしまったから、そう思ってしまうのです。
私が指導した生徒の中で非常に“頭のいい子”は、つねに「なぜか? (WHY)」「自分はどう思う? どうする? (HOW)」という2つの視点が勉強の中に入っていました。意味を理解し、結果として知識がインプットされるというプロセスこそが、本物の教育です。
「なぜ? (WHY)」は論理思考を育成し「自分はどう思う? どうする? (HOW)」は感性を育成する“マジックワード”です。私は授業において、これらを取り入れてきました。次はその一例です。
私:(国語の授業で)「このときの主人公の気持ちは? 」
生徒:「悲しい気持ちだと思います」
私:「なぜ悲しい気持ちになる? 違う気持ちになる人もいるんじゃないの」
生徒:「この文章の中で、主人公が暗い面持ちで歩く場面があるのでそう思いました」
私:「じゃ、もし君がこの場面にいたらどういう反応する? 同じように悲しげな行動をとるかな? 」
生徒:「たぶん、そんな気持ちにはなりませんね。この主人公と僕はちょっと性格が違うかも」
このように、「君はどう思う? 君ならどうする? (HOW)」という視点を入れるのです。
国語の授業では、通常、このような質問はしません。あくまでも文章に書いてある範囲で、物事を考えていきます。しかし、「君ならどうする? 」と言われた途端に、それまで受け身だった頭が主体的に働きだし、心が動き、自分事となって、生徒はこの文章の世界に引き込まれます。世界に入ってしまえば、答えががぜん変わってきます。
国語ができる人は、文章の中に自然と入り込み、自分が主人公になっています。しかしほとんどの生徒は、これができません。なぜなら問題を解くため、どこに答えがあるか探すために読んでいるからです。
本当は設問を気にせずに文章の世界に入れば、結果として設問は解けてしまうのです。そこで私は、いつも生徒を文章の世界に引き込みました。その魔法の言葉が「君はどう思う? どうする? (HOW)」でした。
冒頭でもお話しましたように、論理はとても重要です。しかし、高度な読解は論理と感性の相互作用で理解していきます。論理ばかりに目を向けずに、感性を高めることを優先すれば、本質的視点で物事を判断できるようになっていきます。
話題は日常の些細なことでいいと思います。友達とのこと、学校のこと、趣味のこと、ケンカしたこと、テレビでのニュース……何でも題材になります。
「なぜだと思う? (WHY)」「あなたはどう思う? どうする? (HOW)」という2つの視点を、日常の子どもさんとの自然な会話に取り入れていただくと、いずれ大きな効果が出てくるはずです。
(2015.2.5 東洋経済から転載)
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2015年02月04日
<文科省>考える道徳へ転換…学習指導要領の改定案
◇いじめ対応重視
道徳の目標を「物事を多面的・多角的に考え、自己の生き方についての考えを深める学習を通して、道徳的な判断力、心情、実践意欲と態度を育てる」こととし「特定の見方や考え方に偏らない」と明記した。
授業時数は現行と同じ年間35時間(週1時間)で、学習内容は「節度、節制」「公正、公平、社会正義」など、指導の狙いを明確にした項目ごとに分類。道徳教科化のきっかけになったのが大津市の中2いじめ自殺事件(11年)だったことから、現行では小学校高学年以降で扱う「公正、公平、社会正義」を低学年から導入。小学1・2年で「好き嫌いにとらわれないで接すること」、小学3・4年生で「誰に対しても分け隔てしないこと」を新たに盛り込んだ。
グローバル人材育成の視点から、低学年の項目に「他国の人々や文化に親しむこと」も加えた。中学は学習内容の変化はない。また、小学校では情報モラル、中学では科学技術、生命倫理なども扱い、課題解決型学習や体験学習で指導することを求めた。
子供の評価は「学習状況や道徳性にかかる成長の様子を継続的に把握する」とし、数値ではなく、プラス面を記述式で評価する。ただ「道徳性」の評価法が確立されていないため、同省は専門家会議を設置し、今秋までに具体例を示す。教科書を使った授業は18年度からだが、新指導要領に沿った授業を先行実施できるように来年度中に教員用の資料を作成し、配布する。
◇教科化で充実図る
「特別の教科 道徳」の学習指導要領改定案が4日公表された。文部科学省は教科化によって道徳教育の充実を図りたい考えだが、授業の進め方や児童生徒の評価を巡り、教員の指導力をどう向上させるかが成否のかぎになりそうだ。
学習内容は「教科外活動」である現行と大きな変更はない。「愛国心」に関わる項目も、小学1・2年で扱う「郷土の文化や生活に親しみ、愛着を持つこと」の冒頭に「我が国や」という文言が新たに挿入された程度だ。
学習内容を大きく変更しないのになぜ教科化が必要なのか。中央教育審議会の答申(昨年10月)は「学校や教員によって指導の格差が大きく、不十分な状況」と指摘。現状の改善を狙いに挙げる。東京都内の区立小校長は「映像を流すだけや本を読ませて主人公の心情を追うだけ、という授業があるのは事実」という。中教審の専門部会で主査を務めた押谷由夫・昭和女子大教授(道徳教育学)は「今は教科外活動なので教科より格下という意識の先生もいる」と背景を指摘する。
文科省が2012年度に全国の公立小中学校を対象にした調査で、道徳教育の課題として多く挙がったのは「指導効果の把握が困難」「効果的な指導法が分からない」「適切な教材の入手が困難」など。教科になれば、評価や教科書が導入される。同省は「評価することで指導の効果を把握でき、教科書が指導の土台になるので課題の解消につながる」と教科化の必要性を強調する。
授業方法は、クラスでの討論や議論を通じた「課題解決型学習」や体験学習を取り入れることを求めている。一方的な「教え込み」でない授業だ。いじめ問題を扱う場合も「なぜいじめが起きるのかを考えさせる。人間の弱さやねたみの感情に気付かせ、どうすれば克服できるか議論させてもいい」と押谷教授は授業例を示す。
◇難しい学習評価
だが、肝心の指導体制は心もとない。中学教員を対象に経済協力開発機構(OECD)が実施した13年の「国際教員指導環境調査」(TALIS)では「生徒の批判的思考を促す」「さまざまな指導方法で授業」といった項目に対し「良くできる」と回答した日本の割合は、他国に比べて軒並み低かった。
学習評価も課題だ。今年度から文科省の研究開発校として、独自教科「徳育科」を研究している東京都武蔵村山市立第八小の道徳専任教員、小山直之教諭は「子供が日常の中で道徳的な行動がとれているかどうかは見極めが難しい。授業ごとに評価を積み重ね、学校生活の中の行動も見て評価していくことになるだろう」。福岡県の公立中教員は「『評価』されると、生徒は教員が求めそうな建前しか言わなくなる可能性がある」と懸念する。
教員や専門家の中には教科化への抵抗感も根強い。政治的中立を保った教科書になるのか。教科書が逆に教員の自由度を奪わないか。日本教育学会会長の藤田英典・共栄大教育学部長は「単純な正解がない事柄を教えるのが道徳であり、評価はなじまない。指導や評価を巡り、現場の先生は悩むだろう」と指摘する。
◇学習指導要領◇
小中高校の教育の指針と内容に関する国の基準。ほぼ10年に1度改定される。現行指導要領の改定は2008~09年。昨年11月、中央教育審議会に次期改定の内容策定が諮問され、小学校での英語教科化や高校での日本史必修が議論される。道徳は▽いじめ問題への緊急対応の必要性▽初の教科書作成のため他教科とは別枠にした方がよい--などの理由から先行改定する。
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