2019年02月
2019年02月20日
「英語は小さい頃に始めた方がいい」という誤解
「5歳で1年間学べば英語がペラペラに!」「たった2カ月で英語がペラペラになれる」「小学校英語の準備は十分ですか」「お子さんをバイリンガルに育てる方法」――。
子どもの英語学習に関しては、いろいろな宣伝を目にします。「2カ月でペラペラに」とうたっている英語とは、いったいどのような英語なのだろうかと不思議に思います。これまで私は、「英語を習わせたいけど、何歳から始めさせたらいいのか?」という質問を、多くの親から受けてきました。今回はその質問に答えながら、どのような英語の学びが子どもにとっていいのか考えていきたいと思います。
■英語を始めるのは早いほうがいい?
「英語を身につけるには早ければ早いほどいい」ということをよく聞きます。早期英語教育を推奨する人たちの常套句です。はたして本当にそうなのでしょうか。
この論理の根拠となっているのは、例えば海外移住によって現地の幼稚園や学校に通い始めた子どもは、大人よりも早く、あっという間に英語を話せるようになる。さらにとてもいい発音を身につけることができる、といった事実でしょう。
英語を学ぶ環境には「第二言語環境」と「外国語環境」の2種類があります。
●第二言語環境……生後のある時点からふれることによって自然に身につく環境のこと(例)海外に移住した場合
●外国語環境……母語とは異なる外国語として英語を学ぶ環境のこと(例)日本で英語を学ぶ場合
海外移住をした場合、幼稚園や学校に通うなど子どもの生活環境に英語があれば、圧倒的な量の英語を毎日耳にしインプットすることになり、さらには自己表現としてアウトプットせざるをえない状況となります。アメリカの幼稚園に入園した子が、ひと言目に発した英語が、「It’s not fair! (それは不公平だよ! )」だったという話を聞いたことがあります。
こうした環境で生活する場合、発音に関しては早期に始めたほうが有利のようです。しかし、習熟度には移住した年齢が大きく影響し、幼児よりも年長者(例えば小学校高学年や中学生)のほうが速く習得できるという調査結果があります。それは年長者のほうが母語をベースに育んだ認知能力を駆使して、文法や語彙を理解できるからです。
一方、「外国語環境」で学ぶ場合、小学生と中学生を比べてみても、小学生が有利という調査結果は聞いたことはありません。ヨーロッパでの調査によると、8歳の小学生グループと11歳、14歳、18歳から始めたグループとで長期にわたって比較調査した結果、第二言語環境と同じように、年長者のほうが速いという結果が出ます。
言葉の数についても、先に学び始めた小学生にすぐに追いついてしまうそうです。第二言語環境と異なり、小学生が有利でないのは、外国語環境では圧倒的にインプットの量が少ないからだといえます。
日本で子どもが英語を学ぶ場合、外国語環境になりますから、早ければ早いほどいいという論理は正しくないと考えていいでしょう。ほかに早くに始めたほうがいいといわれている例も考えてみましょう。
■英語学習の「臨界期」はあるのか
「臨界期があるから英語は早くから習ったほうがいい」ということもよく聞きます。「臨界期」とは、生後のある一定の期間に身につけたほうが効果的で、それ以降だと身につかない、といった考えです。この考えはあくまでも仮説で、言語習得には個人差がありますから、近頃では「言語獲得の敏感期」と呼ぶ研究者も増えています。
海外で活躍する野球選手やサッカー選手、日本に来日する相撲の力士などの例をみてみると、外国語は年齢に関係なく成人になってからでも身につけられることがわかります。どのような環境で、どのような目的や動機をもって身につけるのかによって、外国語の習熟度は変わってくるといえるでしょう。
「小学校英語が始まるから早くから準備しなくては」と、入学前から心配されている親もいらっしゃいます。大人も経験したことのない英語科は、どのような教科なのかほぼ知られていないのが現状です。
先日、都内の公立小学校で5、6年生の英語授業を見学しました。その小学校では英語専科の男性教諭がとても熱心で、さまざまな手法を取り入れて授業は進んでいき、子どもたちの発語は活発で、45分間の授業はあっというまでした。先生の熱意は子どもたちに確実に伝わり、「(英語の授業は)楽しい~!」と子どもたちは笑顔で答えていました。
2020年からの小学校英語は、実際の教科書や指導方法、評価(成績のつけ方)など、未確定なことが多い段階です。文部科学省が掲げるように「基礎」を養い、少なくとも子どもたちが「英語でコミュニケーションすることは楽しい」「英語を学ぶ意味がある」と思ってくれる教科であってほしいと思います。早くから対策しようとあせって学ばせてしまったら、小学生で英語嫌いをつくってしまうことにもなりかねません。
「バイリンガル教育をするなら早いうちから」などとよく言われ、「バイリンガル」がどういったものかもわからず、英語の幼稚園・保育園やインターナショナルスクールなどを選ぶ親も見受けられます。
■母語を使いこなせないという問題も
ある家庭は親たちが、英語ができないからと娘を小学校から東京にあるインターナショナルスクールに入学させました。そしてアメリカの大学に進学して帰国し、日本の企業に就職しましたが、通訳としての仕事しかさせてもらえず、自分のやりたい仕事はさせてもらえないと退職してしまいました。
また総合商社勤務の人から聞いた話ですが、海外事業を展開する部署では「帰国子女の新入社員が配置される」と聞くと、心配で身構えるそうです。なぜなら、英語は話せるものの、バイリンガルとして海外で育ったので母語がきちんと使えない人が少なくないからだそうです。
もちろん立派に英語と日本語を駆使して、企業で活躍している人や、海外で働いている人が多くいるのも事実ですし、バイリンガル人材の活用に積極的な企業もあります。ですが中途半端に英語と母語の日本語を身につけるように育つと、本人も苦労することになります。英語ができれば社会で通用するのではなく、英語を自分の武器として仕事をすることが重要です。
ここまででわかるのは、「英語は早くから学んだほうがいい」というのは、発音やリスニングについてはある程度はいえても、それ以外の根拠はないということです。
実は外国語環境で子どもが英語を学ぶ場合、スタートする年齢よりも重要な3つのポイントがあります。それは「量(どれだけ)」「質(どのように)」「主体性(主体的に学ぶ)」です。
「量(どれだけ)」
幼い子どもの場合、多くの英語を耳からインプットするのは効果的だということです。生活のすべてを英語環境にする必要はありませんが、できるだけ多くの英語を耳にする工夫はできます。英語の音楽や映画、絵本の読み聞かせなどを生活に取り入れるのは、比較的無理なくできるのではないでしょうか。
子どもが多くの英語を耳にする際に、大人が付き添って一緒に音楽や映画を楽しみ、その後それらを話題にすると効果的で、親子の対話もすすむことでしょう。親子で話題にするときはもちろん日本語で話します。
「楽しかった」「面白かった」という印象が残れば、さらにそれらを耳にしようとすることでしょう。特に絵本はとっておきの英語学習ツールになります。絵本は子どもの心を豊かにすることができ、さらには楽しみながら自然に英語を耳にすることができます。
東洋経済オンライン から転載
2019.2.20
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2019年02月09日
物をなくす、努力が続かない…注意欠如・多動症(ADHD)か? 厳しく叱ると「無気力」「反抗」に
《小学2年生男子のBくんは、じっとしていることがとても苦手です。授業中も姿勢が定まらず、椅子を前後に揺らしたりキョロキョロと周りを見たりして落ち着きません。ときどき席から立ちあがり、教室の後ろに歩き出そうとして先生に注意されます。先生が説明しているときも、何かを思いつくとすぐに口を挟みます。工作の時間などに、説明を最後まで聞かずに作業を始めてしまうため、やり方を間違えてしまうことが頻繁にあります。》
《中学1年生女子のCさんは、性格は明るくて友だちも多いのですが,忘れ物が多いのが悩みの種です。宿題や提出物を忘れてしまうことがしばしばあります。小学生のときは担任の先生が保護者と連絡をとってくれたのですが、中学校に入ると教科ごとに担当の先生が違うため、自分で管理しなければならなくなりました。すると、忘れ物がとても多くなったのです。忘れないようにメモを書くようにと助言されたのですが、メモもなくしてしまいます。何かに集中して取り組むことも苦手で、勉強や作業をしていても数分で気が散ってしまい、最後までやりとげることがなかなかできません。》
BくんやCさんのような特徴を示す子どもは、けっして珍しくないと感じる読者もいるかもしれません。たしかに大人に比べて子どもは落ち着きがなく、気が散りやすいものです。でも、小学校に入学して間もない時期には落ち着きがなくても、2年生になると多くの子どもは、ある程度落ち着いて授業に集中できるようになります。中学生ともなると、忘れ物をせずにすむ方法を自分なりに身につけ、勉強や作業にもある程度は集中できるようになっています。
そのような中で、落ち着きのない状態や物事に集中できない状態が、他の子どもたちより長く続く子どもが一部に存在します。これらの状態は、「注意欠如・多動症(ADHD)」の可能性があります。
ADHDは神経発達症の一種で、「多動性・衝動性」と「不注意」のどちらか、あるいは両方の特徴が、遅くとも12歳までに気づかれるようになり、そのために家庭生活や学校生活の中で、さまざまな支障をきたすときに診断されます。
多動性とは、「手足をそわそわ、もじもじさせる」「着席すべき場面で離席しやすい」「不適切に走り回る」「静かに遊べない」「じっとしていない」「しゃべり過ぎる」などを指します。衝動性とは、「質問が終わる前に答える」「順番を待つのが困難」「よけいな口出しをして邪魔する」などを指します。不注意とは、「不注意な間違いが多い」「注意の持続が困難」「話を聞いていない」「完遂できない」「順序立てることが困難」「努力を続けられない」「物をよくなくす」「気が散りやすい」「約束などを忘れやすい」などを指します。
Bくんのように多動性・衝動性が目立つタイプと、Cさんのように不注意が目立つタイプ、そして多動性・衝動性,不注意のすべてが目立つタイプに大別されます。多動性・衝動性が目立つ場合、幼児期から集団生活の中で問題となることが多いため、遅くとも小学校中学年までには診断され、対応策がとられることが多くなります。一方、不注意の特徴が中心で多動性・衝動性が目立たない場合、ADHDの可能性に気づかれることが遅くなる傾向があります。
虐待など不適切な養育環境で育った子どもや、何か悩み事がある子どもの中にも、やるべきことが手につかず、集中できなくなるケースがあり、ADHDと区別が難しいことがあります。したがってADHDの診断では、養育環境の問題の有無や生活上の悩み事の有無についても十分に考慮した上で、慎重に行う必要があります。
《Bくんは、座席を最前列にしてもらい、授業中に気が散らないよう、黒板のまわりに余計な掲示物を貼らないなどの配慮をしてもらいました。また、多少落ち着きがなくても大目に見てもらい、質問に答えさせたり、何か作業をさせたりすることで自然に着席していられるよう工夫をしてもらいました。》
《Cさんの場合、担任と保護者が連絡ノートを作り、絶対に忘れては困る連絡事項や提出物についてはそこに確実に書き込み、カバンに入れるところまでしっかり確かめるようにしたところ、忘れ物をある程度減らすことができました。》
ADHDの多動性・衝動性、不注意は、成人期までにある程度は改善しますが、多くの場合、その後も多少は残ります。したがって、子どものうちにこれらの特徴を「完全になくそう」として厳しく注意や叱責を繰り返すと、反抗的な態度が強くなったり、自信をなくして無気力になったりと、二次的な問題が出やすくなります。
本人の努力を求める前に、生活環境の工夫によってトラブルを起きにくくすることが重要です。6歳以上で、生活環境の工夫だけでは改善しない場合は、薬物療法を行うこともあります。
学校教育では、通級指導教室など少人数でじっくり学習などに取り組める場が用意されています。大人数の授業ではどうしても集中できない場合は、そのような場を活用して、本人が自信をなくすのを防ぎ、得意なことを伸ばしていくのも大切です。
ヨミドクター から転載
2019.2.9
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身長伸ばす、頭が良くなる… 「子供向けサプリ」市場拡大
都内のスポーツ用品店を訪れると、筋肉質な腕の力こぶや、シックスパックに割れた腹筋が描かれたパッケージがズラリと並ぶ一角がある。本格的に体を鍛える人たちが熱心に品定めするプロテインやアミノ酸、サプリメント(以下サプリ)などのコーナーだ。
最近、そんな“いかつい”一角には似つかわしくない商品群が急激に増えている。かわいらしい子供のイラストが描かれた商品がずらりと陳列され、中には子供たちに人気のキャラクターをあしらったものも。販売スタッフもこのジャンルの急成長に舌を巻く。
「現在店内にあるのは7種類。売れ行きはよく、昨年の10月に2種類増やし、棚を拡大しました」(スポーツデポ南砂町スナモ店スタッフ)
◆塾でじゃらじゃらとサプリケースを取り出す子供たちが増えている
母親たちがこぞって買い求めていたものは「子供サプリ」というジャンルの商品。子供向けに栄養機能を強化することを目的にした栄養補助食品で、錠剤やカプセル、グミ、粉末などさまざまな形状がある。主にドラッグストアやスポーツ用品店、キッズ・ベビー専門店などで販売されている。
健康食品業界のコンサルティング会社「グローバルニュートリショングループ」によれば、その市場規模は推定95億円(2017年)。注目すべきは、その伸び率だ。一般の健康食品・サプリメント市場全体が前年比0.6%の微減(マーケティング・リサーチ会社インテージ調べ)と苦戦する一方で、子供向けサプリは10%の増加となっている。
サプリの目的は多岐にわたり、「身長を伸ばす」「頭がよくなる」「強い体づくり」「目によい」「栄養バランスを整える」「口内環境改善」などさまざま。なんと「集中力を高める」というものまである。
とはいえ、商品にはその目的がハッキリと書いてあるわけではない。薬機法(旧薬事法)により、サプリは「効果・効能」を謳うことを禁じられているからだ。たとえば『セノビック』(ロート製薬)はパッケージに〈成長期応援飲料〉と記載するほか、広告コピーに〈未来を伸ばそう!〉〈ぐ~んと成長期をもっと元気に〉といった文言を使っている。「背が伸びる」という直接的な言葉は使われていない。
都内に住む専業主婦の小池純子さん(40才)は小学3年生の息子の身長を伸ばしたいと考え、サプリを定期的に購入しているという。
「牛乳に溶かすタイプのカルシウム配合サプリに加え、成長ホルモンを促すという商品を毎日のませています。私も夫も背が低いことがコンプレックス。ずっと『男の子が生まれたら牛乳をたくさん飲ませ、スポーツをさせよう』と思っていました。だって、やっぱり男性は背が高くてたくましい方がカッコイイじゃないですか。今や息子の身長は学校でも後ろの方なので、ある程度効果はあるのかなと思って継続しています」
静岡県に住むパート主婦の菊池麻美さん(42才)は、小学4年生の息子がなかなか机に向かわないことに悩む。
「集中力がなく、塾に行かせても成績が伸びずに困っていたんです。そんなとき、近所のドラッグストアで『勉強中のお子様をサポート』と書かれたグミサプリが売られているのを見つけました。効果のほどはハッキリしませんが、机に向かう時間が増えたと喜んでいたところです。
でも先日買い足しに行ったら、売り切れていて焦りました。受験シーズンでみんなが飛びついたんでしょうか。ほかの子もこれで机に向かっているのかと思うと、いてもたってもいられず、ネットで大量買いしてしまいました」
そのように、“あって安心”という気持ちから、“なくては不安”という思いに変化する親もいるようだ。埼玉県に住む主婦の中島優子さん(49才)の目的は明快だ。
「わが家は、私と夫が市民ランナーで、小学5年生の息子は強豪のサッカー少年団のレギュラーというスポーツ一家。スポーツ生理学の本で勉強したところ、激しい練習のあとの栄養補給こそ重要だということがわかり、息子にはジュニアプロテインをのませています。おかげで母親の私から見ても筋肉質のいい体になってきましたよ(笑い)」
中島さんによると、息子のチームメートの多くが練習後にはシェーカーを振り、プロテインをのんでいるそうだ。もはや現代っ子には当たり前の光景というわけか。
都内で中学受験対策塾の講師として働く永山大輔さん(45才・仮名)もその様子を語る。
「塾では夕食や夜食をとる子供が多いのですが、食べ終わったあと、じゃらじゃらと音を立ててサプリケースを取り出し、複数のサプリをのむ子が何人もいるんですよね。自分が小学生の頃を考えると、隔世の感があります」
※女性セブン2019年2月21日号 から転載
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2019年02月04日
悠仁さま、お茶大付属中にご進学へ
宮内庁は4日、秋篠宮ご夫妻の長男で、お茶の水女子大付属小6年の悠仁さまが4月から、同大付属中に内部進学されると発表した。3日に必要な筆記試験を受けられ、4日夕に合格が発表された。
秋篠宮さまは昨年11月の誕生日記者会見で、中学の進学先について具体名は明かさず「いい教育をしてくれるところだといいなと親としては思っています」と話されていた。
宮内庁幹部によると、悠仁さまは別の学校への進学も検討したが、両親と相談し、慣れ親しんだ学校での内部進学を選ばれたという。お茶の水女子大付属高は女子校のため、高校は外部に進学される見通し。
2019.2.4
産経新聞から転載
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10人に1人がADHD? 発達障害児が急増しているワケ
ADHDやASDなどの発達障害の子どもたちを持つ家庭は、子育てに苦労することが少なくありません。将来、彼らが社会に貢献できる人物となるには、幼少期から適切な教育をすることが重要になります。本記事では、ADHDの子どもの将来のために、家庭で実践できる教育法について見ていきます。
発達障害とされる子どもはどれくらいの割合で存在するのか見ていきましょう。ASDは1000人に5人程度で男子に多いとされますが、近年の研究では、出現頻度が全体の1%弱という報告もあります。
ADHDについては、児童期には全体の5~10%程度という見解が一般的です。男女比としては、2対1から9対1とするものまで、さまざまですが、総じて男子の割合が多いです。この男女比の偏りについて、女子は注意欠陥の優勢なタイプが多いので、顕在化しにくいために割合が少なくなっているのではないかともいわれています。小児のADHDのうち、60~80%程度が、成人期のADHDに移行するという報告がされています。
LDについては、2012年の文部科学省の調査によれば、学習面で著しい困難を抱える生徒は4.5%と報告されています。文部科学省が2012年に発表した調査結果によると、全国の公立小・中学校の通常学級に在籍する児童生徒のうち、発達障害の可能性があるとされた小中学生は6.5%にのぼるとされています。この数字は、医師による診断ではなく、小中学校の教師の判断によるものですが、この結果に基づいて試算すると、何らかの発達障害の可能性のある生徒は、30人学級に約2名いるという計算になります。
通級による指導を受けている児童生徒数の推移を見てみると、この十数年の間に発達障害の子どもの数が大幅に増加していることがわかります(図表1)。平成18年と平成25年の人数を比較してみると、自閉症は約3.1倍、注意欠陥多動性障害は約6.3倍、学習障害は約8倍に増えています。
[図表1]通級による指導を受けている児童生徒数の推移
発達障害とされる人が急増しているのは、日本に限ったことではありません。アメリカの疾病対策予防センター(Centers for Disease Control and Prevention)の調査によると、2000年から2010年までの10年間に、アメリカにおける広汎性発達障害の有病率は約2倍に増えたと報告されています。また、ADHDの有病率については、2003年から2011年の8年間で約1.5倍に増えています。
なぜこれほど、発達障害とされる子どもが増えているのでしょうか。
ひとつには、発達障害の診断基準が変更されたことで、該当する子どもの割合が増えたことが挙げられます。かつては、広汎性発達障害という上位概念のもとに、自閉症、アスペルガー症候群、特定不能の広汎性発達障害などの下位分類が存在していました。しかし、DSM‒5以降、症状の軽い状態から重度の状態までをスペクトラム(連続性)としてとらえる ASDという概念に統一されたために、該当する人の割合が増えたと考えられます。
しかし、それ以上に大きな要因としては、発達障害が多くの人に認識されるようになったことが挙げられます。
日本の場合は、2005年に発達障害者支援法が施行されたことにより、医療関係者のみならず、保健・福祉の関係者や教育関係者に発達障害が広く知られるようになりました。保育士や幼稚園教諭、小学校の教員などの間に発達障害の知識が広まると、かつては「わんぱくな子」「落ち着きのない子」などとされてきたような子どもたちが、発達障害なのではないかといわれるようになったのです。保護者に対して「発達障害の可能性があるので病院を受診してみてはどうか」と勧める先生も増えました。
また、発達障害に関する書籍も格段に増え、インターネット上にも情報が溢れているので、保護者が自分の子どもは周囲の子どもたちとどこか違うと感じたときに、情報にアクセスしやすくなったことも関係しているでしょう。
ためしに検索エンジンで「発達障害」と入力して検索してみると、発達障害のチェックテストや病院検索の機能を含む広告が、目に付くところに表示されます。自分の子どもに育てにくさを感じていて、チェックテストをしてみたら発達障害の可能性が高いとなれば、病院へ診察を受けに連れて行ってみようと考えるのが自然な流れではないでしょうか。
発達障害の疑いがある子どもの受診率が上がれば、今まで見落とされていた子どもが、発達障害の診断を受けることになります。したがって、発達障害とされる子どもの数が増えるというわけです。
これ以外に日本特有の要因として、社会の許容範囲が狭くなったということも挙げられます。以前の日本であれば、「活発でやんちゃな子」「突拍子もないことをするわんぱくな子」などと受け止められて、とくに問題にされなかったような子も、今の日本ではおとなしくお利口に振る舞うことを求められます。おとなしくできなければADHDなのではな
いか、などと疑いの目を向けられてしまうのです。
かつての日本には「童技(わらべわざ)」という知恵がありました。元服して大人になるまでの童の間は大人が思いもよらないようなことをするけれど、童でなくなる頃には落ち着くから放っておきなさい、というものです。このように、子どもに対して社会がおおらかだった時代に比べ、今の日本社会は発達障害の子どもにとって生きづらいのです。
発達障害の特性を備えていたとしても、社会で生きていくうえで困りごとがなければ、それは「個性」であって「障害」とはされません。発達障害とされる子どもが増えている背景には、子どもをとりまく環境の変化が深く関わっているのです。
大坪 信之
株式会社コペル 代表取締役
幻冬舎オンラインから転載
2019.2.4
から転載
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