2021年05月
2021年05月14日
1クラスに2~3人「自閉スペクトラム症の子ども」4つのサイン
筑波こどものこころクリニック院長/小児科医の鈴木直光氏は著書『新訂版 発達障がいに困っている人びと』のなかで、発達障がいとどのように向き合うべきか語っています。本記事では、ADHD・自閉スペクトラム症の特徴について解説します。
発達障がいの代表的な症例:ADHD
注意欠如多動症のことです。年齢や発達に不釣り合いな不注意優勢に存在する(predominanrtly inattentive presentation;以下 不注意型)や多動・衝動性優勢に存在する(predominanrtly hyperactivity/impulsive presentation;以下 多動・衝動型)を特徴とする発達障がいで、日常活動や学習に支障をきたす状態をいいます。
DSM-5で表記変更があり、「存在する」という表現になりました。不注意型は、集中力が続かない、気が散りやすい、忘れっぽい等、多動型は、じっとしていることが苦手で、落ち着きがない等、衝動型は、思いついた行動について、しても良いか考える前に実行してしまう等というのが主な症状です。
ADHDといっても、不注意型が目立つタイプ、多動・衝動型が目立つタイプ、どちらもが目立つ混合型タイプの3通りに分かれます。ちなみに、多動・衝動型と一つにまとめているのは、多動型と衝動型はほとんどの場合、同時に起こるからです。
ADHDのお子さんは普段の接し方で症状が軽くなったり、深刻になったりします。接し方を描いたテキストとしておすすめなのは、元奈良教育大学特別支援教育研究センター長の岩坂英巳氏が監修した『ほめかた絵本』です。NPO法人、自立支援センターいかるがの郷のホームページ(英文はダウンロード可)などから購入できますので、参考にしてみてください。
発達障がいの代表的な症例:自閉スペクトラム症
自閉スペクトラム症とは、以前の広汎性発達障がいのことです。
広汎性発達障がいは、自閉症(社会性を身につけることが困難である、言葉の発達の遅れや独り言が多いなどのコミュニケーション能力の障がい、興味の範囲が狭いなどの特徴がある)、アスペルガー症候群(自閉症と症状は似ているが言葉の発達の遅れといったコミュニケーション能力の障がいはない場合)を中心に、チック(ある一部の筋肉を、突発的に、目的なく無自覚に動かしたり、突発的な発声をしたりする)などを含むものの総称として使われていました。
自閉症はリンゴの芯にあたり、アスペルガー障がいは、いわばリンゴの実のあたりにあるものを、一つのリンゴとして一括して広汎性発達障がいと呼んでいたわけです。今回、DSM-5によってリンゴ全体の名称が、自閉スペクトラム症に変わったということです。
平成24年度の厚生労働省の障害者総合福祉推進事業として発表された「発達障害児者支援とアセスメントに関するガイドライン」によると、自閉スペクトラム症の有病率は、おおよそ1~2%、100人に1人か2人の割合で、また2008年に発表された「広汎性発達障害の疫学に関する文献的研究 自閉症を中心に」(加我牧子・藤田英樹・矢田部清美・稲垣真澄、精神保健研究)によると、男児に多い傾向にあるといいます。
一クラスに2~3人も…自閉スペクトラム症の特徴は?
最近では、学校の一クラスに2~3人はいると考えられています。特徴としては次の4つが挙げられます。
・対人関係が薄い、共感性が乏しい、視線が合いにくいなど、人との相互交渉が苦手である。
・話し言葉でのやり取りが特に苦手で会話が成立しない時がある。
・未来の見通しを立てて行動したり、応用が利かなかったりと想像して行動することが不得意。
・一つのことにこだわりを持ち、関心の幅が狭い(IQテストなどで、項目ごとに差が出やすい、いわゆる発達が凹凸のタイプ)。
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鈴木 直光
筑波こどものこころクリニック院長・小児科医
小児神経学会認定医博士(医学)
発達障がいの代表的な症例:ADHD
注意欠如多動症のことです。年齢や発達に不釣り合いな不注意優勢に存在する(predominanrtly inattentive presentation;以下 不注意型)や多動・衝動性優勢に存在する(predominanrtly hyperactivity/impulsive presentation;以下 多動・衝動型)を特徴とする発達障がいで、日常活動や学習に支障をきたす状態をいいます。
DSM-5で表記変更があり、「存在する」という表現になりました。不注意型は、集中力が続かない、気が散りやすい、忘れっぽい等、多動型は、じっとしていることが苦手で、落ち着きがない等、衝動型は、思いついた行動について、しても良いか考える前に実行してしまう等というのが主な症状です。
ADHDといっても、不注意型が目立つタイプ、多動・衝動型が目立つタイプ、どちらもが目立つ混合型タイプの3通りに分かれます。ちなみに、多動・衝動型と一つにまとめているのは、多動型と衝動型はほとんどの場合、同時に起こるからです。
ADHDのお子さんは普段の接し方で症状が軽くなったり、深刻になったりします。接し方を描いたテキストとしておすすめなのは、元奈良教育大学特別支援教育研究センター長の岩坂英巳氏が監修した『ほめかた絵本』です。NPO法人、自立支援センターいかるがの郷のホームページ(英文はダウンロード可)などから購入できますので、参考にしてみてください。
発達障がいの代表的な症例:自閉スペクトラム症
自閉スペクトラム症とは、以前の広汎性発達障がいのことです。
広汎性発達障がいは、自閉症(社会性を身につけることが困難である、言葉の発達の遅れや独り言が多いなどのコミュニケーション能力の障がい、興味の範囲が狭いなどの特徴がある)、アスペルガー症候群(自閉症と症状は似ているが言葉の発達の遅れといったコミュニケーション能力の障がいはない場合)を中心に、チック(ある一部の筋肉を、突発的に、目的なく無自覚に動かしたり、突発的な発声をしたりする)などを含むものの総称として使われていました。
自閉症はリンゴの芯にあたり、アスペルガー障がいは、いわばリンゴの実のあたりにあるものを、一つのリンゴとして一括して広汎性発達障がいと呼んでいたわけです。今回、DSM-5によってリンゴ全体の名称が、自閉スペクトラム症に変わったということです。
平成24年度の厚生労働省の障害者総合福祉推進事業として発表された「発達障害児者支援とアセスメントに関するガイドライン」によると、自閉スペクトラム症の有病率は、おおよそ1~2%、100人に1人か2人の割合で、また2008年に発表された「広汎性発達障害の疫学に関する文献的研究 自閉症を中心に」(加我牧子・藤田英樹・矢田部清美・稲垣真澄、精神保健研究)によると、男児に多い傾向にあるといいます。
一クラスに2~3人も…自閉スペクトラム症の特徴は?
最近では、学校の一クラスに2~3人はいると考えられています。特徴としては次の4つが挙げられます。
・対人関係が薄い、共感性が乏しい、視線が合いにくいなど、人との相互交渉が苦手である。
・話し言葉でのやり取りが特に苦手で会話が成立しない時がある。
・未来の見通しを立てて行動したり、応用が利かなかったりと想像して行動することが不得意。
・一つのことにこだわりを持ち、関心の幅が狭い(IQテストなどで、項目ごとに差が出やすい、いわゆる発達が凹凸のタイプ)。
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鈴木 直光
筑波こどものこころクリニック院長・小児科医
小児神経学会認定医博士(医学)
ゴールドオンライン から転載
2021.5.14
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2021年05月13日
名門小学校受験に成功した“奇跡のワーママ”が戦慄した「目にみえない格差」
なぜゆうこりんは再婚を急いだのか?
2020年3月、タレントのゆうこりんこと小倉優子が、再婚相手である歯科医に弁護士を通じて離婚を求められていると報じられた。
初婚夫の不倫が原因で離婚をしたのが2017年3月。不倫発覚がゆうこりんの妊娠中だっただけに、同じような経験を持つ世の女性陣はおおむね、ゆうこりんを支持。二人のお子さんを抱えて健気に頑張る、料理上手なシングルマザーとして好感度を爆上げしたゆうこりんは、オリコン社調査の「好きなママタレント」ランキングで、2017・2018年に第一位を、2019年には第二位を獲得した。
しかし、離婚報道の影響か、2020年の同社のランキングでは10位にも入れず、圏外落ちしている。
ママ友の紹介で知り合ったという歯科医師との交際発覚は2018年6月、再婚したのが12月である。
前夫とのお子さんが二人いるのに、短い交際期間で再婚を決めたことが夫婦関係の破綻を招いたのではないかなど、いろいろな見方が飛び交っているが、お受験という視点で考えると、ゆうこりんが再婚を急いだことは「当然のこと」とお受験ママたちは言う。
ゆうこりんの長男は難関小学校に見事合格を果たしている。両親や祖父母に愛され、慈しんで育てられた子どもが集う場所、それが名門私立小学校である。死別ならともかく、両親が揃っていないのはよろしくない。
愛する息子が肩身の狭い思いをしないように、またその兄弟のお受験のためにも、ゆうこりんが「早く新しい父親を」と思ったとしても無理はないと名門小学校のママたちは考えるわけだ。
都内在住で地方出身の洋子(仮名、44歳)さんも、そんなゆうこりんの動向を気に掛ける一人だ。
「お受験」というカルチャーショック
2020年3月、タレントのゆうこりんこと小倉優子が、再婚相手である歯科医に弁護士を通じて離婚を求められていると報じられた。
初婚夫の不倫が原因で離婚をしたのが2017年3月。不倫発覚がゆうこりんの妊娠中だっただけに、同じような経験を持つ世の女性陣はおおむね、ゆうこりんを支持。二人のお子さんを抱えて健気に頑張る、料理上手なシングルマザーとして好感度を爆上げしたゆうこりんは、オリコン社調査の「好きなママタレント」ランキングで、2017・2018年に第一位を、2019年には第二位を獲得した。
しかし、離婚報道の影響か、2020年の同社のランキングでは10位にも入れず、圏外落ちしている。
ママ友の紹介で知り合ったという歯科医師との交際発覚は2018年6月、再婚したのが12月である。
前夫とのお子さんが二人いるのに、短い交際期間で再婚を決めたことが夫婦関係の破綻を招いたのではないかなど、いろいろな見方が飛び交っているが、お受験という視点で考えると、ゆうこりんが再婚を急いだことは「当然のこと」とお受験ママたちは言う。
ゆうこりんの長男は難関小学校に見事合格を果たしている。両親や祖父母に愛され、慈しんで育てられた子どもが集う場所、それが名門私立小学校である。死別ならともかく、両親が揃っていないのはよろしくない。
愛する息子が肩身の狭い思いをしないように、またその兄弟のお受験のためにも、ゆうこりんが「早く新しい父親を」と思ったとしても無理はないと名門小学校のママたちは考えるわけだ。
都内在住で地方出身の洋子(仮名、44歳)さんも、そんなゆうこりんの動向を気に掛ける一人だ。
「お受験」というカルチャーショック
洋子さんは小学校から公立育ちで、東大合格者も多数いる共学進学校を経て、有名私大に進学した。就職氷河期世代だが、高収入職につき、20代は仕事にまい進、30代で大学の同級生と結婚し出産した。
公立育ちの洋子さんがお受験を考えたきっかけは、「仕事をしている母親の中学受験は大変だと同僚に聞いたんです。それなら、早くに済ませてしまったほうがいいんじゃないかと」
いわば軽い気持ちで挑戦したお受験だったが、第一希望の国立大学付属小には抽選で外れてしまったものの、お子さんはお嬢さま学校としても進学校としても有名な都内名門女子校に合格した。
お子さんは毎日楽しく学校に通っている。名門小学校に子どもを合格させたことで、後輩ママたちから相談を受けることも多い。しかし、誰にも口にしたことがない本音があるという。
「お受験したことで、これまでの価値観がひっくり返るくらいのカルチャーショックを受けました」
洋子さんが見たお受験の世界、それは格差と不平等の国だった。
チャンスの不平等
前述したとおり、洋子さんはともかく軽い気持ちで小学校受験を決めた。とりあえず
有名な塾に入れたが、ここで洋子さんの思う塾とお受験の塾の違いに気づく。
洋子さんのイメージする塾とは、洋子さん自身が高校や大学受験で通ったものと同様に、子どもの学力を伸ばし、志望校合格に導いてくれるものだった。しかし、お受験の塾は全く違った。
「お受験の塾は、あなたのお子さんはこういうところが向いていますよ、この学校が向いていますよ、この学校なら受かりますよと『教えてくれる』んです。親はその教えてもらったところの学校の中から選んで、対策するしかない。学力を伸ばすというより、仲人をしてくれる感じです」
小学校受験には“ご縁”の有無は重要なポイントになる(私学であるから、コネは否定されるべきものではない)。お受験対策のムック本にも、学校によっては縁故が必要とはっきり書いてある。公立小学校に対する不信感が増していることもあり、お受験は過熱し、“シロウトさん”の参入者は増えている。
しかし、コネのある人がごく一部であることを考えると、競争は激化する一方だ。有名大学の付属小学校はいつの時代も人気だが、ここは何代もおつきあいのある人たちの戦いなので、洋子さんのようなお受験初代組はどう足掻いても入れない。
そうなると、ご縁以外のこと、つまり、ペーパーテストを重視する学校に人気が集中してしまう。これまた狭き門なのは言うまでもない。
「それでも、最初はコネをあまり信用していなかったんです。ペーパー試験ができれば、合格するんじゃないかって。でも、今、子どものお受験を終えて思うんです。やっぱりあると思います。不思議というか、さすがというが、塾が勧めないところを受けて、受かった人を私は見たことがありません」
作法を見て盗むしかない
公立育ちの洋子さんがお受験を考えたきっかけは、「仕事をしている母親の中学受験は大変だと同僚に聞いたんです。それなら、早くに済ませてしまったほうがいいんじゃないかと」
いわば軽い気持ちで挑戦したお受験だったが、第一希望の国立大学付属小には抽選で外れてしまったものの、お子さんはお嬢さま学校としても進学校としても有名な都内名門女子校に合格した。
お子さんは毎日楽しく学校に通っている。名門小学校に子どもを合格させたことで、後輩ママたちから相談を受けることも多い。しかし、誰にも口にしたことがない本音があるという。
「お受験したことで、これまでの価値観がひっくり返るくらいのカルチャーショックを受けました」
洋子さんが見たお受験の世界、それは格差と不平等の国だった。
チャンスの不平等
前述したとおり、洋子さんはともかく軽い気持ちで小学校受験を決めた。とりあえず
有名な塾に入れたが、ここで洋子さんの思う塾とお受験の塾の違いに気づく。
洋子さんのイメージする塾とは、洋子さん自身が高校や大学受験で通ったものと同様に、子どもの学力を伸ばし、志望校合格に導いてくれるものだった。しかし、お受験の塾は全く違った。
「お受験の塾は、あなたのお子さんはこういうところが向いていますよ、この学校が向いていますよ、この学校なら受かりますよと『教えてくれる』んです。親はその教えてもらったところの学校の中から選んで、対策するしかない。学力を伸ばすというより、仲人をしてくれる感じです」
小学校受験には“ご縁”の有無は重要なポイントになる(私学であるから、コネは否定されるべきものではない)。お受験対策のムック本にも、学校によっては縁故が必要とはっきり書いてある。公立小学校に対する不信感が増していることもあり、お受験は過熱し、“シロウトさん”の参入者は増えている。
しかし、コネのある人がごく一部であることを考えると、競争は激化する一方だ。有名大学の付属小学校はいつの時代も人気だが、ここは何代もおつきあいのある人たちの戦いなので、洋子さんのようなお受験初代組はどう足掻いても入れない。
そうなると、ご縁以外のこと、つまり、ペーパーテストを重視する学校に人気が集中してしまう。これまた狭き門なのは言うまでもない。
「それでも、最初はコネをあまり信用していなかったんです。ペーパー試験ができれば、合格するんじゃないかって。でも、今、子どものお受験を終えて思うんです。やっぱりあると思います。不思議というか、さすがというが、塾が勧めないところを受けて、受かった人を私は見たことがありません」
作法を見て盗むしかない
次に洋子さんが驚いたのは、お母さんたちの服装や態度だった。洋子さんがお子さんを通わせた塾は、親の授業参観が認められていた。夏の土曜日ということもあって、Tシャツと綿のスカートというカジュアルなスタイルで出かけた洋子さんは、お母さんたちの服装に度肝を抜かれる。
「みんな、同じ格好をしているんですよ。全身紺色。もしかして、決まりがあるのかと思って、塾からもらった書類を見直したんですけど、母親の服装については、一言も書いていないんです」
実はこの“紺装束”をした母親は午後3時くらいの飯田橋や四谷など、名門校の最寄り駅で頻繁に見かけることができる。ザ・お受験ママルックだが、洋子さんはそれを知らなかった。
「塾側にも聞いてみたんですけど、特にはっきり言わないんです。これがお受験初代組のディスアドバンテージですよ。情報が平等に入ってこないんです。誰も何も教えてくれない。お受験初代組は、作法を見て盗むしかないんです」
塾によってはお母さん同士の連絡先交換を禁じているところもあるが、洋子さんのところは認められていた。実際、連絡先を交換したお母さんもいたが、やりとりをする中で気づいた。
「所詮はみんなライバルですから、本当のことや、自分の子どもが不利になるようなことは絶対に言わないんですよ。だから、私もひたすら周囲を見て、浮かないように、どんなふうにふるまったらいいかを学びました。仕事とは反対の行動論理です」
紺色尽くしの母親の服装にも、ある程度ブランドが決まっていることに気づいた。靴はフェラガモかミハマ、ローヒールだけれどもバレエシューズではない。バッグは判で押したかのように、エルメス。小さいバーキン、ポリードなど種類は違っても、紺、黒、グレー、水色だった。
「たぶん、お教室にユニクロの2,000円のバッグで行ったのって、私が初めてじゃないでしょうか」
どんなにがんばっても埋められない格差
これは噂話の範疇を出ないのですが、と前置きして洋子さんが明かす。
「子どもが人気校に合格すれば、塾の名声は高まりますよね。だから、実績を稼げそうな子には、塾が凄腕の家庭教師を個人的に紹介しているみたいです。もちろん、それだけお金がかかりますから、高額な家庭教師代を払える人に相談していると思うんです」
カネを払う側(自分)が相手を選ぶのがではなく、カネをもらう側(塾)が払える人を選ぶ。洋子さんには、初めての経験だった。
特定の学校にコネはなかったものの、洋子さんが超幸運だったのは、お子さんが勉強を嫌がらず、さらに優秀だったことだ。
ペーパーテストが得意だったお子さんに、塾が勧めたのは、医学部や東大への合格者を多数輩出しているお嬢さま学校だった。なんとなく縁故の強そうなイメージを持っていたが、テストができれば必ずしもそうではないという。塾の見立てどおり、名門女子校には見事合格した。
「自分の子育ては正しいと認められたみたいで、天にも昇る気持ちでした。夫と抱き合ってワンワン泣きました」
専業主婦ではないのに、名門校にコネなしで合格した“奇跡のワーママ”として、後輩ママから意見を求められることもあり、洋子さんはスター気分を味わったと言う。
「今、考えてみると、あの時が幸福感のピークでした」
努力は報われると洋子さんは思ってきた。勉強して好きな大学に入り、氷河期と言われる就職難の時代にも、希望の職につき、高収入職を得たのがその証拠だ。夫とも対等な関係を築けている。
「でも、お受験で初めて不平等を見てしまった気がします。どんなにがんばっても埋められない格差って気づかないだけで、たくさんあるんですよ。私立の小学校に娘を入れてそれに気づいてしまいました」
名門女子校だけに、ママ友同士のお付き合いはそれなりに厳しいものだと洋子さんは覚悟していた。
マウンティング的なことも当然あるだろうが、大手企業で管理職として部下を束ねている洋子さんは、自身のコミュニケーション能力で乗りきっていけると思っていたそうだ。しかし、拍子抜けするほど何もなかった。
ある時、洋子さんがSNSに「女子校だけど、ママ友はみんなさっぱりしている、無駄な集まりがない」とつぶやいたところ、見知らぬ人から「あなたが呼ばれていないだけ」というレスがついて、ドキッとしたという。
そう言われてみると、何人かのママ友がお揃いのバッグを持っていることに気づいた。あれはいつ、どこで買ったものなのか――。しかし、それを聞くことが“ルール違反”であることをすでに洋子さんは知っていた。
「お受験代々組って、すべての情報を同じ代々組から得るんです。秘伝の技みたいな感じで伝わっていくので、こっちには絶対に回ってこないんですよね。仲間外れにされているわけではありませんが、肝心な情報は入ってこない、これ、結構キツいですよ」
小学生はマウンティングがお好き
「みんな、同じ格好をしているんですよ。全身紺色。もしかして、決まりがあるのかと思って、塾からもらった書類を見直したんですけど、母親の服装については、一言も書いていないんです」
実はこの“紺装束”をした母親は午後3時くらいの飯田橋や四谷など、名門校の最寄り駅で頻繁に見かけることができる。ザ・お受験ママルックだが、洋子さんはそれを知らなかった。
「塾側にも聞いてみたんですけど、特にはっきり言わないんです。これがお受験初代組のディスアドバンテージですよ。情報が平等に入ってこないんです。誰も何も教えてくれない。お受験初代組は、作法を見て盗むしかないんです」
塾によってはお母さん同士の連絡先交換を禁じているところもあるが、洋子さんのところは認められていた。実際、連絡先を交換したお母さんもいたが、やりとりをする中で気づいた。
「所詮はみんなライバルですから、本当のことや、自分の子どもが不利になるようなことは絶対に言わないんですよ。だから、私もひたすら周囲を見て、浮かないように、どんなふうにふるまったらいいかを学びました。仕事とは反対の行動論理です」
紺色尽くしの母親の服装にも、ある程度ブランドが決まっていることに気づいた。靴はフェラガモかミハマ、ローヒールだけれどもバレエシューズではない。バッグは判で押したかのように、エルメス。小さいバーキン、ポリードなど種類は違っても、紺、黒、グレー、水色だった。
「たぶん、お教室にユニクロの2,000円のバッグで行ったのって、私が初めてじゃないでしょうか」
どんなにがんばっても埋められない格差
これは噂話の範疇を出ないのですが、と前置きして洋子さんが明かす。
「子どもが人気校に合格すれば、塾の名声は高まりますよね。だから、実績を稼げそうな子には、塾が凄腕の家庭教師を個人的に紹介しているみたいです。もちろん、それだけお金がかかりますから、高額な家庭教師代を払える人に相談していると思うんです」
カネを払う側(自分)が相手を選ぶのがではなく、カネをもらう側(塾)が払える人を選ぶ。洋子さんには、初めての経験だった。
特定の学校にコネはなかったものの、洋子さんが超幸運だったのは、お子さんが勉強を嫌がらず、さらに優秀だったことだ。
ペーパーテストが得意だったお子さんに、塾が勧めたのは、医学部や東大への合格者を多数輩出しているお嬢さま学校だった。なんとなく縁故の強そうなイメージを持っていたが、テストができれば必ずしもそうではないという。塾の見立てどおり、名門女子校には見事合格した。
「自分の子育ては正しいと認められたみたいで、天にも昇る気持ちでした。夫と抱き合ってワンワン泣きました」
専業主婦ではないのに、名門校にコネなしで合格した“奇跡のワーママ”として、後輩ママから意見を求められることもあり、洋子さんはスター気分を味わったと言う。
「今、考えてみると、あの時が幸福感のピークでした」
努力は報われると洋子さんは思ってきた。勉強して好きな大学に入り、氷河期と言われる就職難の時代にも、希望の職につき、高収入職を得たのがその証拠だ。夫とも対等な関係を築けている。
「でも、お受験で初めて不平等を見てしまった気がします。どんなにがんばっても埋められない格差って気づかないだけで、たくさんあるんですよ。私立の小学校に娘を入れてそれに気づいてしまいました」
名門女子校だけに、ママ友同士のお付き合いはそれなりに厳しいものだと洋子さんは覚悟していた。
マウンティング的なことも当然あるだろうが、大手企業で管理職として部下を束ねている洋子さんは、自身のコミュニケーション能力で乗りきっていけると思っていたそうだ。しかし、拍子抜けするほど何もなかった。
ある時、洋子さんがSNSに「女子校だけど、ママ友はみんなさっぱりしている、無駄な集まりがない」とつぶやいたところ、見知らぬ人から「あなたが呼ばれていないだけ」というレスがついて、ドキッとしたという。
そう言われてみると、何人かのママ友がお揃いのバッグを持っていることに気づいた。あれはいつ、どこで買ったものなのか――。しかし、それを聞くことが“ルール違反”であることをすでに洋子さんは知っていた。
「お受験代々組って、すべての情報を同じ代々組から得るんです。秘伝の技みたいな感じで伝わっていくので、こっちには絶対に回ってこないんですよね。仲間外れにされているわけではありませんが、肝心な情報は入ってこない、これ、結構キツいですよ」
小学生はマウンティングがお好き
お受験初代組である洋子さん一家であるが、お子さんは楽しそうに学校に通っている。宿題のプリントの“お直し”(子どもの間違った部分を、親が直す)には多少閉口したが、十分、許容範囲だ。
しかし、ある日、お子さんに
「ママ、私は外部生なの?」
と聞かれて、驚いたと言う。体育の時間に、リトミック体操をやることになったが、洋子さんのお子さんを含む一部のクラスメイトができなかった。それを見たお友達の一人に、
「外部生はしょうがないよ」と言われたそうだ。
幼稚園から進学した子(以下、幼稚園組)は幼稚園でさんざんやっているので出来て当たり前という意味だろうが、洋子さんの胸にはひっかかるものがあった。
「それって親が家庭で言ってるってことじゃないですか。親同士は無言のマウンティングですけど、子どもは素直だから、口に出ちゃうんだと思うんですよね」
「マンションからも、うちの学校に入れるんだね」
経済的な格差も大きい。洋子さん一家も世間的には十分高収入だが、名だたるお嬢さま学校なだけに、幼稚園組は日本を代表する実業家の一族や、ロイヤルファミリーの係累と名門家庭の巣窟だ。一族の女性全員が卒業生であるというケースも珍しくない。
「そんな中に、ノーコネの娘が入ってしまいました。なんだか娘に申し訳ないと思ってしまいます」
お子さんの言う、子ども同士の会話から、洋子さんはマウンティング的な要素を感じることがあると言う。
「冷蔵庫ってどうやってあけるの? (家にお手伝いさんが常駐しているので、冷蔵庫を自分で開けたことがない)」
洋子さんのお宅は都心部のマンション暮らしだが、
「マンションからも、うちの学校に入れるんだね」
「〇〇区ってサイタマ?」
といった具合に小学生でありながら、大人顔負けの経済的・社会的序列が叩き込まれている。同じくマンション住まいだった外部生は、娘のために千代田区に暖炉のある家を買い、クラスメイトを招待したと言う。
「こうやってお披露目すれば、もう言われないと思ったんじゃないでしょうか。フツウのサラリーマンが太刀打ちできる世界じゃないんですよ。世帯年収三千万クラスが、金持ちのジジババがいないと無理です」
階層に悩みながらも、階級を否定できない
しかし、ある日、お子さんに
「ママ、私は外部生なの?」
と聞かれて、驚いたと言う。体育の時間に、リトミック体操をやることになったが、洋子さんのお子さんを含む一部のクラスメイトができなかった。それを見たお友達の一人に、
「外部生はしょうがないよ」と言われたそうだ。
幼稚園から進学した子(以下、幼稚園組)は幼稚園でさんざんやっているので出来て当たり前という意味だろうが、洋子さんの胸にはひっかかるものがあった。
「それって親が家庭で言ってるってことじゃないですか。親同士は無言のマウンティングですけど、子どもは素直だから、口に出ちゃうんだと思うんですよね」
「マンションからも、うちの学校に入れるんだね」
経済的な格差も大きい。洋子さん一家も世間的には十分高収入だが、名だたるお嬢さま学校なだけに、幼稚園組は日本を代表する実業家の一族や、ロイヤルファミリーの係累と名門家庭の巣窟だ。一族の女性全員が卒業生であるというケースも珍しくない。
「そんな中に、ノーコネの娘が入ってしまいました。なんだか娘に申し訳ないと思ってしまいます」
お子さんの言う、子ども同士の会話から、洋子さんはマウンティング的な要素を感じることがあると言う。
「冷蔵庫ってどうやってあけるの? (家にお手伝いさんが常駐しているので、冷蔵庫を自分で開けたことがない)」
洋子さんのお宅は都心部のマンション暮らしだが、
「マンションからも、うちの学校に入れるんだね」
「〇〇区ってサイタマ?」
といった具合に小学生でありながら、大人顔負けの経済的・社会的序列が叩き込まれている。同じくマンション住まいだった外部生は、娘のために千代田区に暖炉のある家を買い、クラスメイトを招待したと言う。
「こうやってお披露目すれば、もう言われないと思ったんじゃないでしょうか。フツウのサラリーマンが太刀打ちできる世界じゃないんですよ。世帯年収三千万クラスが、金持ちのジジババがいないと無理です」
階層に悩みながらも、階級を否定できない
洋子さんは学校に近づくたびに、自己否定に似た気持ちがわいてくることに気づいた。
「不思議なことに、仕事中は全く思わないんですけど、自分なんてだめだ、カーストが低いみたいな、これまでの人生で考えたこともないようなことを考えてしまうんですよね。娘も成長と共に交際範囲が広くなるでしょう。たとえば、友達の別荘に呼ばれたとしたら、うちはどうすればいいのか。娘は今のところ、変な劣等感は持っていないようですが、それもいつまで続くか……」
洋子さんはフルタイムで仕事をこなしながら、週末は名門小学校のお子さんにふさわしい習い事や、新型コロナウイルス感染に気をつけながら、ひっそりと社交に精を出す。肉体的にもキツいし、自分の時間は皆無と言っていい。
ここであえて意地悪な質問をしてみた。お子さんのように生まれつき優秀な子は、お受験なんてしなくても公立で頭角を現すのでは? 洋子さんも無駄な劣等感と出会うこともなかったのではないでしょうか。
洋子さんは少し考えて、こう言った。
「うーん、それもちょっと違うと思うんですよね。私立の小学校って一見さんお断りの料亭みたいなもので、変な人が来ていないという安心感はありますよ」
階層に悩みながらも、階級を否定できない。お受験は格差社会の写し鏡のようなものなのかもしれない。
仁科 友里(フリーライター)
現代ビジネス から転載
「不思議なことに、仕事中は全く思わないんですけど、自分なんてだめだ、カーストが低いみたいな、これまでの人生で考えたこともないようなことを考えてしまうんですよね。娘も成長と共に交際範囲が広くなるでしょう。たとえば、友達の別荘に呼ばれたとしたら、うちはどうすればいいのか。娘は今のところ、変な劣等感は持っていないようですが、それもいつまで続くか……」
洋子さんはフルタイムで仕事をこなしながら、週末は名門小学校のお子さんにふさわしい習い事や、新型コロナウイルス感染に気をつけながら、ひっそりと社交に精を出す。肉体的にもキツいし、自分の時間は皆無と言っていい。
ここであえて意地悪な質問をしてみた。お子さんのように生まれつき優秀な子は、お受験なんてしなくても公立で頭角を現すのでは? 洋子さんも無駄な劣等感と出会うこともなかったのではないでしょうか。
洋子さんは少し考えて、こう言った。
「うーん、それもちょっと違うと思うんですよね。私立の小学校って一見さんお断りの料亭みたいなもので、変な人が来ていないという安心感はありますよ」
階層に悩みながらも、階級を否定できない。お受験は格差社会の写し鏡のようなものなのかもしれない。
仁科 友里(フリーライター)
現代ビジネス から転載
2021.5.12
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