2022年02月

2022年02月03日

東大卒妻が小学校受験に失敗…焦りから子どもに課した「多すぎる習い事」


息子にいくつもの習い事


 日本経済の不透明な先行きを反映してか、子育て世代の「教育熱」は過熱の一途を辿っているようにみえる。かつては中学校一年生から受験開始が一般的だった英検は、今や級によっては受験者の大半が幼児・小学生だという。


 また、首都圏塾の通塾開始年齢がどんどん低年齢化しているのも有名な話だ。ある知人は、有名中学受験塾の某校舎で、新小学校一年生の入塾待機人数が200人近いと告げられたそうだ。勉強ばかりではない。都心部の大手スポーツクラブでは、幼児・低学年向けのプールや体操クラスが入会までに半年待ちも珍しくないと聞く。


 東京の都心エリアに住み、この春から小学校3年生の男の子を育てるA子さん(36歳)も、子どもの教育に心血を注いでいる親の一人だ。A子さんも夫も東京大学を卒業し大手有名企業に勤務している。小学校入学までは外遊び重視派だったというが、「とある経験」をきっかけに、息子さんにいくつもの習い事をやらせるようになった。ところが、そんな忙しい日々を1年ほど過ごしたとき、息子に異変が見え始めたというのだ。



良い結果を出す人はみんなやらせている



 「ほんの出来心でやってみた小学校受験で、周りの子どもとの差に愕然としました。私も夫も幼少期から“出来るのが当たり前”というタイプで、何かに苦労した事が無かったため、それまで子どもの能力に疑問を持ったことなんてなかったんです。


 今思えば甘すぎてお恥ずかしいのですが、お受験も準備期間は半年以下でしたが、もしかしたら受かるかも、と本気で思っていました。ところが蓋を開けてみると、ペーパーの飲み込みも悪い、手先も不器用、身体能力も高くない。


 結果は当然全敗でした。それまでは見えていなかった同学年の子との差が目について、無条件に信じられていた息子の潜在能力に、一気に疑いの目を持つようになりました。」


 こうした経験を経て改めて周りを見回したA子さんは、「親の学歴は関係ない。いい結果を残している人は皆やらせている。ぼーっとしていると子供はどんどん落ちていく」という結論に達したという。


突然やってきた焦り


 「そのタイミングで、傍から見ると過剰だと感じるほど中学受験にのめりこんでいた職場の同僚のお嬢さんが御三家に合格したんですよね。ご本人は短大卒、旦那さんも地方の国立大学だと聞いています。

 方や、私からすると適度なゆるさで子供と向き合っていた知人の京大卒カップルのお子さんは、直前に受験校のレベルを一つ落としていた。そこで改めて、親の学歴は全然関係ない、ましてや息子は現段階で何の芽も見えていないのだから、こんなにノンビリしていたら駄目だ、と猛烈に焦り始めてしまいました」

 そうと決まれば情報収集能力も高く、高収入共働きで資金力のあるA子さんの行動は早かった。良いと言われる習い事を片っ端から調べ上げ、自身の在宅勤務の柔軟性を活用しながらパズルのように息子さんの習い事を組み上げた。息子さんは小学校入学と同時に、習い事週7回という超多忙生活を送る事になる。

 多すぎる習い事を順調にこなしていた息子さんだが、あるときからA子さんはその様子に違和感を覚えるようになる。後編【高学歴・東大卒妻が陥った「多重習い事」の罠…子どもがへとへと無気力に】では、その違和感の原因について語っていただく。


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高学歴・東大卒妻が陥った「多重習い事」の罠…子どもがへとへと無気力に


夫婦共に東大卒で、大手有名企業に勤務するA子さん。息子さんの小学校受験失敗をきっかけに「良い結果を出す人は、みんな子どもにいろいろやらせている」と思い込み、息子さんの小学校入学を機に週7回の習い事を組んだ。その焦りについては前編【東大卒妻が小学校受験に失敗…焦りから子どもに課した「多すぎる習い事」】でお伝えした通りだが、順調に小学校生活を送っていたように見えたある日、息子さんに異変が見え始めたという。




息子の様子に異変が…


 外遊び中心の保育園時代から一転、超多忙小学生となった息子さんは、その甲斐あってか、勉強面でつまずく事もなく順調な小学生生活を過ごしているように見えたという。ところが多忙な日々を送りながら1年ほど経ち、小学校2年生の春に差し掛かろうというときに、息子さんの様子に異変が見え始めたという。

 「息子は習い事を嫌がる様子もなく、終わった後に友達が出来たことなどを話して聞かせてくれました。公立小学校の要求水準がそもそも高くないお陰もあるのかも知れませんが、勉強で苦手意識を持つことなく小学校生活を送っていましたし、塾や算数教室でも、先生等にお話を伺うと平均程度の出来という事で、息子の能力に対する若干の物足りなさはあれど、大きく遅れてはいないという安心感がありました。

 ところが、2年の春ころから、息子にちょっとした異変を感じるようになりました。家での空き時間での様子が、疲れたサラリーマンそのものなんです。無気力というか、何をするでもなくひたすらボーっとしている時間が長い。一つ一つの習い事は嫌いではないはずなのに、行くように促すと全てに対して難色を示す。宿題をやらせても身が入らなくて集中力を失い、凡ミスを連発する。朝も寝起きが悪くなったようでした。

 さすがに週7個の習い事が多すぎるのかと思い、それぞれについて『辞める? 』と問うと、辞めない、というので、違和感を覚えながらも何の手を打たないままに数か月過ぎていました」


やる気を取り戻した息子


 そんなA子さんの息子さんが「自分」を取り戻し、A子さん自身も習い事についての考えを改めるきっかけとなったのは、皮肉にもコロナの影響だった。

 「それまでコロナを理由に習い事を休ませたことは無かったのですが、2年生の中ごろに通わせている習い事のいくつかが、感染者が出た事などを理由に1ヵ月以上お休みになったほか、短期イベントなども全てキャンセルになってしまったのです。結果、それまで詰まり気味だったスケジュールにぽっかりと空きができました。


 するとボーっとしがちだった息子が、自発的にインプットを求めるようになったのです。今思えば、単に暇だったのだと思うのですが…歴史の本を買って欲しい、とか、休みの日に区民センターのプールに行きたい、新しいパズルが欲しい、というような感じです。


 そういう自発的な取組みを見ていると、明らかに集中力が違うんですよね。国語の宿題は5分もやっていられなかったのに、1時間でも2時間でも本を読んでいる。それを見て、子どものためだと思ってやっていた習い事が、うちの息子にとっては、キャパシティーを上回ってしまっていた事にはっきりと気がつきました」



鍛えるべきは親のメンタル


 こうした体験を経て、A子さんは息子さんの習い事を見直すことにした。今、A子さんの息子さんの習い事は週3回。算数教室、空手、ピアノの3種類だ。

 「佐藤ママさんの教えに従っているわけではありませんが笑。息子が好きだというものを残したら、自然とこうなりました。結局、保育園時代と比べると算数教室が増えただけです。中学受験に向けてこれで不安がないかというと嘘になります。4年生に進級する際には、有名中学校受験塾への入塾を考えていますが、ひとまず低学年のあと1年は、息子が自分の時間を十分に持てるようにさせようと思っています。

 今回、自分が何故息子に過大なプレッシャーをかけてしまったのかを考えてみると、どこかで自分より学歴が劣っている人たちに負けたくない、という変な意地があったと思います。知り合いに、東大夫婦なんだから絶対大丈夫でしょー、といわれる事も、知らないうちに重荷になっていた。息子の出来が芳しくないと、どこかで親は高学歴でも…と言われているような気が勝手にしてしまっていました。

 中学受験は子どもにとって通り道に過ぎません。子供の成長はもっと長い目線で見守ってあげないといけない。今後子供と迎える様々なライフイベントに向けて、まずは私たち親が変わらなければならないと気がつきました」

 最後にA子さんは、実際はまだまだ子どもの出来に一喜一憂してしまい、メンタルが豆腐レベルだと笑いながら教えてくれた。

 受験戦争を華麗に乗り越えてきた高学歴夫婦でも、自分の成功体験が子供に当てはまるとは限らない。外部の情報に踊らされ過ぎることなく、子どもとのコミュニケーションを大事にし、様子をしっかりと観察しながら習い事を選んでいく事が重要だといえるだろう。


2022.2.3 現代ビジネス から転載


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