2011年02月25日

発達障害を医師と学ぶ  【教育ルネサンス 教員の研修】

東京・世田谷区内の多目的ホールの一室に、年代も様々な小学校の教員ら約20人が集まっていた。

 1月11日夜に開かれた発達障害を学ぶ勉強会。講師の宮尾益知・国立成育医療センター発達心理科医長に、女性教諭(41)が問いかけた。

 「小学1年生ですが、暴れて級友を殴ってしまいます。止められない時に、大声で抑止してもいいのでしょうか」

 宮尾医長は、女性教諭に児童の家庭環境などを尋ねながら、「まずはお母さんの話をよく聞いてあげて。『私も親だからわかります』という話し方をすると、親も安心して聞いてくれます」とアドバイスした。

 女性教諭は、「本で読むのと実際に医師の助言が聞けるのとは全然違う。じっくり話を聞き、気持ちをほぐしてあげる必要があるとわかった」と語った。

 勉強会は、現職教員らでつくる教育研究団体「TOSS」のメンバーが、昨年春から月1回のペースで開いているもの。宮尾医長を囲んで講義を受け、それぞれの指導経験を報告している。発達障害の研修は各地の教育委員会で開かれているが、医師から最新の知見を継続的に学べる機会は貴重で、首都圏だけでなく、兵庫県や福島県からの参加者もいるという。

 児童生徒が授業中に教室内を歩き回るなど、教室の「荒れ」や「学級崩壊」と言われる事象の多くが、発達障害に由来している可能性がある。TOSSの向山洋一代表は、「発達障害への理解と、それにどう対応するかが、今の教員に欠かせないのです」と強調している。


 「臨床教育学」を提唱している北海道教育大学大学院(札幌市)の庄井良信教授(50)は週1回、同大学院で学ぶ現職教員ら約10人を集め、ゼミを行っている。1人が報告する指導事例について意見や質問を交わし、児童生徒への理解を深めるのが狙いだ。

 庄井教授によると、ベテラン教員でも、発達障害や不登校、いじめなど様々な課題を抱えた子どもたちに戸惑うことも少なくなく、自らの指導を問い直そうと大学院の門をたたく人が多い。

 「教師の教育は、用意された講座を消化するだけでは不十分。プロの教師として、自分自身や抱える課題への理解を深め、コミュニケーション力を身に着けるには、体験を語ることが不可欠なのです」と庄井教授は強調している。(杉野謙太郎、写真も)

TOSS
「Teacher’s Organization of Skill Sharing」の略。前身は向山洋一代表が始めた「教育技術法則化運動」で、優れた教育技術を「法則」として定石化し、「我流の授業を改めよう」と提唱。全国で約1万人の教員が参加し、各地でサークルを作り、指導力向上のための講座などを行っている。

(2011.2.24 読売新聞から転載)

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