2011年12月07日

民間企業が学童保育参入 駅近、教育内容など強みに

小学生を放課後や休暇中に預かる「学童保育」事業に、鉄道会社や大手塾などの民間企業が続々と参入している。不況などの影響で共働き世帯が増える中、今後、ニーズが高まるとみているためだ。各社は立地の良さや保育時間の長さ、教育内容などをアピールし、利用者獲得に力を入れている。

◇夜9時まで延長も

 「今日はクリスマス用のリースを作ります。公園で拾ってきた木の実できれいに飾り付けましょう」

 京王電鉄(東京都多摩市)の学童保育施設「京王ジュニアプラッツ」烏山教室(世田谷区)。京王線千歳烏山駅から徒歩2分の施設では、施設長の河村いずみさんと一緒に、小学1年生の女の子が熱心に手を動かしていた。

 同社は7月、学童保育事業を始めた。沿線に共働き家庭が増えていることから平成19年に保育所運営に参入。「小学生向けの保育もやってほしい」という利用者らの要望を受け、新分野への参入を決めた。現在、1施設を運営している。

 同社の田中恵理・総合企画本部事業開発担当課長は「長時間できめ細かい保育サービスなど、公的な学童保育ではカバーできないニーズに対応している。保護者が送迎しやすい近い立地も強み」と話す。

保育時間は平日午後1~7時だが、夜9時まで延長も可能。冒頭の女の子を預けている会社勤務の女性は「預かり時間が長く、宿題やドリルなど勉強の面倒を見てもらえる点も助かっている」と話す。

 鉄道会社では19年に相鉄ホールディングス(横浜市西区)、20年に東京急行電鉄(東京都渋谷区)、22年にJR東日本(同)が同事業に参入。それぞれ4施設、15施設、2施設を運営(JR東はテナント方式)している。

 大手塾が「学習面」の強みを打ち出し、同事業に乗り出す動きも広がっている。


◇将来の受験を意識


 代々木ゼミナールグループ(同)で進学塾「サピックス」を運営するジーニアスエデュケーション(同)は2月、保育と学習の機能を兼ね備えた学童保育施設「ピグマキッズ」を開設。都内2カ所で運営している。

 保護者と面談して児童個別に学習内容を決め、サピックスが開発した教材を使って算数、国語などの学習ができるのが特徴。英語や環境学習など多様なメニューも用意されている。

安田秀明ピグマキッズ事業部長は「対象は小学1~4年生で、本格的な受験に入る前の基礎作りを行う段階。考える力が身に付くような内容を目指している」と話す。通わせる親の多くは将来の受験を意識しているといい、「塾の生徒の囲い込み」(安田事業部長)も狙っている。

 このほか、教育関連サービスの学研ホールディングス(品川区)が昨年11月、学習塾「明光義塾」などを運営する明光ネットワークジャパン(新宿区)が今年2月にそれぞれ参入。「塾テキストを使った学習や理科実験などを強み」(明光ネットワーク)として、運営拡大を目指している。



◇学童保育の利用児童約82万人


 全国学童保育連絡協議会(東京都文京区)によると、全国の学童保育施設(5月1日現在)は2万204カ所、利用児童数81万9622人。自治体などが設置・運営したり民間企業などに運営委託したりするものが大半で、企業の開設・運営は数十カ所という。保育料は公設が月額4500~1万円程度と企業設置のものよりも安いが(京王ジュニアプラッツの場合、週5日利用で4万3050円)、保育時間が午後6時半までなど限られる施設が多い。同協議会は「潜在需要は50万人以上あり、公設を中心に増設が必要」としている。


(2011.12.7 産経ニュースから転載)

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