2012年11月11日

【いじめと向き合う】 幼児 けんかで成長

園庭で、きりん組(4歳児)の子どもたちが遊んでいた。キックスケーターを乗り回す大柄な康一君(仮名)に、何度も「貸して」と食い下がり、そのたびに突き飛ばされるのは細身の俊太郎君(同)だ。

 やっと譲ってもらい、満面の笑みで走り出すと、見守っていた男性保育士(31)が「良かったなぁ」と声をかけ、康一君には「貸してあげたんや」と頭をなでた。

 大阪府熊取町のつばさ共同保育園では、園児のけんかをできるだけ見守るのが保育方針だ。市原悟子(よしこ)園長(59)は「けんかやぶつかり合いは成長のチャンス。大人が『そろそろ交代ね』と間に入ると、守られる側とたしなめられる側になり、子どもの人間関係がおかしくなる」と解説した。

 この保育方針は、姉妹園のアトム共同保育園が1994年、いじめや少年犯罪の事件が相次いだため、保護者と考えて決めたものを受け継いだ。両園の理事長でもある市原園長は「幼児期に人間関係に悩む体験をすることが重要だ。問題を起こす子どもには、こうした体験が抜け落ちていると感じた」と振り返る。

 気の済むまでやらせて考えさせたり、お互いの気持ちが分かるまで2人きりで話し合わせたり、手探りの連続だった。「仲良くしたいのにたたいてしまう」「本当は一緒に遊びたい」。園児の悩みに耳を傾ける様子がメディアで紹介されると、全国の保育関係者が見学に来るようになった。

 子どもがもめ事を起こす理由は、大人が考えたのとまったく違うことが少なくない。

 ある時期、ぞう組(5歳児)で、遊びの輪に入ろうとした麻里ちゃん(仮名)が、断られて泣き出すことが増えていた。大野京子保育士(34)が「なんでいやなの?」と促すと、麻里ちゃんは「断られるより、みんなに一斉に言われるのが悲しい」と話し始めた。

 女の子たちは、涙の理由を知って神妙な表情になり、「これからは1人ずつ話すようにするね」と約束。以後、言葉に気遣いが生まれ、トラブルは減っていった。「入れてあげなさいと叱ったのでは、同じようなけんかを繰り返したでしょう」と大野保育士は説明する。

 市原園長は強調する。

 「互いの気持ちが分かればいじめに発展することはない。いじめ予防は幼児期に始まっているのです」(大広悠子)

 メモ 共同保育園とは、保護者と保育士が協力して運営する保育園のこと。保育園が不足した1960~70年代に、保護者が資金を出し合って保育士を雇う形で始まったケースが多く、当時はほとんどが「無認可園」だった。その後「認可園」になったところもある。現在でも父母会活動が盛んで、保護者の意見が園の運営方針に積極的に反映されている。


(2012.11.8 読売新聞から転載)


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