2013年10月24日
小学生の体力向上+仲間作りに「遊びの工夫」広がる
「遊びの天才」のはずの子供に「遊ばせる」ための工夫や仕組みが必要な時代のようだ。低迷する小学生の体力向上などのため、校庭の遊具を工夫したり、児童を楽しく「遊ばせる」取り組みを進めたりする小学校がある。よく遊び、よく学ぶための仕掛けとは-。(村島有紀)
◆元気アップタイム
東京都足立区の区立足立小学校(樋口昇校長)では始業前の25分間を「元気アップタイム」として、低学年、中学年、高学年に分けてそれぞれ週1回、実施している。
遊びの仕掛けをつくるのは「プレーリーダー」と呼ばれる担任の教諭たち。子供たちは、プレーリーダーが用意したジグザグに走るかけっこ遊びのコーナー、丸めた新聞紙を銀紙で包んだ「キラキラボール」投げのコーナーなど好きな場所に集まり、思い切り体を動かす。
「今の子供たちは遊びに慣れていない。仕掛けを用意しないと鬼ごっこぐらいしかしないから」と5年生担任の水沢弾教諭。3年生担任の武田千恵子教諭は「ジグザグに跳んだり、くぐったり、投げたり、普段しない動きをすることで、脳に『快』のスイッチが入り、心地良さが記憶される。朝から夢中になって遊び、汗をかくことで発散し、その後の授業も集中しやすくなる」と話す。
◆仲良くなるために
コミュニケーションの醸成のため、遊びに着目した学校もある。少子化が進み、小学校の統廃合を進める広島県三原市では今年度、11校が3校に統廃合された。「子供たちに早く仲良くなってもらいたい」(同市教育委員会)と、3校に導入したのが大型アスレチック遊具などデンマーク製の遊具だ。
デンマーク製の遊具は鉄棒やジャングルジムといった従来の体育遊具と比べ、上ったりぶら下がったりなど、一つの遊具でさまざまな動きができるのが特徴。また、回転遊具は何人で遊んでも壊れる心配がなく、児童たちが団子のように群がって遊ぶ様子が見られるという。
従来の遊具と比べ、遊ぶときのエネルギー消費量も多いことが分かった。広島大大学院の七木田敦教授(幼児教育)らが、4つの小学校が統合した同市立久井小学校で、統合前と統合後の児童の学校内での運動量を調査した。その結果、1日の平均歩数は減ったものの、エネルギー消費量は約80キロカロリー増えていた。
七木田教授は「大型アスレチックの運動効果が高いことが分かった。学区が広くなったため、スクールバスを利用する児童が増え、運動不足が懸念されたが、学校内で遊びを充実させることで多少は補うことができるのでは」と話している。
■時間・空間・仲間の「3つの間」
文部科学省によると、子供の体力・運動能力は昭和60年頃をピークに低下している。平成13年以降は回復傾向にあるものの、ピーク時には及ばない。原因の一つが、外遊びの減少など運動時間の不足だ。
原因として教育関係者の間で指摘されているのが、「3つの間」の欠如。塾や習い事に忙しく「時間がない」▽広場や公園はあっても「ボール遊び禁止」など禁止事項が多く、遊ぶための「空間がない」▽少子化などで、一緒に遊ぶ「仲間がいない」-だ。
山梨大大学院の中村和彦教授(発育発達学)は「子供の頃、いろいろな運動や遊びをしていた方が大人になっても新しいスポーツに挑戦するなど体を活発に動かす傾向がある。1つのスポーツでは不十分で、多様な遊びや複数のスポーツによって、基礎的・基本的な体の動きができるようになる」と指摘している。
(2013.10.23 産経ニュースから転載)
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