2015年10月19日

日本の子育てと公教育に足りない重要な視点

 米シカゴ市郊外。貧困層が多く住むエリアに「シカゴハイツ幼児センター」と呼ばれる施設がある。幼稚園の一種だが、単なる幼稚園ではない。ここでは、世界が注目する試みがなされている。


 同センターは2010年、シカゴ在住のヘッジファンドマネージャーによる1000万ドル(約12億円)の寄付によって設立された。毎年、1000~1200人の中から抽選で選ばれた3~5歳児、約500人が入園する。

 内訳はヒスパニック系が45%、アフリカ系米国人45%、白人10%。全員が米政府の定める貧困ライン以下の家庭の子どもたちだ。1クラスの児童数は15人、そこに教師、アシスタントが1人ずつ付く。


■ 生涯にわたって教育効果を図る

 クラスは大きく3つに分かれる。

①学力につながるスキル(認知スキル)を鍛えるクラス。数字の数え方や書き方、読書、英語などを教える

②学力以外のスキル(非認知スキルと言われる)を鍛えるクラス。共同作業などを通じてチームワークや粘り強さ、忍耐力などを養う

③親向けのクラス。センターに通っていない子どもの親が参加し、まず親を教育し、親が自ら子どもを教育するよう指導される。

 これらの試みは、幼稚園で学んだことが子どもたちにどんな影響を及ぼすのか、生涯にわたって追跡調査する。3グループのほか、プログラムに参加できなかった子どもたちとの比較を通じて、教育効果を把握する。

 親向けのカリキュラムは、親を通した間接的な教育がどれだけ効果を発揮するかを調べるためのものだ。子どもと一緒に宿題をやり通すなど、決められたことを完遂したら、年間で最高7000ドルの現金を受け取れる。

 面白いのは、現金だけでなく、将来、子どもの進学に利用するために貯金(信託に預ける)を義務づけたグループがあることだ。両者を比べることで、どのような報酬が人にとって効果があるかを測る。

 今、米国では子どもに対する早期の教育が、その後の人生に決定的な影響を与えるという研究が注目を集めている。そして大事なのは、学力やIQ(知能指数)だけでなく、忍耐力や自制心、やり抜く力など、目に見えない力=非認知スキルであることがわかってきた。


シカゴハイツ幼児センターの試みでは、たとえば以下のことがわかった。

①もともと非認知スキルが高かった子どもたちがカリキュラムから最も大きな成果を得た

②親向けカリキュラムでは黒人家庭でのみ成果が見られなかった

③現金と信託に預けるグループでは親の意欲は変わらない

 などだ。具体的な検証はこれからだが、これを主導したシカゴ大学経済学部のジョン・リスト教授は、「プログラムに参加した子どもたちが大人になったとき、労働者としての生産性が高まり、犯罪に手を染める可能性が減るなど、大きな成果が出るだろう」と語る。

■ 日本は教育を「科学」しているか

 米国だけではない。OECD(経済協力開発機構)をはじめ、世界で早期教育、非認知スキルの重要性が再認識されている。さらに共通する潮流が、教育を科学的に分析しようとする取り組みだ。社会実験等を通じ教育への効果を客観的に把握し、それを政策に生かそうとする。

ゆとり教育、子ども手当、少人数学級の導入……。日本では客観的な検証なく導入された教育政策は多い。教育を「科学」する――。それこそ、これまでの日本の教育議論に不足していた部分だろう。週刊東洋経済は10月24日号(19日発売)の特集『教育の経済学』で、その最前線を追った。今後は科学的根拠(エビデンス)に基づく幅広い議論が期待される。そして早期教育の充実は、日本でも問題となっている教育格差や、子どもの貧困を解決する一助になるはずだ。


(2015.10.19  東洋経済から転載)


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