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2016年09月06日

小中学校で起業体験のモデル事業を実施へ


文部科学省は、経済産業省などと連携して、小中学校における「起業家教育」に力を入れ始めました。なぜ今、起業家教育が必要なのでしょうか。そもそも起業家教育とは何なのでしょうか。そこには、21世紀を生き抜く子どもたちにとって、必要な力とは何かという問題があるようです。

チャレンジ精神などの「素質」育成

欧米諸国などと比べると、日本では、ベンチャー企業などを立ち上げるなど、起業する若者が少ないことが、課題の一つとなっています。金融機関の融資の在り方や、各種の規制が多いなど、経済的な仕組みも問題ですが、もう一つ、日本社会の意識として、安定性を重視し、「起業」という言葉にどこかマイナスイメージを感じる者が少なくないということが挙げられます。


これに対して、早くから起業家教育を推進している経産省は、起業家教育を「チャレンジ精神、創造性、探究心等の『起業家精神』や、情報収集・分析力、判断力、実行力、リーダーシップ、コミュニケーション力等の『起業家的資質・能力』の育成を目指すもの」と定義しています。つまり起業家教育とは、起業家を育成するための教育ではなく、起業家の素質を持った子どもたちを育てるものだということです。

これらの資質・能力は、「生きる力」の育成を目指す現在の教育にもつながる部分が多く、特に、他者と協働しながら主体的に学ぶアクティブ・ラーニング(AL)を通じて、思考力・判断力・表現力などを育成するという、次期学習指導要領の考え方にもつながってきます。


ただ、現実的な問題として、起業家教育は歴史が浅いため、多くの学校では、どう取り組めばよいのかわからないことが大きな課題となっています。このため経産省は2015(平成27)年に、文科省と協力して学校での起業家教育の成功例などをまとめた事例集を作成しました。これに続いて文科省では、2016(平成28)年度から「小・中学校等における起業体験推進事業」をスタートさせ、全国でモデル地域を選定したうえで、起業家教育への取り組みを始めました。



特産品の商品化、模擬会社で販売も

モデル地域に選ばれたのは、秋田県・愛知県・京都府・山口県・徳島県・熊本県の6府県教育委員会、そして仙台市・横浜市・京都市・奈良市・熊本市の5市教育委員会の計11教委です。


各教委の事業計画書を見ると、総合的な学習の時間などを活用し、民間企業や経済団体などと連携して、外部講師による起業家講習などを受けたあと、地元の特産物を活用した商品などを地元企業と連携して考案し、それらの商品化を実現。さらに模擬会社を作って、子どもたち自身が考案した商品を販売するという計画を立てているところが多いようです。

また、特産物などの商品化、販売ルートの開拓などを通じて、地元産業や地域社会と協働することで、「地域とともにある学校」を目指すことも、もう一つの狙いとなっています。

未来が不透明な21世紀の社会では、言われたことを忠実に実行するというだけでは、生き残れません。起業家になるかどうかは別にして、起業家精神は、多くの子どもにとって、これから必要なものになるのではないでしょうか。


(筆者:斎藤剛史)

ベネッセ教育情報サイト  2016.9.6転載






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