主張・感想

2012年05月23日

幼児のiPad利用は是か非か 専門家の意見分かれる

今や米国の幼児の半数以上は、タブレット型携帯端末「iPad(アイパッド)」やスマートフォン(高機能携帯電話)の「iPhone(アイフォーン)」といったタッチスクリーンを使った携帯機器に触れている。

 子どもたちが長い時間をテレビやゲームに費やすようになって久しい。しかしタッチスクリーンの機器が子どもたちに及ぼす影響を研究している小児専門の神経科学者や研究者らは、これらの機器はテレビなどとは異なる効果を持つと示唆する。

 マサチューセッツ大学で心理学を教えるダニエル・アンダーソン名誉教授は、小さな子どもたちは1時間に150回、テレビ画面から目をそらすと指摘する。30年間におよぶ同教授の研究はまた、画面を見つめる子どもたちの視線が定まらないことを示している。

 一方、よくできたiPadのアプリは、より視線を引きつける。子どもが触る場所とアクションが起こる場所が多くの場合同じだからである。

 研究者の多くはこの特徴が子どもたちの学習を助けることになると期待している。「iPod Touch(アイポッドタッチ)」を利用したある研究によると、言語能力を育成する教育アプリ「Martha Speaks(マーサ・スピークス)」を使用した4~7歳の子どもたちの語彙力が伸びた。対象となった13人の5歳児の語彙力は平均27%伸びた。また別の教育的アプリを使用した研究でも、3歳児が17%の伸びをみせる同様の結果となった。

 シアトル小児病院で子どもたちの行動や発達に関する研究の責任者を務めるディミトリ・クリスタキス氏は「このようなテクノロジーが子どもに与える影響に関する研究は少ない」と指摘する。

 脳は生後数年の間に最も発達する。人間は脳細胞1個につき約2500のシナプスを持って生まれてくる。この数は3歳までに1万5000にまで増える。そして年をとると、その数は減っていく。

 クリスタキス氏によると、この時期にテレビを多く見た子どもほど、後に注意力に関わる問題を抱えやすいという。この調査は、研究室ではなく観察によって行われた。ただ、テレビと注意力の相関関係を示す研究は、ほかにはない。同氏はタブレット型携帯端末と子どもたちに関する研究はしていないが、子どもたちへの影響はテレビと同じようなものか、もしかすると、より著しいのではないかと同氏はみている。同氏はインタラクティブ(双方向性)という「iPadの強みの1つは、欠点かもしれない」と話す。

 私が息子に初めて借り物のiPadを持たせたのは、国境を越える旅客機に搭乗したときで、息子は2歳半だった。その前に飛行機を利用した際、息子は4時間のフライト中ずっと泣いていたので、iPadを持たせれば機嫌良く過ごしてくれるかと期待した。息子はすぐに使い方を理解し、5時間の飛行時間をゲームやお絵かきアプリで楽しんだり、アニメを見たりして過ごした。

 約1年後、妻と私はiPadを購入した。言葉ゲームやパズルを入れ、息子がもっと定期的に使えるようにした。息子はすぐに言葉の知識を身につけたようだった。ただ、心配なこともあった。息子がiPadを使っているときは「トランス状態」のようになってしまい、名前を呼んでも反応しないのだ。

 「それは集中しているため」だと指摘するのは、ジョージタウン大学のサンドラ・カルバート教授だ。たとえばレゴブロックに没頭しているときと生理的に同じだと、カルバート氏は言う。心理学者はそれを「フロー体験」を呼んでいる。

 ただ、微妙な違いがある。レゴブロックでは、完成したことを決めるのは子ども自身だ。一方、iPadではアプリが、課題が正しく達成されたかどうかを決める。研究者らは、この違いが子どもたちにどんな影響を与えるのかは不明だとしている。

 息子にiPad をやめさせるよう仕向けることは、すぐに毎晩のひと仕事になった。ボストンの小児病院でメディアと子どもの健康を研究する部門の責任者、マイケル・リッチ氏はその理由を「(iPadのアプリが)ドーパミンを噴出させるため」だと説明する。

 子ども向けの多くのアプリは、報酬を与えたり、思いがけないタイミングで興奮するような視覚効果を見せることでドーパミンが放出されるように作られている。そうすれば子どもたちが遊び続けるからだ。

 妻と私は子どもにiPadを使わせることをやめた。今では息子はめったにiPadを使いたがらない。息子は4歳で、息子の友達もiPadの流行りのゲームについて話したりしないので、iPadがないことを意識していないのだ。

 私たちが正しいことをしたのかどうかについて、取材をした専門家たちの意見は分かれた。約半数が、自分の子どもがいつもiPadで遊びたがり、ないからといってすすり泣くような行動をとれば、同じことをしただろうと述べたのに対し、残りは私たちが過剰に反応しすぎていると言った。

ウォール・ストリート・ジャーナル 2012.5.23  配信

jyukennews02 at 12:17|Permalink

2012年05月19日

「心の脳」を育てる読み聞かせ

読み聞かせは「心の脳」に届き、親と子の絆を強める-。脳科学が明らかにした心や脳の働きを踏まえ、乳幼児教育の新しい取り組みが始まる。学習塾大手の日本公文教育研究会(大阪市)は、読み聞かせや歌など言葉のやりとりを中心に据え、0~2歳児を対象に「Baby Kumon」を6月から全国約8000カ所の教室で開始する。

 「心の脳」は喜怒哀楽などの感情を司る、大脳内側の大脳辺縁系を指す。認知神経科学を研究する東京医科歯科大大学院の泰羅雅登(たいら・まさと)教授が命名した。公文との共同研究などから「読み聞かせは、理性や思考にかかわる脳の前頭前野を働かせるのではなく、辺縁系の動きを活発化させる」とする。

 「感情は行動の出発点でもあり、喜怒哀楽をきちんと理解することは、しつけや親子関係を築く上でも重要です。読み聞かせは『心の脳』に働きかけますが、その効用は子供のきらきら輝く目、豊かな表情を見るだけでも明らかです」

 そう語る泰羅教授との研究成果と公文としての知見を基に、「Baby Kumon」は親子の絆を育み、学びの土台をつくることを狙いとする。絵本やCDなどの教材を楽しみながら親子のコミュニケーションを図り、毎月1回、最寄りの教室で先輩ママでもある先生からサポートを受ける。公文の橋口健乳幼児普及推進部長は「絆を育み、親と先生が寄り添い、地域密着の安心感がある学びを提案したい」と話す。

2012.5.19 産経ニュースから転載


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jyukennews02 at 17:44|Permalink

2011年11月12日

「早寝で学力、体力向上」、小澤東海大教授が講演/横浜

全国都道府県体育・スポーツ・保健・給食主管課長協議会の総会が11日、横浜市中区で開かれた。講演した東海大体育学部の小澤治夫教授は、夜更かしなど小中高校生の生活習慣の悪化に警鐘を鳴らし、「早寝が学力と体力向上につながる」と強調。夜更かしの要因となる携帯電話やテレビなど画面に向き合う時間を1日1時間以内に限定する必要性を訴えた。

 筑波大付属駒場中・高で25年間、保健体育を指導してきた小澤教授は、全国各地の学校で実施した調査研究を基に、「夜更かしが朝ごはん抜きにつながり、貧血など体調の悪化が力を出し切れない悪循環につながっている」と指摘。

 全国学力テストで上位の福井、秋田の両県では体力テストでも上位に並ぶ。その理由は夜更かししない生活習慣が根付いていることなどと分析。実際に改善に成功した学校の事例を基に、「早寝する生徒は授業中に居眠りしない。結果的に運動や勉強に集中できる」と教師も含めた生活習慣の改善を呼び掛けた。

 同協議会は都道府県の保健や体育などを所管する課長などで構成。情報交換や調査研究、文部科学省に予算要望などを行っている。

(2011.11.12 カナコロから転載)

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jyukennews02 at 22:48|Permalink

2011年10月24日

[主張] 全国学力テスト 直ちに「全員参加」に戻せ

小学6年と中学3年を対象に行われた平成23年度全国学力・学習状況調査(学力テスト)で、文部科学省に問題配布を希望した学校が全国の76・2%を占めた。

 学力テストは民主党政権下で「過度の競争を招く」とする日本教職員組合(日教組)の主張に沿う形で全員参加から抽出方式に変更された。

 だが、テストを希望する学校が多い実態は、日教組や政府方針の誤りを明確に示している。野田佳彦政権は学力テストの需要の高さを真剣に受け止め、速やかに全員参加に戻すべきだ。

 学力テストは昭和30年代、中学生対象に行われていた。だが、日教組の激しい反対闘争で国は昭和39年を最後に実施をやめた。

 その後、「ゆとり教育」の下で児童生徒の学力低下が表面化し、教育のあり方に不信が拡大した。これが「教育水準の維持向上」という国の責任を明記した教育基本法改正につながり、学力テストも平成19年度から43年ぶりに全員参加方式で復活した。

 ところが22年度から、競争原理の排除や50億円超に及ぶ費用の問題などを理由に全員参加から「サンプル抽出」方式に改められた。さらに、対象の児童生徒数も当初は全体の4割抽出だったのが、行政刷新会議の事業仕分けにより3割抽出に減らされていた。

 保護者だけでなく学校、教師らも「子供が普段の授業内容を身に付けているかを知りたい」と全員参加のテストを望む声は強い。今回も、秋田、広島などの14県で希望校は100%に達した。

 学力テストは教師が授業を工夫する上でも多くのヒントになる。同一条件下で継続調査を蓄積して初めて読み取れる傾向もある。授業をやりっ放しで済ませるような姿勢こそが問題なのだ。

 文科省は専門家検討会議が「数年ごとにきめ細かい調査が必要」とした報告を受け、25年度のみ全員参加で行う。24年度は「理科離れ」対策として国語と算数・数学に理科も加えるなど一定の改革を決めた。だが、到底十分とはいえず、改革を加速すべきだ。

 一方、国も地方もテスト結果の公表に消極的だ。「競争を煽(あお)る」との批判が根強いためだが、学力テストを真の学力向上につなげるには子供や親にも結果を明かし、学校や地域単位で教育を見直していくことが欠かせない。

(2011.10.24 産経ニュースから転載)

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jyukennews02 at 08:53|Permalink

2011年03月28日

教師が保護者を訴えた意味 【教育評論家・石井昌浩】

昨年9月、埼玉県行田市立小学校の女性教師が、度重なるクレームで不眠症になったなどの理由で担任する3年の児童の両親を相手に慰謝料を求めて提訴した。親が教師を訴えるのは今どき珍しいことではないが、教師が親を訴えるのは初めてのことで、訴訟の是非について議論が起きている。

 どっちもどっちだという言い方も聞くが、私はそうは思わない。この訴訟は、今まで一方的に保護者から攻撃され続けてきた教師の側が、初めて、司法の専門家である裁判所の判断を求めた一種の緊急避難と考えるべきだと思う。

 教師は今や、まるでサンドバッグのように打たれっ放しの状態に陥っているのではないか? 文部科学省の問題行動調査によっても、ここ数年小学生の対教師暴力が増加している。教師は、子供や親からの攻撃にじっと耐え続け、専門職としての誇りをはぎ取られている。教師が親を訴える非常手段に出た事実を、今の教育が抱える困難を象徴しているものと見なければなるまい。

少なくとも30年ほど前までは、親は教師にそれなりの敬意のまなざしを向けていたような気がする。教師に面と向かって大声で怒鳴ったり、何時間も続けて電話で抗議したりする親は稀(まれ)だったと思う。ところが近頃では、教師を教育サービスの提供者のように見なす一方で、自分たちはビジネスとしての教育サービスの受け手であるかのように勘違いする親が増えてきている。

 親の間には、教師には何を言っても許されると錯覚する風潮が広まっている。一部の親は公立学校の教師をなめきっているのだ。多くの学校では今、些細(ささい)なクレームでも校内のことは何でも「校長を出せ!」という話になりつつある。スーパーで買い物をして何か気に入らないことがあるとすぐキレて「店長を出せ!」と大騒ぎする不心得な客に似ている。わが子のことしか見ることのできなくなった親の身勝手な要求や、常識というブレーキの壊れた親の問題行動によって学校の教育機能が破壊され始めていると言っていい。

 自らの思い込みを絶対視して、理不尽な要求を突きつける一部の親に、教師たちは心身ともに疲れ果ておびえている。私の耳に入る限りでも、親の度を過ごしたクレームが原因でノイローゼ寸前に追い込まれる校長や教師が目立って増えている。

 今度の訴訟について「教師が親を訴えるのは前代未聞」「訴えるべき相手は上司として自分をサポートしなかった校長と市教委」と批判する人もいる。しかしこれは、事実を見ないお門違いの考えだ。問題を担任に任せて逃げ回る校長や教育委員会が多い中で、校長と市教委は筋を通してきちんと対応していると思う。

もうそろそろ、公立学校の教師をやみくもに非難し追い込むのはやめようではないか。学校教育の現場に、学びにふさわしい静かな環境と秩序を取り戻そうではないか。その上で教師には、教えることについての誇りを回復してほしい。

 東日本大震災は、地震・津波・原発事故という戦後最大の災害となった。避難所に充てられた学校で、教職員は黙々と被災者を支援している。希望を捨てず、たじろぐことなく困難に立ち向かう大人の姿を目にして、子供たちは、きっと何かを学び取ってくれるに違いない。


【プロフィル】石井昌浩

 いしい・まさひろ 都立教育研究所次長、国立市教育長など歴任。著書に「学校が泣いている」「丸投げされる学校」。


(2011年3月28日 産経ニュースから転載)


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