2017年01月09日

子供のうちにプレゼン磨け ユニーク塾が大人気


産経新聞 

子供のうちにプレゼン磨け ユニーク塾が大人気

パソコンで作ったオリジナルマークを見せ合い、互いに意見を述べる児童=東京都港区の子ども未来キャリア塾(写真:産経新聞)


 ■対話型授業で活発議論、発言力伸ばす

 少子化が加速し、塾業界の多様化が進む中、将来役立つ「プレゼンテーション能力」を子供のころから育成するユニークな塾が相次いで登場している。対話重視のアクティブ・ラーニングを取り入れたり、読書の個別指導で感想を引き出したりと、子供が自由に意見を述べられる環境や機会を提供している。(篠原那美)

                   ◇

 東京都港区の「子ども未来キャリア塾」。児童3人が電子黒板に映し出された1枚の写真を眺めていた。髪や肌の色が異なる複数の陸上選手が駆け出す瞬間の写真は、昭和39年の東京五輪でポスターに採用されたもの。だが、マークなどを隠しているため、五輪のポスターとは分からない。

 「これは何のポスターで、どんなメッセージが込められているんだろう?」。講師の岩崎格大(ただひろ)さんが質問すると「オリンピック」「世界陸上」という声に続き、ある児童がこう答えた。「『人種差別をしない』だと思う。いろんな人種の選手が平等に走っているから」。岩崎さんは目を細めて「なるほど、そうだね」とうなずいた。



 ◆「自由に発言、楽しい」

 同塾のカリキュラムには「プレゼンテーション能力」や「創造力」「批判的思考」などのビジネススキルが並び、授業では対話、協働作業といった「アクティブ・ラーニング」を採用している。

 「小学生のころから論理的に考え、発言することに慣れていれば、就活でも社会人になっても人前で話すことが怖くなくなる」と、同塾を運営するイー・ラーニング研究所の多田恭平さんは説明する。

 小学5年生の女子児童(11)は「学校では、はっきり意見を言うと相手が傷ついてしまうかもしれないと思って黙ってしまうけど、ここではみんなが意見を言える。自由に発言できるのは楽しい」。

 読書感想を講師がマンツーマンで聞き出し、表現力を伸ばそうとする塾もある。東京都文京区にある「RISU塾」はタブレット端末による算数指導と、読書の個別指導に力を入れている。科学者や医師など実社会で活躍している人々が子供時代に影響を受けた本など約130冊を課題図書に選定。

 最大の特徴は、講師と生徒が印象に残った場面などについて話し合うことだ。「この場面、先生はドキドキしたけれど、どう思った?」と対話を促す。同塾を運営する「RISU Japan」取締役の加藤エルテス聡志さんは「人に説明することを意識した読書は深い理解につながる。対話が表現力やプレゼンテーションスキルの基礎になってくれれば」という。



 ◆指導要領を先取り

 子供の発言力を伸ばす試みは、学校教育でも取り入れられている。現行の学習指導要領には「言語活動の充実」が盛り込まれており、国語を中心に討論などの機会も増えた。平成32年度から実施される次期学習指導要領では、さらにアクティブ・ラーニングが導入され、子供同士の話し合いの機会が増える。

 塾業界にもこうした流れが出てきたことに、ベネッセ教育総合研究所の吉本真代研究員は「一朝一夕には身につかない発表・議論の力を、小さいころから身につけさせておきたいというニーズが背景にあるのではないか」と分析。同時に、「アクティブ・ラーニングは知識を活用し理解を深めるための学習法。子供の学習には知識の習得と活用の機会の双方が必要だ」と指摘している。






ランキングに参加しています。 


    
  


人気ブログランキングへ  人気ブログランキングへ


幼児のためのダウンロード問題集

東京・神奈川の幼稚園情報満載! 『幼稚園受験.com』

西東京版 『幼稚園受験.com』

関西版 『幼稚園受験.com』

小学校受験ポータルサイト 『小学校受験新聞』

中学受験情報満載 『中学受験わかばナビ』

子育て・育児サイト 『キッズライフなび』





jyukennews02 at 00:14|Permalink

2015年08月28日

受験ビジネス、「金の卵」争奪 優秀な子狙い再編 小中高の垂直展開、加速



受験ビジネス業界が大再編時代に入っている。中学から大学受験まで対応する「垂直展開」を狙い、大手予備校が、有力学習塾買収に動いているからだ。少子化で受験生は減るが、1人の子どもに注がれる教育費はむしろ増加傾向。これを逃すまいという取り組みが続いている。


 難関大学受験で定評のある通信教育「Z会」を展開する増進会出版社(静岡県長泉町)は今月1日、学習塾最大手の栄光ホールディングス(HD)へのTOB(株式公開買い付け)が成立したと発表した。買収総額は約137億円だ。

 売上高が約190億円の増進会にとって大きな「賭け」だが、受験生の減少で、10年間で売上高が1割超減ったことが背中を押した。栄光HDは約430教室、約6万6千人の生徒を抱える。増進会の藤井孝昭社長は「リアルな教室を持つ栄光は魅力的だ。通信と融合させたい」と話す。

 文部科学省によると、大学・短大の受験者はピーク時に比べ4割減った。大学受験生を相手にする予備校や通信講座は生き残りに必死だ。いかに優秀な生徒を集め合格実績を上げていくかが、競争に勝ち抜くカギになる。そこで有望な生徒を多数抱える中高受験の学習塾との統合が進む。

 走りは2006年、「東進ハイスクール」を展開するナガセによる中学受験の老舗、四谷大塚の買収だ。四谷大塚の卒業生は東進への入学金を割り引いている。代々木ゼミナールも09~10年、難関中高受験で実績のあるSAPIX(サピックス)をグループ化した。サピックス代ゼミグループの高宮敏郎共同代表は「受験勉強の低年齢化に対応するため」と狙いを語る。

 M&A(合併・買収)助言会社レコフによると、塾・予備校のM&A(出資を含む)が過去最多だったのは07年の33件。いったん減少したが、今年1~6月は07年同期と同じ12件に増えた。

 厳しいとされる受験ビジネスだが、実はうまみのある市場でもある。受験生は減っているが、親が子ども1人にかけるお金はむしろ増えているからだ。日本政策金融公庫の調べでは、高校生の学習塾費用など「家庭教育費」は99年度から13年度までに25%増加した。

 「学研教室」で知られる学研HDは06年以降、各地の進学塾11社を相次いで買収し、受験ビジネスに本格参入した。

 魅力的な学習塾は争奪戦になる。難関中高受験に定評のある早稲田アカデミーの株式はナガセが買い進め、約18%を握る筆頭株主に。学研HDや「明光義塾」を運営する明光ネットワークジャパンなど同業他社も大株主に名を連ねる。早稲田アカデミーの瀧本司社長は「難関校受験に強いというブランドを大切にするため、独立でやっていきたい」と話す。



 ■スポーツ教室にも参入

 受験ビジネスから、さらに一歩先にウィングを広げる動きも目立つ。

 「体でぶつかるのではなく、技術でボールを取るんだ」。東京都練馬区のフットサルコートで、小学1、2年生約10人がサッカーボールを追う。明光ネットワークジャパンが手がける学童保育のサッカー教室だ。明光は11年に学童保育を始めた。

 子どもたちはサッカーを終えると、学童保育の教室で算数や国語、思考力を学ぶ。預かりは午後7時までだが、最大で午後10時まで延長できる。基本料金は週5日で月額5万4千円。自治体(東京都内でおおむね3千~6千円)と比較するとかなり高額だが、親のニーズは高いという。広報担当者は「サッカーや学童保育といった低年齢の子どもにもサービスを提供し、生徒の裾野を広げたい」と話す。

 ナガセも08年にイトマンスイミングスクールを買収した。「体も、頭も」をスローガンに、水泳教室で取り込んだ子どもを、中学受験に強い四谷大塚の受講につなげるもくろみがある。

 通信教育大手のベネッセHDは4月末、米IT企業と組んで社会人向けにオンラインで様々な講座を視聴できるサービス「ユーデミー」を始めた。

 昨年11月には子ども向け英会話教室のミネルヴァインテリジェンス(東京)を買収したほか、今年10月には大学生の就職活動を支援するサービスも始める。ベネッセの原田泳幸会長兼社長は「少子化のなかで子どもの時間は奪い合いだ。通信教育に依存した事業構造を変えたい」と意気込む。


 ■学習塾の買収が相次いでいる

 買収先/時期/買収額/買収先の特徴

     *

 ◇ナガセ(東進ハイスクール)

 四谷大塚/2006年/58億円/中学受験の老舗

 ◇ベネッセHD

 東京個別指導学院/2007年/129億円/個別指導塾

 ◇代々木ゼミナール

 SAPIX/2009~10年/非公表/難関中高受験に強み

 ◇ウィザス(第一ゼミナール)

 学習受験社(ガゼット)/2012年/非公表/九州などで学習塾

 ◇ベネッセHD

 アップ/2012年/80億円/関西で学習塾

 ◇学研HD

 全教研/2013年/30億円/九州などで学習塾

 ◇増進会出版社(Z会)

 栄光HD/2015年/137億円/塾や英会話教室など展開


(2015.8.28 朝日新聞から転載)

ランキングに参加しています。 


    
  


人気ブログランキングへ  人気ブログランキングへ


幼児のためのダウンロード問題集

東京・神奈川の幼稚園情報満載! 『幼稚園受験.com』

西東京版 『幼稚園受験.com』

関西版 『幼稚園受験.com』

小学校受験ポータルサイト 『小学校受験新聞』

中学受験情報満載 『中学受験わかばナビ』

子育て・育児サイト 『キッズライフなび』






jyukennews02 at 16:21|Permalink