近江八幡の安土城跡に近い山にある開基を聖徳太子とする古刹です

2019.06.22No1

昨日の夕方から降り始めた雨も夜明け前に止んだようですが、深い朝霧に覆われた駅前のホテルを出ました。この数日間は地図の代わりのカーナビに目的地を入力して、音声に従い車を走らしてきました。

少し前までは観音正寺の参道は急な石段を苦労して登たのでしょうが、今は西側と東側の両方から車で登れるようになっています。カーナビは近江八幡駅から時間的に近い西側ルートを選択しています。しかし、お寺のHPでは駐車場から緩やかな参道の東側ルートを勧めているので、安土城跡を通過し東に大回りしました。

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駐車場に着いても深い霧は消えません。静寂を切り裂くように、短い間隔で新幹線のレールの音が響きます。それ以外は静穏としている不思議な趣の参道を歩きます。最初に出会ったのが観音正寺の奥の院です。鳥居の奥の巨石も朝霧に埋もれ、神仏の境界線すら亡くなってしまった感があります。元々存在しないのが我が国の信仰なのでしょう。

少し歩き2004年に落慶した本堂前に来ました。霧に包まれた本堂も古くからの建造物といった趣がありあるます。朝霧は何もかも朧げにしてしまいます。

 

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秘仏が大半の西国霊場ですが、新たに刻まれた白檀の千手千眼観音坐像の本尊前でノンビリと納経も済ませました。納経帳にも印を頂き、珍しく参拝記念と「御本尊御分身 白檀根付」を頂きました。

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次第に朝霧が消えて行きます。青空から光に包また境内は全く異なった印象ですが、変わらないのは新幹線レールの事です。その音を聞きながら9年間と長かった巡礼の旅も終わったと思いました。

 

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高野山から始まった四国遍路、サンチャゴ巡礼、2回目の通し打ち歩き遍路、三度目歩き遍路の高知での結願、今回の西国巡礼と繋がってきました。言葉に纏まりせんが満願寺を前にして「確かに何かと触れ合った」と実感したことで、巡礼の終わりを感じました。一度目の四国遍路の途中で地元の方が「キットお大師様にお会いするよ。それは鳥や花やミミズかもしれないが」と言われることが納得できたと思いました。

西国巡礼で多くの霊場を思いだすのでしょうが、朝霧の本堂でお会いした千手千眼観音坐像は忘れることがないと思います。朝も早々だったのか本尊を清められている白衣の僧侶の姿に、サンチャゴ大聖堂でヤコブ像に後ろからしがみ付いて祈った私たちを見たようでした。

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西国巡礼は江戸時代になると、観音信仰と庶民の物見遊山と合わさった旅だと言われます。何かと線引きし理屈を重ねるよりも、何れも旅を与えて下さった方の慈悲を身近に感じます。

 

【安土城跡の本丸まで登って基礎石を見つめ、形あるものは全てなくなり、何かの礎になることを教わりました】