法律一般（日本）
2007年06月25日
二つの基準
Ｑ．
我がぼろ車の自動車保険（任意)の更新時期が到来しました。
交通事故の損害算定基準は、弁護士会基準（青い本）と任意保険会社基準がありますよね。
被害者サイドから見れば弁護士会基準が有利。
損保会社から見れば任意保険会社基準が有利。
これらが一本化されない理由は、何なんでしょうね？
損保会社も営利団体である以上出来る限り保険金の支払を抑えたい。
弁護士にしてみれば被害者の弁護に立つことでフィーがいただける。
そういう利害関係が働いてしまっているのでしょうか？
法的には、弁護士会基準のほうが理に適っているわけですが。
Ａ．
お問い合わせありがとうございます。
本音の部分では、まさに貴殿のご指摘は正鵠を射ています。
建前で言えば、損保会社とは契約によって保険金が支払われることになっており、ここには「私的自治の原則」が働くことから、余りに不当な基準でない限り、かかる基準に拠る事も認められるわけです。
一方、弁護士はこの様な契約関係で損害額を算定することはなく、法的観点から認められると判断される損害額の基準として用いるわけで、そこには「公平」という価値も含まれるので、両者の間にずれが生じることになるわけですね。
> 法的には、弁護士会基準のほうが理に適っているわけですが。
ま、最終的には裁判所が認定して賠償額を決定するので、何ともいえないわけですが。
一部の弁護士には任意保険会社基準を見直すべく活動をしていらっしゃる方もあるようですが、社会正義には繋がりますが、同業者からは嫌われること請け合いです。
我がぼろ車の自動車保険（任意)の更新時期が到来しました。
交通事故の損害算定基準は、弁護士会基準（青い本）と任意保険会社基準がありますよね。
被害者サイドから見れば弁護士会基準が有利。
損保会社から見れば任意保険会社基準が有利。
これらが一本化されない理由は、何なんでしょうね？
損保会社も営利団体である以上出来る限り保険金の支払を抑えたい。
弁護士にしてみれば被害者の弁護に立つことでフィーがいただける。
そういう利害関係が働いてしまっているのでしょうか？
法的には、弁護士会基準のほうが理に適っているわけですが。
Ａ．
お問い合わせありがとうございます。
本音の部分では、まさに貴殿のご指摘は正鵠を射ています。
建前で言えば、損保会社とは契約によって保険金が支払われることになっており、ここには「私的自治の原則」が働くことから、余りに不当な基準でない限り、かかる基準に拠る事も認められるわけです。
一方、弁護士はこの様な契約関係で損害額を算定することはなく、法的観点から認められると判断される損害額の基準として用いるわけで、そこには「公平」という価値も含まれるので、両者の間にずれが生じることになるわけですね。
> 法的には、弁護士会基準のほうが理に適っているわけですが。
ま、最終的には裁判所が認定して賠償額を決定するので、何ともいえないわけですが。
一部の弁護士には任意保険会社基準を見直すべく活動をしていらっしゃる方もあるようですが、社会正義には繋がりますが、同業者からは嫌われること請け合いです。
2007年06月07日
DQNな隣人
Ｑ．
会社に隣接する民家のうちの一軒が非常にＤＱＮでして、
�＿拗澆蹐靴里燭瓠�納入業者の車が路上駐車していると、警察を名乗って荒々しいクレームをつけてくる
�◆ 掘 ＿饉匯�務所の窓ガラスを殴打して荒々しくクレームをつけてくる
�９�場棟増設工事を行ったところ、「誰の許可を得たのだ」と、補償金を請求
してくる、困った人です。
もちろん、駐車は荷降ろしのための短時間なものであり、道交法上問題なし
駐車中、ほかの自動車の通行も特に問題なく行える
工場棟増設工事に関しては、いろんな行政上の許可を取るのと平行して、
近隣住民及び自治会長に粗品を添えて挨拶に出向いたところ上記のようなアンバイ。
特に�，鬚笋瓩気擦燭ぁ�
あまりの荒々しさに、電話を受けた社員が男性なら怒りを感じますし、女性なら思わず泣いてしまいそうです。
Ａ．
ご質問ありがとうございます。
実に難しいですね、この様な相隣関係ってやつは。下手に介入すると、感情も絡み合って事態をより複雑にしてしまうだけになってしまうし。かといって、理詰めで攻めても納得する手合いでもなさそうですね。
ただ、法的観点からは、かかる行為により、業務が妨害された場合、威力業務妨害罪（刑法２３４条）の成立が考えられます。また、警察官でないにも係わらず、詐称した場合には軽犯罪法１条１５号に該当します。
ま、将来の訴訟などに備えて、電話でのやりとりを録音したり、クレームを付けている状況等を映像などに記録しておき、何となれば、その模様を相手に聞かせて、どう思うのかを小１時間ほど（ｒｙ
それはさておき。不当な要求にだけは断固として毅然な態度で拒絶しなければなりません。
その上で、相手方の真の目的を見出して対応するのがよろしいかと。
会社に隣接する民家のうちの一軒が非常にＤＱＮでして、
�＿拗澆蹐靴里燭瓠�納入業者の車が路上駐車していると、警察を名乗って荒々しいクレームをつけてくる
�◆ 掘 ＿饉匯�務所の窓ガラスを殴打して荒々しくクレームをつけてくる
�９�場棟増設工事を行ったところ、「誰の許可を得たのだ」と、補償金を請求
してくる、困った人です。
もちろん、駐車は荷降ろしのための短時間なものであり、道交法上問題なし
駐車中、ほかの自動車の通行も特に問題なく行える
工場棟増設工事に関しては、いろんな行政上の許可を取るのと平行して、
近隣住民及び自治会長に粗品を添えて挨拶に出向いたところ上記のようなアンバイ。
特に�，鬚笋瓩気擦燭ぁ�
あまりの荒々しさに、電話を受けた社員が男性なら怒りを感じますし、女性なら思わず泣いてしまいそうです。
Ａ．
ご質問ありがとうございます。
実に難しいですね、この様な相隣関係ってやつは。下手に介入すると、感情も絡み合って事態をより複雑にしてしまうだけになってしまうし。かといって、理詰めで攻めても納得する手合いでもなさそうですね。
ただ、法的観点からは、かかる行為により、業務が妨害された場合、威力業務妨害罪（刑法２３４条）の成立が考えられます。また、警察官でないにも係わらず、詐称した場合には軽犯罪法１条１５号に該当します。
ま、将来の訴訟などに備えて、電話でのやりとりを録音したり、クレームを付けている状況等を映像などに記録しておき、何となれば、その模様を相手に聞かせて、どう思うのかを小１時間ほど（ｒｙ
それはさておき。不当な要求にだけは断固として毅然な態度で拒絶しなければなりません。
その上で、相手方の真の目的を見出して対応するのがよろしいかと。
2007年06月04日
【生前贈与の注意点】
贈与は、財産をあげる人の贈与意思と財産をもらった人の受贈の意思が一致して初めて成立する「諾成契約」(民法549条)です。贈与された人がその財産の存在を知らなければ贈与の事実があったことにはなりません。
きちんと贈与があったとするためには、以下のような点にご注意ください。
�‖Ｍ新戚鷭颪虜鄒�…贈与は口頭でも成立する契約ですので絶対的条件ではありませんが、その内容を正確に書面にしておくことは税務上大切です。
��贈与の履行…資金の贈与の場合は、贈与する者がもらう人(受贈者)の銀行預金口座に振込む方法により実行するのが望ましいでしょう。
�Ｄ鳴◆Ε�ード・定期預金証書及び印鑑の管理等(管理支配基準)…受贈者が振込みを受けた受贈者名義の銀行口座の通帳・カードなどは受贈者固有の印鑑を届出印として、これらの通帳・カードを受贈者が管理支配していると認められることが必要です。たとえば、子供の名義で預金口座を作り、その印鑑や通帳を子供でなく本人が持って管理しているような場合は、「客観説」により「名義預金」となってしまいます。
�ぜ�贈者が預金の使用収益権を確保していることの確認…受贈者が贈与を受けた預金等について贈与後自由な使用収益権(入出金や解約権の行使など)が保障されていることが必要です。これが確保されていないと、贈与は成立していないと考えられますので注意が必要です。
�ヂＭ神任凌醜霰蕊�
実は、贈与税を申告し納付したかは、贈与が成立するか否かの判断自体とは無関係です。また、現行の税制においては、年間の受贈額が110万円以下である場合には贈与税は課税一されないので贈与税の申告納付は不要です。しかし、上記の注意点を踏まえた上で、贈与税の申告納付を通じて贈与の実績を明確にするため、110万円を超える贈与を行うのも一つの方法でしょう。
2007年06月01日
解散公告の回数
Ｑ．
解散公告
当社は平成○年○月○日開催の臨時株主総会の決議により解散したので、
当社に債権を有する者は、本公告掲載の翌日から二ケ月以内にお申出下さい。
上記期間内にお申出がないときは清算から除斥します。
平成○年○月○日
東京都港区云々
●●商店 株式会社
清算人 ●● 太郎
なんてのがよく官報に載ってますよね。
会社債権者に対する催告の回数ですが、旧商法下では３回だったのが
先般の会社法施行により１回でよくなったと理解しています。
ところが、会社法施行後も３回の公告を行っている場合がままあるようです。
もちろん、会社法の対象とならない医療法人などは理解できるのですが、
株式会社や有限会社でも３回の公告を行っているケースがあり、何か特別な理由があるのか？
疑問に感じている次第でございます。
Ａ．
お問い合わせありがとうございます。
まずは条文を確認しましょう。
旧商法４２１条から、会社法４９９条１項により、３回の回数規制が確かに廃止されていますね。
> ところが、会社法施行後も３回の公告を行っている場合がままあるようです。
> もちろん、会社法の対象とならない医療法人などは理解できるのですが、
> 株式会社や有限会社でも３回の公告を行っているケースがあり、何か特別な理由があるのか？
> 疑問に感じている次第でございます。
これは、おそらく定款変更がされていないためかと思います。
ご存じかと思いますが、 公告方法については９３９条１項により、官報に記載する方法の他、日刊新聞紙に掲載する方法、電子公告があり、そのいずれかを、定款で定めることになっています。
そこで、上述の疑問に対する回答ですが、当該会社が旧商法１６６条１項９号によって公告方法を定款に記載して、それを会社法になった現在においてもそれを維持しているのではないかと推察されます。
解散公告
当社は平成○年○月○日開催の臨時株主総会の決議により解散したので、
当社に債権を有する者は、本公告掲載の翌日から二ケ月以内にお申出下さい。
上記期間内にお申出がないときは清算から除斥します。
平成○年○月○日
東京都港区云々
●●商店 株式会社
清算人 ●● 太郎
なんてのがよく官報に載ってますよね。
会社債権者に対する催告の回数ですが、旧商法下では３回だったのが
先般の会社法施行により１回でよくなったと理解しています。
ところが、会社法施行後も３回の公告を行っている場合がままあるようです。
もちろん、会社法の対象とならない医療法人などは理解できるのですが、
株式会社や有限会社でも３回の公告を行っているケースがあり、何か特別な理由があるのか？
疑問に感じている次第でございます。
Ａ．
お問い合わせありがとうございます。
まずは条文を確認しましょう。
旧商法４２１条から、会社法４９９条１項により、３回の回数規制が確かに廃止されていますね。
> ところが、会社法施行後も３回の公告を行っている場合がままあるようです。
> もちろん、会社法の対象とならない医療法人などは理解できるのですが、
> 株式会社や有限会社でも３回の公告を行っているケースがあり、何か特別な理由があるのか？
> 疑問に感じている次第でございます。
これは、おそらく定款変更がされていないためかと思います。
ご存じかと思いますが、 公告方法については９３９条１項により、官報に記載する方法の他、日刊新聞紙に掲載する方法、電子公告があり、そのいずれかを、定款で定めることになっています。
そこで、上述の疑問に対する回答ですが、当該会社が旧商法１６６条１項９号によって公告方法を定款に記載して、それを会社法になった現在においてもそれを維持しているのではないかと推察されます。
2007年05月15日
2007年04月10日
わんこ
予防接種怠った元弁護士に「犬没収」判決
4月10日 産経新聞
生後３カ月以上の飼い犬に狂犬病の予防接種を受けさせず、自宅の庭で放し飼いにしたとして、狂犬病予防法違反罪に問われた奈良市東登美ケ丘の元弁護士、大月妙子被告（７１）に対する判決公判が９日、奈良簡裁であった。神山義規裁判官は「再三の保健所の指導にも従わず、飼い犬が近隣住民にかみつくなど被害を及ぼしながら、反省の色が見られない」として、罰金２０万円・犬３頭没収（求刑・罰金２０万円・犬３頭没収）を言い渡した。
大月被告について、奈良簡裁は今年１月、罰金２０万円の略式命令を出したが、大月被告がこれを不服としたため、公判となっていた。
判決文を読んでいないので詳しいことはわかりませんが、ニュースの文面を見る限り妥当な判断だと思います。
狂犬病予防法第7条には、「予防注射を接種しない飼い犬を、保健所が抑留し、公示期間満了後１日以内に買主が引き取らない場合には、犬を処分する」旨の記載がありますから、立法主旨に照らせば簡裁の判決は妥当でありましょう。
しかし、日本は平和な国だなぁ。。
お隣中国では、予防注射を打った打たないに拘わらず、このような措置をとった地方政府があり、ちょっとした問題になっています。
4月10日 産経新聞
生後３カ月以上の飼い犬に狂犬病の予防接種を受けさせず、自宅の庭で放し飼いにしたとして、狂犬病予防法違反罪に問われた奈良市東登美ケ丘の元弁護士、大月妙子被告（７１）に対する判決公判が９日、奈良簡裁であった。神山義規裁判官は「再三の保健所の指導にも従わず、飼い犬が近隣住民にかみつくなど被害を及ぼしながら、反省の色が見られない」として、罰金２０万円・犬３頭没収（求刑・罰金２０万円・犬３頭没収）を言い渡した。
大月被告について、奈良簡裁は今年１月、罰金２０万円の略式命令を出したが、大月被告がこれを不服としたため、公判となっていた。
判決文を読んでいないので詳しいことはわかりませんが、ニュースの文面を見る限り妥当な判断だと思います。
狂犬病予防法第7条には、「予防注射を接種しない飼い犬を、保健所が抑留し、公示期間満了後１日以内に買主が引き取らない場合には、犬を処分する」旨の記載がありますから、立法主旨に照らせば簡裁の判決は妥当でありましょう。
しかし、日本は平和な国だなぁ。。
お隣中国では、予防注射を打った打たないに拘わらず、このような措置をとった地方政府があり、ちょっとした問題になっています。
2007年04月05日
誤想過剰防衛
浮気ごまかした妻に殺人罪＝相手射殺の夫は不問−米テキサス州
ニューヨーク１日時事】米南部テキサス州の裁判所の陪審団はこのほど、レイプ被害に遭っているとうそをつき、浮気現場に居合わせた夫に相手の男性を射殺さ> せたとして、故殺（計画性のない殺人）罪などで妻を起訴した。手を下した夫は、家族を守ろうとしただけと判断されて殺人に問われなかった。
米メディアによれば、起訴されたのはトレーシー・ロバーソン被告（３５）。昨年１２月、夫が同州アーリントン市の自宅に帰宅したところ、小型トラックの中で見知らぬ男性と下着姿で抱き合う同被告を発見。同被告がレイプされていると叫んだため、夫は所持していた銃で男性を射殺し、殺人容疑で逮捕された。
しかし、警察の調べで、ロバーソン被告が被害者の男性に「あなたの温かい抱擁が必要なの」とする携帯電話のメッセージを送信していたことが判明。同被告が浮気をごまかすため、とっさにうそをついていたことが露見した。
アメリカの裁判は陪審制。しかも銃社会。こういう判決が出てしまうんですね。
日本で同様の事件が起きたら刑事上どうなるでしょうか？検証してみたいと思います。
この場合は夫につき、誤想過剰防衛として３６条２項を準用し、刑の減軽が認められるが、過失犯より重く処罰されることになるでしょう。
この夫は、妻が強姦されていると叫んだことから、妻の性的貞操が侵害されているものと認識しているが、客観的には妻が浮気していることから、性的貞操の侵害はない以上、急迫不正の侵害がないのにあると誤信して防衛行為として射殺という、誤想した侵害に対する防衛として過剰な行為をしており、しかもその過剰性を認識しているものといえることから、故意が阻却されることはない、ということから傷害致死罪が成立し、３６条２項により刑が減軽されることになりますね。
もともと妻にこの浮気相手を夫に殺害させる意図があったのであれば、いわば夫を「道具」とした妻の殺人罪が問える可能性もあるかとは思いますが、情報の量が少なすぎてそこまではわかりかねます。
なお、妻については、刑法上、不倫を罰する条文がないことから、不可罰ということになります。
ということは、アメリカとは逆の状況になりますね。
ニューヨーク１日時事】米南部テキサス州の裁判所の陪審団はこのほど、レイプ被害に遭っているとうそをつき、浮気現場に居合わせた夫に相手の男性を射殺さ> せたとして、故殺（計画性のない殺人）罪などで妻を起訴した。手を下した夫は、家族を守ろうとしただけと判断されて殺人に問われなかった。
米メディアによれば、起訴されたのはトレーシー・ロバーソン被告（３５）。昨年１２月、夫が同州アーリントン市の自宅に帰宅したところ、小型トラックの中で見知らぬ男性と下着姿で抱き合う同被告を発見。同被告がレイプされていると叫んだため、夫は所持していた銃で男性を射殺し、殺人容疑で逮捕された。
しかし、警察の調べで、ロバーソン被告が被害者の男性に「あなたの温かい抱擁が必要なの」とする携帯電話のメッセージを送信していたことが判明。同被告が浮気をごまかすため、とっさにうそをついていたことが露見した。
アメリカの裁判は陪審制。しかも銃社会。こういう判決が出てしまうんですね。
日本で同様の事件が起きたら刑事上どうなるでしょうか？検証してみたいと思います。
この場合は夫につき、誤想過剰防衛として３６条２項を準用し、刑の減軽が認められるが、過失犯より重く処罰されることになるでしょう。
この夫は、妻が強姦されていると叫んだことから、妻の性的貞操が侵害されているものと認識しているが、客観的には妻が浮気していることから、性的貞操の侵害はない以上、急迫不正の侵害がないのにあると誤信して防衛行為として射殺という、誤想した侵害に対する防衛として過剰な行為をしており、しかもその過剰性を認識しているものといえることから、故意が阻却されることはない、ということから傷害致死罪が成立し、３６条２項により刑が減軽されることになりますね。
もともと妻にこの浮気相手を夫に殺害させる意図があったのであれば、いわば夫を「道具」とした妻の殺人罪が問える可能性もあるかとは思いますが、情報の量が少なすぎてそこまではわかりかねます。
なお、妻については、刑法上、不倫を罰する条文がないことから、不可罰ということになります。
ということは、アメリカとは逆の状況になりますね。
2007年04月04日
テレビ会議システムを用いて株主総会を開催することはどうか
Ｑ．
取締役会をＷＥＢカメラ等で行う会社が増えているようです。
同じように株主総会をＷＥＢカメラでつないで、開催することは許されるのでしょうか？
情報技術的には十分可能と思われる一方、そういった事例を聞いたことがないので、許されていない気もしますが。
Ａ．
お問い合わせありがとうございます。
結論からすると、現状では許されませんね。
取締役会は、会社経営のプロが集まる、経営に関する会議であり、取締役相互の意志疎通が確実かつ即時に図ることができるようなテレビ会議であれば、会社運営の迅速性、グローバル化等の観点から認められるべき必要性があり、実際、会社法施行規則１０１条３項１号でも、「（当該場所に存しない取締役・・・）」として、かかる運営方法を認めていると解されます。
一方、株主総会は、会社の組織・運営・管理その他一切の事項について決定する最高意思決定機関でありながら、その構成メンバーは株主であり、会社経営に関心を持ちその能力もある者から配当益にしか関心がない株主まで多種多様であり、しかも、その決定方法は、出席・討論・決議という一連の手続を履践した上での決定に意義があり、従って、これをテレビ会議で行うことは、現状、認められていません。条文上も、法２９８条１項１号で株主総会の場所を決定しなければならない旨を規定していますし、取締役会ではかかる規定がないことからも裏付けられます。
しかし、遠方の株主でその意思を表明する機会の必要性から、会社法では、書面や電磁的方法による議決権行使を認めています。これが現時点における妥協点、といったところですね。
2007年03月30日
取締役選任の累積投票について
Ｑ．
掲題の件、昔は有限会社は原則禁止されていて、定款に定めがあれば認められる。株式会社はその逆だったと理解しているのですが、会社法施行後これはどうなったのでしょうか？
Ａ．
お問い合わせありがとうございます。
有限会社の場合、通常は社員の決議による選任で、定款の定めがあれば累積投票によることができ、株式会社は通常、普通決議による選任で、請求により累積投票が認められ、定款によりこの制度を排除できる、というのはその通りです。これは、次に述べる点と関連しますが、累積投票はいわば少数派社員の経営参加を保護する趣旨です
が、有限会社はもともと少数派の存在が想定されにくいことから、敢えて法定する必要性が低く、他方、株式会社は言わずもがなですよね。
従って、有限会社では例外として定款で定め、一方、株式会社では制度として認め、ただ、少数派株主による濫用などから、制度を定款によって排除することを認めたわけです。
次に、会社法との関係ですが、そもそも累積投票制度は、少数株主にもその持株数に応じて取締役選任の可能性を与えるべく、議決権を通常は１株１議決権であるところ、選任される取締役の数の分議決権を与え（選任される取締役の数が２人の場合、１株所有していれば議決権は２議決権）、これを分割して行使したり、まとめて行使することによって、少数派でも取締役を出すことができる、というものです。
従って、会社法にあっても、３４２条１項から６項で累積投票制度が規定されています。
なお、この制度によって選任された取締役を解任するには、特別決議によらなければなりません（３４２条６項、３０９条２項７号）。
掲題の件、昔は有限会社は原則禁止されていて、定款に定めがあれば認められる。株式会社はその逆だったと理解しているのですが、会社法施行後これはどうなったのでしょうか？
Ａ．
お問い合わせありがとうございます。
有限会社の場合、通常は社員の決議による選任で、定款の定めがあれば累積投票によることができ、株式会社は通常、普通決議による選任で、請求により累積投票が認められ、定款によりこの制度を排除できる、というのはその通りです。これは、次に述べる点と関連しますが、累積投票はいわば少数派社員の経営参加を保護する趣旨です
が、有限会社はもともと少数派の存在が想定されにくいことから、敢えて法定する必要性が低く、他方、株式会社は言わずもがなですよね。
従って、有限会社では例外として定款で定め、一方、株式会社では制度として認め、ただ、少数派株主による濫用などから、制度を定款によって排除することを認めたわけです。
次に、会社法との関係ですが、そもそも累積投票制度は、少数株主にもその持株数に応じて取締役選任の可能性を与えるべく、議決権を通常は１株１議決権であるところ、選任される取締役の数の分議決権を与え（選任される取締役の数が２人の場合、１株所有していれば議決権は２議決権）、これを分割して行使したり、まとめて行使することによって、少数派でも取締役を出すことができる、というものです。
従って、会社法にあっても、３４２条１項から６項で累積投票制度が規定されています。
なお、この制度によって選任された取締役を解任するには、特別決議によらなければなりません（３４２条６項、３０９条２項７号）。
2007年03月29日
契約書の見出し
Ｑ．
契約書の条文に見出しをつけることがよくありますよね。
わかりやすい反面、必ずしも条文の内容を正しく表していないこともある。
この見出しの効力について契約当事者間に特段の定めがない場合、見出しはどのように扱われるのでしょうか？
Ａ．
ご質問ありがとうございます。
これは、結局、当事者の合理的意思解釈によって決する問題、ということになります。
この点は、「意思表示の内容を確定するには、その文書に用いられている文字に拘泥せず論理法則と経験律に従って、当事者の真意を探求すべき」（大判大正１４年８月３日）、「信義誠実の原則は、権利の行使、義務の履行についてのみならず、当事者のした契約の趣旨を解釈するにもその基準となるべきもの」（最判昭和３２年７月５日）という判例理論が確立しています。
具体的には、条文の内容と見出しの文言を、契約の全趣旨や当事者の具体的な行為などから合理的に解釈して、妥当な解釈を行うことになり、見出しの取扱いも、そのような材料の一つとして意味をなすことになります。
ただ、この様に取り扱われる以上、契約当事者の有利にも不利にも解釈される可能性があることから、できるだけ速やかに訂正するなどの措置をするのが良いかと思われます。
今後新たに締結する契約に関しては、
第○○条 見出し
本契約中の見出しは便宜的につけられたものであり、法的効力を有さず、本契約の解釈に影響を及ぼさない。
などと言った条文を立てておくのが無難と言えますね。
契約書の条文に見出しをつけることがよくありますよね。
わかりやすい反面、必ずしも条文の内容を正しく表していないこともある。
この見出しの効力について契約当事者間に特段の定めがない場合、見出しはどのように扱われるのでしょうか？
Ａ．
ご質問ありがとうございます。
これは、結局、当事者の合理的意思解釈によって決する問題、ということになります。
この点は、「意思表示の内容を確定するには、その文書に用いられている文字に拘泥せず論理法則と経験律に従って、当事者の真意を探求すべき」（大判大正１４年８月３日）、「信義誠実の原則は、権利の行使、義務の履行についてのみならず、当事者のした契約の趣旨を解釈するにもその基準となるべきもの」（最判昭和３２年７月５日）という判例理論が確立しています。
具体的には、条文の内容と見出しの文言を、契約の全趣旨や当事者の具体的な行為などから合理的に解釈して、妥当な解釈を行うことになり、見出しの取扱いも、そのような材料の一つとして意味をなすことになります。
ただ、この様に取り扱われる以上、契約当事者の有利にも不利にも解釈される可能性があることから、できるだけ速やかに訂正するなどの措置をするのが良いかと思われます。
今後新たに締結する契約に関しては、
第○○条 見出し
本契約中の見出しは便宜的につけられたものであり、法的効力を有さず、本契約の解釈に影響を及ぼさない。
などと言った条文を立てておくのが無難と言えますね。
代理出産の件
早急に法整備の議論を2007年3月27日 中日新聞社説
タレントの向井亜紀さん夫妻が米国での代理出産でもうけた双子について最高裁は親子関係を認めなかった。これ以上の親子関係をめぐる混乱を防ぐために法的枠組みづくりの議論を急ぐべきだ。
代理出産
最高裁の決定は、向井夫妻が代理出産でないと遺伝的なつながりのある子を持つことができなかった事情を「十分理解できる」と同情しながら、出産した女性が母親であるとする前提の規定を民法が設けている以上、例外は認められないという点を明確にした。
だが、決定は代理出産自体を否定したわけではない。これをどう扱うかは「立法による速やかな対応が強く望まれる」と注文をつけた。
昨年九月、凍結保存中の亡夫の精子を用いた出産児について最高裁は法的な父子関係を否定したが、その際の補足意見も親子関係確定について「速やかな法整備」を求めた。
相次ぐ法整備の求めを国会は重く受け止めるべきだ。
向井夫妻の代理出産は米国人女性に依頼して行ったが、国内では昨年十月、不妊の妻の卵子と夫の精子を体外受精し、その受精卵を使い妻の母親が代理出産したことが明らかになった。子は産みの母親の子か孫か、議論は決着していない。
一連のケースで共通するのは、生殖補助医療技術の進歩に法整備が追い付かず、出生児の法的地位が不安定なまま代理出産などの既成事実化が進んでいることだ。
親子関係のこれ以上の混乱を防ぐために法的な歯止めが求められる。
厚生労働省の審議会は二〇〇三年に代理出産の実施・斡旋（あっせん）などを法律で禁止、死後の凍結精子の廃棄などは法律に基づく実効性のある指針で規制するよう提言したが、その後、進展していない。このため日本学術会議で再度、生殖補助医療技術のあり方について審議されている。
最高裁の決定は、向井夫妻の代理出産はボランティア精神に基づくものであることを認めたが、今後とも金銭目的の代理出産が行われないとはいえない。米国では代理出産で産んだ子に愛情を抱き引き渡しを拒否したり、反対に障害児が生まれたために依頼者が引き取りを拒否する事態も起きている。
国際的には米国の一部の州、英国などを除けば代理出産を禁止している国の方がはるかに多い。
これらの点を十分に考慮し、法的に代理出産を認めるかどうか、認めるとしたらどのような条件下でかを十分議論しなければならない。その条件には、最高裁が指摘するように親子関係の争いが生じない「明確な基準」を盛り込む必要がある。
社説というよりは、判決文の要旨に近い内容ですが、まあそれはおいておいて。
本件に関し、私は下記３点のに注目しています。
�々眦帖Ω�井夫妻は特別養子縁組による法的解決を先行して進めず、なぜ直接的な親子関係の成立を志向したのか。
�▲優丱製�の判決では、高田・向井夫妻とこの双子の間に親子関係を認めている。
その判決を敢えて日本で無効としているのは、その判決内容が日本の公序良俗に反するという判断なのか。
��「外国はどこでも代理出産が認められてます」的アフォな発言をする、ワイドショーに出てくる自称識者たちって。。。
まず、�，鉢△砲弔い董�
難しい問題ですが、まずネバダ州での確定判決が日本で通用しないという点は、民事訴訟法１１８条で、１号から４号の全ての要件を充足しない限り、その効力を日本で認められないと規定されており、本件では３号の「公序良俗に反しない」という点を満たさないことから、日本で確定判決として取り扱われません。
では、どういう点が日本の公序良俗に反するか、という問題が生じます。この点、ネバダ州の確定判決は、非嫡出親子関係、特に母親が誰になるのか、という点について、卵子を提供した者としていますが、日本では分娩により母親を決定することにしている（民法７７９条、戸籍法６０条から７２条、最判昭和３７年４月２７日）ことから、民法という公の秩序に違反する、というわけです。
そして、改めて日本法において、どの様に親子関係を判断すべきか、という点については、法適用通則法（旧法例）２８条、２９条により、結局、父親はアメリカでも日本でも認知すれば高田延彦、母親はアメリカでは向井亜紀、日本では分娩したアメリカ人女性、ということになってしまいます。
よって、区が行ったこの夫妻を両親とする出生届不受理処分取消の訴えは棄却されたわけですが、「特別養子縁組」の手段はまだ残されてはいます。
しかし、ここまで世間に広く知られている以上、特別養子とすることにメリットがあるのか、民法８１７条の７との関係及び当事者たる夫妻の意思からも採り得ない方法かとも思われます。
確かに、特別養子縁組によれば、おそらく問題なく処理できたかと思われます。
しかし、この夫妻は僅かな可能性にかけて、敢えて夫妻の間に生まれた子として届出をしたのであり（現に、原審では出生届受理を決定している）、最初からこの手段によるを由としなかったのでしょう。
ただ、現状では未だ夫妻と子の間に親子関係が確定的に生じているとは言い難いことから、この点では、やはり特別養子とするのが最も適した手段でしょう。
なお、この出生届をもって養子縁組の届出とすることについては、争いはありますが、判例はこれを認めていません（最判昭和２５年１２月２８日）。
次いで、��について。
私は、マスコミでコメントする識者、というより評論家の役割は「問題提起」にあり、その回答までは信用しないことにしています。
この問題は国民の「親子関係をどう捉えるのか」という哲学と密接に関連しており、人類で統一的な見解が形成された、という話を、私は寡聞にも聞いたことがありません。軽々しくそんな「私見」を披瀝して、後から訂正することも謝罪することもしないワイドショウでのコメントなど、信頼に値しないですね。
まあ、こういう姿勢ゆえに、テレビを視る機会がどんどん減ってゆくわけですが・・・
2007年03月28日
止める人
新幹線が緊急停車、乗り間違えた男性が非常コック操作
3月28日 読売新聞
２８日午前８時１０分ごろ、ＪＲ東海道新幹線の広島発東京行き上り「のぞみ６２号」が、京都駅を出発直後に、「戸じめ表示灯」が消えたため、緊急停車した。
車掌が車内を点検したところ、６号車内で、非常用のドアコックを操作していた客の男性（２６）を発見した。約５分後に、安全が確認されたため、運転を再開するとともに、この客を、臨時停車した米原駅で降車させ、滋賀県警米原署に引き渡した。
同署の調べに対し、男性は「九州方面に行くつもりだったが、乗り間違えてパニックになってしまった」と話しているという。
ＪＲ東海によると、このトラブルで、「のぞみ６２号」は岐阜羽島駅を１１分遅れて通過した。約１０００人の客が乗っていた。
原文はこちら
笑い事では済まない笑えない26歳児ですな。
法的な責任もこれでは免れることができないでしょう。
まず、刑法上、鉄道営業法に従い罰金刑を受けるでしょうし、民法上もＪＲから多額の損害賠償請求を受けるでしょうね。
3月28日 読売新聞
２８日午前８時１０分ごろ、ＪＲ東海道新幹線の広島発東京行き上り「のぞみ６２号」が、京都駅を出発直後に、「戸じめ表示灯」が消えたため、緊急停車した。
車掌が車内を点検したところ、６号車内で、非常用のドアコックを操作していた客の男性（２６）を発見した。約５分後に、安全が確認されたため、運転を再開するとともに、この客を、臨時停車した米原駅で降車させ、滋賀県警米原署に引き渡した。
同署の調べに対し、男性は「九州方面に行くつもりだったが、乗り間違えてパニックになってしまった」と話しているという。
ＪＲ東海によると、このトラブルで、「のぞみ６２号」は岐阜羽島駅を１１分遅れて通過した。約１０００人の客が乗っていた。
原文はこちら
笑い事では済まない笑えない26歳児ですな。
法的な責任もこれでは免れることができないでしょう。
まず、刑法上、鉄道営業法に従い罰金刑を受けるでしょうし、民法上もＪＲから多額の損害賠償請求を受けるでしょうね。
2007年03月27日
原因において自由な行為
【刑法上】
結果行為(例えば殺人)の時に責任無能力(例えば病的酩酊)であったとしても、その原因行為(例えば飲酒）の時に責任能力を有していた場合は、そのことを理由に結果行為・結果について完全な責任を負わせることができるという理論。行為と責任能力の同時存在の原則からすれば無罪となるべき場合に、処罰の必要性を理由に無罪とはしないという理論である。
その理由については、自己の責任無能力状態を道具に使って犯罪を実行したものであるとする間接正犯類似の構成説(飲酒行為を殺人の実行行為とするもので原因行為説ともいう)、責任能力は実行行為の時ではなく広義の行為の開始(最終的意思決定)の時にあれば足りるとする同時存在原則の緩和説(実行行為を殺害行為としつつ責任非難の根拠を遡って捉えるもので結果行為説ともいう）、原因行為と結果行為および結果との間に因果連関・責任連関(危険とその実現およびそれらの認識・予見)を要するとする説などが対立している。
【民法上】
民法においては、加害者が敵意や過失によって自らを責任能力のない状態に招いた場合、その状態で他人に与えた損害について加害者は賠償買任を負う(民713但書)ことをいう。故意・過失は加害行為をすることに関しては必要ない(もし必要とするなら民709の一般規定によってこの問題は処理され、民713は注意規定となってしまう）と解するのが通説である。
2007年03月08日
再販制度
Ｑ．
以前から気になっているのですが、著作物の再販制度が公取からお墨付きをもらっている意義がようわからんのですが。
例えば、新品の書籍を値引きして販売してるのって、大学生協くらいしかないのでは？
近々、著作物の再販制度が変わる予定ってあるのでしょうか？？
Ａ．
ご質問ありがとうございます。
この手の議論は、何年かごとに必ず議論の対象になっては、同じ理由で立ち消えになってます。
すなわち、「ダンピングされると表現の自由が骨抜きになる」ということです。
ご存じのように、著作者の著作権料、すわなち印税は本の価格の何％、という形で支払われています。そこで、本の価格が低下すると、著作者の収入が減少し、出版形態による表現が衰退してしまうということです。
出版業界にしても、コスト削減してある程度の値下げはできますが、本屋が在庫リスクを負わないため、出版業界でその分を負担せざるを得ない点や、そのリスク回避のために出版数を抑えると、ここでも表現の自由が衰退してしまう、ということが理由で、販売価格を拘束しているわけです。
結局のところ、再販制度を廃止するためには先だって本屋が在庫リスクを負うように業界慣習を変化させつつ、著作者への著作権料の算出方法を小売売上基準から卸売上基準に変更するなど、抜本的な変革を行わないといけないため、話が先に進まないのでしょう。既得権益の怖さを改めて感じますね。
同様の理由で、邦楽ＣＤについても再販制度による価格拘束があります。
音楽や映像に関しては、ダウンロード販売など、近年の技術の発達がめざましい点などから、
再販制度を見直す機運が高まっていましたが、音楽業界の抵抗から、様子見となっているようです。
以前から気になっているのですが、著作物の再販制度が公取からお墨付きをもらっている意義がようわからんのですが。
例えば、新品の書籍を値引きして販売してるのって、大学生協くらいしかないのでは？
近々、著作物の再販制度が変わる予定ってあるのでしょうか？？
Ａ．
ご質問ありがとうございます。
この手の議論は、何年かごとに必ず議論の対象になっては、同じ理由で立ち消えになってます。
すなわち、「ダンピングされると表現の自由が骨抜きになる」ということです。
ご存じのように、著作者の著作権料、すわなち印税は本の価格の何％、という形で支払われています。そこで、本の価格が低下すると、著作者の収入が減少し、出版形態による表現が衰退してしまうということです。
出版業界にしても、コスト削減してある程度の値下げはできますが、本屋が在庫リスクを負わないため、出版業界でその分を負担せざるを得ない点や、そのリスク回避のために出版数を抑えると、ここでも表現の自由が衰退してしまう、ということが理由で、販売価格を拘束しているわけです。
結局のところ、再販制度を廃止するためには先だって本屋が在庫リスクを負うように業界慣習を変化させつつ、著作者への著作権料の算出方法を小売売上基準から卸売上基準に変更するなど、抜本的な変革を行わないといけないため、話が先に進まないのでしょう。既得権益の怖さを改めて感じますね。
同様の理由で、邦楽ＣＤについても再販制度による価格拘束があります。
音楽や映像に関しては、ダウンロード販売など、近年の技術の発達がめざましい点などから、
再販制度を見直す機運が高まっていましたが、音楽業界の抵抗から、様子見となっているようです。
2007年02月28日
不当な表示の禁止
不当な表示の禁止
景表法（不当景品表示及び不当表示防止法［昭３７法１３４］）では、不当景品類の防止を図るとともに、不当表示を禁止しています。
不当表示に該当するのは、商品・役務の提供の内容（品質等）または取引条件（価格等）について、実際のものや競争業者にかかるものよりも著しく優良または有利であると一般消費者に誤認されるため、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害する表示、およびその他一般消費者に誤認されるおそれがあると認められた公正取引委員会が指定する表示です。
具体例：
株式会社コジマ身長伸ばしセンター
それにしてもすごい社名ですね。
景表法（不当景品表示及び不当表示防止法［昭３７法１３４］）では、不当景品類の防止を図るとともに、不当表示を禁止しています。
不当表示に該当するのは、商品・役務の提供の内容（品質等）または取引条件（価格等）について、実際のものや競争業者にかかるものよりも著しく優良または有利であると一般消費者に誤認されるため、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害する表示、およびその他一般消費者に誤認されるおそれがあると認められた公正取引委員会が指定する表示です。
具体例：
株式会社コジマ身長伸ばしセンター
それにしてもすごい社名ですね。
2007年02月26日
委託業者が借家権を主張してきました
Ｑ．
当社関東工場（自社建物）の一角に食堂をもうけ、Ａに委託して営業を行わせていました。
もともとは純然に給食業務の委託のみだったのですが、周囲の工場に食堂がないことから、近隣の工員さんが弊社関東工場の食堂で食事をするようになりました。
水道光熱費は弊社負担でありますが、食堂専用のメーターがついておらず具体的な使用料金がわからないことから毎月定額を、水道光熱費相当分という事で、委託費から控除していました。
このたび建物の一部改築を機に食堂も改装し、別の業者Ｂを入れることになりました。
そこでＡに明渡しを求めたところ、Ａは借家権を主張してこれを拒否しています。
業務委託の業者にも借家権があるのでしょうか。
なお、契約書はあくまでも業務委託に関する定めのみで、賃料についての特段の定めはありません。
Ａ．ご質問ありがとうございます。
まず問題となるのは、Ａの主張する「借家権（建物賃借権）」が成立しているのか、この点、Ａと締結された給食業務委託契約の内容と関連して問題となります。つまり、建物賃貸借契約が成立しているならば、Ａに借家権があるといえるからです。
そもそも賃貸借は当事者の一方がある物の使用収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって成立する、有償・双務・諾成契約（民法６０１条）です。
本件においては、給食業務委託に際し、その債務履行のため建物及び施設の使用を認め、Ａが水道光熱費「相当分」を支払っていることから、これをもってＡは「賃料」として、御社が食堂施設を使用収益させているとして建物賃借権を主張しているものと思われます。この主張に対して、御社とＡとの間に成立した契約は、御社の建物施設内において、給食業務を提供することを委託し、これに対して報酬として委託費を、必要経費たる水道光熱費相当分を控除して支払う、準委任契約（６５６条、６４３条）であり、賃貸借契約ではない、との主張が考えられます。
思うに、御社とＡとの間に成立した契約は、準委任契約ないしは業務委託契約という無名契約が成立していると考えられ、賃貸借契約は成立していないものといえます。
なぜなら、御社において建物を賃貸したとする意思が認められない点、つまり当事者間において賃料についての合意が存在していないことから、賃貸借契約としての合意が存在していないといえるからです。
従って、民法６５１条１項、あるいは御社とＡとの給食業務委託契約に規定されている解除理由に基づき、本件契約を解除し、その明渡しを請求しうるものと考えます。
次に、予備的主張として、御社とＡとの間に賃貸借契約が成立しているとしても、その期間につき定めがないことから、民法６１７条、借地借家法２７条により解約申し入れから６ヶ月の経過により終了します。
この場合には、借地借家法２８条の「正当事由」の存在が問題となりますが、建物の一部改築の必要性や立退料の支払などにより、補強されうると思います。
以上ですが、給食業務委託契約の内容が明らかでないため、契約解除が可能か、委託料が「賃料」と評価できるか等の検討ができないので、確定的な結論はいえません。
参考程度にお考え下さい。
当社関東工場（自社建物）の一角に食堂をもうけ、Ａに委託して営業を行わせていました。
もともとは純然に給食業務の委託のみだったのですが、周囲の工場に食堂がないことから、近隣の工員さんが弊社関東工場の食堂で食事をするようになりました。
水道光熱費は弊社負担でありますが、食堂専用のメーターがついておらず具体的な使用料金がわからないことから毎月定額を、水道光熱費相当分という事で、委託費から控除していました。
このたび建物の一部改築を機に食堂も改装し、別の業者Ｂを入れることになりました。
そこでＡに明渡しを求めたところ、Ａは借家権を主張してこれを拒否しています。
業務委託の業者にも借家権があるのでしょうか。
なお、契約書はあくまでも業務委託に関する定めのみで、賃料についての特段の定めはありません。
Ａ．ご質問ありがとうございます。
まず問題となるのは、Ａの主張する「借家権（建物賃借権）」が成立しているのか、この点、Ａと締結された給食業務委託契約の内容と関連して問題となります。つまり、建物賃貸借契約が成立しているならば、Ａに借家権があるといえるからです。
そもそも賃貸借は当事者の一方がある物の使用収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって成立する、有償・双務・諾成契約（民法６０１条）です。
本件においては、給食業務委託に際し、その債務履行のため建物及び施設の使用を認め、Ａが水道光熱費「相当分」を支払っていることから、これをもってＡは「賃料」として、御社が食堂施設を使用収益させているとして建物賃借権を主張しているものと思われます。この主張に対して、御社とＡとの間に成立した契約は、御社の建物施設内において、給食業務を提供することを委託し、これに対して報酬として委託費を、必要経費たる水道光熱費相当分を控除して支払う、準委任契約（６５６条、６４３条）であり、賃貸借契約ではない、との主張が考えられます。
思うに、御社とＡとの間に成立した契約は、準委任契約ないしは業務委託契約という無名契約が成立していると考えられ、賃貸借契約は成立していないものといえます。
なぜなら、御社において建物を賃貸したとする意思が認められない点、つまり当事者間において賃料についての合意が存在していないことから、賃貸借契約としての合意が存在していないといえるからです。
従って、民法６５１条１項、あるいは御社とＡとの給食業務委託契約に規定されている解除理由に基づき、本件契約を解除し、その明渡しを請求しうるものと考えます。
次に、予備的主張として、御社とＡとの間に賃貸借契約が成立しているとしても、その期間につき定めがないことから、民法６１７条、借地借家法２７条により解約申し入れから６ヶ月の経過により終了します。
この場合には、借地借家法２８条の「正当事由」の存在が問題となりますが、建物の一部改築の必要性や立退料の支払などにより、補強されうると思います。
以上ですが、給食業務委託契約の内容が明らかでないため、契約解除が可能か、委託料が「賃料」と評価できるか等の検討ができないので、確定的な結論はいえません。
参考程度にお考え下さい。
2007年02月10日
再来年９月？
「電子債権制度に関する研究会」中間報告書の公表について
経済産業省では今年度通常国会提出予定の「電子登録債権法（仮称）」の運用について検討を行うべく、平成１８年８月より「電子債権制度に関する研究会」を開催してきたところ。今般これまでの研究会における議論を踏まえ、中間報告書を取りまとめたので、その内容を公表致します。
続きを読む
いわゆる手形の電子化の一類型ですね。
今年度通常国会提出予定となると、おそらく立法化は２００９年９月あたりでしょう。
実務上、講学上、手形理論を再構築する必要がありそうです。
経済産業省では今年度通常国会提出予定の「電子登録債権法（仮称）」の運用について検討を行うべく、平成１８年８月より「電子債権制度に関する研究会」を開催してきたところ。今般これまでの研究会における議論を踏まえ、中間報告書を取りまとめたので、その内容を公表致します。
続きを読む
いわゆる手形の電子化の一類型ですね。
今年度通常国会提出予定となると、おそらく立法化は２００９年９月あたりでしょう。
実務上、講学上、手形理論を再構築する必要がありそうです。
2007年02月04日
内閣府、裁判員制度に関する特別世論調査の概要を公表
内閣府、裁判員制度に関する特別世論調査の概要を公表（2月1日）
私は一般人に比べれば多少法律のたしなみがありますが、正直なところ裁判員には任命されたくないですね。
でも、本法施行後は無作為に抽出されて、審判員に任命される可能性もあるわけです。
そこで、任命されなくて済む手段をいくつか考えてみます。
�（杆郢里�検察官、或いは裁判官になる。
・・この年で勉強をはじめて、司法試験に受けるのはいつになるのか。。
ちょっと無理だ。
��禁錮以上の刑を受ける
・・審判員回避のためだけに刑に服すのはあまりに割に合わない。
全くもって却下だ。
��裁判員選任手続の際に、偏った発言を繰り返して被告弁護人の心象を悪くする。
・・出頭はしなければならないけれど、これなら１日で解放される。
ということで、当ブログでは �� を強力に推薦いたします。
私は一般人に比べれば多少法律のたしなみがありますが、正直なところ裁判員には任命されたくないですね。
でも、本法施行後は無作為に抽出されて、審判員に任命される可能性もあるわけです。
そこで、任命されなくて済む手段をいくつか考えてみます。
�（杆郢里�検察官、或いは裁判官になる。
・・この年で勉強をはじめて、司法試験に受けるのはいつになるのか。。
ちょっと無理だ。
��禁錮以上の刑を受ける
・・審判員回避のためだけに刑に服すのはあまりに割に合わない。
全くもって却下だ。
��裁判員選任手続の際に、偏った発言を繰り返して被告弁護人の心象を悪くする。
・・出頭はしなければならないけれど、これなら１日で解放される。
ということで、当ブログでは �� を強力に推薦いたします。
2007年01月13日
支払不能
Ｑ．
支払不能とは、手許にある「コンサイス法律用語辞典」によると
「債務者が資力が欠乏しているために、弁済期にある債務を一般的且つ継続的に弁済できない客観的状態」
だそうですが、この、「一般的」とはとどのつまりどういう意味でしょうか？？
Ａ．
お問い合わせありがとうございます。
これは、「特定の債権ではなく全ての債権につき」という意味です。
例えば、４０００万円の資力を有する債務者に、それぞれ弁済期にある２０００万、１０００万、３０００万の債務があり、１０００万円の年収がある場合、２０００万円と１０００万円の債務を弁済すると、３０００万円の債務は即時に弁済できませんが、支払を猶予してもらえれば、これも弁済できる状況にあるので、支払不能ではないということになります。
支払不能は、財産状況だけでなく技能や信用も考慮に入れる点で、債務超過と異なります。
支払不能とは、手許にある「コンサイス法律用語辞典」によると
「債務者が資力が欠乏しているために、弁済期にある債務を一般的且つ継続的に弁済できない客観的状態」
だそうですが、この、「一般的」とはとどのつまりどういう意味でしょうか？？
Ａ．
お問い合わせありがとうございます。
これは、「特定の債権ではなく全ての債権につき」という意味です。
例えば、４０００万円の資力を有する債務者に、それぞれ弁済期にある２０００万、１０００万、３０００万の債務があり、１０００万円の年収がある場合、２０００万円と１０００万円の債務を弁済すると、３０００万円の債務は即時に弁済できませんが、支払を猶予してもらえれば、これも弁済できる状況にあるので、支払不能ではないということになります。
支払不能は、財産状況だけでなく技能や信用も考慮に入れる点で、債務超過と異なります。
2007年01月06日
建設配当
Ｑ．
旧商法291条に定めのあった建設配当ですが、会社法では削除されています。
これは廃止されたのでしょうか？
減資差益を配当減資にできる時点で、建設配当の項目をわざわざ設ける必要がなくなったということなのかな？
他にも深い意味が？
Ａ．お問い合わせありがとうございます。
建設利息は廃止されていますね。仰るとおり、旧法下において、建設利息は出資の一部払戻ないしは利息の前払いの性質を持ちますが、資本金の欠損を生じるため、厳格な規制のもとで認められていました。
現行法では、最低資本金制度も廃止され、新たに統一的な配当規制が設けられた結果、建設利息を独立して規制する必要性もなくなった、ということです。
入管法上の身元保証
Ｑ．
ふと気になったので教えてください。
入管法で言うところの「身元保証人」は、結局何を保証すれば良いのでしょうか？
民法で言うところの「保証人」、身元保証法で言うところの「身元保証」
いずれにも該当しないような気がするんですけれど・・
Ａ．
お問い合わせありがとうございます。
「入管法における身元保証人とは、外国人が我が国において安定的に、かつ、継続的に所期の入国目的を達成できるように、必要に応じて当該外国人の経済的保証及び法令の遵守等の生活指導を行う旨を法務大臣に約束する人をいいます。
身元保証書の性格について、法務大臣に約束する保証事項について身元保証人に対する法的な強制力はなく、保証事項を履行しない場合でも当局からの約束の履行を指導するにとどまりますが、その場合、身元保証人として十分な責任が果たされないとして、それ以降の入国・在留申請において身元保証人としての適格性を欠くとされるなど社会的信用を失うことから、いわば道義的責任を課すものであるといえます。」
との入国管理局のホームページの記載があり、これより引用しました。
そして、この場合の身元保証は、民法上の保証人、身元保証法上の身元保証人とは異なりますね。保証人は生活指導まで約束はしませんし、両者とも法的拘束力はあるので、入管法上の身元保証人とは全く違うものですね。
ふと気になったので教えてください。
入管法で言うところの「身元保証人」は、結局何を保証すれば良いのでしょうか？
民法で言うところの「保証人」、身元保証法で言うところの「身元保証」
いずれにも該当しないような気がするんですけれど・・
Ａ．
お問い合わせありがとうございます。
「入管法における身元保証人とは、外国人が我が国において安定的に、かつ、継続的に所期の入国目的を達成できるように、必要に応じて当該外国人の経済的保証及び法令の遵守等の生活指導を行う旨を法務大臣に約束する人をいいます。
身元保証書の性格について、法務大臣に約束する保証事項について身元保証人に対する法的な強制力はなく、保証事項を履行しない場合でも当局からの約束の履行を指導するにとどまりますが、その場合、身元保証人として十分な責任が果たされないとして、それ以降の入国・在留申請において身元保証人としての適格性を欠くとされるなど社会的信用を失うことから、いわば道義的責任を課すものであるといえます。」
との入国管理局のホームページの記載があり、これより引用しました。
そして、この場合の身元保証は、民法上の保証人、身元保証法上の身元保証人とは異なりますね。保証人は生活指導まで約束はしませんし、両者とも法的拘束力はあるので、入管法上の身元保証人とは全く違うものですね。
2006年12月20日
建設配当について
Ｑ．
旧商法291条に定めのあった建設配当ですが、会社法では削除されています。
これは廃止されたのでしょうか？
減資差益を配当減資にできる時点で、建設配当の項目をわざわざ設ける必要がなくなったということなのかな？
他にも深い意味が？
Ａ．
お問い合わせありがとうございます。
建設利息は廃止されていますね。仰るとおり、旧法下において、建設利息は出資の一部払戻ないしは利息の前払いの性質を持ちますが、資本金の欠損を生じるため、厳格な規
制のもとで認められていました。
現行法では、最低資本金制度も廃止され、新たに統一的な配当規制が設けられた結果、建設利息を独立して規制する必要性もなくなった、ということです。
2006年12月15日
騙されたらどうするか〜近未来通信事件から〜
電気通信事業法に基づく総務省の立ち入り検査等により、株式会社近未来通信のＩＰ電話事業の実態が明らかにされつつあります。同社は多数回に渡って全国紙に広告を載せ、完成度の高いＨＰを公開し、オフィスも構えて巧みな投資説明会を行い、あたかも一流企業として国際事業を展開しているかのように装い信用させて、投資資金をかき集めていたとのことです。
近未来通信に限らず、うまい話で金銭を払わせて返さない例はいくらでもあります。
お金を騙し取られた場合に法律上問題になるものは、なじみがあるところでは刑法の詐欺罪ですが、民事法上も消費者契約法の虚偽説明等を理由とする契約の取消、不法行為に基づく損害賠償請求など、色々考えることができます。
それでは、騙されたと気付いた時にどのような手段を講じてお金の回収をすべきでしょうか。
まず、最初にとるべき手段は、相手に対して契約を解除する意思表示をし、返金を求めることです。電話でしても構いませんが、解除の意思表示等をしたことの証拠を残すため内容証明郵便でした方が良い場合もあります。基本的なことですが、対処が早ければ早いほど当てになる財産が相手に残っている可能性が高いと言えます。また、被害者側から前述した法律上の根拠に基づき返還を求めると、相手は、後に訴訟を提起されるのを嫌がり、自分が違法行為をしたことを認めないまでもすんなり返金してくるケースもあるので、一般的には、まず意思表示することが大切なのです。
もっとも、確信的に人を騙す者の多くは、「約束は守ってますから、返す理由はありません」と開き直ったり、「おっしゃることは分かりましたが、検討しますのでもう少し待って下さい。」などと言って、結局返金しないものです。
そこで、次に、いわゆる法的手段に進むことになります。ところで、こういった場合に、相手方の元へ押しかけて行って有り金を頂戴したり、物を持ち帰ってくる話を聞きますが、こういったやり方は、一応相手方の承諾を得ているとしても、相手方に財産がなかった場合には他の債権者のために取り上げられてしまうことになるでしょうし、返してもらった方にも不法行為や恐喝罪等の問題が生じかねませんのでお奨めはできません。
正攻法として、裁判所に騙し取られた事実を申告し、騙した者の財産を民事保全法に基づいて仮差押えをする方法があります。具体的には、騙されて渡したお金の回収を確実にするため、裁判所の命令によって、相手が所有する不動産の処分や、債権（売掛金や預金）の取立て・引き出しを禁止させたり、相手の所持品を執行官に取り上げさせることになります。もっとも仮差押えにかかる費用は債権者が立て替えますし、一定の担保金を積むことが要求されます。これらは、相手方の財産を把握できる場合は有効な手段で、仮差押ができればひとまず安心して本格的に訴訟に移行することができます。また、隠密裡に手続きを進めれば相手に知られずに財産を押さえることが出来る場合もあります。
仮差押をした場合（又は仮差押えしなかった場合）は、本訴を提起することになります。つまり、先の「仮」の差押えというのはあくまで暫定的なものに過ぎないので、本訴等によって最終的な裁判所の判断を仰ぐ必要があるのです。
本訴は、例えば前述したような契約の解除（または取消し）や不法行為に基づく損害賠償請求をします。この場合、証拠調べ、証人尋問等の大がかりな手続きが必要になってきますが、金銭の支払を命ずる判決を得ることができれば、それに基づいて「仮」ではなく本執行として不動産や自動車等の差押えをし、そこからの回収で返してもらうことになります。もっとも、手続きは早くても数ヶ月、遅ければ１年以上掛かります。
騙されたと気付いた時に、既に相手に財産が残っていないと判断できる場合は、債権者として相手の破産を裁判所に申し立てることになります。但し、破産管財人の報酬など破産にかかる費用を債権者が予納する必要があり、これは多額になることが通常です。しかも、騙した本人にわずかながら財産が残っていればそこから配当を受けることができますが、他の債権者（例えば同じく騙された者）と平等に分けなければならないので、多くの場合、自分が返してもらえるはずの額の大半が返ってきません。
近未来通信の一部の被害者がこの方法を取ったとの報道がありますが、同社の財産を破産管財人に管理させ、財産の流出を防ぎ、少しでも多くの配当を得ようとのねらいで行ったものと思われます。
以上、民事法上取ることのできる手段を大まかに述べました。
騙し取られた金銭の回収を図るためには、できるだけ早く騙されたことに気付いて、相手に対し返還を求めることに尽きます。相手に財産が残っているうちに対処できなければ、わざわざ裁判を起こして手続きを踏んでも、残念ながら徒労に終わる危険が大きいのが現実だからです。逆に、幸いにも早期に気付くことが出来たならば、弁護士に依頼するなどして迅速に行動すると良いでしょう（契約を解除した上、違法行為を警告し、金銭の返還を強く求める、隠密裏に民事保全手続きを進める）。この様な不測の事態に有効に対処するため、基本的なことですが、普段から契約書や領収書をきちんと残しておくのが望ましいでしょう。いざという時に、こういった基本的な書面が残されていないことは多いのです。
近未来通信に限らず、うまい話で金銭を払わせて返さない例はいくらでもあります。
お金を騙し取られた場合に法律上問題になるものは、なじみがあるところでは刑法の詐欺罪ですが、民事法上も消費者契約法の虚偽説明等を理由とする契約の取消、不法行為に基づく損害賠償請求など、色々考えることができます。
それでは、騙されたと気付いた時にどのような手段を講じてお金の回収をすべきでしょうか。
まず、最初にとるべき手段は、相手に対して契約を解除する意思表示をし、返金を求めることです。電話でしても構いませんが、解除の意思表示等をしたことの証拠を残すため内容証明郵便でした方が良い場合もあります。基本的なことですが、対処が早ければ早いほど当てになる財産が相手に残っている可能性が高いと言えます。また、被害者側から前述した法律上の根拠に基づき返還を求めると、相手は、後に訴訟を提起されるのを嫌がり、自分が違法行為をしたことを認めないまでもすんなり返金してくるケースもあるので、一般的には、まず意思表示することが大切なのです。
もっとも、確信的に人を騙す者の多くは、「約束は守ってますから、返す理由はありません」と開き直ったり、「おっしゃることは分かりましたが、検討しますのでもう少し待って下さい。」などと言って、結局返金しないものです。
そこで、次に、いわゆる法的手段に進むことになります。ところで、こういった場合に、相手方の元へ押しかけて行って有り金を頂戴したり、物を持ち帰ってくる話を聞きますが、こういったやり方は、一応相手方の承諾を得ているとしても、相手方に財産がなかった場合には他の債権者のために取り上げられてしまうことになるでしょうし、返してもらった方にも不法行為や恐喝罪等の問題が生じかねませんのでお奨めはできません。
正攻法として、裁判所に騙し取られた事実を申告し、騙した者の財産を民事保全法に基づいて仮差押えをする方法があります。具体的には、騙されて渡したお金の回収を確実にするため、裁判所の命令によって、相手が所有する不動産の処分や、債権（売掛金や預金）の取立て・引き出しを禁止させたり、相手の所持品を執行官に取り上げさせることになります。もっとも仮差押えにかかる費用は債権者が立て替えますし、一定の担保金を積むことが要求されます。これらは、相手方の財産を把握できる場合は有効な手段で、仮差押ができればひとまず安心して本格的に訴訟に移行することができます。また、隠密裡に手続きを進めれば相手に知られずに財産を押さえることが出来る場合もあります。
仮差押をした場合（又は仮差押えしなかった場合）は、本訴を提起することになります。つまり、先の「仮」の差押えというのはあくまで暫定的なものに過ぎないので、本訴等によって最終的な裁判所の判断を仰ぐ必要があるのです。
本訴は、例えば前述したような契約の解除（または取消し）や不法行為に基づく損害賠償請求をします。この場合、証拠調べ、証人尋問等の大がかりな手続きが必要になってきますが、金銭の支払を命ずる判決を得ることができれば、それに基づいて「仮」ではなく本執行として不動産や自動車等の差押えをし、そこからの回収で返してもらうことになります。もっとも、手続きは早くても数ヶ月、遅ければ１年以上掛かります。
騙されたと気付いた時に、既に相手に財産が残っていないと判断できる場合は、債権者として相手の破産を裁判所に申し立てることになります。但し、破産管財人の報酬など破産にかかる費用を債権者が予納する必要があり、これは多額になることが通常です。しかも、騙した本人にわずかながら財産が残っていればそこから配当を受けることができますが、他の債権者（例えば同じく騙された者）と平等に分けなければならないので、多くの場合、自分が返してもらえるはずの額の大半が返ってきません。
近未来通信の一部の被害者がこの方法を取ったとの報道がありますが、同社の財産を破産管財人に管理させ、財産の流出を防ぎ、少しでも多くの配当を得ようとのねらいで行ったものと思われます。
以上、民事法上取ることのできる手段を大まかに述べました。
騙し取られた金銭の回収を図るためには、できるだけ早く騙されたことに気付いて、相手に対し返還を求めることに尽きます。相手に財産が残っているうちに対処できなければ、わざわざ裁判を起こして手続きを踏んでも、残念ながら徒労に終わる危険が大きいのが現実だからです。逆に、幸いにも早期に気付くことが出来たならば、弁護士に依頼するなどして迅速に行動すると良いでしょう（契約を解除した上、違法行為を警告し、金銭の返還を強く求める、隠密裏に民事保全手続きを進める）。この様な不測の事態に有効に対処するため、基本的なことですが、普段から契約書や領収書をきちんと残しておくのが望ましいでしょう。いざという時に、こういった基本的な書面が残されていないことは多いのです。
携帯電話料金の広告につき公取委が警告
公正取引委員会はソフトバンクモバイルが行った「ケータイの通話料を０円、メール代も０円にします。」などの広告が景品表示法違反（有利誤認表示）のおそれがあるとして、１２月１２日同社に対し「警告」すると共に、ＫＤＤＩ（ａｕ）、ＮＴＴドコモに対しては「違反につながるおそれがある」広告を行ったとして「注意」しました。
同日付け日経新聞夕刊では「番号継続制度が始まってどの会社を選ぶか消費者の関心が高まる中、『有利さ』のみを強調し誤解を招きかねない各社の営業姿勢に厳しく臨む姿勢を示した。」とコメントされています。
さて、今回の「警告」ないし「注意」の根拠となったのは「景品表示法違反（有利誤認表示）」のおそれですが、これは、どのようなルールに違反するおそれがあったということでしょうか。
景品表示法はその正式名称を「不当な景品類及び不当表示防止法」といいます。
文字どおり「不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため」の法律です。「不当景品類防止」と「不当表示防止」は景品表示法（さらに縮めて景表法）の２本柱ですが、今回の事件で問題となるのは後者です。
そもそも、この法律は「独占禁止法の特例」として定められました。独禁法が禁止する「不公正な取引方法」の一つに「不当な顧客誘引」があります。他社と競争する上で顧客に対し自社の商品やサービスを選ぶよう誘い入れることは当然のことです（携帯電話の番号継続制度がスタートして、各社が自社に顧客を引き入れようとしているのはまさしくそのような状況です）。
しかし、その手段が不当であれば顧客は合理的な選択ができなくなります。
そのため独禁法は「不当な顧客誘引」を禁止しています。
何が「不当な顧客誘引」に該当するかにつき、公取委はその一類型として「ぎまん的顧客誘引」を指定しています。すなわち、自社の商品やサービスについて、実際のものやライバル社のものよりも著しく優良であるとか、有利であると顧客に誤認させることで不当に顧客を誘い入れることです。
ところで、景表法は、そのような行為のうち、一般消費者向けの「表示」がある場合についてのみ適用されるという意味で「独禁法の特例」です。ここでいう表示には容器、包装における表示のみならず、広告も当然含まれます。
どうして一般消費者向けの場合について特例を定めたかというと、一般消費者向けの表示は、波及しやすいものですし、影響を及ぼしやすく、かつ被害を事後的に全て回復するのはほとんど無理という特性があるからです。これに対して景表法は、独禁法上の「排除措置命令」よりは手続きが簡易、迅速な「排除命令」という制度などを定め、その特性に対処しようとしています。
実際のところ「ぎまん的顧客誘引」のほとんどは一般消費者向けなので、そのような表示が問題になったときは、独禁法ではなく、景表法が適用されるケースがほとんどということになります。
さて、景表法が規定する不当表示には、「優良すぎる表示」（優良誤認表示）、「有利すぎる表示」（有利誤認表示）、「その他公取委の指定するもの」の三種類があります。
「優良すぎる表示」（優良誤認表示）としては、商品やサービスの品質、規格などが実際よりも著しく優良であると示し、あるいは、事実に反してライバル社のものよりも著しく優良であると示して不当に顧客を誘引する表示が問題になります。
直近の例では、食品に含まれる大豆イソフラボンの量を実際よりも３倍又は１０００倍あるかのように表示したもの、専門学校がその出身者の国家試験合格者数の順位を実際よりも高く表示したものなどが公取委の排除命令を受けています。
今回ソフトバンクモバイルが違反のおそれがあるとして警告を受けたのが「有利すぎる表示」（有利誤認表示）です。これは商品やサービスの価格などが実際のものやライバル社のものよりも著しく有利であると誤認されるために不当に顧客を誘引する表示です。
ソフトバンクモバイルの場合、新聞広告やテレビＣＭで大々的に「通話料０円、メール代０円」と表示しており、あたかもソフトバンクモバイルの携帯電話サービスを利用する全ての場合に通話料金・メール料金が無料であるかのように表示したと公取委は判断しました。無料となる前提条件（一定の「プラン」への加入が前提、ソフトバンク携帯間の通話であることなど）、あるいは料金がかかる場合について、新聞広告の場合だと欄外にごく小さな文字でしか表示されず、テレビＣＭの場合も同様で、一瞬しか表示されないので、読みとるのは不可能なものでした。
他にも、みずほ銀行が住宅ローンの固定金利についてキャンペーン期間中（３月１日〜３月３１日）に借入を申し込み、６月３０日までに借入をすれば優遇金利が適用されると店頭チラシで表示しながら、実際には借入が４月以降になれば、その金利が適用されないというケースにつき、今年８月同行に対し警告がなされたことが新聞報道されています。
このような「優良すぎる表示」や「有利すぎる表示」があった場合、一般消費者はどの商品・サービスがお得なのか合理的な判断ができなくなるので、「公正な競争」という観点からは問題だということです。
なお、今回ソフトバンクモバイルには「警告」が、ＫＤＤＩ、ＮＴＴドコモに
は「注意」がなされました。
公取委が独禁法違反（景表法違反も含みます）の疑いがあるとして審査してきた場合に、違反が認定できれば排除措置命令（景表法違反の場合は排除命令）などの法的措置を取ります。
これに対し、違反は認定できなかったが、その疑いがあるときに事業者に対して是正措置を採るように指導するのが「警告」であり、違反につながるおそれのある行為がみられた場合に未然防止を図る観点から行われるのが「注意」であるとされています。
今回のケースも違反とまでは言えないが、問題があるケースとして警告、注意が行われたと考えられます。
ちなみに、優良誤認表示、有利誤認表示の場合、「公正な競争を害するおそれ」があることが要件となっています。そこまで悪質とまでは言えないとの判断があったのかもしれません。
ただし、公取委はソフトバンクの広告がより問題があると判断したということでしょう。
熾烈な競争の中、他社よりも抜きんでようとするが余り、広告などが一般消費者に誤解を与えるものになっては法的なペナルティがあるということに気をつける必要があります。
2006年12月05日
経済産業省、素形材産業取引ガイドラインを策定
経済産業省、素形材産業取引ガイドラインを策定（11月28日）
かつては、「雑法」とまで揶揄された下請代金支払遅延等防止法。
それだけ法令遵守の精神が薄かったとも、親事業者についてゆけば食いっぱぐれがなかったとも言えます。
本資料に例示されるほかにも、たとえば鋳造業界では鋳放し品の取引が「量り売り」で行われる習慣が一部のでこっていたり、と、
技術革新を阻害する要素がたくさん残されているのが現状なのです。
かつては、「雑法」とまで揶揄された下請代金支払遅延等防止法。
それだけ法令遵守の精神が薄かったとも、親事業者についてゆけば食いっぱぐれがなかったとも言えます。
本資料に例示されるほかにも、たとえば鋳造業界では鋳放し品の取引が「量り売り」で行われる習慣が一部のでこっていたり、と、
技術革新を阻害する要素がたくさん残されているのが現状なのです。
2006年11月20日
特別利益関係人
株主総会あるいは取締役会において議案に特別な利害関係を有する株主または取締役をいいます。
株主総会における特別利害関係人の議決権行使は許されています。ただ、それによって著しく不当な決議がなされた場合には決議取消事由となります。（会社法§８３１）ここでいう特別利害関係者とは、株主としての資格を離れた個人的な利害関係に限られず、会社外の利益を追求する場合も含まれます。
他方、取締役会においては、議案に特別な利害関係を有する取締役は決議に参加できません。（会社法§３６９�。押�
競業取引もしくは会社との利益相反取引の承認決議において、当該取締役は特別利害関係を持つことになります。
代表取締役の選任決議において、事実上の候補者に過ぎない取締役は特別利害関係を有しません。
一方、代表取締役の解任の決議の対象となる代表取締役は、会社に対する忠実義務にしたがって公正に決議権を行使することが期待できないので、特別利害関係を有するとされています。（最判44.3.28民集23巻3号645頁）
2006年11月16日
即決裁判制度
本年１０月２日から即決裁判制度という新しい刑事裁判制度が始まりました。
これは、起訴される事案が、死刑又は無期、短期１年以上の懲役、禁固に当たる罪以下の軽微な犯罪であって、被疑者がその犯罪事実を認めている場合は、通常の刑事事件の公判手続を簡略化することができる制度です。この場合、原則として第１回公判期日に審理を終結して、その場ですぐに判決となります。
この即決裁判手続による場合、被告人はもちろん有罪判決になりますが、必ず執行猶予が与えられます。
これに類似した制度としては、従来から略式命令という制度があります。罰金で処分すべき事案で、被疑者が罪状を認めていて略式命令で処分されることに異議がない場合は、検察官は略式命令による起訴ができ、この場合は、簡易裁判所が５０万円以下の罰金を科することができる制度です。この略式命令の手続は非常に簡単で、被疑者は１回の出頭で罰金が言い渡されます。弁護人をつける必要もありません。この略式命令は、道路交通法違反、業務上過失致死傷、暴行・傷害などの罰金刑がある比較的軽い犯罪に適用されてきました。
今回新たに導入された即決裁判制度は、簡易な手続で刑事処罰ができる刑事事件の範囲をもう少し拡げて、懲役刑や禁固刑も言い渡すことができるようにしたものです。但し、裁判所は、この即決裁判手続で行う場合でも公判を開かなければなりませんし、簡易な方法とはいえ証拠調べも行われ、弁護人もつくことになります。報道事例をみていますと、公判が始まってから判決言い渡しまで２０分ないし３０分という例が多いようです。
この即決裁判制度の導入によって、裁判所全体の負担も軽減されますし、迅速に執行猶予判決を受けられるので、被告人にとっても早期に拘置所から出られるという有利な面もあります。しかし、捜査官から、「いつまでも否認していたら公判請求になるよ。公判請求になると時間もかかるし、実刑判決もあり得るよ。即決裁判で起訴してやるから自白したらどうか？必ず執行猶予になるから。」と言われると、早期に釈放されようとして、犯してもいない犯罪容疑を認めてしまうということが起こりかねません。このように、この制度によって、捜査段階で事実上の司法取引が行われ、虚偽の自白を誘導するという弊害が懸念されます。
2006年11月02日
無催告解雇
Ｑ．
�〕Э佑龍个瓩覯饉劼任垢�、海外勤務者に対し定期的に健康診断を行っております
この定期健診の際に、Ｂ型肝炎や愛慈病などの感染が確認された場合、無催告の解雇となるそうです。
�∧声劼任垢�、昨今の飲酒運転に対する社会の目の厳しさに応えるべく（？） 公私問わず飲酒運転を行えば、一律に無催告で懲戒解雇処分にするとかなんとか次長が言っています。
上記２つの懲戒解雇事由は、果たして有効なのでしょうか？
Ａ．お問い合わせありがとうございます。
懲戒解雇事由を就業規則で制定していたとしても、その内容に合理性がなければなりません。判例も、「使用者の懲戒権の行使は、労働者の非違行為の性質、態様、結果及び情状等に照らして客観的に合理的理由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合、権利の濫用として無効になる」（最判昭和５８・９・１６）として、労働者の行為が懲戒に相当するものか、懲戒の内容が妥当なものかを客観的な合理性で判断し、社会通念上、不相当な場合には、懲戒権濫用として無効と判断しています。
これを本件について観るに、�，錬揃心留蠅箘�慈病の感染経路が、労働者の非違行為だけで感染するとは限らず、感染が確認された時点での無催告解雇は、客観的合理性を欠き、社会通念上相当とは是認し得ないといえるので、無効となると思われます。
一方、�△砲弔い討枠�妙ですね。ただ、飲酒運転により死亡事故を起こしたのならともかく、検挙され行政処分を受けただけで無催告解雇という処分は 社会通念から観て相当とはいえないのではないでしょうか？この点、最近では飲酒運転に厳しい目が向けられていることから、飲酒運転に対する一般予防的効果としての無催告解雇とすると強ち不相当とはいえない部分も考えられるので、難しいところです。今後の判例の積み重ねを待ちましょう、としか現時点では申し上げられません。
�〕Э佑龍个瓩覯饉劼任垢�、海外勤務者に対し定期的に健康診断を行っております
この定期健診の際に、Ｂ型肝炎や愛慈病などの感染が確認された場合、無催告の解雇となるそうです。
�∧声劼任垢�、昨今の飲酒運転に対する社会の目の厳しさに応えるべく（？） 公私問わず飲酒運転を行えば、一律に無催告で懲戒解雇処分にするとかなんとか次長が言っています。
上記２つの懲戒解雇事由は、果たして有効なのでしょうか？
Ａ．お問い合わせありがとうございます。
懲戒解雇事由を就業規則で制定していたとしても、その内容に合理性がなければなりません。判例も、「使用者の懲戒権の行使は、労働者の非違行為の性質、態様、結果及び情状等に照らして客観的に合理的理由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合、権利の濫用として無効になる」（最判昭和５８・９・１６）として、労働者の行為が懲戒に相当するものか、懲戒の内容が妥当なものかを客観的な合理性で判断し、社会通念上、不相当な場合には、懲戒権濫用として無効と判断しています。
これを本件について観るに、�，錬揃心留蠅箘�慈病の感染経路が、労働者の非違行為だけで感染するとは限らず、感染が確認された時点での無催告解雇は、客観的合理性を欠き、社会通念上相当とは是認し得ないといえるので、無効となると思われます。
一方、�△砲弔い討枠�妙ですね。ただ、飲酒運転により死亡事故を起こしたのならともかく、検挙され行政処分を受けただけで無催告解雇という処分は 社会通念から観て相当とはいえないのではないでしょうか？この点、最近では飲酒運転に厳しい目が向けられていることから、飲酒運転に対する一般予防的効果としての無催告解雇とすると強ち不相当とはいえない部分も考えられるので、難しいところです。今後の判例の積み重ねを待ちましょう、としか現時点では申し上げられません。
2006年10月27日
みなし弁済制度
貸金業法等改正案を了承 金融関係合同会議
（平成１８年１０月２５日自民党ＨＰより）
金融調査会と財務金融部会、法務部会、金融調査会貸金業制度等に関する小委員会は２５日、合同会議を開き、貸金業法上のいわゆる「みなし弁済」制度を廃止し、出資法の上限金利を２０％に引き下げることを柱とする貸金業法等改正案を了承した。問題化している、借り手等の自殺により保険金が支払われる保険契約を結ぶことも禁止。出資法及び利息制限法に基づく金利規制のあり方については法施行から２年半以内に見直す。同案は今月末にも閣議決定され、国会提出される見通し。
利息制限法の利率（10万円未満・・・20％、10万円以上100万円未満・・・18％、100万円以上・・・15％）を超える部分の利率は、無効です。支払う必要がない。
ところが、実際のサラ金は、２９．２％なんていう高金利を取っています。なんで、取れるの？・・・という疑問に答えるのが、この「みなし弁済制度」なのです。
利息制限法の利率から、出資法の利率（２９．２％）までの間は、いわゆるグレー・ゾーンと言われているものです。
この間の利率の利息に関しては、債務者が、「はい。ぜひ支払わせていただきます」と言った場合には、貸金業者は、受け取っていい事になっています。
強制的に支払わせた場合には無効だが、本人が承知の助で支払うなら良いというのが、「みなし弁済制度」なのです。
ただし、圧倒的な力関係の差がある債権者と債務者の間の制度としては、問題がある・・ということで、非常に批判の対象になっています。
任意整理などで、債務者側が「利息制限法の利率」の利率で計算しなおして、多く支払っている部分を元本から控除してくれと貸金業者と交渉します。これを、「利息制限法による引き直し計算」といいますが、これを主張すると、貸金業者が、この「みなし弁済規定」を持ち出して、「われ、納得して支払ったんだから、みなし弁済で有効じゃ。利息の引き直しなどせんわい。」と言うことがあります（大手のサラ金は、だいたい「利息制限法による引き直し計算」に応じてくれますが、小さいところだとごねる可能性があります。）。
じゃあ、この「みなし弁済」規定が強いのかというと、そんなこと、ナイナイ！
結構、運用が厳格。逆に言えば、よほどのことがなければ、この「みなし弁済」が認められることはない・・と考えてよいでしょう。なにしろ、ありがたいことに、要件が厳しい。
＜「みなし弁済」の要件＞
�� 貸金業者から借りたお金であること
�� 貸金業者が、契約の際に契約書を交付している
�� 本人が、元金ではなく、利息と認識して支払った
�� 本人が、利息制限法の利率を越える利息を支払うことを、認識して利息を支払った
�� 貸金業者が、受け取る際に、領収書を交付している。
�� 本人が、現金を実際に支払った。
�� 本人の自由意志で、利息を支払っている。
これらを全部満たす必要があります。
ほとんど、無理。これらを全部満たす貸金業者はいない。
なので、貸金業者が「みなし弁済」を主張しても、ガンとして認めず、あくまでも「利息制限法による引き直し計算」を主張するのが、任意整理の極意となります。
（平成１８年１０月２５日自民党ＨＰより）
金融調査会と財務金融部会、法務部会、金融調査会貸金業制度等に関する小委員会は２５日、合同会議を開き、貸金業法上のいわゆる「みなし弁済」制度を廃止し、出資法の上限金利を２０％に引き下げることを柱とする貸金業法等改正案を了承した。問題化している、借り手等の自殺により保険金が支払われる保険契約を結ぶことも禁止。出資法及び利息制限法に基づく金利規制のあり方については法施行から２年半以内に見直す。同案は今月末にも閣議決定され、国会提出される見通し。
利息制限法の利率（10万円未満・・・20％、10万円以上100万円未満・・・18％、100万円以上・・・15％）を超える部分の利率は、無効です。支払う必要がない。
ところが、実際のサラ金は、２９．２％なんていう高金利を取っています。なんで、取れるの？・・・という疑問に答えるのが、この「みなし弁済制度」なのです。
利息制限法の利率から、出資法の利率（２９．２％）までの間は、いわゆるグレー・ゾーンと言われているものです。
この間の利率の利息に関しては、債務者が、「はい。ぜひ支払わせていただきます」と言った場合には、貸金業者は、受け取っていい事になっています。
強制的に支払わせた場合には無効だが、本人が承知の助で支払うなら良いというのが、「みなし弁済制度」なのです。
ただし、圧倒的な力関係の差がある債権者と債務者の間の制度としては、問題がある・・ということで、非常に批判の対象になっています。
任意整理などで、債務者側が「利息制限法の利率」の利率で計算しなおして、多く支払っている部分を元本から控除してくれと貸金業者と交渉します。これを、「利息制限法による引き直し計算」といいますが、これを主張すると、貸金業者が、この「みなし弁済規定」を持ち出して、「われ、納得して支払ったんだから、みなし弁済で有効じゃ。利息の引き直しなどせんわい。」と言うことがあります（大手のサラ金は、だいたい「利息制限法による引き直し計算」に応じてくれますが、小さいところだとごねる可能性があります。）。
じゃあ、この「みなし弁済」規定が強いのかというと、そんなこと、ナイナイ！
結構、運用が厳格。逆に言えば、よほどのことがなければ、この「みなし弁済」が認められることはない・・と考えてよいでしょう。なにしろ、ありがたいことに、要件が厳しい。
＜「みなし弁済」の要件＞
�� 貸金業者から借りたお金であること
�� 貸金業者が、契約の際に契約書を交付している
�� 本人が、元金ではなく、利息と認識して支払った
�� 本人が、利息制限法の利率を越える利息を支払うことを、認識して利息を支払った
�� 貸金業者が、受け取る際に、領収書を交付している。
�� 本人が、現金を実際に支払った。
�� 本人の自由意志で、利息を支払っている。
これらを全部満たす必要があります。
ほとんど、無理。これらを全部満たす貸金業者はいない。
なので、貸金業者が「みなし弁済」を主張しても、ガンとして認めず、あくまでも「利息制限法による引き直し計算」を主張するのが、任意整理の極意となります。
2006年10月26日
違法性阻却事由 被害者の同意
大仁田「最高裁まで断固戦う」＝プロレス乱闘裁判の上告表明
元プロレスラーで参議院議員の大仁田厚が２６日、都内の議員会館で会見を行い、セッド・ジニアス氏との間で争われていた場外乱闘暴行裁判の賠償命令を不服とし、上告する意向を表明した。
この裁判で大仁田は、訴えを起こしたジニアス氏（２００３年当時、渡辺幸正）が試合終了後の場外乱闘の際、大仁田の公設秘書で当時プロレスラーの中牧昭二氏に顔を蹴られたのは大仁田の使用者責任が十分に果たされていなかったことに起因するもので、これに対する賠償として７８万円をジニアス氏に支払うよう東京地裁から命じられていた。
この決定に対し大仁田は「プロレスの場外乱闘が裁判ざたになるなんてこっけい。だったらアブドーラ・ザ・ブッチャーなんて何回告訴されなくちゃならないんだ。プロレスラーが場外乱闘で蹴られて損害賠償を請求するなんて絶対におかしい。こんな判決を認めてしまえば日本のプロレスは成り立たなくなってしまう。この訴訟については断固として最高裁まで戦う」と、自身が愛してやまないプロレスの灯を守るため、長期の泥仕合をも辞さない決意を明かした。
今回の争点となっている場外乱闘は果たしてプロレスだったのか？ 暴行だったのか？ そして続く裁判で司法はプロレスをいかなる解釈で裁くのか？ ファン、関係者らの注目を集める前代未聞のプロレス裁判は第２ラウンドに突入する。
最高裁の判例検索に当該判決がまだアップされていないのでなんともいえませんが、おそらくは違法性阻却事由としての「被害者の同意」について争われた事件と思われます。
元プロレスラーで参議院議員の大仁田厚が２６日、都内の議員会館で会見を行い、セッド・ジニアス氏との間で争われていた場外乱闘暴行裁判の賠償命令を不服とし、上告する意向を表明した。
この裁判で大仁田は、訴えを起こしたジニアス氏（２００３年当時、渡辺幸正）が試合終了後の場外乱闘の際、大仁田の公設秘書で当時プロレスラーの中牧昭二氏に顔を蹴られたのは大仁田の使用者責任が十分に果たされていなかったことに起因するもので、これに対する賠償として７８万円をジニアス氏に支払うよう東京地裁から命じられていた。
この決定に対し大仁田は「プロレスの場外乱闘が裁判ざたになるなんてこっけい。だったらアブドーラ・ザ・ブッチャーなんて何回告訴されなくちゃならないんだ。プロレスラーが場外乱闘で蹴られて損害賠償を請求するなんて絶対におかしい。こんな判決を認めてしまえば日本のプロレスは成り立たなくなってしまう。この訴訟については断固として最高裁まで戦う」と、自身が愛してやまないプロレスの灯を守るため、長期の泥仕合をも辞さない決意を明かした。
今回の争点となっている場外乱闘は果たしてプロレスだったのか？ 暴行だったのか？ そして続く裁判で司法はプロレスをいかなる解釈で裁くのか？ ファン、関係者らの注目を集める前代未聞のプロレス裁判は第２ラウンドに突入する。
最高裁の判例検索に当該判決がまだアップされていないのでなんともいえませんが、おそらくは違法性阻却事由としての「被害者の同意」について争われた事件と思われます。
