デジカメ

2018年05月10日

カシオ、デジカメやめるってよ(´・д・`)

カシオ、デジタルカメラ市場からの撤退を表明 (デジカメWatch)
カシオ、コンパクトデジカメ撤退 23年の歴史に幕 (朝日新聞Digital)
デジタルカメラ生産終了のお知らせ (カシオ公式サイト)
2018年3月期決算説明会 (カシオ公式サイト)

……とうとう来るべき時が来てしまったのかorz
FR/TR系乱発とか、ZR系の自撮りフルライン化とか、あれこれ手を尽くしてる感はあったのですが……
QV-10に始まる現代デジタルカメラの実質的な始祖、35mm銀塩カメラのライカに匹敵すると言ってもいい、歴史的なブランドが幕引きとなってしまいました。
個人的にも家族用のQV-200に始まり、770、5500SX、7000SX、8000SX、R40、かなり飛んでZR100が現在のサブ機で現役。そろそろZR4100あたり確保しとこうかなー、という矢先のこのニュース。
カメラ冬の時代はいよいよ本格的になってきたようです。
カシオのカメラは実際に使ってみると解るのですが、とにかくUIが優秀で、我が家のデジタル音痴な母でも一度説明すれば何の苦も無く使える超明快なUIに加え、フロントエンドの処理がとにかくサクサクと軽快なため、撮っていてストレスがまず無いという処理系の割り振りの巧さもあり、母曰く、旅行に持って行くにはこれ以上のカメラは無いそうです。しかもZR系の上位機種の充電池(NP-130)は、ミラーレスや小型一眼機を含めても上位に入る程の大容量(1,800mAh)で、実際、1本で2泊3日くらいの旅行は充分持ちます。体感的には私のソニーの一眼機(NP-FW50/1,020mAh)より持ちますね。
しかも現在のガイダンス付きシーンモードの元祖でもあるBS(Best Shot)機能は、これで撮影のイロハを学ぶとっかかりになったという人もいる程の大発明で、実際、これが搭載されるまではオートで花火をまともに撮れるデジカメは無かったと思います。そして高速処理をフルに生かしたHDRやアートショットに、これも民製機ではカシオが初搭載(EX-F1)だった超スロー動画。もうこれでもかというくらい、デジタルだからこそ出来ることを追求しているメーカーだと思います。
ただ、使えば解る、ということは使ってみないと解らないということでもあり、逆に解りやすく売り文句にできるスペックは特に無いため、そこが販売的に苦戦した一因だったのかも知れません。
実際、現在生き残っているメーカーはどれも高級機(一眼やミラーレス)を持っており、その中でもコンパクト機をそれなりに残しているのはソニー、パナソニック、ニコン、キヤノンくらいで、他はダイビング用等の特殊機のみという状況ですからね……。
個人的に印象に残っているのは、QV-770の360°ステッチパノラマ(撮影後にカメラ内で回転しながら再生可能)と、QV-8000SXの超長時間露光(64秒)で星座が撮れたとき。この64秒というのは当時の一眼機を含めても最長で(他は60秒止まり)、当時のコンパクト機としてはトップクラスの望遠ズーム(40-320mm相当@35mmサイズ)もあって、野鳥&天体専用機として活躍してくれました。8000SXを思うと今でも、深夜の寒い山道でじっと三脚立てて星を撮っていた頃の空気を思い出します。

[追記] 2018.5.14
カシオ「デジカメ撤退」を決めたとどめの一撃 (東洋経済ONLINE)
カシオ、波瀾万丈「デジカメ20年戦争」の全貌 (東洋経済ONLINE)
カシオがもたらしたデジカメの歴史を振り返る (IT Media)

この記事で意外だったのが、FR/TRは海外(ほぼ中国?)ではヒットしていたこと。国内では完全にイロモノ扱いでしたからね。ZRシリーズ自撮り化はそういうことだったのか……。この手の分離合体式カメラは歴史の波間に現れては消えていったのですが、リコーGXRのようにレンズユニットにもう少しバラエティがあればもう少し延命できたのかな。この発想をスマホに寄せたソニーQXなども短命に終わりそうな感じなのがなんとも。
しかしこうやって振り返ってみると、正に波瀾万丈、浮いては沈んでの繰り返しですね。ある意味、当初目指していた"コミュニケーションツールとしてのカメラ"は、天敵のスマホがその役目を受け継いでいるとも言え、その意味ではカシオは本来の役目を全うしたのかも知れません。

[追記その2] 2018.7.21
現時点でカメラ誌でカシオの追悼特集を載せているのはポンカメのみのようです。
日本カメラ2018年7月号
しかし、銀塩時代からのアサカメやキャパやカメラマンはまだしも、デジタル専門のDCMやデジキャパが何も無しとは……ちょっと寂しいなぁ。
あと、勢いで先述の広角番長EX-ZR4100(白)を入手しました。コレは……いいモノだ。

[追記その3] 2019.1.8
なんと!!医療用カメラに参入との報が!!
皮膚科診断用の超接写カメラとのことですが、過去の展示会出展時の記事によるとスペックがZR系より上の20MP級の裏面照射型CMOSになっていますね……これってソニーのアレかな?
しかし、公式サイトを見る限り、撤退発表の時点で既に試作機は出来ていたようなので、あの時点でカメラ事業部の身の振り方も考えていたということでしょうか。
また、別の記事によると、ことの発端はカシオのHDR技術の画像診断への応用から始まっているらしく、見る人が見れば意外な使い道があるんだなーと感心すること頻りでした。
しかしよくよく考えてみると、医療現場のような緊急性と即応性が求められる所こそ、カシオの明快かつ軽快なインターフェースが必要とされているのかも知れませんね。
それにしても試作機とは言え、このカメラ、かなり欲しいかも。

k555es2 at 22:00|PermalinkComments(0)