カルロスゴーンが捕まった。彼はルノーから送り込まれた人間で、日産の日本幹部の接待漬けにあい、贅沢を覚えさせられ、その裏でいつでも切れるよう証拠を握られていた。ゴーン追放万歳と手放しで喜ぶ訳にはいかない。大企業幹部の悪辣陰険な権力闘争の風潮はそのまま残された。
いま外国人技能実習の問題が取りざたされている。経済界は「人手不足」だというが、実際は超低賃金でも働きたいという人が少ないだけで、職を求めている人はたくさんいる。要するに「人手不足」とは賃上げする気がない心情の現れなのである。だから法の網をくぐって悪事を働こうとする。自動車業界もまた「人手不足」を叫んでいる業界のひとつである。
ゴーンが去ったところで、ゴーンが残したCEOに高額報酬が集中し、現場に低賃金を求める体質は変わらないだろう。これは日産や自動車業界に限らない、社会全体、世界全体の問題だからだ。日産にはこうしたわたしの見立てをいい意味で裏切ってくれることを期待したい。
参考までにかつて『大亜細亜』誌でわたしが書いた外国人労働者問題に関する論説を全文紹介する。
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