【神奈川】平塚市袖ケ浜の沖合約100メートルにある東京大学の平塚沖総合実験タワーで、紙で作った漁網の実用化に向けた調査がスタートした。耐久性や生物の付着状態などを調べ、流失などが課題とされる従来の合成繊維製の網から転換を図る。使用後の堆肥(たいひ)化の可能性もあり、漁業関係者の期待が高まっている。【渡辺明博】

 東大と市漁協などが、新しい定置網の開発を目指した共同研究。水産業と農業の結びつきを深めるのも狙い。

 紙は繊維が長く強いものを使った。幅約65メートル、高さ90センチの実験用の漁網2種と従来の合成繊維の漁網を三角柱状に組み合わせた実験セットを水深約3メートル付近に設置。2カ月ごとにフジツボや貝類などが付着する様子を観察する。定置網はフジツボなどが付くと網目がふさがって重量が増え、急な潮流による流失事故が起きやすくなる。このため定置網漁業者は定期的に網を陸上に引き揚げ、生物を取り除く作業をしなければならない。労力とコストがかかり、改善策が求められていた。

 また、紙は微生物によって分解されるため、堆肥化も見込める。実験後に粉砕し、ホウレンソウなどプランター野菜の栽培に、どれくらい効果があるか実験を重ねる予定。

 市農水産課みなと水産担当は「網は5年前後しか持たないとされ、その後は産業廃棄物として処理されなければならない。しかし紙の網は、生物が付いても今度は農業に使えるという大きな可能性がある」と話している。

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