【書評】「Q&A 令和3年民法・不動産登記法改正の要点と実務への影響」のレビュー

出版社‏ : ‎ 日本加除出版 (2021/6/4)
発売日 ‏ : ‎ 2021/6/4
言語 ‏ : ‎ 日本語
単行本 ‏ : ‎ 448ページ
ISBN-10 ‏ : ‎ 4817847336
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4817847331


《書評・レビュー》
司法書士内藤先生のブログでも紹介されていた本。
この本は非常にクオリティが高いです。

しかも、この本自体でも十分価値があるにもかかわらず、
なんと著者である荒井先生ご自身によるフォローアップのページもあり、
やばいです。

本の内容としては、法改正の背景、改正法の要点のみならず、
実務への影響もきちんと触れられており、
「お勉強」で終わることなく、実務家にとっても有益な本となっています。
いや、むしろ実務的な内容だけでなく、
法改正の経緯などまでさかのぼって説明されているのが、
実務のあんちょこ本ではないクオリティとなっていると言うべきかも。

文章自体もとても読みやすく、Q&A方式で記載され、
まず、端的な答えの後に、要点解説が続きます。
その要点解説もわかりやすく、細かなことは脚注に記載されています。

また、改正条文も末尾に収録されていますが、
よくある、ページ稼ぎのために載せているようなクソみたいな改正本ではなく、
二段組みでコンパクトに記載されています(改正前民法は枠記載というのもとてもよい。)。

事項索引で、「共有はろくでもない説」とか「我妻民法はタイムトラベラー」という用語が
収録されているのを見て、にやりと笑えるだけでなく、
荒井先生の、この本への情熱、細部へのこだわり、読者へのサービス精神を個人的には感じました。

出版社も安心の日本加除出版。
個人的には、新日本法規出版より本の中身の密度が濃いと思っています。
もちろん、新日本法規にも、青山先生の名変の本などすばらしい本も多いですよ。
あくまで個人的な感想。

一つだけもったいない面があるとするなら、本のタイトルが長いし、
検索がヒットしにくいタイトル名のような気がします。
個人的には、「への影響」は削って、「~改正の要点と実務」というタイトルのが
ネットでヒットしやすいような気がします。

とても素晴らしい本なので、誰か書名を短縮した、この本の愛称を考えてくれないかな。
みんなはこの本を何て読んでいるんだろう。荒井改正本?


目次
第1章 総論
 1 .法改正の経緯
 2 .法改正の背景―所有者不明土地問題
 3 .法改正の全体像
第2章 改正法の要点解説
第1 共有制度の見直し
 1 .共有物の管理
 2 .共有関係の解消
第2 財産管理制度の見直し
 1 .所有者不明土地管理制度等
 2 .管理不全土地管理制度等
第3 相隣関係の規律の見直し
 1 .隣地使用権
 2 .越境した枝の切除
 3 .ライフライン設置権
第4 相続制度の見直し
 1 .相続財産の管理に関する規律の見直し
 2 .相続財産の清算に関する規律の見直し
 3 .遺産分割に関する規律の見直し
第5 土地所有権を手放すための新しい制度――相続土地国庫帰属制度
第6 不動産登記の更新を図る仕組み
 1 .相続登記に関する規律の見直し
 2 .住所等の変更登記に関する規律の見直し
 3 .登記官の職権による不動産登記情報の更新
第7 休眠登記の抹消手続の簡略化
第8 そのほかの不動産登記法の見直し

第3章 実務への影響
第1 家事事件・一般民事
 1 .相続実務
 2 .相隣関係
 3 .離婚事件
第2 不動産法務
 1 .不動産開発――再エネ事業の開発を例に
 2 .不動産取引
 3 .不動産投資
 4 .不動産賃貸
 5 .不動産管理
第3 金融法務
 1 .相続預貯金の払戻し
 2 .債権回収
 3 .民事執行
 4 .そのほかの金融法務への影響
第4 会社法務一般

巻末資料
・改正項目別 実務への影響早見表
・民法(明治二十九年法律第八十九号)(抄)
・不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)(抄)
・非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)(抄)
・家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)(抄)
・相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(令和三年法律第 二十五号)