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 どうも、皆さんいかがお過ごしでしょうか? 対空星団です。
なんやかんやあり、更新に間隔があいてしまいましたが、今回は宣言通りブックレビューとなります。
 この物語を読んだとき、最初に目につくのは、題にした通り沢山の設定が盛り込まれいると言う事だろう。
 具体的に言うと、同じ日を七回繰り返すループ物であり、さらに主人公はその7日間を別の人間に憑依しながら過ごしていく、その中で起こる殺人事件を解決しなければならない。
 この様に、この作品は特殊設定と呼ばれる非現実的な設定が多くあり、物語全体の不気味さを強調している。この様な特殊設定と言うものは出すのは簡単なのだが、物語を纏めようとするとどうしても余計になっていく、殺人事件を解決する物語の中に、ループする理由等を書かなければならないため、どうしても本質と離れやすいからだ。
 ただ、この作品はその辺りの書き方を上手く扱えている。主人公がループや憑依している理由が、そのまま主人公が何故謎を解かなければならないのか、と言うミステリーにおける探偵役の難しさと直結しており、非常に素晴らしいと感じた。
 また、この作品は初めこそ特殊設定に目が行きがちだが、この作品における一番の特徴は個性的なキャラクター達だ。
 物語の舞台となる館には様々な人達が集まっているのだが、その誰もが単純なキャラクターでは無く複雑な思想を持っており、それが複雑に絡まっている。例を上げるなら、主人公は同じ日を別人に憑依して生きているのだが、初日に起こった騒動や出来事が明日の自分が起こしたものだったりと、物語がとても多面的であるのだ。
 そういった関係性が読み進めるうちに段々と把握できていく、その為読み終わるとこの作品の本当の魅力は大量の設定などでなく、キャラクターにある事が解るだろう。それ程までにこの作品は精密なキャラクター達で構成されている。
 ただ、その弊害として全てのキャラクター達を覚える事はなかなか難儀なので、メモを取りながら読みすすめると良いかもしれない。
 ミステリーとしては、最近の日本のライトミステリー等とは違い、しっかりとした謎であり、読んでいけば行くほど情報がわかっていく。犯人当てはできるのかと聞かれると、不可能ではないがそれこそ文中の全てを把握して、考えなければ難しいと思う。ただ、物語としてのどんでん返しは素晴らしいの一言で、主人公の謎解きを聞いて、ナルホドと唸らされた。
 ストーリーの展開も、物語の特性上主人公は一日ごとに別の人間に憑依していくのだが、主人公は憑依した人間の思考に影響されてしまう。その為、日によっては暴力的になったり、暗躍したりと、根幹は同じ人物なのだが行動が大きく変わるため、飽きることがない。
また憑依した人物によって立場や友人たちが違う為、物語が後半に進むに連れ立体的に物語を捉えられていける。さらに別の立場、別の人格では、キャラクターの評価が反転する事すらあり、この物語の複雑な人間関係にしっかりとのめり込むことができる。
 ただ難点としては憑依することで立場や思考が変わるので終盤で一気に情報が集まってしまう事だろうか。じわじわと謎に近づいていく感覚は薄く、その点は残念と言えるだろう。
 総評としては、初めこそ多量の特殊設定に興味を惹かれるが、読み進めていくうちに個性的なキャラクター達に惹かれ、その人間関係こそこの物語の鍵だと気づいていく。ストーリー展開も憑依と言う形で多方向から物語を見つめる事ができ、ミステリーとしても納得できる終わり方だ。そのため、何処をとっても不満が少なく、設定の複雑さを考えるとかなり完成度が高い作品である。実は今回のレビューでは意図的に触れていない、もう一つの物語があるのだが、それが何なのかはぜひ自分の目で確かめてほしい。
ではまた、此処か何処かでお目にかかれることをお待ちしてます。

 皆さんはじめまして!このブログを新たに管理することになりました、対空星団です!
 前回の更新から随分と時が流れてしまいましたが、これからは心機一転、バシバシと更新していきますよ!
 簡単に自己紹介させていただくと、私こと対空星団はミステリーを好んで読む性分です。活動の方では小説は余り書きません、ですが部活は楽しく過ごしていますよ!
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