2008年06月

2008年06月30日

「ミディアム3(10)邪悪な人形」

アリソンは自分や家族がみんな人形になっている夢を見る。その日アリソンはスーパーで人形になったデュボア家で遊んでいた少年を見つける。女の子の人形を持っているその男の子はオリヴァーと言い父マイケル・レヴィットと一緒だったが、アリソンはマイケルがオリヴァーに躾を通り越した虐待をしていると見抜く。
その後マイケルは屋根から転落死し事故死と断定された。家にいたのはオリヴァーとマイケルの女兄弟のサラ・ジェーン。現場に到着したアリソンはオリヴァーと一緒にいる人形の声がするのを聞く。
その日の夢で人形はオリヴァーに父を殺すようにけしかけていた。検事には黙っておくアリソンだがその夜今度は少女が体格の良い父を殺す夢を見る。彼女はオリヴァーと同じ人形を持っていた。スキャンロンに相談するアリソン、しかし当然ながらスキャンロンは「人形が黒幕」だと信じるはずもない。
アリソンは葬式をしているレヴィット家を訪ねオリヴァーに話し掛ける。オリヴァーはアリソンが「マイケルの死が事故ではない」と疑っていることに気付いていた。アリソンはこっそり人形を持ち去り家に隠す。すると夜中オリヴァーから電話がかかってきて人形を返すように言われる。人形を返して家に戻りベッドに入ったアリソンは今度は父を階段から突き落とし殺した少女が「サラ・ジェーン」であることを夢に見る。あの少女はオリヴァーの伯母だったのだ。
レヴィット家を訪ねたアリソン。サラ・ジェーンはオリヴァーを養子にしサンフランシスコに行くところだった。アリソンはサラ・ジェーンに「秘密はバレない」と告げる。マイケルとサラ・ジェーンは父から虐待を受けていた。成長したマイケルは今度はオリヴァーを虐待するようになってしまったのだった。
オリヴァーは人形マギーが見つからないし探し物は得意なのに見つからないと言うがもう人形遊びは飽きたという。アリソンはオリヴァーに電話すると告げる。
デヴァロスは6年前に20歳で自殺した娘アリアナが死んだ時期が近づき沈んでいた。忘れ物をして家に戻ると家にはフランクリン・ゲイツ博士がいた。彼は死者と交信できると言い妻リリーはそれを望んでいたのだ。しかし博士が持ってきたアリアナの好きな花・百日草が季節外れのため造花だったりとその白々しさにデヴァロスは博士を追い出す。
デヴァロスはアリソンに娘のことを話す。アリソンはアリアナの存在を感じることはできなかったが「ラスト・ガスプ」という言葉をメモし渡す。墓参りの前に妻と出かけたデヴァロスは「ラスト・ガスプ」という看板の近くで諍いとなり車を止める。やりきれない気持ちの2人。しかし気付くとそこには季節外れの百日草の花畑が広がっていた。
ブリジットはマリーが水疱瘡にかかる夢を見る。まだ水疱瘡にかかっていないジョーは「仕事が忙しい時期なのに」と神経質になりネットで調べたりマリーとの接触を極力控えたり。しかし同僚アーロンの息子AJが水疱瘡になりアーロンもうつったと連絡が入る。アーロンはAJを会社に連れてきていた。そして自分の顔にも発疹があることに気付くのだった。

軽く流されていたがアリエルのセリフから言うと学芸会か朗読の授業でアリエルは「ハムレット」の悲劇のヒロイン・オフィーリアをやるみたいだ。さすがベストカップルに選ばれたことはある。狂気の部分も演じるのかな・・・。これは今回のゲストがダイアン・ヴェノーラだったから?
アメリカだと水疱瘡ってかからずにしておくんですね。私は小さい頃かかった時に1回も遊んだこともない子たちが親に「うつってきなさい」と言われて家に遊びに来てみんなで感染していったという記憶がある。小さい時にかかった方が良いからね。今はもうそんなことはせずに予防接種の時代ですか。続きを読む

k_k2911 at 23:59|PermalinkComments(0)TrackBack(0) ミディアム3 

2008年06月29日

「ぐるりのこと。」

しっかり者で何でもきっちりしていないと気が済まない翔子とだらしのないカナオの夫婦。2人の初めての子供が亡くなったことをきっかけに精神のバランスを崩し始める翔子の側を法廷画家となったカナオは決して離れない。
夫婦が再生する10年の物語。

橋口監督の「渚のシンドバッド」に魂えぐられ「ハッシュ!」は大好きな作品だった。
そんな橋口監督は商業的な作品を撮らないのであまり気にしていなかったがなんと6年ぶりの新作なのですね。その間に精神的を病んでしまっていたそうで。
でもそれもこの作品が生み出されるために必要なことだったと思いたい。ゲイが出てこなくてもこれはまさしく橋口監督の作品だった。

もうとにかく主演の2人が良いのである。
木村多江さんの痛々しさはもう木村さん自身の撮影時の精神状態を心配してしまうほど。しっかり者で危うくなって今度は精神に添え木がされていく感じが素晴らしいのだ。
そしてそれを見守る夫のリリー・フランキーさん。リリーさんはもうカナオとイコールになっているのか?と思えてしまうくらい自然で。もちろんセリフとか上手いわけではないんだけれどカナオがそこにいた。カナオとしてセリフを言っていた。

絵画を学ぶ中で出会ったらしいカナオと翔子。翔子は「する日」まできっちりカレンダーで決めてしまう。そんな翔子に叱られっぱなしのカナオは女にだらしがなく靴屋でアルバイトしていると法廷画家の仕事を紹介される。
周囲に心配されながらも夫婦になった2人。しかし子供は亡くなってしまう。小さい出版社に勤める翔子はしだいにバランスを崩してしまう。私はてっきり子供を失うという決定的なことが起きて一気に崩れてしまうのかと思っていた。なのに彼女はその後しばらく一応生活を営めるのだ。いくつかのシーンのたびに「あぁもう翔子は壊れてしまう」と思うのに彼女は踏みとどまる。ギリギリで踏みとどまるというよりも少しずつ崩れてしまうのだ。
そんな翔子をほとんど無表情で見守るカナオ。問いただすわけでもなく監視するわけでもなくカナオは翔子の側を自然と離れない。それはできそうでできないこと。もし私だったら気付いた時点でがっつり話し合おうとし焦り目を離さず、なのにある時突然全てを投げ出してしまいたくなるのではないだろうか。1番大切なのはずっと見守ることなのに。
それをごく自然にできてしまうカナオは不思議な人だ。シニカルな目線と温かな目線が違和感なく同居している。

この10年にはいろんな事件があって法廷画家であるカナオはその公判を目撃していく。そこに余計な感情は入らずただ目撃していく。ただどの事件も大切な何かを失う人がいる。逃げようとして失敗した人がいる。本当の愛ややさしさなんてたやすく見つけられるわけもなくそれを簡単に口にして見つけたと思えてしまう状況の気持ち悪さ。
10年の間もその先も決して凶悪な犯罪は無くならないし誰かの大切な何かは失われ続ける。それでも翔子とカナオはその10年で再生することができた。続きを読む

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「歩いても歩いても」

子連れのゆかりと再婚した良多は夏のある日実家に帰る。その日は15年前に亡くなった長男の命日だった。
何かと世話を焼く母・医者としての威厳を捨てられない父。姉家族もやってきた横山家は賑やかだが良多はふと両親の老いを感じる。

「幻の光」「ワンダフルライフ」「DISTANCE」「誰も知らない」「花よりもなほ」の是枝裕和監督最新作。
ほぼ24時間の出来事を書いた物語。
事件らしい事件は起こることもなく過ぎ去ってしまった一日の物語。

きっとこの作品を見た多くの人が「これはうちと一緒」と思うのではないだろうか。
期待を集めていた家族を失ったわけではないが家族の一言一言が自分の家族の誰かが言ったことのある言葉だった。私の家の階段には昨年から手すりが取り付けられた。

映画の中のいたる言葉・行動にこの家族を理解する糸口がある。
良多はちょっと勝手なところがあって実家に行くのに一番緊張しているのは子連れ再婚という身の妻・ゆかりであることに気付いていないし図体は大きいのに荷物もスイカしか持ってあげていない。(人にあげるものを男性って持ちますよね)考えていることは妻の気持ちより「失業中であることをどう秘密にするか」ということばかり。
長女のちなみは母と父にも声をかけ家族も賑やかだかどうも調子がいいという印象が抜けない。ちなみの帰りの車中の会話とか思い当たるしな〜。
そんな賑やかなちなみ一家との同居を母とし子は嫌がっていて良多家族との同居を望んでいるがちなみに「嫌」とは言えず父恭平が嫌がると言ってしまう。かといって良多の妻ゆかりとその息子あつしを認めているわけではない。
頑固な父恭平も実はちなみの子供たちよりゆかりの子あつしの方を気に入っているようだ。ちなみの子供たちに比べて遠慮もあって大人しくお行儀の良いあつしに出来の良かった長男を重ねているのかもしれない。
その他にも「ここで止めておけばいいのに」というところで止めることができない老夫婦の口ゲンカは毎日私の家でも行われていることだし、時折見せる母の残酷な心情は絶対にあるし偏見とも思える言葉の中には実際に私の母が言っている言葉もあった。とし子は墓に供えられたひまわりが誰によるものか知っていたと思う。だから取ったんだ。

家族は1番近いようで心の奥底までは言えないこともあるしわずかな居心地の悪さもある。近いからこそ小さなことが気になって。ちょっと気を使ってできないことがわかっている口約束。久しぶりに集まった一日でいろんなことが浮き彫りになり、それでも何もせず解決しないままにすぎていく。
たぐりよせそうなのにたぐりよせない家族の話。それでも家族は家族なのだ。
映画は「早くたぐりよせなさい・親孝行しなさい」なんてそんな偉そうなことを言うわけではない。どうしたって家族なんだもの。良多は杖をついてゆっくり歩く父をぎこちなく見守り、ケンカばかりで息子の死のことでわだかまりのある夫婦でも絶妙な距離間で共に歩く。
きっと私の家もそうなるんだろう。

ラスト両親の死後のある夏の日墓参りにきた良多一家。夫婦の間に子供も生まれていた。良多は母と同じことを口にし免許を取り車で来ていた。母を乗せることができなかったが一家が乗った車の音と「カランカラン」という溝を越える音がした時涙腺を刺激されました。
たった1日でその家族を切り取った是枝監督の力量に驚かされました。続きを読む

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2008年06月28日

「CSI7(11)グリッソムの旅立ち」

アディ・フィンチが追い出そうとした息子ジェイに刺された後に射殺された事件の公判。キャサリンは凶器のナイフから4種類の血痕が出てそれが「被害者・血縁関係のある身元不明の2人・ジェイ」のものだと証言する。ジェイは5日後にナイフを提出しているなど疑わしいが銃が見つかっておらず決め手に欠け陪審員は無罪の評決を出す。その事件の弁護人はかつてキャサリンとバーで知り合ったアダム・ノヴァックだった。
あきらめられないキャサリンは5日間ドライブしていたジェイの別の罪を探そうとする。そして走行距離から小さな町で母子の未解決事件があることがわかりニックと現場に向かう。保安官マグワイアの親友ローラ・モントーヤとその娘ロビンがハンバーガーショップのベンチで食事をしていたが店員ハンソンが帰ったのを最後に血だまりを残して行方不明になっていた。テーブルの裏から弾丸が見つかるがそれはフィンチの事件の38口径ではなく25口径だったため無関係だった。その時マグワイアは同時期に別の母子殺人があったことを口にする。
解決済みであるためキャサリンたちは知らなかったがその事件を念のため調べてみることにする。ナイフと銃弾を使った犯行で38口径、メアリーとヘザー母子が殺害され何度もこの家を訪れていた配管工ロバート・ガフィーが名乗らずに現場の電話から通報、後に犯行を自供し逮捕されていた。
現場となった家はアディの家とよく似ていて事件当時のままになっておりサンプルを取ることができた。裏庭のウサギ小屋に幼い息子ダニーが隠れていると思った犯人はウサギ小屋を撃っていたが自供が取れたために銃弾は取り出されていなかった。キャサリンとニックは銃弾を探しニックは証拠をベガスのラボに持ち帰った。検死官のロビンスはアディとメアリーとヘザーの犯行に関連性があると考える。町に残ったキャサリンはガフィーに面会するとガフィーは保安官たちの圧力に屈し自供したと無実を訴える。前科があるガフィーは家を訪れ死体を見つけ通報するが逃げたのだった。
検査の結果ウサギ小屋の弾はガフィーの銃とは不一致・アディを撃った弾と一致した。ということはジェイ・フィンチがメアリーとヘザーも殺害した可能性が高い。当時キッチンに隠れて難を逃れたダニーから証言を得るためにメアリーの夫ショーンに許可を得てダニーは家に入る。ダニーは犯人がクッキーを食べたことを覚えていた。そしてクッキーが入っていた容器の蓋の裏には血のついた指紋が見つかった。血はメアリーとヘザーのものでアディを刺したナイフの血痕とも一致、指紋はジェイ・フィンチと一致した。
家で元の生活を送っていたジェイ・フィンチはメアリーとヘザー殺しで逮捕される。クローゼットのノートには「我が家が一番」という文でびっしりと埋められている。母を殺しドライブしていたフィンチは混乱し我が家とよく似た家を見つける。その家が自分の家と思ったフィンチは中に入れてくれないメアリーを母と思い込み殺害したのだった。
無実ではないフィンチの弁護を拒否する弁護士ノヴァック。キャサリンはガフィーを紹介する。
休暇を取るグリッソムにホッジスは上着を贈り、もう戻ってこないのでは?と思うニックは別れを惜しむ。サラはあっさりと見送りグリッソムはサラと会えない日々に淋しさを思う。その夜主人が不在のグリッソムのデスクには新たな殺人模型が届けられていた。

先週の次回予告で「殺人模型はまだ終わっていない」と言いつつ今回のラストにしか出てこないなんて。

今回の事件はわりとオーソドックスな感じで解決し好印象。キャサリンかっこよかったし。
こういう事件って犯人のフィンチは脳の障害を負っている可能性があるので裁判ではどう転がるんでしょうね。
というか母子を殺害した後で「あ、ここ家じゃないや」って気付いたのか、遅すぎましたな。続きを読む

k_k2911 at 23:59|PermalinkComments(0)TrackBack(0) CSI7 

横山秀夫著「クライマーズ・ハイ」読了

はい、今さら読みました。

1985年8月日航機、群馬・御巣鷹山に墜落520名死亡。
部下を事故死に追いやった過去を持つ地元紙の遊軍記者・悠木和雅はこの未曾有の大事故の全権デスクとなる。一緒に岩に登るはずだった友が倒れ心配しながらも部下に突き上げられ上司・同僚と戦い紙面を作る悠木。
嵐のような数日間とその後に悠木がたどり着いた心境を描く。

NHKのドラマを見たときに本を買っておいたのだけれど別の本を読んだりしていて忘れていたがこの映画化を機会に読みました。
実は最初は別の本を先に呼んでおきたかったので順番が狂ってしまい、それはもちろん私自身のせいなのだけれどちょっと乗り気ではなかった。なのに読み始めたら面白くて止めることができずほとんど1日で読みきってしまった。少しずつ読み進めるというよりは一気読みしてしまう本だと思います。

日航機墜落事故のことは私はまだ小さかったのであまり記憶はない。その代わり8月になると放送されるドキュメンタリーなどでの印象が強い。ドキュメンタリーや再現VTRなどでもあれだけ怖いのに実際に罹災された方の恐怖と無念を思うといたたまれない心境になってしまう。なので事故の一報の場面はそのことばかり頭に浮かんでしまい怖くて何度か中断したりしたものだが気付くと夢中になっていた。

基本的に組織の中の男のドラマは好きだし登場人物も単なる勢力争いや妬みではなかったりするので読み応えがある。一口に新聞と言っても紙面を作る人間がいればレイアウトする人間・投書欄を管理したり広告を取ってきたり販売する人間がいる。それぞれに事情がありまた譲れない何かがある。こんなに上も下もみんな言いたいこと言い合って喧嘩するのかな、とも思うがこの大事故によって熱病のような状態になったからと考えられるしそれだけの事故だったのだと思う。ぶつかりあう人間の姿は生々しく頭に思い描けそうだ。

この主人公は部下の雑感を載せることもできず一面と約束した連載も追いやられスクープも逃した。決して突出した敏腕デスクではなかっただろう。上に楯突いて負けることも多かったし時に勝手で周囲に八つ当たりもした。でもそんな悠木が何度も何かを掴みかける瞬間を私はとても大切にしたかった。

悠木の生い立ちにうまくいっていない家族・友の病気と謎の言葉・以前亡くなった部下とその従妹との出会いなど事故以外の描写も多くゴロゴロと具沢山といった感じがするし、時として悠木はヒロイックになるしいろんな着地点がとってもお行儀が良いと感じた。
それでも読後感は爽やかで悪い気がしなかった。この作品を書くまでに必要だった時間がこのラストを生んだのかもしれない。

戦場のような編集局の場面を読んでいると自分が「もっともっと」とさらなる盛り上がりを期待していたので「実際に事故で多くの方が亡くなられているのに」と自分の無神経さに気付いてしまった。
そして夜、新聞を片付ける時に毎日毎日(だいたいの場合)とっておかれることもなく毎日ゴミとしてリサイクルに回される新聞にあの人たちは命かけてるんだなと思いちゃんと読み直してしまいました。

いやー映画化が楽しみだ。

k_k2911 at 16:26|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 読書 

2008年06月26日

海音寺潮五郎著「西郷と大久保」読了

久しぶりの読書ネタ。
実直で情熱家の西郷隆盛と冷静で目的のためには小さいことは切り捨てる大久保利通。2人は無二の親友だった。
その情熱と行動力で道を切り拓き時に挫折する西郷とそんな西郷を誰よりも愛し1つ1つ階段を昇っていく大久保の姿を対比し2人の別離を描いた作品。

ちょっと忙しかったのでなかなか読み進めずにかなり時間がかかってしまったが本当はとても読みやすい本です。
大河ドラマの予習用に買っておいてあとこの時代の本が2冊あるのですが大河を見ているとあまり倒幕を詳しく描かないような気がしてきました。

西郷隆盛と大久保利通の友情や対比を描いた作品なので2人の生涯を知るためには別の小説を読んだ方が良いでしょう。
2人の友情がはぐくまれるところではなくその後の西郷隆盛が月照と入水する直前から物語は始まります。そしてあまり2人一緒に場面はなく役割が分担されているのでちゃんと流れはあるのに短編集のような感覚。
西郷はとても魅力的で尊敬せずにはいられない人です。でも私はそんな西郷に憧れ続けた大久保に魅力を感じました。「自分にはそんな人間的な魅力はない」とあきらめつつ「自分は違うことを」と模索し見つけた大久保を。そして「吉之助サァは」と西郷のことを思う時のとても純粋な憧れの気持ちは読んでいて温かな気持ちになります。

2人の友情にとってもそれぞれの人生にとっても一番良かったと思われる明治維新をばっさりカットして征韓論を巡る対立になり決別が描かれるのでもっともっと2人の関係を知りたいし両者の葛藤を知りたくなりました。物語の性質上仕方のないことなのかもしれませんが別離の瞬間は描かれているけれど特に大久保の心理描写は少なく、あの時西郷を切り離すうねりが感じられませんでした。決別に関してはちょっと物足りなさを感じたので他の本を読んでみようと思います。大久保利通は西郷に比べて本が少ない。なにか「これが決定版!」とかお勧めあれば教えてください。

k_k2911 at 23:59|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 読書 

脇役たちのCM事情22

なんかいろいろ載せたいことがあったのだが記事を追いつかせることに精一杯で旬が過ぎてしまったなぁ・・・。なので少なめです。

・新シリーズの「リハウス」のCM。今回の父役は脚本家・映画監督でもある鈴木卓爾さん。監督作に「ワンピース」「パルコフィクション」など。俳優としては映画「アドレナリンドライブ」で安藤政信さんの同僚役「トキワ荘の青春」では安孫子素雄役(後の藤子不二雄A)「サンデイドライブ」「うつしみ」「クロエ」ではオカマのアニ役をキュートに「いたいふたり」ではヒロイン唯野未歩子さんに恋をする同僚・木村役「六月の蛇」で黒沢あすかさん演じるヒロインの同僚「ナインソウルズ」では脱獄する9人の1人爆弾魔の乾真一役「悪夢探偵」で地味な男役を演じていた。
・成長した娘と久しぶりの家族旅行をし以前撮った場所でもう1度記念写真を撮るという内容の「東武特急スペーシア」照れながらもピースをしてくれる父を演じているのは山田辰夫さん。映画「狂い咲きサンダーロード」「すかんぴんウォーク」で一躍注目を浴びる。映画出演作に「BeRLiN」でキョーコを追うディレクター「ホワイトアウト」で県警の上層部「クロエ」でプラネタリウムの会社の課長「KT」では警察側の人間「マブイの旅」では南国に行って自堕落に過ごす主人公を「極道戦争勃発 東京」で雨組若頭・山路大輔役「壬生義士伝」で三宅裕司さん演じる大野の下男・佐助役「オードヴィ」で朝加真由美さん演じるリツ子の夫の刑事「理由」で部屋を手放した小糸信治役「SEMI 鳴かない蝉」でヤクザの親分・小浜役「Summer Nude」でも組長役「陰陽師2」で公家の三善行憲役「〔is A.〕」で爆発事件を起こした勇也の保護司・永井役「スクラップヘヴン」「いつか読書する日」「火火」など。舞台出演作「あの川に遠い窓」で強烈な思いを秘める教師役を痛々しく演じ「冬の入り口」では父の葬儀で密かに父の隠し子を迎える長男を演じていた。いつも怒っているような役も多いがくたびれたやさぐれ男を演じさせると絶品です。
そしてその娘を演じたのは清水ゆみさん。「リーゼ」などCM出演も多くファッション誌でも活躍されています。映画「PERFECT BLUE 夢なら醒めて」で名曲を作って死んでしまう女子高生役「世界の終わりという名の雑貨店」で美術教師・夏目役「ガキンチョROCK」「真夜中の弥次さん喜多さん」でお幸役「怪談」で黒木瞳さん演じる豊志賀の富本の弟子のおみつ役。身持ちがかたいと評判だったのに豊志賀が年下の新吉と恋仲になったため母から習うのを止められてたことを訴えるがすでに新吉しか目に入らない豊志賀にイライラされ怒鳴られてしまう。

k_k2911 at 11:55|PermalinkComments(0)TrackBack(0) CM・バラエティ・その他 

2008年06月25日

「アフタースクール」

中学教師・神野はかつての母校に勤めている。ある日違うクラスだったが同級生だと言う島崎が現れる。彼は探偵で神野と仲が良い同級生・木村を探していた。
木村は妻・美紀の出産だというのに朝から連絡が取れていない。島崎は木村と若い女が一緒に写っている写真を差し出す。
木村はどこに行ってしまったのか、お人よしの神野は島崎の木村探しに付き合うことになってしまった。

内田けんじ監督の前作「運命じゃない人」を見た時のことはよく覚えている。
渋谷のレイトショーは満員で入れずに断られている人がいた。そして映画が始まり仕掛けが明らかになっていくと声こそあげないが映画館内の熱気が高まっていた。
久しぶりに次回作も見たいと思える新人監督だったので地元で公開されるとうれしいわね。

思ったのは「基本的に私と俳優の好みが似ているな」ということ。前作「運命じゃない人」は評判が良かったということもあるけれど、中村靖日・山中聡・板谷由夏がメインキャストだから見に行ったという部分が大きかった。
そして今回は大泉洋・佐々木蔵之介・堺雅人。またドンピシャだよ。次回作は誰をキャスティングするんだろう。

内田監督らしく探偵が出てきていろんな謎がどんどん解けていく。前半はなんかおかしいところはあるし「絶対これは嘘だ」とか「この前提は崩れるな」とか引っかかりはあるものの全体像はつかめないまま騒動がぼんやりしているところに一気に転がっていくところは見事。
かといって複雑なわけでもないので見ながら頭がちゃんと整理されていくところも良い。もちろんぼんやりしていたら伏線を見逃して面白みも半減だけれど。

詳しく感想を書こうと思うけれどなんていうんでしょう。書きようがない感じ。
とにかく脚本と構成が巧みで本当はけっこう無理あるところもあると思うんだけれどそれを感じさせないくらいスマート。出演者もこういう題材をやるにはもってこいのようなどっちにも振れる人を選んでいるし偉そうですが表情とかがわかりやすくないのが良い。
見た後でプログラムの採録シナリオを読むと「この何気ないセリフの本当の意味はこうだったのか」とかがわかるので楽しめました。タイトルの意味も良い。

最後に大いなる謎が残っていて前作からしても「絶対エンディングの後に映像あるな」と思っていたら案の定!やっぱりそうくるでしょ!というような最後ピタっとはまる感じでスカっとする。
スタッフロールの時に立ち上がるおじさんに「まだいた方が・・・」と思ったが確信が持てなくて言えなかった。どうせ勇気でなくて言えなかっただろうけれど。

ただ帰り道にふと「確かに内田けんじ監督は面白い。でもそれだけなんだよな」と思ってしまった。
確かに楽しめる作品なんだけれど心に何か残るかといえば何も残らない。スクリーンで見る醍醐味みたいなものが薄いというか。別に爆発が起こればいいとか派手であれば良いというわけではなくて何かもうちょっと欲しいというか。今は観客を騙すことが第一で心情とかは弱い。
監督の世界観といえばそうでそれはもちろん好きなので余計なお世話だよな。続きを読む

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2008年06月24日

「JUNO」

ジュノは父・継母・妹と暮らしている16歳。
ジュノは自分が妊娠していることに気付く。相手は同級生のバンド仲間ポーリーだ。一度は中絶しようとするジュノだが里子に出すことを決意。親友リアとタウン情報誌から里親になりたいという理想的な若い夫婦を見つける。

世界で旋風を巻き起こしたジュノ。
最近映画を見に行くときに情報を入れないで行くことにしているため知らなかったが監督は「サンキュー・スモーキング」の人だったのね。テンポよく一見風変わりだけれど家族の絆が出たりして実はわりとオーソドックスな話だったりする。

なんといっても脚本とヒロインのエレン・ペイジちゃん。
「ハードキャンディ」「X−MEN ファイナルディシジョン」を見ていない私にとってはやっぱりカナダ時代に出演していたドラマ「リ・ジェネシス」(第1シリーズ)のデヴィッドの娘リリス役なのだが、かわいくなったよなぁ。「リ・ジェネシス」の時は「個性的な顔立ち」としか言いようがなかったのに。
彼女は本当に悩む姿をほとんど見せず全てを決めてしまう。妊娠!?→中絶しよう→やめた、里子に出そう→理想的な夫婦見つけた→両親に妊娠告白と金銭面でもメドが立ってから親に言うのだから。
正直そんなに上手くいくかよ!とも思うし本当はもっともっと深刻で全てのことに両親への告白1つ取っても悩むのだと思うのだけれどね。でも中絶反対派の同級生に「もう爪が生えている」と言われて待合室で爪の音が気になり中絶するのをやめてしまったりこの子なりに処理能力は異常に早いが悩んだりしているのだ。

脚本も面白くて英語がわかったらもっともっと面白かったのだろうなと思う。
ジュノがジュノたらしめるのはあの言語センスなのだろう。しかも音楽の全盛期があの若さで「70年代パンク」と言っているし。
洋服がおしゃれというわけでもなく(小物はかわいかったが)無駄にとんがっているわけでもないのも新鮮でした。続きを読む

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2008年06月23日

「ミディアム3(9)安らかな眠り」

アリソンは人気のない夜の道を下着姿の男性が何かから逃げている夢を見る。彼は車に無視され路地にいた若い男に「コースターを使わなかったことで妻とケンカになり殺されそうだ」と助けを求めると、若い男は「僕が見えるのか?」と驚き「君は死んでいるんだ」と言う。そこにはその若い男が強盗に額を撃ち抜かれている死体が転がっていた。
アリソンの情報で若い男の方・モーガン・ターリーの死体が見つかった。彼は死の直前500ドルをATMからおろしていた。その夜アリソンの夢に再び2人が登場、モーガンは下着姿の男に彼自身が死んでいるところを見せ死を受け入れさせる。
翌日警察にはケイデンス・ビクスビーがやってくる。彼女は捨て猫を保護するシェルターを運営していてモーガンは6匹引き取っており保険金と財産も彼女が受け取ることになっていた。ケイデンスは情報提供者に報奨金を出すと言い孤独だったモーガンの追悼式を行う。
モーガンの追悼式の参加者は少なく寂しいものだった。幼馴染のニックが話しているのを聞いているとケイデンスの近くにモーガンの幽霊がいた。アリソンはモーガンに犯人についての情報を求めるがモーガン自身は犯人逮捕を望んでいなかった。
そしてアリソンは夢から下着姿の男の名がヴィンセントで犯人は妻のグラディス、グラディスは夫を殺害後バラバラにしていると知り報告、死体が見つかり妻が拘束されたことをレポーターが伝えていた。
ブリジットは仕事で忙しい母に「ジオラマを作るのを手伝う約束をしたのに」と怒りジョーが代わりに手伝ってあげる。そのジオラマを見たアリソンは「おばあさん」というがそれは「ジョージ・ワシントン」だった。しかもアリエルにすでにからかわれていたためジョーは機嫌を損ねる。しかしブリジットは「A+」をもらった。
アリソンはモーガンの部屋に行きモーガンの幽霊と再び遭遇するが事件についてはやはり口が重い。しかし窓の外を見ると向かいのアパートにはケイデンスが住んでいた。夢でモーガンは窓から見えるケイデンスに恋し自分が死んだことも予定通りとヴィンセントの幽霊に話すがアリソンが見ていると知り妨害するために悪夢を見させる。
ケイデンスがモーガンの死に関係があるかも、そう思ったアリソンは検事局にケイデンスを呼び出す。ケイデンスはモーガンのことをほとんど知らない。モーガンの幽霊も聞かれることを嫌がっていたが捜査の進展のためアリソンは「モーガンはあなたの向かいに住んでいた、のぞかれていたかも」と話す。観念したモーガンはアリソンに「自殺した」とだけ告げる。それ以上は話さないモーガン、しかしそこにモーガンの親友ニックが「ケイデンスの婚約者」としてやってきた。
事件の解決をあきらめようとしていた夜、アリソンはモーガンを撃ったのはニックだと夢に見る。今まで夢を見せてくれていたのはモーガンを心配するヴィンセントだったのだ。モーガンは素直にアリソンに真実を告白する。モーガンは窓から見たケイデンスに恋し猫アレルギーなのに猫を引き取りニックにそのことを話す。ニックは自殺願望のあったモーガンに生命保険と財産をケイデンスに残す方法をもちかけモーガンも計画にのり強盗に見せかけて殺してもらったのだった。ケイデンスも財産もニックのもの、モーガンは絶望する。
検事局に呼び出されたケイデンスを追ってきたニックは真実を知ったケイデンスに弁解をしようとする。強盗の場合、奪われた金に犯人の手がかりがある。しかし保険金などに手がかりはない。余裕のニックだがモーガンが死の直前おろした500ドルで質屋で婚約指輪を買っていたという証拠を突きつけられ逮捕される。
失意のケイデンス。婚約者に騙されていただけでなく保険金も返さなくてはならなくなってしまった。ヴィンセントはモーガンに「彼女はすべてを捨てて愛してくれた男がいるという思い出がある」と励ます。
いつしか親友になっていたモーガンとヴィンセント。2人は仲良く天国へ。

今回はとても見やすかったです。テンポも良いしシンプル。
卑怯な犯罪が起こったというのに最後は男の友情でさわやかに終わったし。続きを読む

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