小学5、6年生の頃だったと思う。 私は授業中にじっと自分の指を見ていた。
じっと見つめていて目の力を抜くと、一本だけ伸ばした人差し指が二本に見えたりすることを発見して、暇さえあれば夢中になって指を見つめていた。(当時は立体視やステレオグラフィックなどは全く知らなかったので、ちょっとした新発見だった)
そして左右の人差し指の先を合わせるように(E・Tのように)近づけ、ぼんやりと目の力を抜いて眺めると、左右の指が変なふうに融合してウインナーのように見えたりするのが面白くて、授業中にじっと指を見ていた。
指先ソーセージ
【この画像は加工していますが、こんな風に見えます】

その頃、じっと指を見つめていて気付いた事がもう一つあった。
指の輪郭ははっきりと見えているのだが、その輪郭の外側にぼんやりとした陽炎のようなものが見えるのだ。
なんだろう? 指の周りに均一に空気の層のようなものがまとわりついている。 この時は、さっきまでのようなぼんやりとではなく、指を凝視しているのだが、はっきりと見えているはずの指の輪郭の外にぼんやりとしたものが見えていた。
指先オーラ
【画像はイメージです】

そして左右の指をゆっくりと近づけていくと、このぼんやりとした影が吸い寄せられるように融合して、二本の指は触れていないのにまるでくっついているように見えた。
指先融合
【画像はイメージですが、このように見えていました】

「オーラが見えていた。」 そう言ってしまえれば簡単なのだが、もっと現実的な説明はできないものかと当時(もしかすると数年後に考えたのかもしれない)、自分なりに考えた仮説は、「 体温が気温よりも高いので、指の周りの空気との温度差で陽炎のように指の近くの景色が揺らいで見えている。」 というものだ。

ちょうどその頃、何かの本で「指で小さな丸い穴を作って、その隙間からのぞくと、遠くのぼやけてよく見えない文字などがはっきり見える。」 というような記事を見つけてやってみたところ、確かにはっきりと見えた。 近視になりメガネを掛けている現在ではメガネを外すと時計の文字盤が見えなくなるが、この方法で指の隙間からのぞくと今でも文字盤をを読み取ることができる。
指の隙間
【小さな穴、わかりますか?】

この指の隙間をのぞくとまるでレンズがあるかのように見えたことから、少年時代の私はゆびの周りに やはり空気の膜があると考えたのだ。 
十数年後、大人になってから何か雑学の本?でこの指の隙間の事について触れているのを見かけたが、そこには「周りの余計な物が指に遮られて見えなくなる(余計な光が目に当たらなくなる)ために、目の中の変な乱反射が抑えられてよく見えるようになる。」というような解説がなされており(かなり前の記憶なので、少し違っているかも)、指の周りに空気の層があるような事は書いていなかった。
よく考えてみると、ピンホールカメラの穴も小さな穴がレンズの役割を果たすが空気の膜などのせいではない。
しかしこちらは小さな穴が通過できる光を制限していることによる現象で、景色などは逆さまに映るのに指の穴では逆転しないので、現象としては別物なのだろうか。 どちらにしても少年時代の私の仮説は見当違いだったようだ。

大学生時代のある日、子供の頃に見えていたぼんやりとしたものをふと思い出して、授業中に指をじっと見つめた事があったが、いつの間にか見ることができなくなっているとその時に気付いた。

あの頃見えていたものは、やはりオーラだったのだろうか? それとも近視になり始めていた目の錯覚なのか?
はたまた、子供特有の高い体温で空気が温められた事による現象だったのか?