小学5、6年の頃だったろうか。 いつものように海岸で遊んでいると、その日はダイバー数人が漁港の入口付近に何度も潜っては浮かび何やら探しているかの様子。 今にして思えば何かの調査だったのだろうか?
それを飽きもせずにずっと眺めていると、私に気付いたダイバーの一人が何か石のようなものを投げてよこした。 大きなナマコだった。
他のダイバーも同じことをしたので、私の足元には大きなナマコが数匹転がっていた。
私は平らな岩の上にナマコ達を並べて、ぷよぷよしているが意外と硬くゴツゴツ感もあるナマコの体を指でつついたり、そっところがしたりして遊んでいた。 すると、なまこが 口?お尻?どちらか判らないが、とにかく体の端っこから内蔵を吐き出した。

なんの罪もないナマコを殺してしまったと思った。
私は罪悪感に包まれ、慌ててすべてのナマコ達を海に投げ込んだ。
悪いことをしたという気持ちと、海に返してあげなければという気持ち、それに証拠隠滅したい気持ちもほんの少しあったかも知れない。 とにかく、何故か海に返さなければいけないという強い思いに駆られて全てのナマコを海に投げ返した。
ナマコ

数年後、私は図鑑をパラパラと眺めていた。
ネットなど無かった当時、カラフルな写真が散りばめられた図鑑を読むことが好きだった。
その日は、たまたま開いたページのナマコの写真が目に付き、そのあたりの記事をなんとなく読んでいた。

記事の中に、『ナマコは敵となる魚に襲われると内蔵を吐き出して、魚がナマコの内蔵を食べている隙に逃げ出す』というような事が書かれていた。
驚いたことに、内蔵は再生するらしいのだ。
この時初めて、ナマコにだまされてまんまと逃げられたことに気付いた。
当時の私の知恵はナマコ以下だったのだ。(笑)

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ところで、あの時読んだナマコの記事で気になっていることがある。 『魚がナマコの内蔵を食べている隙に逃げ出す』という部分だ。
ナマコの移動速度は超遅いのだ。 魚がナマコの内蔵を食べ終わるまでに60秒かかると仮定すると、ナマコが必死に逃げても きっと 5センチ程度しか移動できない。 内蔵の無駄遣いではないのか?

そこで勝手にオレ理論である。 間違っているかもしれないが、ナマコの気持ちは誰にもわからないのでひょっとしたら正解かもしれないでしょ? である。

ナマコは海底の石に擬態しているようなので、魚がナマコに襲いかかろうとしたその時にナマコがお尻?口?から内蔵を吐き出すと、魚には石の影からミミズ状の生き物が飛び出したように見えるのではないだろうか? 魚はナマコを匂いで見つけて襲いかかって来るので、さらに匂いの強い内蔵(ナマコを調理するために内蔵を取り出すと独特の匂いがする) を吐き出すと、魚が匂いの正体は岩(本当はナマコの本体) の影から飛び出てきたこのミミズだって思って食べるんじゃないか? そしてナマコの本体はひたすらじっと動かずに石のふりを続けて魚がいなくなるのを待つんじゃないか? これなら必死に逃げ出すよりも説得力があると思うのだが、どうだろう?