下の写真の魚、同じ魚でしょうか? よく見ると形が少し違う気もしますが、何も言われなければ同じ魚に見えるでしょう。
貼り紙の数字は重さ(kg)です。軽い方が何故か大きく見えませんか? 目の錯覚でしょうか?

実はこの2尾は、ヒラマサとブリなのです、違いがわかりますか?
ヒラマサは魚体中央の黄色いラインがはっきりしているが、ブリは色が薄い。などと言いますが、鮮度が全く同じで見た目の大きさも同じくらいのこの2尾、黄色の線で見分けが付きますか? よく見ると、ヒラマサの方が黄色がはっきりしていますが、見慣れないと判別は難しいでしょう。
よく、「ブリとカンパチは同じ魚ですか?」 と聞かれますが、ヒラマサの方がカンパチよりもはるかにブリにそっくりです。 そして、ブリともカンパチとも別の魚なのです。
ブリとカンパチの違いについてはこちらの記事を参照して下さい。
http://blog.livedoor.jp/k_kaa/archives/25724402.html
では、思いつくままにヒラマサとブリの違いを並べてみましょう。
(※ 文中では、ハマチサイズの物でもブリとして書きます。)
----------------
【大きさ】
ブリの最大は約40kg ヒラマサの最大は約96kg ヒラマサはアジ科魚類の最大種だそうですが、市場で見かけるのはどちらも15kg程度までです。 食べて美味しいのはぶりが7~11kg と言われていますが、ヒラマサは2~3kg程度の小さいものでも美味しいです。
----------------
【見た目】

(写真の上がブリ、下がヒラマサ)
写真では分かりにくいかも知れませんが、魚体に対してブリの方が頭が大きいです。
ヒラマサはその名の通り魚体が平たく、そのために同じ大きさに見えてもブリより軽いです。
はっきりと判別するための特徴としては、口(アゴ?)の端の形がブリは角張っていますが、ヒラマサは丸いです。 ブリの口はブの字形と覚えましょう。

他にも尻尾の形や背ビレ胸ビレの形、ヒレの端の色が少し違うなど、些細な違いがいくつもあります。
わかりやすいところでは、腹ビレがブリは体側の黄色い線より下についているが、ヒラマサは黄色い線に掛かっています。 これは普通は一番判別しやすい方法なのですが、最初の写真のブリとヒラマサのように個体により判別しづらい場合もあります。
また、最初の写真のブリと、下の写真のブリとでは胸ビレの形が違っています。 これは泳いでいる環境や魚体の大きさの違いによるものだと思われます。

腹ビレの色で見分ける事もできます。 腹ビレの端の色がブリは白ですが、ヒラマサは黄色いのです。
しかし個体差があり、ヒラマサの腹ビレの端が白っぽい事もあるので、この方法だけで見分けることはできません。(ブリの腹ビレの端が黄色っぽい事は無いです)

結局、口の端の形が一番確実な見分け方のようです。
しかし、漁師やプロの魚屋は一々そんな細かいところは見ていません。
どこで見分けているのかと言うと、
ブリ =魚体に厚みがある、頭が大きい、体側の黄色い線(はっきりしていない)、顔つきが険しい?等
ヒラマサ=魚体が平たい、頭が小さい、体側の黄色い線(はっきりしている)、顔つきが優しい等
※ 痩せて平たくなったブリは一見ヒラマサに似ています。 しかし、もともと頭の大きいブリが痩せると、頭の骨までは平たくはならないので余計に頭だけが大きく見えます。 逆に丸々と太ったヒラマサもブリに似ていますが、頭が小さめなのに体だけが太るので余計に頭が小さく見えます。
こういった特徴を総合的に一目で判別しています。 結局経験ということでしょうか。
----------------
【身の色】


(写真は,皮をはいだ腹の部分の身 上がブリ、下がヒラマサ)
外見はそっくりな両者ですが、三昧に下ろすと身の色が全く違います。
腹の部分の皮をはがすと、ブリとヒラマサは同じような白銀色です。
しかし銀色の下の赤っぽい部分の色が、ブリと比べてヒラマサの方が明るくオレンジ色に近いです。


(背中の身を刺身に切った写真 上がブリ、下がヒラマサ)
同じ切り方で刺身にすると、ヒラマサの方は魚体が平たいので身が薄く、そのため ブリよりも鋭角な三角形になります。
刺身に切ると、色の違いがはっきりと分かります。 身の色は、ブリの方は全体的に暗く赤みを帯びていますが、ヒラマサの方は明るく淡い肌色です(個体差があり、痩せているヒラマサは身の色は少し暗くなり、脂の乗ったブリの身は白っぽくなります)
血合い(三角形の頂点付近の身の赤い部分)の色はブリと比べるとヒラマサの方はオレンジっぽい明るい色をしています。
※季節にもよりますが、ブリの身は刺身に切って4~5時間も経過すると血合いの部分の色が黒っぽく変色してきますが、ヒラマサの身は24時間ほど経過してもそれほど色に変化がありません。
(初夏からが旬と言われているヒラマサの身は、5月~6月頃に何故か意外と早く変色します。)
----------------
【食感】
味については好き嫌いがあるのでどちらが美味しいとは言えません。ヒラマサに比べてブリの刺身は生臭いという人もいますが、新鮮なブリの刺身は生臭みもなく美味しいです。
ブリは寒い時期が特においしく、それ以外の季節は味が落ちます。 ヒラマサは一年を通して美味しいと言われていますが、5月~6月頃には脂が少なくあっさりしています。 しかしブリのような生臭みは無いです。
噛んだ時の身の硬さは、ヒラマサのほうがブリよりも硬くコリコリしているようです。
一晩寝かせてから刺身にすると、ブリはずいぶん柔らかくなりますが、ヒラマサは一晩たってもまだコリコリとしています。
----------------
【心臓】

(左がヒラマサ 右がブリの心臓)
ブリの方がヒラマサよりも心臓が大きいです。
この写真のブリはは4.5kg、ヒラマサは3.4kg と、ブリの方が少し大きかったのですが、心臓はそれどころの差ではありません。ブリの方が2倍以上もあります。(ブリは養殖、ヒラマサは天然です。 天然ブリの心臓はさらに1.5倍ほども大きくなります)
ブリとヒラマサの心臓、よく血抜きをして調理すれば どちらも美味しく食べることができます。
------------------------------------------------------------
【旬について】(ヒラマサの旬には謎があります)
ブリは「寒ブリ」が有名です。 冬から春先にかけてのブリの刺身は脂が乗って甘みがあり、おいしいです。また、この時期は刺身に切ってからかなり時間がたっても身の色があまり変わりません。
魚屋さんの間では「ヒラマサは初夏から夏にかけてが旬」 などと言われます。
ところがヒラマサは秋から春先にかけてが脂が乗っておいしいですし、初夏には痩せて、普段は変わりにくいはずの刺身の色が数時間で変色しますので、本当に今が旬の時期なの?と思います。
しかし、刺身に切ってすぐに食べると、この時期のブリよりもクセがなくて美味しいのです。
この事については、私の勝手な意見として後日ブログのネタにしたいなーと思っています。
『ヒラマサの旬の謎についての考察』 http://blog.livedoor.jp/k_kaa/archives/46620063.html
貼り紙の数字は重さ(kg)です。軽い方が何故か大きく見えませんか? 目の錯覚でしょうか?

実はこの2尾は、ヒラマサとブリなのです、違いがわかりますか?
ヒラマサは魚体中央の黄色いラインがはっきりしているが、ブリは色が薄い。などと言いますが、鮮度が全く同じで見た目の大きさも同じくらいのこの2尾、黄色の線で見分けが付きますか? よく見ると、ヒラマサの方が黄色がはっきりしていますが、見慣れないと判別は難しいでしょう。
よく、「ブリとカンパチは同じ魚ですか?」 と聞かれますが、ヒラマサの方がカンパチよりもはるかにブリにそっくりです。 そして、ブリともカンパチとも別の魚なのです。
ブリとカンパチの違いについてはこちらの記事を参照して下さい。
http://blog.livedoor.jp/k_kaa/archives/25724402.html
では、思いつくままにヒラマサとブリの違いを並べてみましょう。
(※ 文中では、ハマチサイズの物でもブリとして書きます。)
----------------
【大きさ】
ブリの最大は約40kg ヒラマサの最大は約96kg ヒラマサはアジ科魚類の最大種だそうですが、市場で見かけるのはどちらも15kg程度までです。 食べて美味しいのはぶりが7~11kg と言われていますが、ヒラマサは2~3kg程度の小さいものでも美味しいです。
----------------
【見た目】

(写真の上がブリ、下がヒラマサ)
写真では分かりにくいかも知れませんが、魚体に対してブリの方が頭が大きいです。
ヒラマサはその名の通り魚体が平たく、そのために同じ大きさに見えてもブリより軽いです。
はっきりと判別するための特徴としては、口(アゴ?)の端の形がブリは角張っていますが、ヒラマサは丸いです。 ブリの口はブの字形と覚えましょう。

他にも尻尾の形や背ビレ胸ビレの形、ヒレの端の色が少し違うなど、些細な違いがいくつもあります。
わかりやすいところでは、腹ビレがブリは体側の黄色い線より下についているが、ヒラマサは黄色い線に掛かっています。 これは普通は一番判別しやすい方法なのですが、最初の写真のブリとヒラマサのように個体により判別しづらい場合もあります。
また、最初の写真のブリと、下の写真のブリとでは胸ビレの形が違っています。 これは泳いでいる環境や魚体の大きさの違いによるものだと思われます。

腹ビレの色で見分ける事もできます。 腹ビレの端の色がブリは白ですが、ヒラマサは黄色いのです。
しかし個体差があり、ヒラマサの腹ビレの端が白っぽい事もあるので、この方法だけで見分けることはできません。(ブリの腹ビレの端が黄色っぽい事は無いです)

結局、口の端の形が一番確実な見分け方のようです。
しかし、漁師やプロの魚屋は一々そんな細かいところは見ていません。
どこで見分けているのかと言うと、
ブリ =魚体に厚みがある、頭が大きい、体側の黄色い線(はっきりしていない)、顔つきが険しい?等
ヒラマサ=魚体が平たい、頭が小さい、体側の黄色い線(はっきりしている)、顔つきが優しい等
※ 痩せて平たくなったブリは一見ヒラマサに似ています。 しかし、もともと頭の大きいブリが痩せると、頭の骨までは平たくはならないので余計に頭だけが大きく見えます。 逆に丸々と太ったヒラマサもブリに似ていますが、頭が小さめなのに体だけが太るので余計に頭が小さく見えます。
こういった特徴を総合的に一目で判別しています。 結局経験ということでしょうか。
----------------
【身の色】


(写真は,皮をはいだ腹の部分の身 上がブリ、下がヒラマサ)
外見はそっくりな両者ですが、三昧に下ろすと身の色が全く違います。
腹の部分の皮をはがすと、ブリとヒラマサは同じような白銀色です。
しかし銀色の下の赤っぽい部分の色が、ブリと比べてヒラマサの方が明るくオレンジ色に近いです。


(背中の身を刺身に切った写真 上がブリ、下がヒラマサ)
同じ切り方で刺身にすると、ヒラマサの方は魚体が平たいので身が薄く、そのため ブリよりも鋭角な三角形になります。
刺身に切ると、色の違いがはっきりと分かります。 身の色は、ブリの方は全体的に暗く赤みを帯びていますが、ヒラマサの方は明るく淡い肌色です(個体差があり、痩せているヒラマサは身の色は少し暗くなり、脂の乗ったブリの身は白っぽくなります)
血合い(三角形の頂点付近の身の赤い部分)の色はブリと比べるとヒラマサの方はオレンジっぽい明るい色をしています。
※季節にもよりますが、ブリの身は刺身に切って4~5時間も経過すると血合いの部分の色が黒っぽく変色してきますが、ヒラマサの身は24時間ほど経過してもそれほど色に変化がありません。
(初夏からが旬と言われているヒラマサの身は、5月~6月頃に何故か意外と早く変色します。)
----------------
【食感】
味については好き嫌いがあるのでどちらが美味しいとは言えません。ヒラマサに比べてブリの刺身は生臭いという人もいますが、新鮮なブリの刺身は生臭みもなく美味しいです。
ブリは寒い時期が特においしく、それ以外の季節は味が落ちます。 ヒラマサは一年を通して美味しいと言われていますが、5月~6月頃には脂が少なくあっさりしています。 しかしブリのような生臭みは無いです。
噛んだ時の身の硬さは、ヒラマサのほうがブリよりも硬くコリコリしているようです。
一晩寝かせてから刺身にすると、ブリはずいぶん柔らかくなりますが、ヒラマサは一晩たってもまだコリコリとしています。
----------------
【心臓】

(左がヒラマサ 右がブリの心臓)
ブリの方がヒラマサよりも心臓が大きいです。
この写真のブリはは4.5kg、ヒラマサは3.4kg と、ブリの方が少し大きかったのですが、心臓はそれどころの差ではありません。ブリの方が2倍以上もあります。(ブリは養殖、ヒラマサは天然です。 天然ブリの心臓はさらに1.5倍ほども大きくなります)
ブリとヒラマサの心臓、よく血抜きをして調理すれば どちらも美味しく食べることができます。
------------------------------------------------------------
【旬について】(ヒラマサの旬には謎があります)
ブリは「寒ブリ」が有名です。 冬から春先にかけてのブリの刺身は脂が乗って甘みがあり、おいしいです。また、この時期は刺身に切ってからかなり時間がたっても身の色があまり変わりません。
魚屋さんの間では「ヒラマサは初夏から夏にかけてが旬」 などと言われます。
ところがヒラマサは秋から春先にかけてが脂が乗っておいしいですし、初夏には痩せて、普段は変わりにくいはずの刺身の色が数時間で変色しますので、本当に今が旬の時期なの?と思います。
しかし、刺身に切ってすぐに食べると、この時期のブリよりもクセがなくて美味しいのです。
この事については、私の勝手な意見として後日ブログのネタにしたいなーと思っています。
『ヒラマサの旬の謎についての考察』 http://blog.livedoor.jp/k_kaa/archives/46620063.html
コメント
コメント一覧 (12)
ヒラマサの食感の方が好みです。
価格的に言えばどちらが高いのでしょうか?
地域や時期により差があるでしょうが、ブリの1.3~2倍 くらいです。
カンパチと同じくらいの価値です。
そういえば九州にいる頃は年末にはよく佐賀関っていうか大黒あたりの岸壁にブリを釣りに行ってましたよ。
10本くらい釣って半分は持ってかえって親戚や近所に分けて半分は売るんですが、これが当時でも1本1万円前後で、旅費と交通費と病院代が賄えるですよ(^^)
なんで病院代?
そりゃ岸壁上からの投げ釣りで
10本も釣り上げると次の日は手がパンパンになるですよ(^^;)
病院行って湿布もらって2,3日おとなしくしてるですよ(笑)
このような温かいコメントを頂けると記事を書く励みになります。
すごくよくわかりました。
ぜひ、このシリーズは続けていただきたいですね。
希望としては
1.烏賊の種類と刺身・食感の見分け方
2.蝦の種類と刺身・食感の見分け方
3.鮃と鰈について
4.刺身はすぐに食べた方がおいしいか、しばらく寝かせた方がおいしいか
など、枚挙にいとまがありません。
普段取り扱う機会の多い魚についてしか書けませんが、今後の参考にさせていただきます。
コメントありがとうございます。
そう言って頂けると嬉しいです。
ワラサだったり(水深15M程度まで揚げたら走り出した)するのでなんともはや・・・
面白い魚信の話しありがとうございます。
ところで今頃コメントの続きくれるって事は、最近ワラサ釣りましたね?(笑)