数年前に車を運転しながらラジオを聞いていると、男性二人で古い映画についての対談をしていた。
そのうち『海燕ジョーの奇跡』という懐かしい映画の話題になり、対談しているうちの一人が、いろんな映画制作会社にこの小説の映画化の企画を持ち込んだが相手にされなくて、最後に三船プロに相談に行ったら世界的に有名なスターだった三船敏郎が「端役で良いから、俺を出してくれるなら協力する」と言ってくれたので映画化の目処がついたというような事を言っていたので、話しているのはこの映画のプロデューサーだろうか? などと思いながらラジオを聞いていた。

この映画にはフィリピンロケがあり、現地で撮影交渉していると、ミフネの映画なら協力したいと撮影に軍隊を動員してくれることが決まり、現地のマフィア?も、ミフネの作る映画なら我々も協力させてくれ。 みたいなことになって、三船敏郎のネームバリューのおかげで現地マフィアと国が一緒に協力してくれるというあり得ない恩恵を受けたという。 そういえば、ほとんど覚えていない映画だけど、現地マフィアのアジト?に連れていかれるシーンがあったような・・なんだか適当な荒れビルで撮影したように見えた記憶があるのだが、あれは本物のアジト?で撮影してた! 街中を戦車が軍事パレードのように進むシーンも何となく覚えているなあ。 
と、三十年ほども前に見た、ストーリーも覚えていない映画のハッキリしない記憶をおぼろげにたどりながら聞いていると、映画のヒロインの藤谷美和子がとんでもない人だったという話題になった。

いよいよ現地の軍隊を動員して街を戦車が走るシーンを撮影するという日の朝、藤谷美和子がどこにもいない!
ホテル等で聞き込みをして彼女の足取りを追うと、なんと早朝の飛行機に乗って一人で日本に帰ってしまった事が判明!
その日の午後の撮影には軍隊が戦車を出して協力してくれることになっていて、このスケジュールだけは絶対に変更できない!!! 

すると、監督が、藤谷美和子に似た女性を昼までにさがして連れてこい! と、無茶な命令!

撮影スタッフ総動員で異国フィリピンの町を探し回り、なんとかそれらしい女性を見つけ、わけが分かっていないその女性を無理矢理連れてくることに成功したのだとか。

しかもこの監督は、普通なら引き気味のカットを使って無難な撮影を行うはずなのに、なんと撮影の途中でヒロインの顔のアップを要求!
なので、この映画の戦車が出て来るあたりで演技しているヒロインは藤谷美和子とは別人! しかも日本人ですらない!(笑)
そして顔のズームアップあり!(笑)

いつの日か、この映画『海燕ジョーの奇跡』をレンタルビデオやネットの動画で見かける事ががあったなら、藤谷美和子(実は素人外国人)の演技や顔のアップ(笑)に注目してもう一度見てみたいなあ(エンドロールにこの女性の名前は出ているのだろうか?)、ちょい役で出ているはずの三船敏郎も気になるし。