長年使ってきた出刃包丁の柄が朽ちてきたので久しぶりに柄の交換をすることにしました。
すり減った柄
まず、包丁の本体から柄を取り外します。
しっかりとくっついている柄を引き抜くのは大変なので、魚の骨を叩き切るのに使う出刃包丁で切り落とします。
柄を切る
割れた柄
柄のさび
砥石(荒砥)を使って柄に入る部分(中子、なかご)の錆をよく落とします。
柄を研ぐ
錆を落としたら、中子が少し赤くなるまで焼きます。
写真では手に持って焼いていますが、火に近い部分は非常に高温になるので火傷には十分注意が必要です。軍手をするか、濡らしたタオルを刃先に巻いて持つと良いでしょう。
柄を焼く
中子の先が少し赤くなってきたら木製の新しい柄に差し込みます。
この時にも、包丁の柄に近い金属部分には絶対に触れないように(触れると一瞬で火傷します)細心の注意を払います。
木製の柄の穴は包丁の中子と比較するとかなり小さめで、最初に柄が付いていた部分(錆の跡が黒く見える部分)の3分の2ほどまでしか入りません。
本当に入るの?って感じで不安になりますが、木製の柄を握った状態で柄の底を木槌で強く叩くと包丁が柄の中に少しずつ入っていきます。
柄を差し込む
新しい柄
錆の跡が見えなくなるまで叩き込んだら出来上がりです。

ところで、工程の途中で包丁の中子を焼くのですが、何のために焼くのかを私は知りません。

意味も判らずに何故焼いたのかというと、子供の頃に魚屋の従業員さん(もしも現在生きていれば90歳くらい?)が包丁の柄を替えるのを眺めていた記憶があり、その人が焼いていたのです。
魚屋になってから何度か包丁の柄を交換しましたが、子供の頃に見た焼くという工程が何だか重要なことのように思えて、柄を交換するときには必ず焼いているのですが、こうして接着剤など何も使わずに交換した柄がその後抜けたり緩んだりした事など一度もないので今でも子供の頃に見た技法を見真似で踏襲している次第です。

【おまけ、なぜ焼くのか?を考察】
なぜ焼くのか? 自分を納得させるために推理してみました。

現代のようにエポキシ系やシリコン系などの接着剤が無かった時代に金属製の刃物と木製の柄をくっつけたい、そして包丁を振り回したり硬いものを力を込めて切っても刃と柄が離れたりしない事が重要課題です、さらに欲をいえば長持ちさせたい、錆びさせたくない。
その事を考慮した上で、包丁本体と柄をつなぐ部分をそのまま差し込まずに焼いている事に何らかの意味があるのだとしたら
①ガタつきを無くす
②抜けにくくする
③柄部分の錆を防ぐ
④木(柄)の内側からの腐食を防ぐ
以上の4点が考えられます。

①②に関しては、柄の内部で中子が錆て膨張すればガタつかず抜けにくくなるでしょうが、包丁の柄の内部が酷く錆びてしまうようでは柄が折れる心配があり危険です。
③の錆を防ぐ事を考えた場合、熱を加えて放置したら錆るんじゃないか?と思えたのですが、たしか錆には赤錆と黒錆があったような?
ちょっと調べてみると、鉄を腐食させてボロボロにするのは赤錆だけれど、黒錆は鉄の表面に出来る酸化膜で、鉄を赤錆から守ってくれるのだとか。
そういえば、砥石で錆を落としている時の写真(5枚目の写真)を良く見ると、表面の一部に赤い錆が見えますが、全体的には黒い錆に覆われています。
というわけで、包丁の柄の部分を焼くのは黒錆(酸化膜)でコーティングして包丁を劣化させる赤錆から包丁を守るためではないか?という結論に達しました。
④木(柄)の内側からの腐食を防ぐ、については良くわかりませんでした。
木製の柄は200円~300円程度で買えるので消耗品ということで、特に腐食対策は必要無いのかもしれません。

(注)この『おまけ』部分はあくまでも個人的な見解です。