腹の青いヒラメ
魚市場のセリに掛けられていた天然ヒラメの写真です。

魚を取り扱う業者の間ではこの写真のような腹の青いヒラメは敬遠されるものですし、私もこのようなヒラメは見かけても相手にしないのですが、今回はあまりにも見事な青色だったので写真を家族に見せて「腹の青いヒラメ、珍しいでしょ?」「このヒラメの腹はなぜ青いと思う?」と質問してみました。
すると、「泳いでいる場所とか?」「食べる餌の色?」「そういう種類?」など幾つかの答えが返ってきましたが全て外れ、子供たちも妻もヒラメの腹が何故青いのか判りませんでした。

近年、家庭で丸のままの魚を捌かない人が増え続けているせいで、魚屋でも魚は頭と内臓を取って下処理したものや切り身にしたものが販売の中心となっているのでこのような腹が青い魚を一般の買い物客が目にする機会は殆んど無くなってしまっています。
逆にこのような腹の青くなってしまった魚を陳列している魚屋がいたらそれはそれで好ましくない事なのですが、白い腹の新鮮な魚を陳列していても夜には腹が青くなる事はあります。

結論をいうと、ヒラメに限らず通常白いはずの魚の腹が青くなっているのは魚の鮮度が落ちてしまって、内蔵が溶け始めていることを意味します。
何故青くなるのか? 自分で検査して原因を特定したわけではないのではっきりとは断言できませんが、魚の内蔵で青い(又は緑色)部位といえば胆嚢ですから、胆嚢が溶けてしまって胆汁が流れ出た事が青色の原因だと考えられます。
魚の胆嚢は苦玉(にがだま)などとも呼ばれ、新鮮な魚でも捌くときにうっかり潰してしまうと青緑色の胆汁が流れ出て魚の身が緑色に染まります。

では、この写真のヒラメは古くて腐っているのかというと、漁師が市場のセリにかけたくらいですから前日に獲れたばかりのはずなのです。
よほど痛みやすいか発酵しやすい餌を食べたために、胃の内容物が腐蝕又は発酵して内蔵が溶け始めたのでしょうか。
もしかしたら魚が何処かにぶつかって胆嚢が破裂した可能性もあります。

それで食べられないのかというと、内蔵が触れている部分は腐っているのとは違う? 胆汁の? 強烈な臭いが染み付いていますから腹から頭にかけては食べられませんが、背中の身は臭いが移っていなければ食べることができます。
腹側の身は、青くなった部分よりも広範囲に臭いが移っていますから食べられるのは尻尾付近だけです。

結局このようなヒラメは ただ同然の価格になりますが、それでも誰も買わないときには廃棄されることになります。