魚屋のたわごと、ざれごと、ひとりごと

たわごと(戯言)と、ざれごと(戯言)って同じ漢字ですね。

Category: 魚介類について

魚介類の中でもナマコの調理はすごく簡単なので、自宅の台所で挑戦してみては?
冬になると魚屋での店頭販売が増えるナマコ。
買いたいけど捌いて下さいと頼むのを遠慮して買えない人は、簡単なので自分で調理してみては?
どれほど簡単かと言うと、ほぼ竹輪を切るようなもの。
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まず、縦に真っ二つに切る。
垂直に切っても水平に切っても結果は同じなのでとにかく縦に切る。

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内臓は簡単に取れるので取り除く。
内臓の黒っぽく見える部分はナマコが食べた砂や泥。
内臓を取り除いた時点で既に竹輪を縦切りした様な状態。(笑)

しかしナマコには歯があるので取り除く。
端の方に白く見えるのが歯、この部分を食べるとガリガリと硬いので包丁で削り取る。
切り分けたもう一方の身にも歯があるのでそちらも同じように削り取る。
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後は出来るだけ薄く切るだけ、竹輪よりは硬い。
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〖補足1〗
刻んだナマコを一日で食べきれない場合、そのまま容器に入れて保管すると身が溶けて気持ち悪い状態になるので10倍程度の水で薄めた酢、または10倍程度の水で薄めたレモン汁や橙(だいだい)の果汁やポン酢(とにかく弱い酢を含んだ液)に浸した状態で冷蔵庫に保管すると4~5日経っても溶けない、酢が強すぎると赤ナマコなら赤っぽく、青ナマコなら青っぽく変色するが溶けるよりずっと良い。

〖補足2〗
内臓のオレンジ色の部分は『コノワタ』という高級珍味(三大珍味の一つ)の原料なので食べてみたい人は内臓の黒っぽい部分だけ捨てて、色が綺麗な部分は食べることが出来る。
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ナマコによってはさらに色鮮やかなオレンジ色の糸のような内臓が入っているっこともあるが、それは『クチコ(コノコ)』というナマコの卵巣で、さらに別の珍味。
『コノワタ』と『クチコ』の食べ方は色々な方法がネットにあるので興味のある方は「コノワタ 食べ方」や「コノワタ 作り方」で検索してみてください。
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年末が近づくにつれスーパーやデパートの店頭に数の子が並び始める。
以前は高価な箱入りの塩数の子が山積みで売られていたが年々味付済みの数の子の方が売れやすくなっているような気がする、塩抜きと味付けの手間がかからないことや少量に小分けされていて1パックの単価が低く抑えられていることなどか要因として考えられる。
本ちゃん数の子1
というか、以前と比較すると価格が高騰していて数の子が売りにくくなった気がする、正月に数の子を食べない家庭も年々増えているのではなかろうか?
塩数の子を自分で塩抜きして味を付けた方がポリポリとしっかりした歯ごたえがあって美味しい、味付け数の子は調味液に浸かっているので柔らかく歯ごたえに乏しいのではと思っていても、お手軽さに勝てずに味付け数の子を選択している人も多いのではないか?
そこで、知っておきたいのが『本ちゃん』。
魚屋さんやスーパーの数の子担当者には知られていても一般の人達には何のことだか?
これは本ちゃんだから美味しいよって言われると他の味付け数の子が本物の数の子じゃないと言われているような気持ちになる。
まあ、味付け”数の子”って表示されているものは全て本物の数の子、そうで無ければ”数の子”って部分が偽装表示になってしまうから。

メーカーが自信をもって特に歯ごたえが良い原料を厳選したものを本ちゃんと称しているので、食べてみると確かに歯ごたえがポリポリと小気味良い(私の個人的見解です)、本ちゃんと書かれていない味付け数の子にも美味しいものはあるけれど、どれを買おうか迷った時には参考に。
本ちゃん数の子2
本ちゃん数の子3


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たまにセリに出る事があるコバンザメ。
何年振りかに見かけたので、コバンザメの象徴でもある吸盤を狙って撮影。
コバンザメ1

コバンザメ2

こうしてみると、コバンザメの名前の由来になっている吸盤はまさに小判、そうで無けりゃ草鞋(わらじ)の裏を連想しそうな形状だけれどワラジザメよりはコバンザメの方が語呂が良いからこいつはコバンザメなんだろう(悪口みたいになったけど悪口じゃないです)。

で、気になる吸盤だけれど大きな魚に吸い付く様子を思い浮かべるとやはりゴムのような材質なのか?と想像する。 いったいどれほど柔らかいのだろうかと興味津々で触れてみる。

硬い。
すごく硬い。
吸盤の横線にそって指を滑らせたら指が切れるんじゃないかと思えるほど硬い。
柔らかいつもりで触れたから余計に硬く感じたのかも知れないけれど、割れたガラスの縁にでも触れたかのような硬さに感じてしまった。

そしてコバンザメの記事ではお約束の「コバンザメはサメではないんですよ」と書くことを思い浮かべた時に後に続く、エラがサメやエイのような複数のスリット状ではなくて普通の魚のエラなのですと提示するためのエラの写った画像が無い事に記事を書き始めて気付いた、横からの写真も撮影しときゃよかった。


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瓶ウニ1

スーパーなどで瓶ウニを買おうとして、色々なメーカーや価格の違いにどれを買うか悩んだ経験のある人は多いのでは?
特に同じメーカーのものでも価格が300円前後から3,000円超と10倍もの差があると何が違うのだろうと気になります。
まず確認してほしいのは内容量、基本的にウニは高価なので分厚い瓶に入っていて見た目が同じ量に見えても内容量はメーカーや商品によって40g~100g以上と様々で、内容量が多ければ価格も高くなるのは当然です。
ところが同じメーカーで内容量も同じ、なのに価格が全然違う商品が何種類か仲良く並んで売られていたりします。 そういう売り場でどれを買おうか悩んでいる人が手に取るのは(私の個人的な感想ですが)一番安い物より一つか二つ価格が高めだけどそれほど高くない商品であることが多いようで、価格が安いに越したことはないけれど少しは美味しいものが食べたいという心理の現れでしょうか?
この瓶ウニの価格に大きな影響を与えているのが『塩ウニの含有率』という項目です。

瓶ウニ2

瓶ウニ3

塩ウニ含有率75%の瓶ウニが380円で売られていたとして、これが90%だった場合を単純計算(他の原材料や瓶の価格を無視して計算)すると456円付近の価格になりそうなものですが、1,500円や2,000円だったりします(もちろんメーカーによって違います)。

原料となるウニの状態や産地等の違いも価格に大きく影響を与えているとは思いますが、そんな違いはよく判らないし価格も同じぐらいだし、どっちを買おうか?と迷ったなら、含有量の数値がが少しでも大きな方を選ぶと得した気分になれます。
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下の画像の鯛2尾、実は違う種類なのです。
上がマダイ、下はチダイで煮物や焼き物、唐揚げなどで食べる場合には同じ魚だと思って食べても問題ないでしょう。
味も同じようなものだし、刺身用でなければ取引価格もあまり変わらないし、違う魚だと知らなければ誰も気付かないだろうし、切身で料理されていれば私にも判りません。
DSC_2837~2
色もそっくりなこの2尾の鯛を簡単に見分けるためのポイントは2か所、細かいことを言えば色々な相違点があるけれど、面倒なのでここでは私厳選の相違点を2点だけ。
ポイント1:尻尾の端っこが黒いのが真鯛。(生け簀に長く入れられた魚は尻尾の先が擦り切れるので黒いラインが消えている場合がある)
ポイント2:鰓蓋(えらぶた)に血が滲んでいるように見えるのがチダイ。(真鯛の鰓蓋の端も黒いがチダイの様には赤くない)


真鯛とチダイ2
見慣れると体色も違うので毎日見ている魚屋さん達は殆ど体色で判別していますが、慣れないと判りづらいので上記の2点がおすすめのポイントです。

チダイについてですが、魚屋を始めた当時の私は稚鯛だと思っていました。
何故かというと、セリにかけられる真鯛には3~4㎏以上の重さのものがありますがチダイは手のひらサイズのものが多いので、魚屋を始めたばかりの頃は鯛の子供の事をチダイ(稚鯛)というのだろう程度の認識で、種類の違う魚だと思っていませんでしたから。(笑)
ウィキペディアなど存在しなかった当時、魚図鑑を眺めているとチダイの語源は血鯛だというのを発見、鰓蓋に血が滲んだように見えるので血鯛と呼ばれるようになったとの説を発見したので判別ポイントは鰓蓋。
しかし、チダイは真鯛のように大きくならないとも書かれていたので名前の語源には『稚鯛』説もアリなのではと思っています。

最後に、冒頭で刺身用でなければ取引価格も同じようなものと書いたことについて補足。
刺身用にする大きめの鮮度の良いチダイとマダイを比較した場合の価格は(地方によって違うかもしれませんが)真鯛の方がずっと高値になります。
チダイは刺身にしても不味くは無いのですが皮を剥ぐと身が柔らかくて割れやすいので私の店ではほとんど刺身にすることは無いです。 同じように刺身用としての値段を付けない魚屋が多いので私の住む地域ではチダイは鮮度が良くても煮物や焼き物用の真鯛と同じような低めの価格で取引されます。
それでもチダイの大きめのものであれば、皮を炙ったり熱湯を掛けたりして皮付きのまま刺身にすれば見栄えも良くおいしい刺身がつくれます。
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市場で真鯵を仕入れて捌こうとしたら種類の違う鯵が1尾混入しているのを発見。
さて、仲間外れは何番でしょう?
写真ではわかりにくいかな? しかし魚屋さんや水産業界の人は一瞬で見分けるのですよ。
鯵の仲間外れ1
ちょうどこの写真を撮った直後に、寿司を担当しているパートさんが私の後ろを通りかかったので写真じゃなくて目の前の実物を見せて「1ぴきだけ真鯵と違うけど判る?」って試しに聞いてみたら「これですか?」と、真鯵を指さしたので残念。
おかげで私はこの画像を問題に使うことに前向きになれました。(笑)
なにしろ魚屋さんの目には全然違う魚種に見えるので、これなんだシリーズに使っても面白くないかもと内心不安だったもので。

さて、外見での見分けだけでは面白くないので仲間外れ第2問は捌いた後の身、これは難しすぎるかも? と、試しに先ほどのパートさんを呼んで(仕事の邪魔をして)「さっきの鯵を捌いたんだけど、違う種類が1ぴきだから2枚あるんだけど判る?」とまな板の上に並べた鯵の身を見せたら「これとこれでしょ?」と今度は即答で正解!?
なんで?さっきより難しい自信があったのに?
寿司担当で何年間も毎日鯵の身を見てるから違いが判るようです、パートさんをちょっと見直したぞ。
鯵の仲間外れ2


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下の写真の魚はガンゾウビラメ、大分の市場ではガンゾウガレイと呼ばれている。
絵画など芸術作品の偽物を贋作(がんさく)と呼ぶが、偽物(贋作)を作ることを指して贋造(がんぞう)という。
そう、ガンゾウビラメは贋造ヒラメ、偽物として作られたヒラメという意味でこの名前が付けられたらしい。
ところが最初に書いたように私の住んでいる地域ではガンゾウガレイと呼んでいるので偽物のカレイという事になるのだが、偽物のヒラメ?偽物のカレイ?どちらが正しいのかが気になり始める、そもそもこの魚はヒラメなのかカレイなのか?
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私はずっとガンゾウガレイと呼んでいたが偽物のカレイというつもりは無くてガンゾウという名前のカレイだという認識だった、そもそも顔がヒラメっぽくない、ヒラメはもっと兇暴そうな顔をしているのだ。
ネットで何でも検索できる時代になったおかげで図鑑などではガンゾウヒラメの呼び名の方が多数派のようだと気付いた、そして改めてまじまじと見てみると今更だけど左向いてるよ、左ヒラメに右カレイって覚え方だとヒラメの仲間って事になるけど偽物って名前だしねえ。

そこで学術的分類ってやつを調べてみる。
分類によると
 カレイ目・カレイ亜目・ヒラメ科・ガンゾウビラメ属・ガンゾウビラメ
ヒラメじゃん!! 左向いてるからヒラメに見えるけど偽物のヒラメによく似たカレイだと思っていたのに、左向いてるヒラメによく似たヒラメの仲間じゃん。 いや、左向いててヒラメのようだけど一見カレイに見えるカレイの偽物のヒラメなのか?(なに書いてるかよくわからなくなってきた)
食レポ探して読んでみてもヒラメと区別がつかない味だとか書かれてるし、もっと食レポ探すと味はカレイに近いと書いてる人もいるのでますますややこしい、私はガンゾウガレイの味は覚えてないのでこの件についてはノーコメント。
冒頭に顔がヒラメっぽくないなんてそれらしく書いてしまって非常に気まずいのだがヒラメなのかあ。
まあ、ヒラメっぽく見えるけどカレイでしょ? またはカレイに見えるけど左向いてるからヒラメだよね? って思える見掛けなので、解剖学やら遺伝子検査など気にしない昔の人がカレイだかヒラメだかよくわからんが偽物っぽいなあと名付けたのでしょうという事にしておこう。

※『土佐料理 旬の鰹がゆく!』というホームページのガンゾウビラメの項にガンゾウビラメの名前の由来について贋造説とは異なる雁瘡説が書かれているので以下に引用させていただきました。
雁瘡はガンガサと呼ぶ湿疹の一種で、冬鳥の雁(がん)が飛来する頃に罹りやすい病気で雁が去る頃には治る皮膚病なのだそう。
ウロコのがさがさした感じが雁瘡に似ているらしい。

※ガンゾウの漢字は他にも雁雑などがある。。
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