釧路市立病院の建設が、資材高騰と労務費高騰で予算が納まらなくなり延期になったそうだ。少なくとも2~3年は遅れそうだとのこと。最新の工法と素材を使えば工期は短縮されるが当然材料コストは高くなる。ましてや工事量が多いと値段を下げてまで売る必要が無いからね。労務費はと言うと建設業界の賃金はまだ魅力があると言うレベルには遠いだろう。働き方改革などでより待遇改善が求められるので、労務費というか単価はさらに上昇しないとつじつまが合わない。と言うことはそもそも予定金額に無理があるのか設備を高望みしすぎているのではないだろうか。普通に考えれば地域の資材をより多く使用して地域の労働力をより多く使い、それで出来るレベルの工期設定をすればおそらく一番安くなるだろう。工法で言えば鉄筋コンクリート造だろう。工期は1年くらい延びても地域への経済波及効果は圧倒的に大きいし品質も良くなるだろう。2年で完成させるためにコストの高い特殊な工法を使い外部からの資材や労務ばかりにたよる計画を立て、予算が合わなくて2年も3年も延期するくらいならば鉄筋コンクリートにして工期を3年にすればより地元の資材も売れるし雇用も圧倒的に大きくなるので地域経済にとってはこの上ないメリットが生まれるのだがいかがだろう。


民間の建築でも不思議なことがある。なぜかしら工事費の高い時期に発注したくなるようだ。公共工事の流れは3月年度末なので、概ね地方では4月検討スタート、5月発注、6月議会審査、7月着工、職人が働けるのは下手をすると8月からだ。福祉関連や農業の補助金事業でも国の補助が決定するのが7月くらいなのでやおらそれからスタートする。工事が8月以後に集中するのはそのためだ。この時期には各ゼネコンからあらゆる工種の専門工事業者(下請)に図面や仕様書を送って見積依頼をかける。当然我々下請はフルに忙しいし無理をして労務不足を加速させたくない。効率の良い仕事を適正なだけ確保することが一番コスパが良い。なので無理はしたくないので注文が来なくても良いつもりで高めに見積もる。全ての業種が繁忙期は見積が高くなるのは当然のことといえば当然だ。なので工事費は高くなる。あるいは安くても良いようなレベルの低い業者に依頼して粗悪な品質のものが出来る。

北国の建設業界では、8月から12月までは以上のような環境で工事費がアップし、資材も高騰し労務も確保出来ず工事も遅れがちになる。年が明けて1~3月は自然環境が厳しすぎて工事をやっても品質が悪くなるばかりではなく、防寒養生や機械の暖機運転で膨大な燃料(全て輸入品)を消費し、同じく膨大な量のCO2を大気中にばらまく事になる。おまけに雪が降ったら除雪の費用もかかるし寒さと雪で仕事のペースも相当ダウンする。工事費にそんな予算が含まれているはずもなく、この1~3月の工事は施工するゼネコンも、工事に携わる我々職人の会社もまったく良いことがないのだ。この工事を気候の良い時期に施工すれば同じ予算で1.3倍くらいの工事が出来るのでは無いかと思う。そしてこの時期は工事がなくとも民間の除雪の需要もあるし前年の片付や新年度の準備などで雇用は繫ぐことが出来る。職人の通年雇用もよりしやすくなる。そして除雪のダンプが足りないとかいう事もなくなるしね。

そして4月から8月までは例年、陽も長く、寒からず暑からずの最高の気候の時期に仕事が極端に少なくなる。この4月から8月までの期間で施工できる建築物があるとしたら、その見積依頼が来たならば、これは是非やらせて欲しい。職人がいるのでなんとか働かせる仕事が欲しい。少々の無理は聞くし単価も思い切り頑張る。と言うわけで各業者とも見積は当たり前にするかもしれないが値引きに対する考えは繁忙期とはまったく違う。資材は在庫していても腐らないが職人は仕事が無くとも働いて家族を養って行かなくてはならない。会社も必死になる。

以上のことから考えると、7月か8月頃に完成するような工期設定を逆算して発注することが出来ればすなわち工事費が最も低く抑えられるのだ。もちろん1~3月は予算と品質を考え不施工期間にするのも重要な選択だ。そして4月から職人がフルに働ける環境を作る。例としては11月に発注して年内に基礎を施工し、1~3月は養生して不施工期間、4月から工事を再開すれば最大の雇用も確保出来るし冬用の割高なコンクリートを使わなくとも済む。もっともコストダウンが可能になる。7月までに完成すれば公共工事が多く発注されても機動力に余裕が生まれる。

これからの北国の建設業界は限られた地域の予算を地域内により効果のあるように循環させることを考え、発注時期から工期延長までもっと柔軟に対応できるようにしないと労働者は減る一方であるし雇用がなければ北海道の人口は減るばかりだろう。