職人の会社にとって何よりも重要なことは安定的に仕事が得られる環境、要するに北国といえども通年雇用が可能な地域が実現することだ。たとえば資材販売や資機材リースの業界では今月売上げがゼロでも来月2倍受注があれば帳尻は合う。しかし人間は仕事が無くても食べて行かなくてはならないので赤字だろうがなんだろうがとりあえず仕事を作って働いてもらう。そして来月、仕事が2倍になっても人間一人は一人分しか働けない。無理をすれば必ずどこかで歪みがでてしまい事故に結びつきかねない。要するにいくら仕事があってもどうにもならないのだ。

多くの雇用が発生する建築工事で考えると、公共では大体、4月計画、5月発注、6月議会、7月着工、といった感じかな。要するに大きな雇用が必要になるのは7月過ぎとなる。それでいて年度末の3月引き渡しに向けて2月末までのギリギリの工程で仕上げる。そして一気に暇になりまた翌年7月までごきげんよう。(ToT)

土木工事ではゼロ国という仕組みで早期発注(それでも3月頃か・・・)されるが、多くは予算が発注されるだけで現場で仕事が動き出すのはずっと後、場合によっては8月からの施工なんて事も珍しくない。(ToT)

民間工事では企業も4月から新年度という会社も多く、計画から着工となると大体7月頃からスタートするものが多いようだ。冬期は暖房など余計な経費がかかるし品質にも心配があると考えるからね。(ToT)

選挙の年はその趨勢が決まるまで役所も動けないので更に発注が遅れる傾向にある。まさに今年がそう。(ToT)
一方十勝の基幹産業である農業も7月頃から晩秋に向かって繁忙期を迎え、収穫のため多くの人手と輸送のためのトラックが大量に必要になる。ここでも大量の雇用が発生する。

こうして見ると北国では何もカニもが7月から12月までに集中し、そのピークを過ぎると一気に冬眠に入る。熊みたい。工事によっては多少のバラツキがあるので全くなくなるわけではないが、大きな流れとしては30年前と何も変わっていないのだ。ピーク時には当然間に合わないので受注を控える企業も増えてくる。公共事業でも不調になるものがずいぶん増えている。施工が出来ないといきおい工事費が上昇し、建築自体を延期したり取りやめたりする企業も現れる。経済の循環が滞りがちになってしまうのだ。しかしこの繁忙期の片寄りがある限り、ピークにあわせて人材や機材を準備することなど出来るはずがない。

少子化が進む現在では公共投資が増えてくることは望めないだろう。ならば今ある資源を最大限に活用し、最大の効果を得なければならないのではないか。7月から12月に集中する工事を公共予算を使って3月から7月までに最大の雇用が発生する使い方が出来ないか。もちろん民間工事はコントロールできないので税金である公共予算をうまく使う。1月から3月までは厳寒期で品質確保もむずかしく経費もかかるので無くとも良い。この時期は除排雪の需要があるので雇用は生まれる。現在では排雪を頼んでもいつになったら来るのかまったくわからなくて困っているユーザーもいるようだ。トラック不足も言われているがその問題もクリヤできる。3月から工事が動き出すとなれば建設会社はそれに向けた準備も出来る。そして3月から12月まで安定して働くことが出来るのならば通年雇用も実現し、建設業に働く者の生活も安定する。突貫で完成させていた建築物の品質も格段に良くなるだろう。
企業にとっても突貫工事は経費がかかるだけで事故のリスクが増え、売上げは上がっても中身的には何もいいことがない。仕事が無くなったら職人を解雇して失業保険を受給させ、気楽になっている経営者もいるが、売上げははなくとも会社の経費は当然かかり続ける。やはり一年間を通じて働けることが企業にとっても労働者にとっても一番いいことなのだ。

今まで業界では長い間、早期発注を要望してきた。しかしそれでは何も変わっていない。もっとも効果があるのは早期発注では無く年度を跨いだ発注であると思う。秋に発注して年末までに基礎など地盤に係わる工事を行う。埋め戻しまで完了すれば凍結の影響は受けない。1月から3月までは条件が悪いので不施工期間にする。この期間は除排雪や工事の準備でつないで行く。そして4月から再開すれば一気に雇用が発生する。夏から秋には公共工事がなくとも民間があるし農業関係も繁忙期を迎える。観光産業も忙しくなる。予算では無く現場の雇用を見た発注が必要だ。人手不足と言われるがおそらくこの方法で年間を通じて働ければかなりの部分が解消できると思われる。北国には北国の事情がある。行政はなかなか動かないがやってみる価値はあると思う。