一般の会社員と違って職人は一人ひとりが独立しており、仕事や賃金など待遇によって業界を渡り歩く者も多かった。当然、会社などに守られた制度もないので日雇い職人の救済のために考えられた保険制度が「建設国保」の始まりだったと聞いた。その功罪はここでは説明しないが・・・
同じく独特の退職金制度に「建設業退職金共済制度」というものがある。これは本人が手帳を持ち歩き、工事の元請企業から労働日数に応じて証紙をもらう。この証紙は年々金額が上がってきて現在は1枚310円だ。1年に280日働くとして86800円、10年で868000円、30年で260万円ほどが積み立てられるという仕組みだ。ただし、これが現在は公共工事にしか強制力が無い。例えば当社は建退共に加入しているので、民間工事など証紙がもらえない工事があると足りなくなる。そのぶんはそれぞれの会社が負担して銀行から証紙を買ってきて貼らなければならない。それが大変だからと加入をやめてしまう会社も多い。そうなれば長い年月を努めた業界を去る時に何も無い事になる。働けなくなる時の、収入が無くなる時の260万円がどれほど価値のあることか。幸い、十勝の元請企業では公共、民間の違いなく建退共証紙を支給してくれるところが多く大変助かっている。建設業界で働く者の生涯設計を考えるとこれは必須の制度だと思う。公共と民間の区別無く、しかも会社を変わっても変わらず引き継いで行ける制度があってこそ、建設業界に働く者のプライドが守られるのではないだろうか。