やっとあちこちの現場が動き出したと思ったらもうすでに人手不足、技能者不足が話題になる。しかし今の今まで(7月中旬)大きな工事もなく人があまった、もしくは十分間に合う状況で推移してきたのが現実だ。一年間のスパンで見るとこれはもう人手不足ではなく発注時期の片寄りによる工事の集中と閑散期の工事不足が原因であろう。年間工事量を年間で消化しようと思えば今ある戦力でも十分可能な数字だ。ましてや少子高齢化や人口減少などで地方に投資する動機がますます少なくなると予想されることから、技能者の生活設計を考えると慎重に育成する必要がある。今直面する大きな問題は技能者の高齢化だろう。これは待ったなし、この業界では60才以上が半数を占め超高齢化が進んでいる。今後引退に向かう技能者が激増する予定なのでその減少分を補うべく若手を育成する必要がある。しかし全体の技能者数は不足してはいない。
若手の育成には環境整備が必要だ。その最重要課題が通年雇用である。冬に仕事が無くて失業者になる職種を誰が希望するだろうか。解雇されればその会社に対する所属意識もなくなるので気にいった会社や仕事があればいなくなる。日給がいくらだろうが年間に働ける日数もわからなければ生活設計など立たない。北国の場合、環境整備の肝は通年雇用であろう。

8月からの繁忙期にすぐ人手不足になるのにはライフスタイルの変化という側面も大きい。我々が現場で働いていた時期も工事の発注はやはり7月から12月までに集中していた。しかしその頃は一日平均3時間は残業していたし3ヶ月休み無し(^_^;)という事もたびたびあった。その頃、1ヶ月平均330時間/人くらいは働いていた。全体が若かったから可能だったのだろう。冬には3~4ヶ月も失業したがそれでも生活できるくらい繁忙期に稼いだし失業保険も手厚かった。しかし今は高齢者も多いし若者も残業は嫌う、仮に残業があっても1時間が限度であるしそれ以上になると確実に次の日の能力がダウンする。残業が多いと高齢者は見てもわかるくらいヨレヨレの感じ。しかも日曜日は完全休日だ。1ヶ月平均で200時間/人の作業時間しかない。昔は800人ほどいた技能者が繁忙期に残業をするので1.5倍ほどに施工能力がアップし、一時的に1200人分の仕事をして工事を完成させてきた。しかし今はどうだろうか。200人ほどの職人が一時的に戦力をアップする方法がわからない。時間も増やせず休日も減らせず、能力が1.5倍になれば良いのだがそんなことはあり得ない。じゃあ人数を増やせるのかといえば暇な時期を考えるとそれも出来ない。200人は200人分の仕事しか出来ない。いや頑張れば200人ちょっとかな。国では建設業のイメージアップのために週休2日も検討しているらしい。そうなると1ヶ月170時間/人くらいの労働時間だ。施工能力がかなり縮小する。これでキチンとした給料を払い続けるためには今の工事単価の1.5倍は必要だ。しかしそんなことは出来ないだろう。これは型枠業界だけでなく建設技能業界全体の問題でもある。全体の工事費がそんなに上がったら建設投資は激減するだろう。

この問題を解決する方法があるとすれば「公共工事」をうまく使う事しかないのではと思う。発注時期を調整して予算が最大限生かされる方法を検討する。特に北国では1~3月は環境が厳しく施工性や品質確保を考えると工事施工に向いていない。しかも大量に燃料を消費するのでお金が中東に出てしまうばかりでなくおびただしい量の排気ガスを排出する。この時期は除雪、排雪の需要もあるし高齢者は寒いからと休みたがるので(^_^;)片付けや次の準備をしながらなんとか繋いで行けるもの。問題は4月一日から多くの職人達が働ける環境を作る事だろう。(現在は7月頃)そのためには年度を跨いだ発注が必要と思われる。単年度ではいくら早く発注しても現場で多くの雇用が発生するのは7月になってしまう。面倒でも複数年度の発注が解決策になるのではないかと思う。

地域経済の規模はますます小さくなる可能性がある。今使える資源(予算)を最大限効果的に地域に循環させることを考えなければならない。