ウォン安:過度の危機意識が招く危機の深刻化

 7日のソウル外国為替市場でウォンの対ドル相場が10年2カ月ぶりの下げ幅となる前日比59.10ウォンの大幅なウォン安を記録し、1ドル=1328.10ウォンまで下落した。サムスン先物のチョン・ミヨン氏は「現在の韓国は為替危機というよりも行き過ぎた不安感にとらわれ、銀行、企業、個人のすべてがドルを売らない不信状態に直面している」と分析した。


 同日のウォン相場は、取引開始直後に同61.10ウォンのウォン安となる1330.10ウォンをいきなり付け、アジア通貨危機当時のようにウォン相場が急落するのではないかとの不安感からドル買いが殺到した。一時1350ウォンまで下落する場面も見られたが、通貨当局が10億ドル(約1010億円)程度の資金を市場に供給したことで、ウォン相場は1330ウォン台まで反発した。
※10/8の最終取引で既に1394.0に。10億ドルは一瞬で溶かされたw

 米国で金融危機が発生した後、行き過ぎた危機意識が恐怖感となって拡散し、状況をさらに悪化させる「自己実現的危機」が世界的に広がっている。1997年にタイでバーツが暴落したことに端を発したアジア通貨危機が韓国にまで波及したのも、自己実現的危機の代表例に数えられる。


 今回の世界的金融危機で表面化した自己実現的危機は、先週末に7000億ドル(約70兆8750億円)規模の金融安定化法案が米下院で可決された直後から本格化した。金融安定化法案が可決されれば金融市場が安定に向かうという期待とは全く逆の結果を招いた。欧米、アジアなど世界各地の金融機関が突然恐怖感に包まれた。


 まるで津波のように全世界に押し寄せた恐怖は、米政府の破たん金融機関に対する公的支援が果たして世界的金融危機の解決に向けた突破口になり得るのかという疑念がきっかけだった。株式投資家など市場参加者の疑念が世界を一周し、危機意識へと増幅され、6日には世界各地で株価が暴落する「ブラックマンデー」を招いた。


 韓国もこうした自己実現的危機の犠牲になる兆しが表れている。最近のソウル外国為替市場の動きは常識では説明が難しい部分が大きい。8月末から今月6日までにウォンの対ドル相場は16%暴落したが、韓国より外貨準備高や経済規模が小さい国での通貨下落幅は限られ、シンガポール・ドルは2.6%、マレーシア・リンギは2.4%、インドネシア・ルピアは3.1%下落したにとどまっている。逆に日本円は4.2%も上昇した。


 大信経済研究所のキム・ユンギ経済調査室長は「韓国の経済規模からみて、今年は100億ドル(約1兆100億円)前後の経常赤字が出ると見込まれるが、これだけウォンが下落するのは非理性的だ。行き過ぎた不安感と危機意識が影響を与えたと言うほかない」と分析した。


危機感の無さは相変わらずのようで