ライター茂田浩司 明るい暮らしの取材帳

格闘技&スポーツ、お笑い・テレビ・音楽、政治、教育、健康etc もっと広く、もっと深く!! ツイッターは @shigeta_koji です。

競い合いが人を強くする〜9・19K−1WORLDGP

昨日は代々木第二体育館で
K−1WORLDGP
スーパー・フェザー級(ー60kg)の
世界トーナメントでした。

優勝は「アンタッチャブル」卜部功也。
抜群のテクニシャンで
「相手に触らせずに勝つ」彼が、
昨日は強引に距離を詰め、
力強いパンチで仕留めた。
新たな一面を見せましたね。

「バトル・ニュース」卜部功也が大雅をKOしてリベンジ成功!スーパー・フェザー級トーナメント優勝

kouya01




















上記の記事を補足すると、
昨夜の時点では「弘嵩対功也の兄弟対決再び」
という流れでした。
が、一夜明けの記者会見で
功也選手は「62・5キロへの転向」を表明。

卜部兄弟対決は、見てる方も辛くて、
試合後、思わず「階級を変える気持ちは?」と
聞いてしまったのは僕です。

階級転向の報にホッとしました。

今後は兄は60圈弟は62・5kgで
活躍して貰いたいものです。


昨日、強く感じたのは
「選手を成長させるのは
『強力なライバル』の存在」だということ。

功也選手は、
「4月の日本トーナメント決勝戦での負けが
悔しくて、悔しくて、今までで一番ぐらい、
悔しかったんです」

大雅選手というスーパー10代(当時)に負けた。
若い大雅選手が1戦ごとに成長するのは明白で、
日本トーナメント制覇の自信で、
9月にはさらに強くなって出てくるはず。

ならば、26歳の功也選手はすべてにおいて
変化し、成長しなければ絶対にリベンジ出来ない。

「今まで通りではいけない」と、
フィジカルを鍛えてパンチ力アップに励み、
トーナメントでの戦い方を1から見直した。

「蹴りの無駄打ちはせず、足を潰さない」

目の前の敵に勝つことに集中する選手たちの中で、
功也選手だけは「決勝戦での大雅」を
常に頭に入れながら戦っていた。
この点でも功也選手が1枚上だったと思いました。

あともう1つ、
準決勝の弘嵩対大雅戦がポイントでした。

大雅選手はKOで、一刻も早く勝ち上がりたかった。
でも「大雅だけには優勝させない」と弘嵩選手は、
意地で立ち続け、3Rには右ローをコツコツと蹴った。

本来、ダウンを奪われているのですから、
弘嵩選手はパンチで逆転を狙うのがセオリー。
でもローを蹴るところに
「大雅のダメージを蓄積させて、
決勝で功也に勝って貰う」という思いを感じました。

その結果、大雅選手は決勝で思うように
フットワークが使えなくなっていて、
そこをこの5か月で
バージョンアップした功也選手が逃さなかった。

弘嵩選手のアシストもあり、
功也選手が初回KOという劇的な勝ち方で
リベンジに成功し、トーナメントを制しました。

試合後、大雅選手は「悔しい、悔しい」と
繰り返していました。
今度は彼が敗北の悔しさを噛みしめて
大きく成長する番です。

かねてから書いていることですが、
今のK−1は、若い選手が多く、
「成長スピード」を競い合っているところがある、
と僕は見ています。

昨日より今日、今日より明日。
貪欲に、強さを求めて成長した選手が勝つ。
それを昨日、功也選手が証明しました。


次回の11月3日は、
武尊選手がトーナメントに出場します。

武尊選手は減量苦から少し解放されて、
2階級制覇を狙って暴れまくるでしょうし、
他の選手たちは「武尊にだけは勝たせない」
と狙ってくるでしょう。

こちらも楽しみです。


手前味噌ですが、
↓武尊選手のこういったストーリーも読んでおくと、
もっと大会を楽しめると思いますよ。 

「現代ビジネス」 「K−1の新カリスマ」が初めて語る苦悩と葛藤 リングで叩かれ、ネットで叩かれても

「武尊、二階級制覇を狙ってトーナメント参戦!」
11月3日(木・祝)
K−1WORLDGP2016 IN JAPAN
〜初代フェザー級(57・5圈鵬座決定トーナメント〜 
16:00開始 国立代々木競技場第二体育館






チケットの手売りは悪なのか?(4)〜「KNOCK OUT」発表会見での木谷発言を考える

(3)からの続き

9月14日、ブシロードが発表した
新たなキックボクシングイベント「KNOCK OUT(ノックアウト)」

格闘技界を震撼させたブシロード木谷社長の
「選手のチケットの手売りを止めたい。
手売りには未来はない」という発言について。

ブシロードが新キックボクシングイベント発表!木谷社長は「キックの世界的な上位概念になればとんでもないビッグビジネスになる!」


KNOCK OUT05












記者会見でこんなシーンがありました。

「KNOCK OUT(ノックアウト)」の旗揚げ大会、
<「KNOCK OUT vol.0」
12月5日、東京ドームシティホール開催決定>と
スクリーンに映し出された時、
場内が変な感じでざわつきます。

これに即座に反応したのが木谷社長でした。
「何?」と言いながら場内を見まわします。

おそらく「え、東京ドーム?! あ、違うのか」と
観覧していた人の中に一瞬勘違いした人が
結構な数でいたのではないかと思われます。

すると、木谷社長はこう言いました。
「東京ドーム、やりたいよね」

木谷社長が「ファン目線」「ビジネス目線」に
立っているな、と思ったのはこういうところです。

ブシロードが新日本プロレスを買収した時、
まず木谷社長が打ち出したのが
「1・4東京ドーム開催」だったと記憶しています。

観客動員の不振から
「1・4も今年が最後か」と幾度となく噂になりましたが、
「1・4東京ドーム開催」を続けることが、
新日本プロレスのブランドを守り、
世間にプロレスを発信する上で重要なことだと
考えてのことだったと思います。

東京ドーム開催は、莫大な経費が掛かりますし、
準備もPRも集客も本当に大変でリスクがあります。
しかし、それは木谷社長の言葉を借りると
「供給側」の事情にすぎないのです。

都心のほぼ真ん中に位置する
4万人規模のドーム興行を続けられるだけの
体力とパワーがあると見せつけることが、
「新日は業界の盟主である」と
世間に示し、メディアにインパクトを与え、
スポンサーへの格好のアピールとする。

ビジネス上、東京ドーム興行を守ることが
大事だという判断だと思いますし、

ファンに対する求心力という意味でも
大事なことなのだと僕は思います。

実際に東京ドーム興行に行くと
「ここはハレの場だな」と思います。
ファンにとって「1・4」に足を運ぶことで、
新日ファンでいることを誇らしく思うのでは
ないでしょうか。

格闘技界にもK−1グランプリやPRIDEが
東京ドーム大会を開催した時期があるのですから、
懐かしむだけではなく
「もう一度、東京ドーム大会を」と
挑戦するプロデューサーが出てきてほしいものです。


あの日、TSUTAYA O−EASTに集まった人が
「え、東京ドーム?!」という反応が起きたのは、
「ブシロードなら、木谷社長なら
東京ドームだってやるんじゃないか!?」
という期待感の現れではないかと思います。

「キックボクシングの世界の上位概念」を謳う
「KNOCK OUT」はそうした期待感を
大事にすべきだと思うのですが、

これは格闘技界内部では
全然別の反応になるでしょう。

「格闘技の適正サイズは後楽園ホール」
これが格闘技界の共通認識なのです。

かつて、主にK−1MAXについて、
キックやSBの名選手たちが感想を述べあう、
「ゴン格立ち技委員会」というコーナーを持ってました。

小野寺さんにも参加していただきましたね。

K−1MAXは、代々木第二に始まり、
日本武道館、横浜アリーナ、代々木第一、
有明コロシアム、さいたまスーパーアリーナと、
アリーナ規模の大会場で開催していましたが、

立ち技委員会で
「キックはやっぱり後楽園ホールだよ」
という感想を何度聞いたか分かりません。

それが「競技者(やる側)目線」、
木谷社長の言う「供給側」の認識です。

KNOCK OUTは、来年、2〜3000人規模の
TDCホールや大田区体育館で6大会を
予定しているそうです。

後楽園ホールの倍の規模で、年間6大会。

手売りでも埋められるキャパですが、
木谷社長はそれを求めていない。

しかも「2年間は赤字覚悟」ということは、
「3年目から黒字に」ということでもあります。

1年目でどう浸透させて、
2年目でどう進化させて、

3年目には勢いのあるイベントとして
「東京ドーム開催」まで視野に入れるレベルで
発展させなくてはいけないのではないか、と。

折しも4年後には東京五輪です。

今後、報道は年々五輪色が強まり、
五輪競技が最優先で取り上げられます。

その中で「KNOCK OUT」がどう価値を高めて、
その存在を世間にアピールしていくか。

課題はたくさんあります。

「ヒジあり、ヒザあり」ルールは
とても難しいルールだと僕は思いますし、

「KNOCK OUT」の課題は何か、と言われたら、
4つ、5つ、すぐに挙げられます。

そのうちの1つを記者会見で
質問してしまったわけですが、
これ以上は今は言いません。

小野寺さんは僕が「ゴング格闘技」で
初めて連載「素顔のニューヒーロー」を
持った思い入れのある選手。

綺麗な動きで、キレのあるパンチを打つ、
リングに上がっただけでそこだけスポットライトが
当たっているように見える、華のある選手でした。

小野寺さんには
プロデューサーとしてもぜひ成功してほしいので、
懸念していることはご本人に直接伝えたいと思います。

まずは12月5日、TDCホールをどう成功させて、
来年への弾みにするか。

応援していきたいと思っています。


このシリーズは終わります。
長文失礼しました。




チケットの手売りは悪なのか?(3)〜「KNOCK OUT」発表会見での木谷発言を考える

(2)からの続き

9月14日、ブシロードが発表した
新たなキックボクシングイベント「KNOCK OUT(ノックアウト)」

格闘技界を震撼させたブシロード木谷社長の
「選手のチケットの手売りを止めたい。
手売りには未来はない」という発言について。

ブシロードが新キックボクシングイベント発表!木谷社長は「キックの世界的な上位概念になればとんでもないビッグビジネスになる!」


(左が小野寺プロデューサー。
マイクで話す「神童」那須川天心選手。
↓中央がオフィシャルサポーターの紗綾さん。
カメラを向けたら目線いただきました。さすが!)

KNOCK OUT04














キック界の「手売り」は昔から続いてきたことです。

「知り合いが客席を埋めている」ということは、
90年代にナンシー関さんが立嶋篤史の試合を
レポートしているエッセイで書いていますし、

僕が「東京ウォーカー」にいた20年前、
さる老舗キック団体の方から
一本の電話を貰ったことがあります。

誌面に大会情報が載ったことのお礼でした。
で、その人はこう言ったのです。

「あの、ウチの大会情報を
どこで知ったんですか?」

まだ団体がHPを持つ、という時代ではなくて、
編集部では情報収集のために、様々なジャンルの
専門誌を定期購読していました。
「格闘技通信」はその中の一つで、
僕は初めて「格闘技通信」という雑誌を知り、
そこに掲載されていた情報ページから
大会情報を拾っていたのです。

「一般向けに情報を発信する」というのは、
雲を掴むようなものです。その情報を見ても
チケットを買ってくれるかどうか分からない。

それなら「浮動票」は一切無視して、
団体の加盟ジムや出場選手に割り当てて、
チケットをさばいてしまおう、と。

これなら確実に黒字になりますし、
興行が継続できます。
手堅いといえば手堅いですが、
「広がり」はないですよね。

ただ、当時から「浮動票」を強く意識して、
僕ら情報誌への露出に積極的な団体も
ありました。

オールジャパンエンタープライズという興行会社が
運営していた「全日本キックボクシング連盟」と、
かのシーザー武志会長率いる
「シュートボクシング」。

情報の出し方がきめ細かくて、
会場に行くと、特別に席を用意して貰ったりしました。

ここは結構、重要で、リングサイドの記者席は
専門誌の記者が占めてて、たまに顔を出す
情報誌の記者は座りにくいんです。

格闘技の伝説的な名試合、
「吉鷹弘対大江慎」は本部席の隅っこで観ました。
案内された時は驚きましたが、あの激闘を
目の前で観るという凄い経験をさせて貰いました。

そんな中、格闘技界に「黒船」が登場します。
K−1です。

K−1は、フジテレビと広告代理店と組み、
「浮動票」だけを取り込みに掛かりました。

それでチケットは発売即、完売。

メディアへの露出の熱心さも特別でした。

K−1の場合、選手の露出アップや大会PRを
テレビ任せ、代理店任せにはせず、
「K−1事務局」が自ら情報を発信していました。

僕もよくK−1事務局に足を運んで、
試合写真を借りたり、電話でチケット情報を
聞いたり、頻繁にやりとりをしていました。

フリーになった後ですが、
「K−1グランプリベスト8ファイター全員インタビュー」を
新高輪プリンスホテルでおこなったり。

K−1は、取材の申し込みがあれば、
時間のやり繰りをして可能な限り応じて貰いました。
懐かしい思い出です。

ただ、残念ながらそのK−1も、
主催会社FEGがファイトマネー未払いなど問題を起こし、
会社は倒産。地上波中継も消滅しました。

「偶然、テレビで格闘技を目にして、
一度会場に足を運んでみた」
といった浮動票も無くなってしまい、
格闘技界は再び「固定客」を相手にするようになります。

身内でチケットを売りさばき、興行を維持するために
チケットは「手売り」がほとんどを占めて、
「客席ガラガラのメインイベント」という状態になります。

昔を知る者としては、
「K−1登場以前に戻ってしまった」という感じです。


今、ブシロードの木谷社長がイメージするのは、
かつてK−1やPRIDEが作り出した、
華やかで、きらびやかな世界。

それをうかがわせる、象徴的なシーンが
記者会見でありました。

(とうとう4にまで続いてしまいます)




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