柏0-0川崎F

得点者(川崎F)
なし


得点者(柏)
なし


スタメン
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交代
後半13分 16長谷川竜也→24宮城天
後半32分 47旗手怜央→19遠野大弥
     8脇坂泰斗→22橘田健人
後半40分 2登里享平→7車屋紳太郎
     9レアンドロ・ダミアン→11小林悠


リザーブ
GK
27丹野
MF
28山村


前書き

 大分に勝利し、現在5連勝中の川崎F。アウェイでの連戦が続く中、柏のホームに乗り込んでの一戦となった。スタメンは前節から1人を変更。五輪帰りの旗手がIHで起用された。

 対する柏は前節と同じ11人がスタメン。浦和から加入した武藤はFWの一角。また、前節ベールを脱いだ新外国人のエメルソン・サントスはスリーバックの一角に名を連ねた。

HVを釣り出す3つの方法

 この日の柏は非保持は5-3-2でブロックを形成し、保持は椎橋とヒシャルジソンを受け皿にした3-4-2-1っぽい可変式のシステムで臨んで来た。

 非保持に関して言えば、前節の神戸戦と同じような守り方を採用。対面となる選手との1対1は負けてはいけないという前提条件があったように思える。

TACTICALista_20218151736

 また、この柏の5-3-2だと川崎Fの配置と噛合ってしまうのがポイント。スリーセンターがスライドし、川崎FのSBまで出て行くのは今シーズンアウェイで引き分けた際の湘南と同じスタイル。それに加え、全体的にコンパクトな陣形を整えていた。

TACTICALista_20218151738

 しっかりとコンパクトな5-3のラインを形成したことで前向きの守備が出来るのはポイント。序盤からWGに入った場面はWBが持ち場を離れ潰しに行き、IHの選手にはHVが着いていくような形を取った。

 川崎Fとしては相手を背負いながらボールを受けるため、対応が難しかったはず。それも相まってか、序盤は不用意なボールロストから柏の早いカウンターを受けるシーンが続いてしまった。

 それに対し川崎Fが示した打開策は、「どうやって5バックを動かすか」にあったと思う。特に、右HVのエメルソンはかなり持ち場を離れて出て行くシーンが多かった。そこはチームとして「狙おう」という意識が芽生えていたし、「この出て行ったスペースをどう使う?」という共有は重要だったはずだ。

 その「エメルソンを動かす」方法としては「①旗手が引っ張り出す」、「②ダミアンに背負わせる」、「③家長の出張してきて数的優位で崩す」の3パターンがあったように感じる。

 主にこの3つの方法で柏の5-3-2の打開を謀るも決定的な場面を演出するシーンまでは辿り着かなかった。

 その理由をつらつらと書いていく。

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 旗手が引っ張り出した後に「そのスペースを誰が使うのか」というイメージが共有出来てなかったのは痛かった部分だろう。ここは、誰が使うのかまでを描けていれば、ここまで苦戦せずに崩せたように思える。

 また、ダミアンに背負わせる大作戦も不発であった。理由はシンプルで、この試合を通してダミアンがエメルソンを背負え無かったからである。柏のDFラインを芋づる式に動かすための最初の所で躓いたのは痛恨の一言に尽きる展開であった。

 最後に挙げた家長のオーバーロード作戦も逆にスペースを食い潰しているように思えた。そもそもこの試合は狭いスペースでの打開は上手く行って無かったし、細かいパスからの密集アタックで相手のDFラインを突破させるシーンはほぼ無かったように思える。


良かった局面と欲しかった局面

 そんな中でもHVを釣り出してチャンスになりかけたのは、前半アディショナルタイムの場面である。

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 ここは柏の攻→守への移り変わりを上手く利用したシーンとなっていた。家長が古賀を背負い、シミッチとのワンツーから広い方に展開。この際、旗手が落ちて来たことで、エメルソンが釣り出され大きなスペースが出来上がっていた。そこにノボリが低くて速いボールを入れたシーンである。

 最後はダミアンに届いていれば1点物だったが、ここはキム・スンギュの果敢な飛び出しに阻まれゴールを奪うことが出来なかった。

 また、後半4分のシーンは、スリーセンターのスライドが間に合わないタイミングを見計らって、旗手が上手くボールを受けたところから始まっている。ただここでもダミアンが相手DFを背負えなかったのは痛かったし、上島が出て行ったスペースをエメルソンが早めにカバー。上手く対応された形となった。

 5-3-2を破壊する上で必要なのは、スリーセンターの横移動を利用した立ち位置。ここはやはり重要になる点だ。だが、この試合はそこを狙う術が出来ていなかったように感じた。

 いつもなら、スリーセンターの間でボールを引き出すタスクを泰斗がこなしていた。筆者的には、泰斗は「スリーセンターを破壊する達人」だと思っている。ファジーな立ち位置を取って、相手が出て行ったスペースの背後を取る。この一連の流れには無駄が無いし、川崎Fの攻撃のスイッチはそこで入るような場面が、今シーズンは見られている。

 だがこの試合は、そのような局面があまり見られなかった。恐らく、柏のブロックの間を縦に広げられなかったのが原因だろう。そのため泰斗がゆとりを持って前を向くような時間とスペースが無かったと思われる。

 後は、柏のDF陣が深追いをしなかったことも挙げられる。ハイプレス根性DFでは無く、網を張って引っかかるのを待つタイプなので、全体が間延びしなかったと考えられる。そこはネルシーニョ監督の強かさを感じ点だ。

5-3のラインは崩さずに

 両チーム得点が入らない時間帯が続く中迎えた後半16分。カウンターのチャンスとる場面で抜け出した旗手に遅れて対応した上島が、この日2枚目となるイエローカードで退場となった。数的不利となった中、柏は4-4-1の陣形で凌ごうとする。

 しかし、その直後川崎Fに決定機が生まれる。スローインの流れから抜け出した途中出場の宮城が折り返し、泰斗が合わせるも枠を捉え切れなかった。

 この際、スローインを受けに行ったダミアンに対し、エメルソンがボックスの外へ出て行っていた。柏の中の枚数も少なかったし、泰斗の前でクロスに対応しようとしたのはFWの武藤と考えると、かなりバタバタしていたのが伺える。また、後ろが4枚であれば、川崎Fは1番使いたいハーフスペースやチャンネルの部分を活用することが出来るのは大きかった。

 5枚であれば常に埋まっていたスペースが4枚になることで生まれる。そのため、この段階で決めておけば、試合の内容はまた変わった展開になっていたかもしれない。

 何故なら、それを危惧したネルシーニョ監督は高橋祐治を投入し、5-3-1のブロックに変更をしたからだ。

 アクマでも5-3のラインを残すことで、1番使わせたくないスペースをケアしたいと考えたのだろう。これにより、川崎Fが柏の5-3のラインを崩すのにまたもや苦戦をする展開になった。

 その後は宮城の積極果敢な仕掛けからチャンスを作るも得点には至らず。また、キム・スンギュのファインセーブにも阻まれてしまった。特に、後半28分の宮城のシュートに反応したキム・スンギュはお見事である。

 ここに行き着くまでの過程はこの試合の狙いの1つだったはず。家長が古賀を動かし、そこに入って来た泰斗の折り返しからチャンスを作った。上記でも書いたように、あのような「HVを動かした先に誰かが入る」ようなシーンは、速めに作って起きたかったと感じる場面であった。

雑感

 試合は0-0の引き分け。ノーゴールになったのは昨年敗れた大分戦以来だというのだから驚きの結果である。また、スコアレスドローだったのは2018年のアウェイ鹿島戦以来とのこと。約3年ぐらいは観に行けばゴールが決まる瞬間を観ることが出来たことになる。凄いね。

 そんな記録はひとまず置いておき、今回は5-3-2のシステムを突破出来なかった。過去に3-4-2-1相手に勝てない!という記事を出したが、今回は5-3-2かい!という感じ。今回のサブタイトルはそれのインスパイア?となっている


 
 そんな中で、この試合川崎Fが用意した攻撃の道筋自体は決して悪くは無かった。「HVを動かす」もしくは、「釣り出す」という部分までは描けていた。ただ、その先で「どうやってスペースを使うの?」が共有出来てなかったのが問題である。ここは筆者も試合中に触れていた点だ。


 それがこの試合での1番の反省点なのかなと感じた。

 ただ、5-3-2を突破する方法は、この他にも沢山あるという。となると、前提条件としてどうだったのか?という疑問は着いてくるだろう。だとすれば、今回採用した形以外の方法を解決策として描けていれば、もっと良かったかもしれない。そのチャレンジは今後はしていくべきはずだ。

 まぁ筆者は、試合後に「5-3-2に有効な対策」を教えて貰った立場なので、「自分が考えました!」と、手柄を取ったように語れないんだけどね。それでも、他にも手段はあるそうで。気になる方は筆者のTwitterのリプ欄を見て探してみて下さい。

 最後に。

 長いシーズンを戦う上で、どこかで失敗は必要である。この先、湘南や鳥栖など5-3-2で来る相手と対峙する試合はまだ残っているので、その時に今回得た教訓をチームとして活かせれば良いと思う。




 


では、

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