2016年10月27日
"震"へのオマージュ。
一番長くて一番地味〜な講座、
六十四卦ひとつひとつのストーリーを紐解いていく、
「易経六十四卦コース」という講座を開催しています。
現在グループが2コース、
パーソナルで3名の方が受講してくださっています。
横浜のグループコースが、
昨日24番目の卦「地雷復(ちらいふく)」に入りました。
23山地剥(さんちはく)の綜卦(そうか)であり、
また、
十二消息卦(じゅうにしょうそくか)では、
陰極まった坤為地(こんいち)からの陽の復活を示す卦です。
※綜卦・・視座を上下入れ替えた卦。
※十二消息卦・・一年の陰陽の流れを十二個の卦のかたちで教えてくれるもの。
復の下卦「震(しん)」=「雷」は場面転換のメタファー(隠喩)。
雷の象徴は、
奇跡や新たな始まり、革命、力そのものの啓示、衝撃や閃光、などの意味を持ちます。
僕は「水雷屯」と、
この「地雷復」の卦が好き。
いや、愛しい。
あ、どっちも震「雷」が絡んでいるな。笑
「地雷復」は、
サラリーマンを辞めて、
田舎から東京へ引っ越してきたときの5年前の気持ちが重なる卦。
あのとき、
意を決して、
何の不満もなかった、
長年勤めた会社を辞めて、
東日本大震災2週間後に、
まだ震災後すぐの状況で大混乱になってる、
誰も頼れる人のいない大都会に引っ越してきて。
東京は毎日停電騒ぎで真っ暗。
買い占めによりお店にモノはなく、
毎日余震でグラグラ。
頼れる友達もいない。
会社辞めたから収入のないプータロー。
易経で独立するんだ、このままサラリーマンで人生を終わりたくないって、
その気持ちだけで、
不安49%、希望51%で、
羽田空港に降り立ったときの、
あのときの気持ちが、
なんとも言えないあのときの気持ちが、
この地雷復の卦を見るたびに蘇ってくる。
山地剥という今まで積み上げてきたものの剥落、崩壊。
そして坤為地という何もない更地となりゼロに戻る。
そこに初めに立てられた一本の希望の柱。
今にも崩れそうな、
でも必死に立っている、
今は弱々しいたった一本の孤独な柱。
それが、地雷復の初爻の一陽。
独立はした。
でも、
誰も期待なんてしてくれない。
僕なんて知る人もいない。
励ましてくれる人もいない。
温めてくれる人も、逃げ道もない。
だから、
自分で自分に期待するしかなかった。
僕が東京に引っ越してきたのは3月25日。
3は水雷屯。
25は、24番目の卦「地雷復」の次の卦「天雷无妄(てんらいむぼう)」。
そう、みんな雷。(笑)
僕はこの日を選んで、
この東京という大都会に降り立った。
「天」はすべてを明るみにし映し出すという象徴をもつメタファー。
人は水の中に潜れるし、
地上も好きなように闊歩できる。
でも、
天だけは行けない。触れ得ない。
天は、
決して人が触れ得ぬ天は、
光をくれて、
恵みの雨をくれて、
涙が出るほどに美しい夕陽や星空を我々人に見せてくれる。
天と雷が重なる、
无妄の卦はこう語りかける。
※彖辞抜粋
「无妄の往くは、何かにか之かん。天命祐けず、行かんや。」
「行け。無為自然で行け。嘘偽りない至誠の心で行け。天は見ている、ただ、行け。」と。
易経の六十四卦と、
自分の人生が重なっていく。
いろんな「時」のシチュエーションに、
歩いてきた人生を思う。
地雷復の一陽は、
この暗闇に芽生えた小さな小さな孤独な一陽は、
きっと自分で自分に期待し、
励ましたのだと思う。
もしあなたが今何かやりたいことがあって、
それでも躊躇しているなら、
誰も味方がいなくても、
誰も期待なんかしてくれなくても、
それでも抑えきれない内側の衝動(雷)があなたにあるなら、
たった一人で、
孤独の中で、
一歩の半分の、
そのもう半分でいいから、
小さな行動を踏み出してみるといい。
できないことはやらなくていいから、
今自分にできる小さな半歩のもう半分を、踏み出してみるだけでいいんだ。
大丈夫。
孤独の先輩ならここにいる。
1ミクロンの自慢にもならないけど(おーい)
ため息が出るほど頼りないけど(おーい×2)
一応、ここにいるから。
(...。)
新しいことを始めようとすると、怖くなる。
これは生命体の正常な自己防衛本能であり、あなたが弱いから起こるわけではない。
だから、怖くて当たり前だ。
足が震えて当たり前なんだ。
だけど、「水雷屯」、
僕ら一人一人は、
"生まれる"という、
最大の恐怖を乗り越えてきた、
どこまでも強く誇り高き魂なのだということを、
決して忘れてはいけない。
おばけは逃げるから怖いんだ。
怖いということを認めることが怖いだけなんだ。
「わたしはおばけが怖いーー!!」と泣き叫びながらおばけに突進してみるといい。
おばけサイドが「ぎゃーーー!!!」とそんなあなたを逆に怖がって泣き叫びながら逃げていくから。
(...。)
3.水雷屯と、
24.地雷復と、
25.天雷无妄が、
応援している。
ただの六本の線だけど。
みんなどちらかというとまだ弱々しい卦だけれど。(笑)
でも、
応援者は人じゃなければならないなんて誰が決めた?
消さないでほしい。
諦めないでほしい。
その心に生まれた、
今はまだ小さな光を。
思い出してほしい。
はじめての時の、
夢中で追いかけた、
あの子どもの頃のまっすぐな憧れを。
信じてほしい。
期待してほしい。
あなたが、あなた自身を。
静寂の中で耳(水)を澄ませば、
あなたの中の、
小さな小さな"雷"の胎動が、
乾坤から生まれた今はまだかそけき、
しかし確かに律動する"水雷屯"の無垢なる鼓動が、
その胸の奥の奥の深奥から、
きっと、
聴こえてくるはずだから。
☆直近の易経講座、陰陽五行講座をみる
☆プロフィール
☆初めて講座を受講される方へ
☆トップページへ戻る