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易経/陰陽五行 こやまとしのりのブログ

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2019年08月17日

尊敬する人。


お盆休みに帰省しても、元々友達が少ないから(笑)、会う人は限られてる。

そのうちの一人が、独立前に働いていた運送会社の、元同僚Aだ。

その元同僚Aは、僕より年上なんだけど、後から入社した後輩だった。

当時勤めていた運送会社は、業務がとても過酷で、入社した新人が一ヶ月後にはすでにいないという・・、人の出入りがとても激しい会社だった。

仕事は、宅配便を会社や家庭に集配するという、至極簡単なことなんだけど、物量は多く、何よりもいつも人手不足で、サービス残業や遅延クレームが常態化している業界だった。

昨今では、それがマスコミに明るみに出たから、ご存知の方も多いのではないかと思う。

僕が勤めていた頃は、それが明るみに出ないで、まだ隠れブラックな頃だった。

一気に物量が増えるお中元とお歳暮の時期、また、バレンタイン、母の日、クリスマスなどの記念日は、その数日前から配達、集荷ともに過酷を極めた。

この時期は、夜9時を過ぎても、配りきれない荷物が山積みになっていることは日常茶飯事だった。

ナマモノや記念日の荷物は、配り切れませんでした、では許されない。
夜10時を過ぎて荷物を配達し、怒鳴られることも度々あった。

だから、自分の受け持ちのエリアを配達し終えると、隣のエリアの人が配達しきれてないか連絡し、応援に行くなどの慣例があったが、連絡せずにそそくさと帰るドライバーも多くいた。

そして、連絡せずにそそくさと帰るドライバーに限って、外ヅラは良かった。

だけど、その人は、会社ではお客さんをこき下ろしていたり、後輩にはひどい扱いをしていたりした。

それは明らかに後輩への教育的指導ではなく、個人的なストレス発散の対象として、後輩を狡猾にいじめているように僕には見えた。


僕の元同僚Aは、とても仕事の早い人だった。
配達は誰よりも先に終わらせ、運転技術も素晴らしく、事故は一度も起こさなかった。

ただ、いつも仏頂面で、愛想がなく、時折お客さんから「怖い」「不愛想」などのクレームを受けていた。

確かに愛想はなかったが、義理堅く男気がある人で、「配りきれないので助けてほしい」と連絡をすると、自分がどんなに物量が多くても、いつも必ず彼だけは助けに来てくれた。

僕が記憶する限り、ヘルプの要請を彼に断られたことは、7年間一緒に仕事をして、ただの一度もなかった。
ヘルプをしても、仕事が増えるだけで、なんの得にもならないのに。

そして7年間、彼から助けてほしいとヘルプの要請があったことも、ただの一度もなかった。

きっと彼は、自分の仕事は自分で最後まで全うし、同僚からヘルプの要請があれば、たとえ自分がどんな状況であろうと必ず助けに行く、と自らに「決めて」いたのだろうと思う。


外ヅラだけはいい同僚は、誰が連絡をしても、「忙しい」と言うだけで、お金にならない仕事は、いつもほとんど助けに来てはくれなかった。

積みきれない荷物を取りに営業所に戻る道すがら、木陰に車を止めて涼んでるその人をよく目撃した。
決して忙しそうには見えなかったけれど。


いつも必ず助けに来てくれた同僚Aは、自分にも、他人にも、厳しい人だった。

その厳しさゆえに、陰口を言う同僚や後輩も多くいた。 

しかし、その厳しさには、必ず筋が通っていた。

上長だろうと、筋が通らないことを言っていれば毅然とそれを指摘し、後輩への指導も厳しいものだったが、それらは外ヅラだけはいい同僚とは違い、その人の向上を願うための厳しさであることは明白だった。

僕が会社を辞めて易で独立する、と言った時、みんな哀れみを込めて「そんなわけのわからない怪しいことで独立なんて」と嘲笑したけど、彼だけは、「こやまさんならきっと成功するような気がします」と言ってくれた唯一の人だった。

会社を辞めた後、他の同僚とは自然と連絡を取らなくなったけど、彼とだけは、会いたいと思って連絡をして、帰省した時にいつも飲むようになった。

「会社では友達がいないので、こやまさんが初めての友達です。」
「じゃあ、同じだね。」
と、二人で笑った。


その後彼は、その責任感と仕事ぶりが評価され、営業所でセンター長に出世した。

しかし、たとえ上役でも、筋が通らないことがあれば毅然と指摘する彼は、やがて新しく赴任してきた支店長(センター長の上長)と衝突し、降格させられたと聞いた。

僕は、彼らしいなと思った。


さらに、マスコミでも話題になったが、その運送会社で、残業代の未払いが問題となり、社員に過去五年間の残業代が支払われることになった。

それらは自分の残業時間を紙に書いて提出し、それによってお金が振り込まれるというものだったそうだ。

人によっては五十万円〜百万円以上、ボーナスより大きな額を受け取る者も多数いたようだ。

彼と会った時、未払い残業代をいくらもらったのかと野暮なことを聞いたら、「残業時間の紙は提出しなかった。」とのこと。

会社内で提出しなかったのは、彼だけだったらしい。

当たり前だ。臨時ボーナスのような額をもらえるはずのものを、書かない人がいるなんて、その方がおかしい。

彼は頭をかきながら、「もったいないことしちゃいましたよ。」と笑っていた。

となりで、彼の奥さんは「本当にばか。」と、ため息をついてたけれど、でも、なんだか、僕にはその表情が嬉しそうに見えた。

想像するに、またいつものように、「そんな紙書いてるヒマがあったら、集配に時間を使った方がよほどいい」とか支店長に言い放って、ひとり仕事に出て行ったんだろう。

きっと、相変わらずの、仏頂面で。


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