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ジュニアロード世界選手権

16.1km×8周=128.8km
出走 175人

このレースは僕がジュニアカテゴリーになってから2年間、ずっと出たいと願っていたレース。
これが本当に世界のトップのレースだ。
自分の現段階での世界との差を知る、そして自分の来年の進路を決める上でこれが僕の今までの自転車人生の中で最重要レースといえる。
いつも僕はレースで緊張はしないが、コースの厳しさ、天候の厳しさ、参加人数の多さにより前夜から少し緊張しているのがわかった。
当日。
スタート1時間前くらいに選手村のテントに入った。
あまり時間はなかったがこれくらい時間がない方が僕は好きだ。
サインとチーム紹介を終え、アップをする。
周回コースのみのジュニアはスタートからのハイペースが予想されるため
気温は10℃ほどしかないオランダの朝では、アップは重要である。
15分程のアップを終え、スタートラインに並ぶ。日本は真ん中より少し後ろくらいの位置。
緊張はしていない。
早くスタートしたくてワクワクしていた。
タイヤはCORSA EVO SC 23mm を装備。
空気圧は転がり抵抗重視の(F7.6 R7.7)に設定。
万全だ。

AM9:00
レーススタート。
予想通り、スタートした瞬間XCレースのように選手達が一斉にダッシュした。
最初の下りを終えた後左に曲がり小道に入るところで前に位置をするためだ。
後ろに位置したまま一つ目の上りに入ってしまうと中切れや落車の可能性も増えてしまうし、そのまま位置をあげれずにカウベルグに入ってしまうかもしれない。
だから選手の誰もが前に行くことを考えている。
それは1周目に限ったことではないが、1周目は特に重要だ。
とてもデンシャラスな集団をなんとかすり抜け、強引に先頭に出れた。
左コーナーを先頭で入る。
一気に道が狭くなった。
そのまま20番手くらいで最初の上りに入る。
比較的穏やかなペースで上りきり、平坦に入る。
ここは下の民家の平坦よりももっと道幅が狭い。
番手を下げないように集中して守る。
最初のカウベルクを30位ほどで上り終えた。
その後のホームストレートへの下り基調の平坦はとても速かった。
一列棒状。
52×14しかないギアはクルックルに回っていた。
一列棒状も下りの手前で緩む。
そこからはずっと50~70番手くらいで走っていた。
集団の中に入ると今までに感じたことのないくらいのストレスを感じた。
集団内はとてつもなく危険だった。
エリートのようにみんなが技術をもっているわけではない。
さらにはジュニアはほとんどのチームが完全にアシストとエースが別れていないため、全員が終止前に行くことを望んでいる。
このことから常に落車の一歩手前のアクシデントが至る所で起こる。
本当に20秒に1度ほどのペースで。
アクシデント→ブレーキ→加速→アクシデント… の繰り返しだ。
それを警戒するためには一瞬たりとも気が抜けない。
ブレーキレバーから手を離せなかった。
実際に何度も落車が発生していた。
2周目のカウベルグでスピードが上がる。
そのまま3周目へ。
3周目のホームストレートから補給が開始になるのだが、それを取らせまいとするかのように一列棒状のハイスピードで通過した。
スピードはホームは60kmくらい、下りは70~80kmくらい出ていた。
下りで少し番手を上げて30番手ほどで入った3周目の民家。
僕の両サイドで落車が発生。
自転車が飛んできて当たったが、なんとか回避。
となりにいた横山もなんとか回避したようだがそこから後ろは一気に集団落車で足止めを食らう形に。
それを見た先頭の選手らはペースを一気に上げる。
上りを超え平坦に入ると落車した選手も集団に戻ってきた。
そのハイペースを維持したままカウベルクに向かう。
風も強くなり雨もパラついてきた。
身体も少し疲労を感じてきた。
カウベルグで6人の逃げが発生した。
それを追うためにスピードがさらに上がる。
4周目の補給所、僕の目の前で落車が発生。
突っ込まないでくれと願いながらブレーキをした。
僕の後ろで落車が発生したが運良く巻き込まれず集団復帰。

度重なる落車、そしてペースアップで集団は人数が減った。
少し集団は落ち着いたがそれでも落車はあった。
気が抜けない。体験したことのない精神的疲労。
こんなことは思ったことがなかったが、
早く緊張から解放されたくて"早くレースが終わってくれ"と思った。

その後も集団内40~60番手を行き来していた。
5周目の補給所でボトルを受け取る。
後半につれて落ち着いていた集団も再び活性化し始める。
しかしギア比制限があるジュニアは逃げが決まらない。
すぐに吸収されている。
これは集団スプリントになる。
ここからは再び大きな集中力が必要になる。カフェインを摂っておく。
2時間ほど走ったところで梅丹の黒を補給。

ホームストレート、一列棒状で鐘がなる。
ハイペースのまま最終周回へ。
今50~60番手ほどにいる。
民家の上りに入るところで前にいなければ、上の平坦で高速で一列棒状で引き伸ばされた場合前に上がれない。
とにかく前にいかなければ。
気合いを入れ直し、死ぬ気で集団内を切り抜けていく。
ここは脚を使うべきところだ。多少脚を使いながらでも上がらなければいけない。
超強引に割り込んでいく。罵声を浴びせられても、むしろそれが心地よく、さらにアドレナリンが出る。

ゆずらねーよ。

30~40番手くらいで民家の上りへ。
ペースは速いがあえて脚を使い前に行く。
上の平坦では前へ上がろうとしているイタリア、フランスの選手をうまく使いながら前へ前へ行く。
彼らはとても前へ上がっていくのがうまい。
押されても押し返して強引に15番手ほどまで来た。
もう先頭の選手がそこにいる。
鼓動が高鳴った。
あとはこのままカウベルグへの下りで位置を死守し、カウベルグを先頭でクリアすれば
最高の結果が残せるに違いない!
しかし、僕は大失敗をおかした。
下りに入る手前にロータリーがある。ここは左に行く方がコーナーが圧倒的に浅くとても流れがいい。
それは何度も周回を重ねている間に両方試したため自分でもわかっている。
しかし位置取りで"前"ばかり気にしていて、僕はロータリーが近づいてきているのにも関わらず半分より右側にいてしまった。
300m程前で気づき、なんとか左に移動しようとしたが時既に遅し。
選手が右に押してきて、右に行かざるを得なくなってしまった。

くそーーー!!!!!!

と叫ぶ声も空しく、ロータリーを抜けるともう先にはたくさんの選手が。
一気に50~60番手まで下がってしまった。
そのままカウベルグへ。
アウターで死ぬ気でもがいた。
しかし、ヘロヘロに垂れた選手がたくさん蛇行していて邪魔で思うように前へ行けない。
上り切ったところで前を見た時には既に中切れしていて、奥に集団が見えた。
カウベルグでオールアウトしてしまい単独でブリッジする力が残っていない。

もう限界か。
終わりだ。
もう追いつけない。

5秒間ほど、気持ちが弱音を吐いた。
しかしすぐに
”俺から諦めない気持ちを取り除いたら何が残るんだよ。”
と思い直しオールアウトし攣っている脚に鞭を入れ、52×14をぶん回した。
なんとかゴール400m前で追いついた。
そのままの勢いでスプリント。
しかし最後尾からスプリントしても前に行けるわけもなくスプリントをやめた選手達に阻まれながらゴール。
結果48位。
最低な結果だ。
ゴール後表現できない色んな想いが混じった感情が湧いた。
ロータリーを左にいっていれば
という後悔。
カウベルグで邪魔され中切れされた
悔しさ。
そして例えカウベルグで後ろにいてしまっても
もっと脚があればすぐに追いついてスプリントに備えられた。
自分の脚がなかったという
冷静な自己分析。


脚がなかった。
でも自分の今持っている力を使ってどこまでいけるのかも知りたかった。
ただ、知りたかった。

今も悔しい気持ちでいっぱいです。

早く帰って練習したいです。
もう当分レースを走らず、練習していたいくらいです。
もっと強くなります。


WC2012JMRR05