大会名:The 36th(2016)Asian Cycling Championships
開催場所:日本・大島
開催日:1月23日
カテゴリー:U23
コース:11.9km×10周=119km
天候:曇り
出走人数:34人
リザルト:12位+5:45(完走19人)
2016年最初のレースがこの大舞台となった。
レースの3週間前にコースを視察。
その後2週間近くの間アジア選手権メンバーで合宿行い、それを経てこの大会を迎えた。
(photo: Sonoko Tanaka)
こ のアジア選手権はアジアチャンピオンを決めるだけでなく、今後のネイションズカップへの出場に関わるネイションズポイント、そして2016年の世界選手権 出場の枠を左右するUCIポイントが大きく振り分けられており、この大会でそれらの出場権が決まると言っても過言ではない非常に重要なレースであった。
こ のアジア選手権はアジアチャンピオンを決めるだけでなく、今後のネイションズカップへの出場に関わるネイションズポイント、そして2016年の世界選手権 出場の枠を左右するUCIポイントが大きく振り分けられており、この大会でそれらの出場権が決まると言っても過言ではない非常に重要なレースであった。
この圧倒的有利な条件で日本人2人は最低でも表彰台に乗せておきたいところ。
スタートが朝8時ということもあり、気温はかなり低い。天気予報は少しずれ、雨こそ降らないものの防寒対策は万全で臨む。
こんな場面では毎度、シクロクロスをやっていたよかったと心から思う。シクロクロスを経験させていただいた事に感謝だ。
有力どころはモンゴル、香港、イラン。
特にモンゴルはUCIレースでも上位の成績を収めている選手が多く、イランにも同じ層の選手そして昨年同アジア選手権2位の選手もいるので特に警戒しなければならない。
アジア選手権の例年の傾向から言うと、レースの展開はヨーロッパチックというより日本チックな展開が多い。
日本の高体連のレースが一番近いのではないだろうか。アタック合戦や組織だったペースアップなどはほとんどなく、強い国・選手がマークされそれ以外はサイクリングの牽制状態。一度逃げられてしまうと大体は追いかけるのに苦労し痛い目をみるようなレース。
逆に言うと逃げてしまえばほぼ勝負に絡む事は間違いないというある意味単純なレースだ。
レース前はこれらを加味して、4選手でじっくり話し合い完璧な作戦を練った。
その内容とは アタックは自らはせずイラン、モンゴルのアタックを徹底マーク。例え逃げが決まっても脚を溜めながら逃げ、なるべく後ろに取り残された日本人は単独ブリッジ、もしくは他チームのアタックに乗り、逃げには日本人の人数を増やす。
もしある程度の人数の集団で最後(残り2〜1周)までいけば、雨澤選手もしくは徳田選手が上りで全開アタックをしそれで決まらなければそのまま僕をエースでスプリントに持ち込む という作戦。
ポイントは序盤いかに徹底して逃げ・アタックを潰せるか。
残り3周まで逃げを潰す事が出来れば確実僕達の勝率は上がる。最初から お前達を徹底マークしている、お前らを潰すだけで逃げる気持ちはない という意思を見せる部分が非常に大事である。
1月23日8時00分 レースがスタートした。
まずはニュートラルコントロールがあり、上りの道が広くなったところでリアルスタート。
いきなりアタックがあるかとも思ったがなかったため、すぐに先頭に出てある程度のスピードを維持しアタックを掛けにくいスピード域に持ち込み維持する。
いきなりアタックがあるかとも思ったがなかったため、すぐに先頭に出てある程度のスピードを維持しアタックを掛けにくいスピード域に持ち込み維持する。
上りを越え下りに入る。
ここでも先頭を外さず下りでの抜け出しに警戒する。
モンゴルの選手が下り開始ほどでアタックするがすかさず後ろにつく。
モンゴルの選手が下り開始ほどでアタックするがすかさず後ろにつく。
平坦区間に入る前に一度沈静化する。
ここで日本チームもしっかり全員が前に来るよう合図を出し前に人数を揃える。
イランの選手のアタックが一番キレがあり危険だったためそれぞれマンツーマンでマークにつく。
無名選手がアタックするがそれは敢えてスルー。逃げたい国が追うはずだ。
無名選手がアタックするがそれは敢えてスルー。逃げたい国が追うはずだ。
モンゴルがアタックしたそうにしているのを見逃さない。TTチャンプがアタック。
後ろに構えていた僕はそのままついていく。
逃げようとする意思を見せてくるが、僕らは逃げる気がない事を伝える。
後ろに構えていた僕はそのままついていく。
逃げようとする意思を見せてくるが、僕らは逃げる気がない事を伝える。
共々集団に吸収。
イランの選手が次にアタックするもそれも秋田選手が潰す。
(photo: Hideaki Takagi)
イランの選手達が不気味な雰囲気を放っている。
イランの選手達が不気味な雰囲気を放っている。
上り口もしくは上り口手前で必ずアタックすると読んだ。
すると平坦区間にある一番キツい丘でアジア選手権2位のチャイチ選手が全開アタック。
僕がしっかり後ろにつけアタックに乗る。
しばらくチャイチ選手が先頭をひき交代の合図。
前を軽く回る程度で先頭交代し、後ろを確認するとマレーシアの選手を含む僕ら3人が逃げを形成。
そのまま軽くローテーションに入りながら後ろの追走が出来るのを待つ。が上り口で吸収される。
前を軽く回る程度で先頭交代し、後ろを確認するとマレーシアの選手を含む僕ら3人が逃げを形成。
そのまま軽くローテーションに入りながら後ろの追走が出来るのを待つ。が上り口で吸収される。
一周完了。
上
りに入るところで日本チーム全員が前に来るよう指示を出す。3人が揃うが1人足りなかった。
上りでイランの選手がアタックしかけるが、すぐにやめる。そのタイミングでモンゴルの選手がアタック。
(photo: Noriko Sasaki)
反応が遅れ誰もつけない。そのまま差を広げられていく中追うかどうか少し迷ったが、そのまま独走力のある選手で1 人で行かれてしまわないか不安になりやはり追いかけることにする。
(photo: Noriko Sasaki)
上りでイランの選手がアタックしかけるが、すぐにやめる。そのタイミングでモンゴルの選手がアタック。
(photo: Noriko Sasaki)
反応が遅れ誰もつけない。そのまま差を広げられていく中追うかどうか少し迷ったが、そのまま独走力のある選手で1 人で行かれてしまわないか不安になりやはり追いかけることにする。
(photo: Noriko Sasaki)
上り山頂で追いつき、後ろを見ると一列棒状。
ここでカウンターアタックを掛けられる可能性が非常に高い。
急いで日本選手全員が前に来るよう合図を出す。
ここでカウンターアタックを掛けられる可能性が非常に高い。
急いで日本選手全員が前に来るよう合図を出す。
徳田選手しか前に来ない。少しを間をおいたところですぐにモンゴルの選手がアタック。
徳田選手が追いかける。
ここで徳田選手が戻ってきたときのカウンターに備えている日本人選手がいない!!
僕は後ろに下がり秋田選手と雨澤選手に前に上がらないとやばいという旨を伝える。がキツいのか反応が薄い。
徳田選手・モンゴルの選手が捕まったカウンターで案の定イランのチャイチ選手がアタック。
僕が行くしかない!全開で追いかける。
僕が行くしかない!全開で追いかける。
そのまま下りでチャイチ選手とモンゴルの選手と3人で抜け出した。
2人は逃げる気満々で全開ローテ。
僕も邪魔をしないようにローテーションに加わる。
平坦に出た頃にはタイム差が開き、そのまま3人で行こうという事で意見が合致。
まさか逃げるとは思っていなかったがここまで差が開けばそのまま逃げ続けるのがベター。
まさか逃げるとは思っていなかったがここまで差が開けばそのまま逃げ続けるのがベター。
脚を使うと最後が不安だが、我慢する。
イラン、モンゴル、日本という状況で不利な香港がアタックし積極的に追走を作るはず。
そこに日本チームを乗せて人数を増やすのが得策だ。
イラン、モンゴル、日本という状況で不利な香港がアタックし積極的に追走を作るはず。
そこに日本チームを乗せて人数を増やすのが得策だ。
僕は集団待機でスプリントに備えたかったが、もうとにかく信じて待ちながら逃げる。
千切れる事だけは絶対に許されないという重い責任感を感じる。
千切れる事だけは絶対に許されないという重い責任感を感じる。
上りで先頭に出たモンゴルの選手のペースがめちゃめちゃ速い。
このペースで毎周行くのか?!
僕は一気に不安になった。
しかしオーバーペースだったのは明らかだったようでチャイチ選手が怒り、モンゴルの選手に注意する。
上りはゆっくりいこうと意思疎通を取る。
3周完了。
4周完了。
後ろには数名で落ち着いた追走集団があるようだ。
しかしそこにも日本のナンバーはない。
平坦で後ろから追走が合流してきた。
しかしそこにも日本のナンバーはない。
平坦で後ろから追走が合流してきた。
日本人はいない。
もはやこの集団で勝負するしかない。
チームのための逃げから、自分のための逃げへ頭を切り替える。
この人数だと僕が逃げから脱落する事はないだろう。少しの安堵。
注意すべきは最終局面での抜け出しのみ。
5周完了。
6周目に入る。
上りでのアタックに少し警戒するも、ここからアタックしていくような意思のある選手はいないようだ。一安心。
すると平坦に入る前の下り終わりでなんと、徳田選手が単独で追いついて来てくれた!
こんなことは普通は出来ないはず。改めて徳田選手の力とガッツに驚かされた。一気に有利な展開になった。序盤から少人数で逃げ続けたため、脚にはそこまで余裕がないがより勝利が確実なものになりつつある。
アドレナリンが出る。
これはいける!!!
逃げは8人。内2人乗せているのは日本とイランのみ。
6周完了。
(photo: Satoru Kato)
集団とのタイム差も1分20秒。この逃げは確実に決まったと恐らく逃げ集団の選手誰もが思っていた。
集団とのタイム差も1分20秒。この逃げは確実に決まったと恐らく逃げ集団の選手誰もが思っていた。
7周完了。
上りを落ち着いて上っていると後ろからクラクションを鳴らしながらオフシャルカー、バイクが抜いていく。
何事か?
と後ろみると大きな集団の姿が。
何事か?
と後ろみると大きな集団の姿が。
何が起きたのかわからず沿道にいた日本のジュニアの選手に
「後ろから来ているのは何?女子?」
と訳のわからない質問をする。
「後ろから来ているのは何?女子?」
と訳のわからない質問をする。
帰ってきた答えはメイン集団 だと。
イランの選手もタイム差がいくつか尋ねている。30秒と言われ、1分30秒か?と聞き返す。
「just 30second」と言われ驚きを隠せていない。
こんなに一瞬で差が縮まるなんて何があったんだ?
集団抑えてくれていなかったのか?!
色んな疑問と焦りが同時に来る中チャイチ選手と香港のカーフー選手がアタック。
後ろに気を取られ反応が遅れた。
一度離された差が縮まらない。
そこにイランの選手とベトナムの選手が追いつき4人に。
非常にやばい展開。集団に戻っても秋田選手、雨澤選手には余裕は見られない。
タイム差は既に30秒。すぐさま追わなければ。
全員に上がるよう指示を出し下りで前へ。
モンゴルチームも逃げに乗せていないため先頭を追いたいはずだ。
全員に上がるよう指示を出し下りで前へ。
モンゴルチームも逃げに乗せていないため先頭を追いたいはずだ。
共にローテーションして追いかけるよう話を持ちかけるが謎の拒否。意味がわからない。
キレそうになるが、今はそんなことで揉めている時間すらもない。タイム差は50秒。
(photo: Satoru Kato)
もはやこの一瞬が全て。全開で前を追う。
もはやこの一瞬が全て。全開で前を追う。
(photo: Satoru Kato)
これは集団で捕まえるのは無理だ。
これは集団で捕まえるのは無理だ。
誰かを発射させなければ。
上り口までに余裕がある段階で4人ローテーションから3人ローテーションに切り替える。
休むのは徳田選手か雨澤選手。上りでブリッジをかけられるのは彼らしかいない。
徳田選手はすぐに雨澤選手がブリッジするよう指令した。
雨澤選手を抜いた3人で引き続き前を追う。
タイム差は40秒まで縮まったが、あと一踏ん張り。30秒以内まで縮めなければブリッジは厳しい。
秋田選手も脚がキツくなり脱落。
徳田選手と2人で力を振り絞るがゴール前1キロを切ったところで徳田選手も脱落。
残り300mまで頑張ろう
…
残り200mまで頑張ろう
…
ゴールラインまで
(photo: @watari_wata)
ゴールラインを通過したあたりは意識が遠退きそうになる程キツかった
ゴールラインを通過したあたりは意識が遠退きそうになる程キツかった
9周目に入りなんとか先頭牽き切り、ここからは雨澤選手に願いを託し、ブリッジをかけるべく発射していく。
(photo: Hideaki Takagi) ブリッジを掛ける雨澤選手
上り山頂にいた大野コーチに前に雨澤選手が追いついたか尋ねる。
上り山頂にいた大野コーチに前に雨澤選手が追いついたか尋ねる。
追いついたとの返事。よかった…ひとまずよかった…レースは終わっていない。しかし安心したというのが正直なところ。
遅れた僕らができる事と言えばもう願う事のみ。
再びバラけた日本人3人で集まり直し、もしかすると前から脱落してきた選手を交わし少しでも上の順位が取れるかもしれない、その想いで最後の一滴まで力を振り絞る。12位以内に入ることができればわずかだがUCIポイントをGETできる。
(photo: Noriko Sasaki)
(photo: Noriko Sasaki)
最終回に入る。
そしてゴール。
そのまま真っ直ぐ雨澤選手の元へ。
しかし顔は曇っている。聞かなくても答えはなんとなく分かってしまった。
聞きたくない、でも知らなければ
「どうだったんですか?ダメでした?」
最初からダメでした?なんて聞いてしまう、無意識に予防線をはってしまっていた。
結果は6位で表彰台には程遠い、目標にしていた順位には足元にも及ばない結果になってしまった。
浅田監督も落胆、悔しさを隠せない様子だった。
応援して頂いた方、サポートして頂いた方、僕達に期待して頂いた全ての人に申し訳ないという気持ちそして悔しくて悔しくて悔しい気持ちしか胸にはなかった。
絶望。
どこから直していけばいいのか、反省点・改善点だらけだ。
もうこのメンバーには二度と戻ってこないU23のアジア選手権。
思い描いたものには到底及ばない、予想しなかった結果になった。
思い描いたものには到底及ばない、予想しなかった結果になった。
この事はメンバー全員、チームの問題。
メンバー全員が重く受け止め、しっかりと見直さなければ今後UCIポイントを獲得していけるとは到底思えない。
使用機材
フレーム:GIANT TCR Advanced SL(サイズ:xs)
フレーム:GIANT TCR Advanced SL(サイズ:xs)
コンポーネント:DURA-ACE 9070 Di2
ハンドル:SHIMANO PRO PLT コンパクト(size:400)
サドル:SHIMANO PRO TURNIX Carbon
ホイール:SHIMANO DURA-ACE WH-9000-C35-TU
タイヤ:CORSA EVO SC 23mm tubular
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