f16c7d9b.JPG [東京 16日 ロイター] 金融庁が進めるグレーゾーン金利廃止に向けた動きが、消費者金融各社の経営状況を大幅に圧迫している。グレーゾーン金利に対する利息返還金支払いと利息返還損失引当金の計上を始めた2006年3月期決算で、大手4社は早くも経営上の打撃を受け、大幅な減益決算を余儀なくされた。グレーゾーン金利が現実に廃止されれば、各社はビジネスモデルの抜本的な見直しに着手せざるを得ない状況に直面しそうだ。


 <最高裁判断きっかけに、利息返還金支払いが重荷に>
 プロミス<8574.T>、アコム<8572.T>、武富士<8564.T>、アイフル<8515.T>の消費者金融大手4社が実施したグレーンゾーン金利で借りていた顧客への「利息返還金支払い」と今後の顧客への返却見込み分である「利息返還損失引当金」の合計額は、1368億円に達した。これは06年3月期の4社の当期利益合計2204億円の約6割に該当する。

 こうした要因で4社の06年3月期は大幅な減益決算となった。そのきっかけとなったのが、06年1月に最高裁が示した「グレーゾーン金利は事実上違法」とする判断だ。「グレーゾーン金利」とは、消費者金融の貸付金利を規制している出資法の上限金利29・2%と、銀行など金融機関の貸付金利を規制している利息制限法の上限金利20%の間を指す。

 最高裁の示した判断をみて、それ以降、顧客からの返還要求が激増、大手4社ともその要求に対応せざるを得なくなった。

 

 <上限金利18%への引き下げなら、大手4社は2700億円の減収との試算も>

 消費者金融業界に一層の追い討ちをかけるのは、グレーゾーン金利の撤廃の動きだ。金融庁の「貸金業制度等に関する懇談会」が4月にまとめた中間整理は、グレーゾーン金利の廃止で大筋合意し、廃止後の上限金利を「利息制限法の上限金利まで引き下げることが望ましい」とした。

 ある大手証券アナリストの試算では、上限金利を25%に一本化すると、アイフルで255億円、アコムで166億円、武富士で205億円、プロミスで46億円の減収になる。別のアナリストの試算では、上限金利が18%まで引き下げられると、大手4社の減収額の合計は2700億円になり、大手4社の純利益が吹き飛ぶ。

 プロミスの神内博喜社長は4月24日の決算会見で「上限金利が20%以下になると、年間600億円程度の減収になる」との見通しを明らかにした。

 上限金利引き下げに伴う貸付金利の低下は、経営に根本的な変革をもたらしそうだ。神内プロミス社長によると、契約申し込みに対して融資が実行される率である「契約率」は、消費者金融大手5社で60%程度だが、上限金利が利息制限法まで引き下げられると、これが銀行系と同様の30%まで低下する。

 福田アイフル社長も、上限金利の同様な引き下げで「既存顧客の半数以上に融資できなくなる」との見通しを16日の会見で示した。上限金利の引き下げは、顧客の大幅な減少につながると見られている。

 このため、すでに各社は対応策として既存顧客の貸付金利の引き下げ検討や低金利商品の開発に取り組み始めた。

 一方で「現在の貸付限度額を引き上げることを検討している」(近藤光・武富士社長)ところも多い。貸付の上限金利が引き下げられ、貸付リスクを取れなくなことで減少する貸付残高を「優良顧客に貸し込むことで残高を維持しようという戦略」(ある大手消費者金融役員)だ。しかし、こうした過剰融資は社会問題化する危険性も抱えている。


 <ゼロ金利解除が追い打ち、メガバンクとの提携促進も>

 経営課題はこれだけではない。日銀の量的緩和政策解除で、今後の調達金利の上昇ものしかかる。上限金利の引き下げが確実視される中で、調達金利の上昇は「ダイレクトに収益の圧迫要因になる。金利の上昇ペース次第だが、消費者金融の収益は今後、確実に減少する」(大手証券アナリスト)と予測されている。

 こうした業界の将来に対する構造的な課題を先取りし、生き残りをかけた大手各社が打った手が大手金融グループとの資本・業務提携だ。東京三菱銀とアコムによる「DCキャッシュワン」や、三井住友銀とプロミスによる「アットローン」などは、これまで銀行で無担保個人ローンを使っていない、あるいは銀行の無担保個人ローンの審査に通らない顧客層の新規開拓を狙った。

 しかし、今回のグレーゾーン金利撤廃の動きは、メガバンクと消費者金融の上限金利を一本化することにつながり、「メガバンクとの提携によるビジネスモデルの見直しを行わざる得ない状況」(神内プロミス社長)に追い込んでいる。